【体験談】運転手は「転職が多い」のは本当?元トラックドライバーが実態を解説

トラック運転手は、深刻な人手不足の状況です。コロナ禍におけるECサイトの需要増加や少子高齢化による働き手の不足が原因といわれています。トラック運転手に対するネガティブなイメージが一因となっていることも否めません。

トラック運転手は転職が多いといわれています。ただし、転職理由や実態を詳しく知っている方は少ないでしょう。トラック運転手の転職事情はどうなのか、実態や転職の原因を元トラックドライバーの筆者が詳しく解説します。

トラック運転手は転職が多い?

トラック運転手は転職が多いといわれています。確かに、転職回数の多いドライバーがいることも事実です。

厚生労働省の雇用動向調査によると、運輸業における離職率は29歳以下の若年層で高いことがわかっています。トラック運転手の転職パターンを分類すると、3つの種類が見えてきます。

  1. トラック運転手・運送業界を辞める
  2. トラック運転手の職種を変更する
  3. 別の運送会社へ転職する

特徴的なのは、2・3に該当する同じ業界で転職をする人が多いということです。理由はさまざまですが、筆者の周囲にも同じ会社でずっと勤務している人は少なく、条件の良い会社や自分の状況に合った会社に転職をしている人がほとんどでした。トラック運転手には職種が多くあるので、仕事内容から選択肢、職種変更という転職をする人が多いといえるでしょう。

トラック運転手の転職の原因TOP3

トラック運転手の転職には、運送業界ならではの理由や原因があります。どのようなことで転職する運転手が多いのか、上位3つの理由を紹介しましょう。

第3位:体調

体調不良が原因で転職する人は多いです。もっとも多いのは腰の病気。ヘルニアが原因という人は、筆者もたくさん見てきました。

医者に通っても改善が見られない場合は、仕事を変えざるを得ない状況になりますし、ヘルニアで医者に診察を受けると、運転手という仕事に難色を示されることが多いのです。

「運転手じゃしょうがない」「仕事を変えない限り治らない」などと言われます。重いものを積み下ろしする仕事の場合は、腰だけではなく肩・ひじ・膝などを痛めてしまうことも多いので、サポーターをしながら仕事をしている人も少なくありません。

  • 重い荷物を扱う
  • 座った姿勢が長時間続く
  • 運動不足になりがち

といったトラック運転手ならではの仕事内容が、体調不良を引き起こす原因になりがちなのです。

第2位:待遇

どんな仕事でも同じかもしれませんが、待遇に納得がいかず、転職をする人もいます。この場合、特徴的なのは運送業界自体を辞めるのではなく、会社を移る人が多いということです。

たとえば、次のようなケースが挙げられます。

  • 大型の免許を取得したのに大型の仕事がない ⇒ 大型メインの会社に移る
  • 休みをきちんと確保してもらえない ⇒ 制度の整った会社に移る
  • 会社の福利厚生制度に納得がいかない ⇒ 大手の運送会社に移る

トラック運転手は他の人とのコミュニケーションが少ないように思えますが、仲間内の情報網はかなりのものです。他社の待遇面は誰もが気になるところなので、少々ブラック気味の会社にいる運転手は、転職のチャンスをうかがっていることがあります。

第1位:給料

給料が低い・仕事内容と見合わないと感じた場合、転職する確率は非常に高くなります。同じ仕事でも給料の差があり、その差があまりにも大きい場合は、条件の良い会社に移りたいと思うのは当たり前です。

比較することが多いのは、センター間輸送などで他のドライバーと顔を合わせるときです。筆者は乳製品のセンター間輸送を担当したことがあります。工場からスーパーの配送センターへ配送する仕事なのですが、そこに来る他社の運転手もみんな、同じ仕事内容でした。

仲良くなってから聞いた話では、筆者の給料が一番高く、差のあった運転手とは額面で35,000円違いました。給料に不満を持っている人は、こういった情報交換や新たに募集される求人検索などを積極的に行います。給料が原因で転職する人が多いのは事実でしょう。

トラック運転手の転職は有利?不利?

一般的には、転職回数が多くなることや、短期間での転職は避けるべきだといわれます。トラック運転手の場合はどんな転職が有利で、どんな転職が不利になるのでしょうか?

スキルアップしてからの転職なら有利

トラック運転手は、スキルアップしてからの転職なら非常に有利です。資格や免許の取得をすることで、資格手当が付いたり、管理職としての道が開けたりすることがあります。

大型免許やけん引免許を取得すれば、同じトラック運転手でも給料アップすることがほとんどです。運送業界で役立つ資格や免許を取得し、それを活かした転職であれば、成功する確率は非常に高くなります。

有限会社への転職は不利

2006年の会社法施行により、新しく有限会社を立ち上げることはできなくなりました。有限会社法も廃止され、現在ある有限会社は改正前の制度の一部を引き継いで、特例有限会社として継続している会社です。

有限会社は株式会社と比較すると規模が小さく、ワンマン経営になりがちというデメリットがあります。資本金の少ない会社と見なされてしまうことも多く、信用度が低くなる可能性も否めません。歴史が古いというメリットもありますが、働く側としてはできれば株式会社を選んだ方が賢明といえます。

ブラック企業なら転職が有利

運送業界には、残念ながらブラック企業と呼ばれる会社が存在します。自分の所属する会社がブラック企業だと思ったら、すぐにでも転職する方が有利です。実際に筆者の知り合いが勤務していた会社は、絵に描いたようなブラック企業でした。

  • 給料は日給月給
  • 有給休暇がない
  • 社会保険に加入していない
  • トラックの整備はドライバー自身が行う
  • スタッドレスタイヤの装着をさせてもらえない

長く勤務していた知り合いは、おかしいと気づくこともできず、「こんなもんだ」と思っていたと言います。

しかし、こんなケースは、明らかに違法です。周囲から転職を勧められた知り合いは、時間がかかりましたが中堅の運送会社へ転職しました。転職後にやっと自分のいた会社の酷さに気付いたのです。

トラック運転手の転職に情報収集が必要だということはこういうこと……情報弱者になってしまうことで、違和感に気づけないことがあります。

転職回数があまりにも多い人は不利

転職回数があまりにも多い人は、転職が不利になるでしょう。転職回数が多いのはトラック運転手にはよくあることですが、あまりにも多いと長く勤められない人というレッテルを貼られてしまうからです。

倒産やリストラなど、会社原因の場合は仕方ないケースもありますが、自己都合で転職回数が多すぎるのは、不利と言わざるを得ません。転職するときにすぐに辞めなければならなくならないよう、会社や仕事内容を見極める力を持つことが必要です。

トラック運転手の転職・現役ドライバーの事例

トラック運転手の転職は、珍しいことではありません。筆者の周囲には、上手な転職をしたことで、やりがいのある仕事に就けた仲間がいます。どんな状況だったのか、主な事例をご紹介しましょう。

Aさんの事例(転職回数2回)

Aさんは業務委託で独立した軽貨物のドライバーです。元々は長距離運転手をしていましたが、自身の母親の介護が原因で、家にいる時間を確保しなくてはいけなくなりました。

Aさんは高卒で就職するときになかなか就職先が見つからず、苦労をした経験があり、学歴に関係なく評価してもらえる運送業界に飛び込んだという過去がありました。そのため、他の仕事に就くことは考えず、自分の状況でもできる運送業の仕事ということで、地元で働ける宅配業を選んだのです。

Aさんの転職は2回目。最初の会社はルート配送の会社で、長距離運転手に憧れて大型免許を取得して転職をしています。

Aさんのすごいところは、転職のたびに収入が上がっていることです。用意周到に準備を行い、不利にならない転職をしたことで、自分の条件に合った仕事を見つけることができているケースです。

Bさんの事例(転職回数5回)

Bさんは、会社都合で転職を余儀なくされた人でした。1回目から4回目までの転職は、自分のいた会社が倒産したことが原因というものすごい不幸な環境で、最終的には大手運送会社の運転手として勤務しています。

Bさんは地方の出身で、高校を卒業後、地元で運転手をしていました。顔見知りの社長だったため、労働環境や条件は悪くなかったものの、経営が傾き倒産。家庭のあったBさんは、収入が途絶えることを恐れて、簡単に転職先を決めてしまったそうです。

Bさん曰く、地方は首都圏に比べて給料も安く、仕事も少なめ。安定した経営をしているように見えても、実は借金まみれという会社が多かったといいます。

子どもが大学に進学するタイミングで、大手への転職を決めました。給料の額面はあまり変わらないそうですが、手当や福利厚生制度が充実していて、非常に働きやすい環境だということです。

Cさんの事例(転職回数複数回)

Cさんはとにかく転職回数の多い人でした。少々気難しいところがあり、なかなか周囲と馴染めないところがあったのですが、仕事は真面目にしていました。

Cさんは危険物取扱者の資格とけん引免許を持っていたので、タンクローリーの運転手をしていたそうです。タンクローリーの運転手は会社によって給料が大きく変わる傾向があるそうで、少しでも給料の良い会社があれば、資格を活かして転職を繰り返したと話していました。運転技術はピカイチだったので、評価をされないことに腹を立ててしまうプライドの高さが原因だったようです。

Cさんも年齢を重ねることで、転職が難しくなり、筆者のいた会社に転職してきたときは「これが最後だな」と言っていました。Cさんはその会社で運転手を続けており、周囲の人間ともうまく付き合っています。

 トラック運転手が有利に転職をするポイント

トラック運転手が有利に転職をするためには、押さえておきたいポイントがあります。少しでも自分にとって良い条件で転職ができるよう、しっかり確認してください。

免許・資格を取得する

運送業界で活かせる免許や資格を取得することで、有利な転職に結びつけることができます。

【運行管理者】

1. 国家試験に合格する1年以上の実務経験を積んでいること実務経験と同等の講習を修了していること「貨物」と「旅客」の2種類の試験がある
2. 一定の条件を満たす5年以上の実務経験があること基礎講習や一般講習を5回以上受けていること5回以上の講習のうち少なくとも1回は基礎講習を受講していること

【整備管理者】

条件一級・二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者国土交通大臣が告示で定める基準以上の技能を有する者自動車の点検もしくは整備・整備の管理に関して2年以上実務の経験を有し地方運輸局長が行う研修を修了した者
配置5両以上の使用の本拠ごとに設置 (※トラック・乗車定員10人以下の場合)

【危険物取扱者】

受験資格(甲種)乙種危険物取扱者免状を有する者大学などで化学に関する学科などを修めて卒業した者大学などで15単位以上化学に関する授業科目を修得して卒業した者化学に関する学科または課程の修士・博士の学位を有する者
取得方法危険物取扱者試験に合格する (甲種・乙種・丙種の3種類があり乙種4類が仕事に活かしやすい) 定められた期間ごとに危険物取扱者保安講習を受ける必要あり

【玉掛け作業者】

条件満18歳以上
取得方法玉掛け技能講習または玉掛け特別教育の受講・修了

【フォークリフト免許】

条件18歳以上
取得方法フォークリフト運転特別教育の受講 (各事業所で実施) フォークリフト運転技能講習の受講 (各都道府県の労働局長に登録を受けた教習所で実施)

また運転免許も、できれば中型・大型・けん引の免許を取得しましょう。転職の選択肢が広がるだけではなく、収入アップにもつながります。

会社によっては資格や免許の取得支援制度を設けているケースもあるので、制度を利用することでスキルアップをしていくのもおすすめです。

徹底した情報収集を行う

自分に有利な転職をするためには、徹底した情報収集を行ってください。前項の事例で紹介したBさんのように、情報弱者になってしまうことだけは避けることが大切です。

周囲との比較ができないと、自分の置かれている状況を客観的に判断することができません。転職をすべきかどうか悩んだときには、まず業界や職種に関する情報収集を行いましょう。

求人媒体の募集要項だけではなく、ホームページやインターネット上の口コミ、転職エージェントなどの利用も有効です。さまざまな方法で多角的な情報を得ることがポイントになります。

転職希望の会社を自分の目で確認する

面接時などで会社へ訪問することがありますが、そのときにどんな会社なのか、自分の目で確認しましょう。

  • 受付や担当者の感じは悪くないか
  • 社内は清潔に整えられているか
  • 駐車場のトラックや従業員の車は汚くないか
  • 社屋や備品が壊れたり修繕されていなかったりしていないか
  • 就業規則や雇用契約書などは整備されているか
  • 仕事内容・給与に相違はないか

などを確認してください。少しでも違和感があれば、転職することを再検討するべきです。

特に、担当者など社員の対応には十分注意を払いましょう。感じの悪い担当者がいる会社は、何かしら問題のあることが多いものです。紙面やインターネットだけではなく、自分の目で確かめ、納得できたら転職をするというスタンスを守ることが大切といえます。

まとめ

トラック運転手は、転職が多い職業ですが、運送業界ならではの理由や原因がきちんと存在します。待遇の改善やスキルアップのための転職はおすすめです。

しかし、情報収集を行わず、今の仕事が嫌だからというような理由で、安易に転職をするのは良くありません。入念な準備を行い、少しでも自分に有利な転職になるようなスタンスを守ってください。

トラック運転手の仕事には、さまざまな職種があり、選択肢がたくさんあります。より良い転職につなげるために、ぜひ「ドライバーコネクト」にご相談ください。きっと自分に合ったトラック運転手の仕事が見つかるはずです。