【体験談】トラック運転手になりたい人が転職に必要なポイントは?元ドライバーが解説

トラック運転手に関するイメージはネガティブなものが多いですが、実際に働いてみるとやりがいがあり楽しい仕事です。学歴や年齢に関係なく、頑張れば頑張っただけ認めてもらえるやりがいのある仕事だといえるでしょう。

運送業界は、深刻な人手不足に悩まされています。トラック運転手に挑戦してみたいと思う方は、転職に必要なポイントを押さえてぜひ挑戦してみてください。

元トラック運転手の筆者が体験談を基に、トラックドライバー事情について紹介していきます。

トラック運転手になるために必要なもの

トラック運転手になるために必ず持っていなければならない資格や最終学歴はありません。ただし、絶対に必要なものが2つだけあります。転職を少しでも有利に行えるよう、ポイントとして確認しておきましょう。

運転免許

トラック運転手になるためには、運転免許は必須です。普通自動車免許だけでも勤務できるケースはありますが、平成29年年3月12日以降に普通免許を取得した方が運転できる車両は、車両総重量3.5t未満及び最大積載量2t未満の自動車に限られますので注意が必要です。

準中型自動車免許・18歳以上 ・車両総重量3.5t以上7.5t未満 ・最大積載量2t以上4.5t未満
中型自動車免許・20歳以上・普通免許等保有2年以上 ・車両総重量7.5t以上11t未満 ・最大積載量4.5t以上6.5t未満
大型自動車免許・21歳以上・普通免許等保有3年以上 ・車両総重量11t以上 ・最大積載量6.5t以上

転職の選択肢を増やすには、準中型自動車免許まで取得していると良いでしょう。18歳以上であれば免許の保有歴に関係なく取得できるメリットがあります。

最大積載量2トン以上のトラックを運転するには、準中型免許の取得が必須になるので、普通免許だけではかなり職種が限られてしまうのが現実です。

情報収集

未経験の方も業界経験者の方も、転職したい会社の情報収集は必ず行ってください。労働基準法の改正によって、運送業界の労働環境はかなり改善されてきています。

しかし、実際にはブラック企業と呼ばれるような運送会社が、残念ながら存在するのです。Web上ではわからないことも、自分の目で確かめると見えてくることがあります。

面接などのタイミングを活かして、違和感がないか確認することが非常に大切です。情報収集は徹底して行うことをおすすめします。

トラック運転手の仕事内容

異業種から未経験で転職を希望している方は、トラック運転手の仕事内容を知っておくと、入社後のギャップが少なくなります。

トラック運転手にはさまざまな職種があるため、業種によって仕事内容も異なることが特徴です。思っていたのと違うということにならないよう、自分はどんな仕事をするのか、基本的な仕事内容を理解しておきましょう。

トラックの種類

運送業で使用するトラックには種類があります。運ぶ荷物によって運転するトラックの大きさや形状が異なるため、必要になる免許が変わることが特徴です。

平ボディ荷台がフラットになっているタイプ・箱などはついていない
バンボディ荷台がアルミ製の箱型のトラック・風雨から荷物を保護することができる・運送業でもっとも利用されている形状
保冷車荷台に断熱加工がされているトラック・低温で輸送することができる
冷凍冷蔵車冷凍・冷蔵装置が付いているトラック・荷台が冷凍庫や冷蔵庫のようになるため生鮮食品や冷凍品の配送が可能
ウイングボディバンボディの両側が開くトラック・荷物の積み下ろしがしやすい特徴がある
ダンプ荷台の前の部分が持ち上がるトラック・土や砂利などを簡単にすべり降ろすことができる
トレーラー通常のトラックでは運べない大きな荷物やよりたくさんの荷物を運ぶことができるトラック(セミトレーラー・フルトレーラー・特殊トレーラー)

参考:事業用トラックの種類 | 全日本トラック協会

上記の種類に加えて、トラックの大きさは、主に3種類あります。

  • 小型(積載量2t以下)
  • 中型(積載量4tクラス)
  • 大型(積載量10tクラス)

運送会社はさまざまな物を運びます。情報収集の際には、運んでいる荷物の種類や保有しているトラックの大きさなどをチェックするようにしましょう。

トラック運転手の職種

トラック運転手には、多くの職種があります。

職種仕事内容
長距離輸送荷主から請け負った荷物を所定の配送先まで届ける
ルート配送特定の荷主から特定の配送先へ荷物を届ける
宅配便個人宅や会社・店舗などへ請け負った荷物を届ける
引越し荷物の運び出し・搬入・設置・梱包・輸送を行う
センター間輸送宅配の荷物・工場から出荷される製品などを担当地区のセンターに移送する
店舗配送地区センターに移送された荷物を各店舗に配送する
地場配送短~中距離の区間で荷物の輸送・集荷などを行う

上記の職種は代表的なもので、走行距離・勤務時間・荷物の積み降ろし方法などが異なります。体力を必要とする職種もあれば、運転時間が非常に長い職種もあるのが特徴です。自分の希望するトラック運転手はどんな職種なのか、応募する会社がどの職種に該当するのかをしっかりと理解してから転職することがポイントです。

トラック運転手が必要な業界

トラック運転手が必要な業界は、運送業界だけではありません。所属する企業によって仕事内容は大きく異なります。

所属する企業担当する仕事内容職種
運送会社・荷物の輸送(配送) ・集荷長距離・中距離ドライバーなど
メーカー・商社・荷物の輸送 ・店舗配送ルート配送・店舗間配送など
宅配会社・個人宅への宅配 ・センター間輸送 ・集荷宅配ドライバー
引越業者・荷物の梱包 ・荷物の運び出し ・荷物の搬入引越しスタッフ(運転含む)

一般的なトラック運転手としてイメージされているのは、運送会社に所属するドライバーです。同じトラック運転手でも、運送会社以外の企業では営業の要素が含まれたり、運転以外の作業が多かったりすることもあります。

自分のなりたいトラック運転手はどの業界に属しているのかを確認してください。

トラック運転手の収入事情

トラック運転手への転職を検討している人にとって、どのくらい稼げるのかという収入事情は非常に気になる部分でしょう。トラック運転手が実際にどのくらい稼げるのか、どんな特徴があるのかについて詳しく解説します。

トラック運転手の平均賃金

2019年に全日本トラック協会が行った調査結果を基に、トラックドライバーの平均賃金を見てみましょう。

職種(一般)2019年・平均賃金(円)2018年・平均賃金(円)対前年比(%)
男性運転者平均335,700338,50099.2
男性・けん引運転者383,500391,50098.0
男性・大型運転者356,000355,100100.3
男性・中型運転者282,800297,10095.2
男性・準中型運転者284,900294,40096.8
男性・普通運転者282,000294,40095.8
女性運転者平均274,400294,70093.1
女性・けん引運転者348,300344,500101.1
女性・大型運転者320,200316,200101.3
女性・中型運転者247,700279,00088.8
女性・準中型運転者291,200281,500103.4
女性・普通運転者216,200263,10082.2

参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会

この調査結果から、同じトラックドライバーでも職種によって給料(賃金)が異なることがわかります。特殊なトラックを運転するけん引運転者や、免許保有期間3年以上で取得できる大型のトラックドライバーは平均を上回る給料を得ており、年収に換算すると他職種よりも100万円以上多くなる計算です。

トラック運転手も、スキルアップすることで給料が上がっていく特徴があります。

トラック運転手の業種別の収入

トラック運転手は、勤務する会社の業種によっても収入が異なります。厚生労働省が発表した令和2年賃金構造基本統計調査の平均年収をもとに、各業種の平均年収について紹介しましょう。

業種平均年収特徴
運送・物流会社380~390万円変動給の割合が大きい
宅配会社370万円大手企業が多く手当が充実している
引越し会社375万円繁忙期と閑散期の差が大きい

参考:令和2年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

トラック運転手の中で給料が安定しているのは、どの業種でも大手企業です。大手企業は給料以外にも手当が充実している傾向があり、額面だけでは判断できない恩恵も受けられます。

業界未経験の方は、どの業種でも中堅~大手の企業への転職がおすすめです。

トラック運転手の収入の特徴

トラック運転手の収入の特徴は、他の業界と比べて変動給の割合が大きいことです。

職種(一般)2019年・固定給(円)2019年・変動給(円)小計(円)
男性運転者平均178,600157,100335,700
男性・けん引運転者203,100180,400383,500
男性・大型運転者177,900178,100356,000
男性・中型運転者155,300127,500282,800
男性・準中型運転者178,000106,900284,900
男性・普通運転者196,00086,000282,000
女性運転者平均160,300114,100274,400
女性・けん引運転者203,500144,800348,300
女性・大型運転者163,800156,400320,200
女性・中型運転者137,800109,900247,700
女性・準中型運転者164,600126,600291,200
女性・普通運転者176,50039,700216,200

参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会

この調査結果からは、男女ともに普通運転者を除いては、小計の50%近くが変動給となっていることがわかります。

トラック運転手の仕事は、時間外労働が多いことが特徴です。思わぬ渋滞や事故などのために、大幅に勤務時間をオーバーしてしまうことはよくあります。歩合給や時間外手当の占める割合が非常に高いことがトラック運転手の収入の特徴だといえるでしょう。

トラック運転手の会社の選び方

初めてトラック運転手に挑戦する方は、どんな会社を選べば良いのかわからないことも多いはずです。情報収集を行うときにどんなことに注意すれば良いのか、ホワイト企業を見極めるポイントはどこなのか、元トラック運転手の筆者の体験を活かした会社の選び方を紹介しましょう。

いつも求人が出ている会社はNG

ハローワーク・SNS・WEB・フリーペーパーなど、求人の媒体は多くありますが、いつも求人が出ている会社は、避けた方が無難です。いつも求人が出ているということは、常に人材不足で困っているということにつながります。

  • 会社の待遇が悪い
  • 仕事内容がキツすぎる
  • 給料に見合わない仕事をさせられる
  • 罰則が厳しい

など、社員が定着しない理由が必ずあります。いくら運送業界が人材不足だからといって、どの媒体にも頻繁に求人を出しているということは、それなりに応募者もいるはずです。なおかつ求人をいつも出していなければいけない状況というのは、何かがおかしいということを覚えておきましょう。

未経験者は大手運送会社がおすすめ

運送業界未経験者の方は、大手の運送会社がおすすめです。大手の運送会社は人材確保・法律遵守をしっかりと行っているところが多く、福利厚生制度も充実しています。給料の額面は変わらなくても、休みを確保できる・手当の種類が多いなど、別の面で恩恵を受けることが可能です。

業界未経験の方は、会社を見極める目を持っていないため、初めてトラック運転手を目指すのであれば、大手の運送会社をピックアップして挑戦してみると良いでしょう。

面接時に会社をチェックする

面接は多くの場合、社内で行います。面接時は会社をチェックする絶好のチャンスです。どんな会社なのかを冷静な目で判断してみましょう。

  • 受付・担当者の態度は悪くないか
  • 会社内は整理整頓されているか
  • 駐車場に停めてある従業員の車はきれいにされているか
  • トラックの整備を行うスペースは確保されているか
  • 会社内の備品は手入れされているか
  • 就業規則・契約書などがあるか

などがチェックポイントです。特に担当者や受付の対応には、十分注意してください。ビジネスマナーも心得ていない会社は、決して良い会社ではありません。また、中には雇用契約書や就業規則などもなく、社会保険にすら加入していない会社も存在します。ブラック企業へ就職してしまうことのないよう、違和感を覚えたら立ち止まる勇気を持つことも必要です。

トラック運転手に向いている人の特徴

筆者は元トラック運転手です。トラック運転手の仕事は非常にやりがいがあり、楽しい仕事なので、少しでも興味のある人にはぜひ挑戦してほしいと思っています。筆者が楽しいと思えたのは、トラック運転手に向いていたからで、周囲の仲間たちも同じような特徴を持っていました。仲間たちもトラック運転手の仕事が大好きで、天職だという人もいたくらいです。トラック運転手に向いている人とは、どのような特徴を持った人なのか、3つのポイントをご紹介します。

運転が好き

トラック運転手の仕事を楽しいと思える人は、車の運転が好きな人です。

筆者は車の構造などには疎いですが、運転することは大好きでした。長時間・長距離の運転も苦にならず、毎回いろいろなところへ行ける楽しみの方が大きかったものです。

車の運転は、意外と疲れます。渋滞や事故など、時間通りに運行ができず、イライラしてストレスが溜まることも少なくありません。それでもなおかつ運転が好きだと思える人は、トラック運転手に向いている人だといえるでしょう。

注意力・集中力がある

トラック運転手には、注意力・集中力が必要です。なぜならば、安心・安全に運行をすることが最優先だからです。職業運転手として、他のドライバーの模範となるような運転を心がけなければいけません。

普通車よりも大きく長く高い車体を動かすには、注意力が必要です。長い運行を安全に行うためには、集中力が求められます。注意力や集中力が保てない人は、トラック運転手の仕事は難しいです。事故を起こさずに長く勤めるためには、注意力と集中力のある人が向いています。

一人が好き

トラック運転手の仕事は一人の時間が長いという特徴があります。一人でいることが好きな人、人間関係が苦手な人は、トラック運転手に向いている人です。

人間関係が全くないわけではありませんが、オフィスワークのように、四六時中同僚や上司と顔を合わせる必要がないので、気持ち的にはとても楽に仕事ができます。仲の良い人とはコミュニケーションを取れば良いですし、苦手な人との接触は避ければOKです。仲間と一緒に仕事をしたい人や、誰かといつもつながっていたい人は、寂しさでストレスが溜まります。一人でいることが苦にならない人は、トラック運転手に向いている人だといえるでしょう。

トラック運転手に向いていない人の特徴

トラック運転手は、向き・不向きのハッキリした仕事です。向いていない人がトラック運転手の仕事に就いてしまうと、ストレスフルな状態となり、長く勤務することは難しくなるでしょう。どんな特徴を持った人がトラック運転手に向いていないのか、転職を避けた方が良い人はどんな性格の人なのかについて解説します。

短気な人

短気な人はトラック運転手に向いていません。

トラック運転手は渋滞・荷待ちなど、待たされることが多い仕事です。待たされることにいちいち腹を立てていたら、ストレスでいっぱいになってしまうでしょう。また短気な人は、運転が荒くなりがちです。イライラして無謀な運転をするようでは、事故につながりかねません。短気な人は自分も周囲にも良い影響を与えないので、トラック運転手の仕事は避けるべきです。

マナー・モラルのない人

一般常識ともいうべきマナーやモラルのない人は、トラック運転手の仕事には就くべきではありません。

筆者が知っている最悪の運転手は

  • 他人に怒鳴り散らす
  • あおり運転を平気でする
  • クラクションを異常な頻度で鳴らす
  • 挨拶ができない
  • ゴミを窓から捨てる

など、常識では考えられないことを平気でしていました。注意されてもどこ吹く風…一向に改善される様子がなく、ついには荷主や一般市民から会社にクレームがくるようになりました。最終的に彼は解雇されてしまい、トラック運転手の仕事ができなくなったのです。

トラック運転手は会社の看板を背負って仕事をしています。マナーやモラルのない言動をする人は、会社としても受け入れることができないのです。

運転が苦手・嫌いな人

運転が苦手な人・運転が嫌いな人は、トラック運転手には絶対に向いていません。

おそらく運転が苦手だから嫌いになるという、負のスパイラルがあるのかもしれませんが、運転自体が苦になるという人は、トラック運転手への転職は避けましょう。トラック運転手の仕事の大半は、車の運転です。長距離ではなくても、一般の平均値よりは多く運転をします。ましてや運転するのは普通車ではなくトラックです。ぶつける・こする・事故を起こすことにつながりかねないので、他の職業を検討した方が無難です。

まとめ

トラック運転手の仕事はやりがいがあり、非常に楽しい仕事です。学歴や年齢は関係なく、運転免許があれば挑戦できる仕事でもあるため、少しでも興味のある人はぜひ挑戦して欲しいと思います。

ただし、トラック運転手は向き・不向きがハッキリした仕事でもあるので、自分が向いているかどうかを判断することも大切です。 トラック運転手の仕事には、さまざまな職種があり、選択肢がたくさんあります。より良い転職につなげるために、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。きっと自分に合ったトラック運転手の仕事が見つかるはずです。