【体験談】トラック運転手の本当にあったいい話!現役ドライバーにも聞いてみた

現在運送業界、特にトラック運転手は深刻な人手不足に悩まされています。トラック運転手はエッセンシャルワーカーとしての役割を担っているため、このまま人手不足が続いてしまうと、物流が滞ることで日常生活に支障が出る可能性も否定できません。

筆者は約15年トラック運転手として勤務した経験があります。その中で実際に体験した『良い話』がたくさんあり、トラック運転手を続ける糧にもなりました。

そこでこの記事では、筆者の体験を元に本当にあったトラック運転手のいい話をピックアップしてご紹介します。

筆者のプロフィール

筆者のプロフィール

筆者は、トラック運転手として約15年勤務しました(ちなみに女性です)。長距離輸送・センター間輸送・ルート配送・宅配・引っ越しなど、さまざまな職種の経験があります。

筆者がトラック運転手になりたかった理由は、単純に『好きなことを仕事にしたかったから』です。当時は今よりも女性が少ない社会だったため、男尊女卑の権化のようなオジサマたちに嫌がらせを受けたりもしましたが、運転が好きだった筆者にとってトラック運転手の仕事自体は大好きでした。

重たい荷物を運ぶ仕事・果てしなく遠い長距離の仕事…今思うと大変なこともたくさんありましたが、不思議なくらい『仕事に行きたくない』とか『辞めたい』と思うことはありませんでした。

家族の介護の関係で退職するときは、本当に落ち込んだほどです。筆者にとってトラック運転手は、天職だったと思っています。

トラック運転手は『柄が悪い』『底辺の仕事』『3K』などと言われることもあります。中には、本当に怖いお兄さんたちがいたり、ブラック企業もあったりしますが、会社や仕事内容を見極める目を持てていれば、大丈夫なんです。

トラック運転手は社会を支える大切な仕事。少しでも多くの人がトラック運転手に興味を持ってくれると嬉しいなぁと思っています。

筆者が経験!本当にあったいい話

本当にあったいい話

ここからは筆者が実際に体験した『本当に良い話』を紹介します。

荷降ろし待ちで熟睡!目覚まし時計になってくれたおじさん

筆者がもっとも長い期間従事していた仕事は、長距離の配送です。関東から関西・九州・東北など、泊まり込みでいく仕事が多かったので、必然的に荷降ろし先で朝を待つことが当たり前でした。

荷待ちはトラック運転手の長時間労働を生む原因の一つといわれていますが、荷降ろしも同じです。夜中に到着すれば、工場や会社が始まる時間まで待っていなくてはいけません。

筆者が長距離をはじめてすぐの頃、東北地方のある工場へ配送の仕事がありました。到着は夜中の2時頃。荷降ろしができるのは工場が始まる朝の9時です。

慣れない長距離運転で疲れ切っていた筆者は、とりあえず警備員のおじさんに到着を告げると、待機場所で寝ることにしました。警備員のおじさんいわく「寝過ごすと他の運転手に先越されちゃうよ」とのこと。それでも疲れ切っていたので、泥のように眠ってしまったのです。

ドンドンとドアをたたく音で目が覚めました。無理やり起きてカーテンを開けると、警備員のおじさんが立っていて、窓を開けるように指示しています。

「あんた、横浜から来たんでしょ?早く帰りたいんだったらもう起きないと!」よく見ると筆者のトラックの後ろには10台ほど荷降ろし待ちのトラックが並んでいました。

なかなかカーテンの開かない筆者の様子を見て、先を越されないように声をかけてくれたのです。見かけはコワモテのおじさんが目覚まし時計になってくれた…長距離運転手になったばかりの筆者には、とても嬉しかったエピソードの一つとして残っています。

黙って荷降ろしを手伝ってくれた謎のお兄さん

トラック運転手にとって恐ろしいのは、手積み手降ろし!筆者が転職後に勤務した乳製品の配送の会社は、重たい液体(牛乳やジュースなど)を扱っていたため、基本的に手積み手降ろしでした。

1リットルの牛乳が1ケースで12本、重さはおよそ12キロになります。パレット積みができないので、工場の出荷口から流れてくるケースを4段積み上げるのですが、降ろす場所によっては積み上げたケースを2ケースずつ手で降ろして運ぶことがありました。

大手スーパーの新店舗開店の時、1日に3回ほど納品があり、乳製品のほとんどを手積み手降ろし…3回目には力が出ないほど疲れ切っていたのです。

そんなときに見知らぬお兄さんがいきなり近づいてきて、黙って荷台から荷物を降ろす作業を手伝ってくれました。他の会社のドライバーさんだったのですが、ものすごい手際の良さで筆者の3倍くらいのスピードで降ろしてくれたので、箱いっぱいの乳製品があっという間に終わりました。

特に何も話すこともなく、「ここに置くよ」とか「次はこれで良い?」など確認だけをしながら黙々と降ろしてくれたのです。終わったときにお礼を言うと「自分のトラックが順番待ちしてるから」とだけ言い残して、颯爽と去っていきました。

その後会うことはありませんでしたが、疲れ切っていた筆者を見かねて手伝ってくれたんだろうなぁと未だに感謝しています。

真夏の引越し作業後にお茶をくれた男の子

真夏の引越しは、トラック運転手生活の中でTOP3に入るきつい仕事でした。特にエレベーターのない団地の引越しは、今思うとよくできたなぁと自分で感心するほどきつかったのを覚えています。

団地の5階から新築の一戸建てへの引越しを行ったのは、8月の半ば。子どもが2人いるご家庭の引越しでした。

新築への引越しは非常に気を遣う仕事になりますが、それ以上にきつかったのはエレベーターのない団地の5階からトラックへの積み込みです。階段を何往復もしてダンボール箱を運ぶのは、終わりが見えない地獄…作業員全員がヘトヘトに疲れてしまいました。

その家には5歳くらいの男の子がいて、私たちの作業を興味深そうにじっと見ていたのですが、引越しがすべて終了して、作業の確認をお願いしていたときに男の子が私たちに近づいてきたのです。「どうしたの?」と声をかけると、「ありがとう」といってペットボトルのお茶をビニール袋に入れて差し出してくれました。

引越しではお客様から差し入れを頂くことがありましたが、恥ずかしそうにしていた男の子からもらったお茶は、とても美味しかったのを覚えています。

現役運転手にインタビュー★いい話を教えて!

いい話を教えて

筆者がトラック運転手を続けられた理由の一つとして、仲間の存在があります。トラック運転手は一般の会社員よりも人間関係が煩わしくなく、一人の時間が長い仕事です。

それでも仲の良い人というのは自然にできるもので、会社が変わったり仕事を辞めたりしても連絡を取り合っています。筆者の仲間は今でも現役バリバリのトラック運転手…長い運転手生活で「良かった!」と思える話はないのか、インタビューをしてみました。

長距離で道に迷ったときに…

【Mさんのプロフィール】

  • 50代・男性・既婚
  • 大型トラックでセンター間配送を担当

Mさんは20代から運送業界で頑張っているベテランドライバーです。「20代の頃、長距離をやっていたときに道に迷ったことがありました。

今はカーナビがあるけど、一昔前は膝の上に地図本を広げて走ってたから、行ったことのない場所の道とかはわからなかったんです。降りるインターは間違ってなかったんだけど、いかんせん目的の会社が見つからない。

携帯もない時代だから、最悪ですよね…先方に場所を聞くこともできない。でっかい車だからハマっちゃうとUターンとかもできないしね。

荷降ろしの時間も近づいててどうしようかと思ってたら、犬の散歩をしてるおじいさんがいて、思わず道を聞いてみたんです。そうしたら、その会社はこの近くにあるから、ついて来いって言ってくれて、のんびり歩いているおじいさんの後をついていったら、荷降ろし先の会社がありました。

おじいさんによくよく話を聞いたら、区画整理があってちょっと道が変わったって。おじいさんの家は反対方向だったんだけど、遠いところのナンバーで困ってるんじゃないかと思ったって言ってくれてね。

わざわざ違う方向へ自分もついていって教えてくれるなんてあんまりないでしょう?自分は運転手生活長いけど、あの時のことは忘れないですね。親切にしてくれたおじいさんに、とっても感謝しています。」

パンクで立ち往生してるときに…

【Sさんのプロフィール】

  • 40代・男性・既婚
  • 夜間の店舗配送を担当

Sさんは関東一円のホームセンターの夜間配送をしている人です。「トラックの運転手になったばっかりの頃のことなんですが…自分は運転が好きなだけで、メンテナンス系はまったくわからないド新人でした。運行前点検程度はやってたけど、トラブルが起きても対処法がわからなくてね。

そんな状態だったから、パンクしちゃったときは本当に焦りました。いきなり大きな音がして、パンクっていうよりはバーストの状態です。配送しているのは夜中だし、パニクってしまって。

どうしたら良いのかわからなくて途方に暮れてたら、1台のトラックが後ろから来たんです。狭い道だったんで文句言われるのかと思ってたら、ちょっとこわもてのおじさんが来て「どうしたの?パンク?」って声をかけてくれたんです。

自分でも訳が分からない説明だったと思うんですが、きっと察してくれたんだと思います。そのおじさんがトラックのボディに書いてある会社名から連絡先を調べて連絡してくれたり、指示を仰いでレッカーの手配をしてくれたり…自分の仕事もあるのに、私の手助けをしてくれたんです。

そのおじさんのおかげで会社の人がヘルプに来てくれて、おじさんは自分の仕事に戻っていきました。会社の人が連絡先を聞いていたので、後日お礼に先方の会社へ行ったら、「当たり前のことをしただけだ」と。

「自分もトラック運転手になりたての頃は、周りの人に助けてもらったから。」って言うんです。あのお兄さんのようなトラック運転手になりたいって、今でもずっと思っています。」

高速道路で事故に巻き込まれたときに…

【Yさんのプロフィール】

  • 40代・男性・独身
  • 長距離配送を担当

Yさんは現役長距離ドライバーで、筆者の先輩にあたる人です。「長距離は本当にいろいろあるんですよ。トラブルに巻き込まれることも多いし、思いがけないことが起きる。

自分の場合は、もうかれこれ20年以上前に、高速で事故に巻き込まれたことがありました。もうすごい渋滞で、高速は通行止めになってたし、インターの中間くらいだったので高速を降りることもできない。とにかくピクリとも動かない状態が1時間以上続いて、自分でもものすごいストレスを感じてました。

そんなときに、後ろのトラックに乗ってた同世代の男性ドライバーが、いきなりトラックを降りてこっちに向かってきたんです。窓を開けたら、いきなりおにぎりとお茶をくれました。「お腹減るとイライラするし、自分はもう食べたからよかったらどうぞ」って。

よく見たらナンバーが同じ相模ナンバーで、自分が走っていたのは九州です。なんとなく同郷みたいな感覚があったんでしょうね…自分も嬉しくなって、おにぎりを頂きました。

不思議な縁なんだけど、そのあと荷降ろしをした工場内でも会ったんです。話をしたら、会社も意外と近くで、今では連絡を取り合う仲なんですよ。事故渋滞は本当に困ったけど、その事故渋滞がなかったら、あいつとの縁はなかったんだなと思っています。」

 まとめ

トラック運転手のいい話、いかがでしたか?

トラック運転手の仕事はやりがいもあり、メリットの多い魅力的な仕事です。興味のある方はぜひ、自分の条件に合ったトラック運転手の仕事に挑戦してみてください。

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