【取材】運送業のやりがいとは?5人のトラックドライバーに聞いてみた

運送業への転職を検討している方がもっとも知りたい情報は、現役ドライバーの生の声ではないでしょうか?やりがいがあるといわれても、どんなときにやりがいを感じるのか、どんな仕事内容をこなしているのかわからないものですよね。

そこで、元トラック運転手の筆者が、今も現役でバリバリ働く5人の現役ドライバーに運送業のやりがいに関するインタビューを行いました。運送業未経験の方にもわかりやすく紹介していきます。

長距離・大型運転手の場合

まずは、長距離・大型の場合について、運送業のやりがいを紹介していきましょう。

運送業の花形・長距離の大型運転手を担当するNさん。宅配で軽貨物の運転手を行っていましたが、現場で大型運転手の仕事ぶりに接し、転職しました。

【Nさんのプロフィール】

  • 40代・男性・既婚
  • 長距離配送を担当
  • 軽貨物運転手から転職

どんな仕事内容?

Nさん「宅配の荷物をセンターからセンターまで運ぶ仕事です。最近はコロナの影響でとにかく荷物が多いです。

宅配便のセンターで荷物を積んで、担当のセンターまで運びます。お客様の荷物なので、扱いには十分注意しています。

長い距離を運転しますが、元々運転が好きなので、苦痛に感じたことはありません。荷物の積み降ろしが一番キツイかな。若い頃はもっとバリバリ働けましたが、最近は1回仕事が終わるとかなり疲れてます(笑)」

今の仕事に就こうと思ったきっかけは?

Nさん「最初はバイトで軽貨物の宅配をやっていましたが、昔からトラックの運転手に憧れていたからです。

荷物を積み込むセンターで大型の運転手と知り合いになって、色々な話を聞きました。もう少し稼ぎたかったこともありますが、バイトではなくて正社員で働きたかったこともあります。

働きながら教習所に通い、大型の免許を取りました。自分で仕事を探そうと思っていましたが、働いていたセンターの上司が免許を取ったことを知って紹介してくれました。やりたかった仕事ですし、事前にさまざまな話を聞いていたため、ギャップはありません。」

やりがいを感じるのはどんなとき?

Nさん「やっぱり、給料もらうときかなと思います(笑)軽貨物のときよりは断然稼げていますし、残業代とか資格手当もしっかりともらっているため、給与明細確認するときは頑張って良かったと思います。

あと、取引先の人にお礼言われたときは嬉しいですね。『いつもありがとう』とか『Nさんだと安心だね』なんて言ってもらえたときは、心の中でガッツポーズ。やっぱり感謝されるのは気持ちいいし、自分の頑張りを認めてもらえたような満足感があります。」

向いている人は?

Nさん「何事にも一生懸命になれる人だと思います。この仕事は、慣れてくると雑になったりすることもあります。そういうことに自分で気づくことができ、修正できる力を持ってる人は強いと思います。

あと短気な人はダメですね。すぐにイライラする人は、あまり長く続かないし、続いていても文句ばっかり言っている(笑)自分で選んだ仕事なんだから、腹くくって頑張るしかない。私はそう思っています。」

短~中距離・ルート配送の運転手の場合

次に、短~中距離・ルート配送の場合について、運送業のやりがいを紹介していきましょう。

Tさんは、IT企業から転職した異色の経歴を持つ運転手です。人間関係に悩まされてうつ状態になったTさんが、運送業で頑張る姿は転職者の希望の星と周囲に言われています。

【Tさんのプロフィール】

  • 40代・男性・既婚
  • 乳製品のルート配送を担当
  • IT企業から転職

どんな仕事内容?

Tさん「僕の仕事は、乳製品の工場から店舗に商品を配送する仕事です。毎日同じ店舗へ行くので道にも慣れるし、時間もある程度読めるため、初心者でも問題ありませんでした。

ルート配送なので、距離はそんなに走りません。出勤時間も退勤時間もほとんど同じなので、家族との時間も確保できています。

毎日同じ店舗へ行くので、きっちり仕事しないと嫌がられます。中には出入り禁止になった人もいるから、きちんと挨拶したり、丁寧な仕事をしたりするように心がけています。」

今の仕事に就こうと思ったきっかけは?

Tさん「大学卒業した後に、私はIT関係の仕事に就職しました。自分の好きなことを仕事にしたかったのですが、もう人間関係が最悪でした。足の引っ張り合いとか派閥とかウンザリ。

8年目にすごいパワハラ野郎の上司が異動してきて、追い込まれて退職しました。家族もいたし、稼がなければならなかったのですが、うつ状態になってしまい、しばらくは休職してました。

そんなときに、奥さんの職場の人がルート配送をやってるって話を聞いて、奥さんにすすめられました。最初は気が乗りませんでしたが、今の社長がものすごく良い人だったのです。僕の状況もすべてわかった上で採用してくれました。」

やりがいを感じるのはどんなとき?

Tさん「僕は、ただ商品を配送するだけではなく、店舗の人とのコミュニケーションも大事だと思っています。

売れ行きの良い商品や、在庫を抱えてしまう商品、新商品の案内や流行などについても話をします。僕が聞いてきた話を、責任者の人が会議にあげてくれたときは、何か役に立ってる気がして嬉しかったです。

ただの配送だと考えてしまうと誰でもできる仕事なのかもしれませんが、自分なりに付加価値を付けることができるのも、この仕事の魅力だと思っています。自分なりの達成感を得られたときは、やりがいを感じます。」

向いている人は?

Tさん「車の運転が好きじゃないとできないと思います。僕は遅咲きというか、昔はあまり車に興味がありませんでした、実際にこの仕事をして自分が運転好きだったことに気付きました(笑)

運転が好きだと仕事が苦にならないし、何よりストレスが溜まりません。僕は一人でいる時間が好きなので、そういう人も向いていると思います。」

センター間輸送・大型運転手の場合

続いて、センター間輸送・大型運転手の場合について、運送業のやりがいを紹介していきましょう。

大型運転手のUさんは、家庭の事情で長距離はできないものの、女性の大型運転手としてバリバリ稼いでいるスーパー母さんです。

【Uさんのプロフィール】

  • 40代・女性・既婚
  • スーパーのセンター間輸送を担当
  • 専業主婦から入社

どんな仕事内容?

Uさん「各工場などからセンターに運ばれてきた商品を、まとめて地方のセンターに運ぶ仕事をしています。地方といっても関東圏内なので、泊りの仕事はありません。

商品はほとんどカゴ車に乗っているので、運転手はそれを転がして積み降ろしします。かなり重いけれど、持ち上げるわけではないため比較的楽ですよ。ただ、腕の筋肉は男並み(笑)女だからってバカにされたくないから、気合い入れて頑張ってます。」

今の仕事に就こうと思ったきっかけは?

Uさん「旦那が病気で仕事を辞めなきゃいけなくなったことが一番の原因です。当時はまだ子どもも小さかったし、旦那の病院代もバカになりませんでした。誰かが稼がなければならなかったので、私が稼ごうと思ったのです(笑)

元々運転は好きで、大型の免許も取ってみたかったから、教習所に通いながら泊りの仕事でなければという条件で仕事を探しました。今の職場の前に2回転職したけど、今の職場が一番良いです。周りの人がすごく理解があって、いろいろ協力してくれます。

べったり仲良しというわけではないけれど、女社会では見ない関係ですね。さっぱりしてて、私はこの仕事してて良かったって思っています。」

やりがいを感じるのはどんなとき?

Uさん「息子に『ママかっこいい』って言われたときです(笑)

私がこの仕事を始めたときは子どももまだ小さかったけど、何か私の仕事している姿をかっこいいと思っていてくれたようで、学校の作文とかにも書いてくれてたのです。こちらはお金稼ぐために必死だっただけなのですが、そういう姿を子どもが見て、かっこいいって言ってくれるなんて、良い仕事だなって思います。

そんな息子も今は大きくなって家庭を支えてくれるようになったので、私は思う存分働けています。」

向いている人は?

Uさん「気合いのある人だと思います(笑)

色々な運転手を見ているけれど、やっぱり気合いのある人は仕事に対する姿勢が違う気がします。どんな仕事でも一緒かもしれませんが、やる気とか気合いって大事ですよね。

特に、トラック運転手は不規則になったり、身体もキツかったりするので、気合いのある人じゃないとダメだと思います。」

宅配業・軽貨物運転手の場合

続いては、宅配業・軽貨物運転手の場合について、運送業のやりがいを紹介していきましょう。

Bさんは、個人事業主として宅配を請け負っている軽貨物のドライバーです。大手宅配会社から思い切った転職をした経緯は、どのようなものだったのでしょうか?

【Bさんのプロフィール】

  • 40代・男性・既婚
  • 軽貨物で宅配業を担当
  • 大手宅配会社を退職し独立

どんな仕事内容?

Bさん「大手の宅配会社のセンターで荷物を積んで、担当地域の宅配をする仕事をしています。軽貨物なので、積める荷物はトラックの比ではありませんが、結構細かい荷物などもあるため、多いときで1日120件くらい回ります。再配達も合わせるともっとです。

最近は通販の荷物がすごく多く、契約を3台に増やして対応しています。」

今の仕事に就こうと思ったきっかけは?

Bさん「かっこつけて言うと、自分でやってみたかったからです。宅配の会社にいたから、業界のことやシステムもわかっていたし、実際に軽貨物のドライバーとも情報交換していたから、これだったら自分でできるんじゃないかって思って準備しました。

いざ起業して仕事がないと困るので、営業もしました(笑)前職の上司が『思い立ったら吉日、やってみろ』と背中を押してくれたこともきっかけの一つです。」

やりがいを感じるのはどんなとき?

Bさん「請負の仕事が増えたときです。最初は自分一人で軽貨物1台だったけど、仕事が認められて、今は3台になりました。あと2台は増やして欲しいと言われているため、自分の頑張った結果だと自負しています。

今は会社組織にできるよう、色々な人に相談して準備を進めています。会社員のときは味わうことのできなかったやりがいを感じます。」

向いている人は?

Bさん「真面目な人、これにつきます。実際に人を雇う立場になって、やっぱり仕事を任せるのなら真面目な人じゃないと困るのです。いい加減な人や雑な人は要らないですね。

あとは、いい年して社会人のマナーが身についていない人は困ります。最低限のマナーは身についてるという前提でこっちは見ています。

真面目で丁寧で一生懸命仕事ができる人。あと、宅配業はある程度愛想が良い人ですね(笑)怖い配達員じゃ警戒されますからね!」

店舗配送・中型運転手の場合

最後に、店舗配送・中型運転手の場合について、運送業のやりがいを紹介していきましょう。

Sさんは宅配業の給与に納得がいかずに、ホームセンターの配送へ転職をした人です。日中の仕事から夜間の配送へのシフトチェンジはどうだったのでしょうか。

【Sさんのプロフィール】

  • 40代・男性・既婚
  • 夜間の店舗配送を担当
  • 宅配業者から転職

どんな仕事内容?

Sさん「センターで仕分けされた店舗向けの商品を配送する仕事をしています。ホームセンターなので重いものとかもありますが、持ち上げるわけではないため、そこまで負担はありません。

僕たちは夜間配送なので、お店が閉まったあとに納品をします。昼夜逆転になるから、最初は身体がキツかったですが、慣れると渋滞もないし、スイスイ走れるから夜の方が楽です。

この仕事は人間関係が面倒ではないし、特に時間帯が夜だと話す人も限られます。店舗に行っても閉店後だから誰もいないし、気が楽ですね。」

今の仕事に就こうと思ったきっかけは?

Sさん「宅配の仕事は、1個いくらという歩合給だったので、忙しいときは稼げるけど、バラつきがありました。宅配業者の下請けの社員だったのですが、いかんせん給料が安かったです(笑)家族もいるし、こんな稼ぎじゃマズイなと思い、安定しているトラックの運転手になろうと思いました。」

やりがいを感じるのはどんなとき?

Sさん「奥さんに『お疲れ様』って言われるときですね(笑)

不規則な仕事しているのに、家族は僕の生活を優先してくれてます。そこまでしてくれると頑張らなきゃマズいですよね(笑)

あと、配送先の店舗の人は意外と見ていて、納品書に自分の名前をサインするのですが、店長会議などで『〇〇さんの配送は丁寧』や『ミスがない』とか言ってるらしいのです。責任者の人から評判が良いと言われたときは、嬉しかったですね。自分の仕事を認めてもらえる機会があるのは、やりがいだと思います。」

向いている人は?

Sさん「車が好きな人ですね。僕は整備士の資格を持っていて、車が大好きです。運転するのも苦にならないし、多少の不具合なら自分で直せますしね。

車にまったく興味のない同僚がいますが、あまり楽しそうに仕事していません(笑)運転が好きで車が好きな人は、トラック運転手に向いていると思いますよ。」

まとめ

5人の現役ドライバーにインタビューして印象的だったのは、どの人も仕事を楽しくしようと努力している姿が見られたことです。自分なりの価値観を大事にして、トラック運転手としての仕事を一生懸命しているからこそ、やりがいを感じられるのでしょう。

トラック運転手にはさまざまな職種があり、仕事内容も異なります。自分にどんな仕事が合っているのかわからないという方は、ぜひ「ドライバーコネクト」にご相談ください。

転職を成功に導くためには、情報収集が欠かせません。業界に精通した専任のスタッフが、手厚いサポートで転職をフォローします。やりがいを感じることのできる仕事探しに、役立ててくださいね。