トラック運転手が「やめとけ」と言われる理由は?元トラガールが教える真のデメリット

トラック運転手は、転職のハードルが比較的低めの職業です。年齢不問・初心者歓迎…それでも「トラック運転手はやめとけ」と言われることがあります。

では、なぜ「トラック運転手はやめとけ」と言われてしまうのでしょうか?今回は、元トラガールの筆者が、やめとけと言われる原因や、本当のデメリットについて、実体験を基に詳しく解説します。

トラック運転手は「やめとけ」と思う主なデメリット

実際にトラック運転手として働いてみて、これはデメリットだと思うことがありました。

筆者はトラック運転手の仕事が大好きでしたが、働く中で不便だったこと・困ったことがあったのも事実です。

本当のデメリットはどんなことなのか、トラック運転手のデメリットを6つ紹介します。

事故のリスク

事故のリスクは、運転をする者には常に付きまといます。トラック運転手であっても、違反や事故を見逃してもらうことはできません。

一般の人よりも運転する時間が長いということは、リスクも増えます。自分が気を付けていても、周囲の事故に巻き込まれてしまうこともあります。

職業として運転をしていても、実際に傷がつくのは自分の免許です。

重大な事故を起こしてしまえば、トラック運転手として仕事ができなくなるだけではなく、免許取り消しという最悪な結果も考えられます。事故のリスクは、トラック運転手最大のデメリットといえるでしょう。

トイレに行けない

トラック運転手は、トイレに行けないことも多くあります。特に女性の場合、トイレの問題は深刻です。

筆者が一番困ったのは、事故で通行止めになった高速道路で立往生したときでした。いつ復旧するのかもわからず、PAもSAも近くになく、おまけに冬だったので事態はひっ迫していました。

最終的には、簡易用の携帯トイレでせざるを得なかったのですが、とても情けなかったのを今でも覚えています。急にお腹を壊してしまうことなどもあるため、常にトイレを確認しながら走っていました。

長距離だけではなく、宅配などの場合もトイレには困ることが多いです。

不規則な生活

不規則な生活になりがちなことも、デメリットとして挙げることができます。長距離の運転手は車中泊になることが多いですが、ルート配送でも夜間帯に配送するケースでは、昼夜逆転の生活になることもあります。

筆者が一番キツかったのは、乳製品のルート配送でした。仕事の開始が深夜の2:00、1運行後に製品ができるまで2時間ほどの休憩後、9:00からもう1運行。仕事が終わるのが15:00くらい。昼夜の区別がつかず、体調を崩しがちになりました。

荷主や運ぶ荷物によっては、不規則な生活になることがデメリットといえます。

恐怖の手積み手降ろし

荷物を手積み手降ろしするケースでは、体力的な負担が大きくなります。大型やけん引の場合は、フォークリフトで積み降ろしすることが多いですが、2t~4tクラスの場合、運ぶ荷物によっては手積み手降ろしになります。

箱(荷台)を何度も乗り降りし、重たい荷物を持ち上げるのは、腰や膝に負担がかかり、降ろし終わる頃にはヘトヘトです。

納品場所によっては降ろした荷物をさらに運ばなければならないこともあるため、恐怖以外の何物でもありません。

引越などはこのケースに該当するので、繁忙期に1日2運行などすれば、身体が悲鳴をあげます。手積み手降ろしの仕事内容は、超デメリットといえるかもしれません。

昔懐かしの男尊女卑

今でこそ「トラガール」などと女性が活躍できる職業になったトラック運転手ですが、男性社会であることはデメリットの一つです。

筆者が勤務していた運送会社のドライバーは、女性は一人だけでした。「女が何でトラック何かに乗っているんだ」「大きなトラックに乗って生意気だ」などと言いがかりをつけられ、目の敵にされていた時期がありました。

”女のくせに”という割にキツイ仕事を回されたり、嫌がらせのような配車をされたりしたことも多々あります。休憩室や更衣室がなく、労働環境も男性優位。

一生懸命仕事をすることで徐々に仲間はできましたが、年齢の高い男性ドライバーからは最後までイジメ抜かれました。昔懐かしいともいえる男尊女卑の運転手社会は、女性ドライバーにとってはデメリットになるでしょう。

お酒が飲めない

お酒が好きな人は、トラック運転手の仕事はデメリットが多いかもしれません。飲酒運転は絶対にできませんので、深酒をしてしまうと翌日に数値に出てしまい、運行ができないということもあります。

元々お酒が大好きだった筆者も、トラック運転手になってからお酒を飲まなくなりましたし、同僚にもお酒を辞めた人はたくさんいました。お酒が大好き・晩酌をせずにはいられないという人にとっては、トラック運転手の仕事はデメリットが大きいかもしれません。

トラック運転手をやめておいた方が良い人

トラック運転手は向き・不向きのハッキリとしている職業です。トラック運転手に向かない人が仕事に就いてしまうと、本人のストレスも多く、周囲に迷惑をかけることにもつながります。

どんな人が運転手の仕事はやめておいた方が良いのか、3つの典型的なパターンを紹介します。

群れたい人

群れたい人=一人でいることに耐えられない人は、トラック運転手はやめておいた方が良いです。

トラック運転手の仕事は、大半が車を運転することです。引越業者などの場合は別ですが、ほとんどの場合一人で車の中にいなければいけません。

長距離の運転手などは、何日も一人で運転をします。誰かと一緒にいなければ気が済まない人、一人でいることが苦痛に感じる人、寂しがり屋の人は、ストレスが溜まりやすいといえるでしょう。

簡単に転職できると思っている人

トラック運転手に簡単に転職できると思っている人も、やめておいた方が無難です。

確かに、運送業界は転職のハードルは高くありません。昔は”運転免許さえあれば就職できる”などと言われていた時期もありますが、現在は違います。

トラック運転手の仕事は、決して楽な仕事ではありません。デメリットも多い中で、自分にとって好きだと思えるモノがなければ続けられる仕事ではないのです。

筆者の同僚にも「思ったよりキツイ」という理由で、短期間で退職する人は少なくありませんでした。トラック運転手の仕事内容をきちんと理解せずに転職を検討するような人は、トラック運転手はやめておいた方が良いでしょう。

短気でマナーの悪い人

短気でマナーの悪い人は、トラック運転手にはならないでください。

近年あおり運転などのトラブルがニュースで報じられることが多いですが、トラック運転手は職業運転手です。一般の人よりも車に乗る時間は圧倒的に多いので、腹の立つ事態に遭遇することも増えます。

そのたびに激高したりマナーの悪い運転をしたりしてしまえば、大きなトラブル・事故につながる可能性が高くなるのです。

筆者の先輩運転手は、あおり運転をしてきた相手にトラックをぶつけられ、怪我をしました。その相手はトラック運転手でした。相手の会社の幹部が謝りに来ましたが、最終的に信用を失ったその会社は、何年か後に倒産してしまったのです。

会社の看板を背負って走っているトラック運転手だからこそ、マナーやモラルを守ることが求められます。

トラック運転手は「やめとけ」と言われる原因

トラック運転手の仕事が「やめとけ」と言われる原因はどこにあるのでしょうか?考えられる2つの原因について考察してみます。

業界へのイメージ

トラック運転手や運送業界は、あまり良い労働環境というイメージがありません。昔懐かしの3K(きつい、汚い、危険)といわれていた時期があったことも事実です。

トラック〇〇というような映画では、やくざチックなおじ様が運転手だったり、「仕事がなければ運転手」と言われてしまったりしたこともありました。

実際に運送業に携わった人であれば、デメリットばかりではないことはわかるのですが、今のようなSNSなどもなかった時代には、良い情報を発信する機会は多くありませんでした。

物流を支える大切な仕事という認識よりは、「キツくて大変な仕事」「給料が安く割に合わない仕事」という悪いイメージが先行しているのが原因かもしれません。

ブラック企業の存在

あってはならないことですが、運送会社の中にはブラック企業と呼ばれるような企業が存在しています。ブラックな運送会社に勤務した人が「大変だった」「最悪だった」と発信することで、悪いイメージが植え付けられてしまったことも原因として挙げられるでしょう。

ブラックな運送会社は大手の運送会社よりも、中小企業に多い傾向があり、都市圏よりは地方に多く見られます。中小企業は大手の下請け・孫請けとなることが多いため、仕事内容が過酷になることがあるのです。

実際に筆者の知り合いの運転手は、北関東の運送会社に勤務していましたが、週休は1日だけ、日給月給で有給もない、ボーナスはなくて当たり前という会社でした。トラックはボロボロで、しょっちゅう故障したり、雪の多い地域にもかかわらずスタッドレスタイヤも履かせてもらえなかったりと、危険な状況で働いていました。

大手の孫請け会社だったため、仕事をもらうために社員をこき使うブラック企業でした。こういったブラック企業が存在することが、運送業界全体のイメージが悪くなる原因となってしまうのです。

トラック運転手に転職したい人が注意すべきポイント

トラック運転手に転職を検討している人には、ぜひ注意して欲しいポイントがあります。元トラガールだからこそ伝授できるポイントを3つ紹介しましょう。

決して楽な仕事ではない

トラック運転手は決して楽な仕事ではありません。特に、デスクワーク中心の仕事をされていた方にとっては、体力的にも精神的にもキツイ仕事と感じられるはずです。

デメリットでも紹介したように、不規則な生活になって体調を崩したり、思わぬ事故に巻き込まれたりするリスクもあります。運ぶ荷物によっては手積み手降ろしで、身体に負担が大きいこともあります。

運送業界を知らない方は、きちんと仕事内容を知り、自分にできるかどうかを検討する必要があります。

応募する企業を見極めなければならない

トラック運転手に転職を検討するときは、応募する企業を見極めなくてはなりません。前項で紹介したように、運送会社にはブラック企業と呼ばれるような待遇をするところもあります。

  • いつも求人が募集されている
  • 保有しているトラックがボロボロ
  • 高額の給与が設定されている

以上のチェック項目に当てはまるような会社は、応募を十分に検討しましょう。

いつも求人が募集されているのは、社員が安定し働いていないということ。保有しているトラックがボロボロなのは、メンテナンスを行う経済的な余裕がないということ。高額の給与が設定されているのは、過酷な仕事内容であるということです。

ホームページがないなど情報が収集できない会社も要注意ですので、応募する企業はきちんと理解してから決めるようにしてください。

年齢不問は『健康が前提の年齢』で

運送業界の求人には、『年齢不問』と書かれていることが多いですが、これは『健康が前提の年齢』であることを知っておきましょう。元気で既往症などもなければ、トラック運転手は年齢不問で転職が可能です。

しかし、年を重ねれば、身体の不調が起きることはよくあります。特に、トラック運転手の場合は、視力・循環器系(心臓)に持病のある方はおすすめできません。車両を運転する以上、リスクが高くなるからです。

トラック運転手は腰痛が職業病といわれています。腰に不安のある方も、きちんと受診し、問題がない状態かを確かめてください。『年齢不問』は『健康が前提の年齢』と覚えておきましょう。

まとめ

筆者は、トラックの運転手として約20年勤務しました。何度か転職も経験し、いろいろな会社や運転手仲間を見てきた中で、本当にデメリットだと感じる点があったことも事実です。

「トラック運転手はやめとけ」と言われるのは、間違った認識から生まれることもあるため、一概には言えません。ただし、中にはトラック運転手になるべきではない人、なってはいけない人、ならない方が良い人がいます。

トラック運転手に転職を検討される方は、自分ができる仕事内容かどうか、応募する会社はきちんとした会社かどうかを十分に見極めてください。

トラック運転手はメリットも多い仕事です。より良い転職につなげるために、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。きっと自分に合ったトラックドライバーの仕事が見つかるはずです。