目次
【体験談】女性でもトラック運転手で活躍できる?
筆者は、トラック運転手として約15年勤務しました。
- 長距離輸送
- センター間輸送
- ルート配送
- 宅配
- 引っ越し
など、さまざまな運転手をした経験があります。
筆者がトラック運転手になりたかった理由は、「稼ぎたかった」からです。親の借金を返さなくてはならなかったこと、大学に進学する妹の学費がなかったことが大きな原因でしたが、車の運転が好きだったこともあって、運転手の世界に飛び込みました。
当時はまだまだ女性が少ない社会だったため、男尊女卑の権化のようなオジサマたちに嫌がらせを受けたりもしましたが、トラック運転手の仕事は大好きでした!重たい荷物を運ぶ仕事もあったし、果てしなく遠い長距離の仕事もあったし、今思えば大変なこともたくさんありました。
ただ、不思議なくらい「仕事に行きたくない」「辞めたい」と思うことはありませんでした。
- 頑張れば頑張っただけ認めてもらえる
- 面倒な人間関係に悩まされない
- とにかく好きなことを仕事にしてお金がもらえる
筆者にとってトラック運転手は、天職だったと思っています。
トラック運転手は「柄が悪い」とか「底辺の仕事」とか、「3K」だとかいわれることもありますが、それは実態を知らない人の誤解です。中には本当に怖いお兄さんたちや、ブラック企業もありますが、そんなのは一握り。会社や仕事内容を見極めて転職すれば、大丈夫なのです!
トラック運転手は社会を支える大切な仕事。女性もぜひ転職の選択肢に加えて欲しいと思っています。
元トラガールが語る!女性トラック運転手のすすめ
女性のトラック運転手はまだまだ少ない状況ですが、やりがいのある素晴らしい仕事です。筆者の体験をもとに、トラック運転手のおすすめポイントを紹介します。
好きなことを仕事にできる
何といっても、好きなことを仕事にできることが最大のおすすめポイントです。特に、車の運転が好きな女性にはたまらない仕事かもしれません。
普通は仕事と趣味は別物で、趣味はプライベートで楽しむことが多いですが、トラック運転手は趣味と実益を兼ねることができる仕事なのです。好きな車の運転をして、さまざまなところへ行けて、お金ももらえる。
確かにキツイこともありますが、楽しいだけの仕事なんてありません。「キツイ」と「楽しい」を天秤にかけて、「楽しい」が勝てば自分にとってはメリットの大きい仕事になるのです。
自分の力で稼げる
女性でも男性に負けないくらい、自分で稼げるのも、トラック運転手のおすすめポイントです。特に、大型免許やけん引免許を持っている女性ドライバーは男性並みに稼ぐことができます。
筆者の運転手仲間には、シングルマザーの先輩が何人かいました。彼女たちは家庭を守りながらきっちりと稼ぎ、子どもたちを大学に進学させたり、家を購入したりと一家の頼もしい大黒柱になっていたことを覚えています。
トラック運転手は、自分の力で稼ぐことができ、家族を養うことも可能な仕事なのです。
スキルアップができる
トラック運転手は、働きながらスキルアップをすることができるのも大きなメリットです。運送業で使用するトラックはさまざまで、大きさ・形状が異なると免許が必要になります。
準中型自動車免許 | ・18歳以上 ・車両総重量3.5t以上7.5t未満 ・最大積載量2t以上4.5t未満 |
中型自動車免許 | ・20歳以上 ・普通免許等保有2年以上 ・車両総重量7.5t以上11t未満 ・最大積載量4.5t以上6.5t未満 |
大型自動車免許 | ・21歳以上 ・普通免許等保有3年以上 ・車両総重量11t以上 ・最大積載量6.5t以上 |
けん引免許 | ・満21歳以上 ・普通運転免許の経験3年以上 ・片眼で0.5以上・両眼で0.8以上の視力があること(眼鏡・コンタクト可) ・深視力検査3回の平均誤差が20mm以内であること |
運送会社では普通免許のみでも採用することがありますが、仕事の幅を広げるためには準中型・中型・大型免許を取得していくべきです。運送会社の中には、中型や大型の免許取得を支援する制度が設けられている会社もあるため、費用やシフトの心配をせずに取得できるケースもあります。
2017年の免許制度改正で、普通免許では運転できるトラックは車両総重量3.5t未満・最大積載量2.0t未満となってしまったため、2017年3月12日以降に普通免許を取得した人は、どんどんスキルアップしていくことをおすすめします。
女性のトラック運転手の現状
国土交通省の調査では、女性のトラック運転手に関して以下のような報告がなされています。
- 女性の進出状況:全産業の女性就業者の割合は43.2%であるのに対し、トラック運転手の割合は2.5%にとどまっている
- 女性のトラック運転手の人数:全国の女性トラック運転手の就業者数は4.7万人(2015年調査時)
全産業では約半数が女性就業者であるのに対し、トラック運転手の場合は2.5%しかいません。これは、まだまだ運送業界が男性社会であることを表している結果といえるでしょう。
国土交通省は、2014年から「トラガール推進プロジェクト」と銘打って、女性のトラック運転手を増やす取り組みを行っています。労働環境の改善や情報発信を積極的に行うよう、国と事業者(運送会社)が一体となって行っている施策です。
現状ではまだ業界全体に周知徹底されているわけではありませんが、女性が働きやすい職場になる動きが活発化してきています。興味のある女性・やる気のある女性が、活躍できるような職種になる可能性は高くなっているのです。
女性のトラック運転手に関するあれこれ
男性社会に飛び込むには勇気がいるかもしれませんが、筆者は女性のトラック運転手に関する情報をぜひ知って欲しいと考えています。トラック運転手の仕事をする上で気になる3つのポイントを紹介しましょう。
給料
果たして、給料はどのくらいもらえるのか。転職要因にもある給料は、もっとも関心があるポイントではないでしょうか?
女性のトラック運転手はどのくらい稼げるのか、以下の表が全日本トラック協会の調査結果です。
職種(一般) | 2019年・平均賃金(円) | 2018年・平均賃金(円) | 対前年比(%) |
女性運転者平均 | 274,400 | 294,700 | 93.1 |
女性・けん引運転者 | 348,300 | 344,500 | 101.1 |
女性・大型運転者 | 320,200 | 316,200 | 101.3 |
女性・中型運転者 | 247,700 | 279,000 | 88.8 |
女性・準中型運転者 | 291,200 | 281,500 | 103.4 |
女性・普通運転者 | 216,200 | 263,100 | 82.2 |
参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会
職種(一般) | 2019年・固定給(円) | 2019年・変動給(円) | 小計(円) |
女性運転者平均 | 160,300 | 114,100 | 274,400 |
女性・けん引運転者 | 203,500 | 144,800 | 348,300 |
女性・大型運転者 | 163,800 | 156,400 | 320,200 |
女性・中型運転者 | 137,800 | 109,900 | 247,700 |
女性・準中型運転者 | 164,600 | 126,600 | 291,200 |
女性・普通運転者 | 176,500 | 39,700 | 216,200 |
参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会
この調査結果からわかることは2つあります。
- 大型・けん引の運転手は他の職種に比べて給料が高い
- トラック運転手は変動給の割合が大きい
免許が必要な大型の運転手の仕事内容は、長距離の輸送が多いのが特徴です。コスパを考えれば、一度に大量の荷物を運んだ方が良いことはわかります。
大型の運転手は業界を問わずニーズもあるため、平均値よりも高い給料となっているのです。
トラック運転手になるために必要な資格
トラック運転手になるために必要な資格は、運転免許以外特にありません。学歴も関係ありませんし、年齢も不問の求人が多いのが特徴です。運転免許は必須ですが、普通免許だけでも勤務できる運送会社はあります。
準中型免許は18歳から取得可能、中型免許は最短で20歳から取得可能なので、普通免許の運転経験のある人は、準中型・中型免許を取得しておくと良いでしょう。会社によって運転するトラックの大きさや応募条件が異なるため、自分の転職したい会社や業界で必要とされる運転免許の種類を確認することがポイントです。
トラック運転手になるメリット
女性がトラック運転手になる最大のメリットは、女性が働きやすい環境づくりを行っているということです。運送業界は「キツイ」「汚い」「危険」などといわれていた時期も確かにありましたが、現在はさまざまな視点からトラック運転手の働き方を見直す動きが出ています。
労働基準法の改正、36協定の締結、トラガール推進プロジェクトなど、女性でも活躍できる職種になるような取り組みが行われているため、以前とは比べ物にならないくらい働きやすくなっています。
運送業界にとっても人手不足が深刻な今、女性が活躍してくれることは非常に望まれているので、超ウェルカムの売り手市場になっているといえるでしょう。家庭や子育てとの両立ができる可能性も、これからもっと高くなっていくはずです。
女性がトラック運転手になるためのポイント
女性のトラック運転手になって長く勤務するためには、女性ならではのポイントがあります。どんなことが大切なのか、3つのポイントを紹介しましょう。
運転技術を磨く
トラック運転手になるには、運転技術を磨くことが大切です。
女性は、男性に比べて運転が下手だといわれることがあります。これは、一般的に女性よりも男性の方が運転する機会が多く、経験や知識が不足しているからだということがわかっています。
トラック運転手は、安全に荷物を輸送することが最大の責務です。車を運転する機会を増やせば、運転技術は自然と高まります。
運転する距離の長さも運転技術アップには不可欠ですので、プライベートでも意識して運転すると良いでしょう。
「女だから」という言い訳はしない
トラック運転手になったら「女だから」という言い訳はしないようにしてください。それでなくても、運送業界では「女」という単語が良くも悪くも使われます。
- 頑張っている人に向けて ⇒ 「女なのに偉いね」
- やっかみを込めて ⇒ 「女は楽で良いね」
- 完全に悪口 ⇒ 「女だからって甘えてる」「女のくせに」
筆者にいわせれば、「女っていう単語を取れ!」と思うのですが、如何せんオジサマたちはこういうことをよくいいます。だからこそ、「女だからできない」「女だから無理」という逃げを作ってはならないのです。
重い荷物の搬送や長距離など、はなから自分には無理だと思う仕事内容であれば、別のドライバー職を選ぶべき。「女だから」という言い訳は、通用しない世界だと知っておいてください。
大型免許を取得する
トラック運転手を目指すのであれば、大型免許の取得を視野に入れておきましょう。大型運転手=「ハードスケジュールな長距離」「家に帰れない」「仕事がキツイ」というのは昔の話です。
大型運転手はトラック運転手の中でも一番ニーズがあり、さまざまな業種に転職が可能です。給料を上げるため、選択肢を広げるため、運送業界で長く働くためにも、大型免許は絶対に取得した方が良いです。
4tクラスのトラックが運転できるのであれば、大型免許を取るのは意外と楽に感じます。ぜひ大型免許を取得する方向で、運送業界への転職を検討してください。
トラック運転手に向いている女性の特徴
トラック運転手は、向き・不向きがハッキリとしている仕事です。誰にでもできる仕事ではないので、どんな人が向いているのか、向いている人の特徴を紹介します。
運転が好き
運転が好きという女性は、トラック運転手に向いています。反対に、長距離・長時間の運転が苦手という人は、運転手の仕事は避けた方が良いでしょう。筆者はとにかく運転している時間が大好きだったので、運転することへのストレスはありませんでした。
トラック運転手は荷物の積み降ろしよりも、運転している時間の方が圧倒的に長いです。運転が好きでなければ、長く続けることは難しいですし、トラック運転手には向いていません。
稼ぎたい
普通の会社員やパート・アルバイトの給料よりも稼ぎたいという女性も、トラック運転手に向いています。
前項で紹介した女性トラック運転手の給料は、決して低い金額ではありません。繁忙期で忙しい時期には手当がアップし、さらに稼ぐこともできるため、稼ぎたい事情がある女性は頑張ることができます。
- シングルマザーで子どもを育てている
- 家族を養っている
という人は筆者の仲間にもいますし、中には借金を背負っていて、トラックの運転手をしながら完済したという強者もいました。
嫌味なオジサマには「稼ぎたいんなら水商売でもやれば良い」といわれたことがありますが、「水商売ができないから運転手やってんだ」と思っていました。
稼ぎたいと思ってトラックの運転手になる女性は、みんな頑張り屋です。稼ぎたい理由のある女性は、トラック運転手に向いているので、ぜひ挑戦して欲しいと思います。
男社会でも負けない
トラック運転手に向いている女性は、男社会でも負けない少々気の強いタイプの方が良いでしょう。
女性進出を歓迎している運送業界ですが、まだまだ悪しき習慣の残っている部分もあります。それは、働いている人たち(特に年配者)の意識が改革されていないことです。
男尊女卑というか、何というか……「女のくせに」などといってしまう人が本当にいるのです。
でも、そんなやっかみや悪口に負けているわけにはいきません。男も女も関係なく、一生懸命仕事をした人が認められる社会・業界にするべきなのです。
女社会ほどドロドロしているわけではありませんが、男社会の圧力にも負けない強さが必要になります。
まとめ
運送業界、特にトラック運転手は女性にとってハードルの高い職種に思えるかもしれません。
ただし、仕事内容によっては、女性が十分に活躍できる業界なのです。女性ならではのデメリットもありますが、メリットも多く、やりがいのある仕事なので、より多くの女性に興味をもって欲しいと思います。
トラックドライバーの仕事には、さまざまな職種があり、選択肢がたくさんあります。より良い転職につなげるために、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。きっと自分に合ったトラックドライバーの仕事が見つかるはずです。