【体験談】トラック運転手は「手取り40万円」稼げる?ドライバーの生の声を聞いてみた

トラック運転手の仕事にマイナスなイメージを持っている人は少なくありません。仕事がキツイ・家に帰れない・給料が安い……手取り40万円なんてありえないと思われている方もいらっしゃるはずです。

でも、トラック運転手には実際に手取り40万を稼ぎ出している人がいます。元トラック運転手の筆者が、生の声を聞いてみました!

手取り40万って年収ベースではどうなる?

手取り40万円という額面は、年収ベースではどのくらいの金額になるのでしょうか?企業に勤務している場合、基本的に支給された金額から控除される金額があります。

  • 健康保険料
  • 介護保険料(40歳~64歳)
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 源泉徴収税

これらは就業地や年齢、扶養家族の人数などによって異なりますが、月収で手取り40万円をもらうには、支給額はおよそ54万円が必要です。

手取り40万円の年収ベースを計算するには、賞与の有無が大きく関係します。

一般的な企業で、賞与2.5か月分を含む年収はおよそ780万円、賞与なしの場合はおよそ650万円になります。

令和2年に国税庁が調査した『民間給与実態統計調査結果』によると、

  • 1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は433万円
  • 1年を通じて勤務した給与所得者の平均賞与は65万円

となっています。コロナ禍ということから、製造業・建設業・飲食業・宿泊業などは前年比が大幅減となっていますが、運輸業・郵便業に関しては対前年伸び率がプラス2.0%。

平均年収は444.3万円と報告されていますので、手取り40万円・年収600万円以上という数字が、現実的ではないと考える人が多いことも納得できます。

トラック運転手で40万円稼ぐための方法

トラック運転手で手取り40万円なんて無理……と諦めてしまうのは早計です。トラック運転手で手取り40万を稼ぐためには、それなりの方法があります。

どんな方法なら手取り40万円を稼ぐことができるのか、とっておきの方法を3つ紹介しましょう。

大型・けん引免許を取得する

トラック運転手にはさまざまな職種がありますが、大型・けん引免許を取得することで、給与は大幅にアップします。参考までに、2019年に全日本トラック協会が発表したトラック運転手の平均賃金をご紹介します。

職種(一般)2019年・平均賃金(円)2018年・平均賃金(円)
男性運転者平均335,700338,500
男性・けん引運転者383,500391,500
男性・大型運転者356,000355,100
男性・中型運転者282,800297,100
男性・準中型運転者284,900294,400
男性・普通運転者282,000294,400
女性運転者平均274,400294,700
女性・けん引運転者348,300344,500
女性・大型運転者320,200316,200
女性・中型運転者247,700279,000
女性・準中型運転者291,200281,500
女性・普通運転者216,200263,100

参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会

この調査結果を見ると、同じトラックドライバーでも職種によって給料(賃金)が異なることがわかります。けん引・大型のトラックドライバーの平均賃金は、平均を上回っており、年収に換算すると他職種よりも100万円以上多くなる計算です。

男性だけではなく、女性の場合もけん引・大型の給料が50,000円以上高くなっています。

トラック運転手で手取り40万を実現させるには、大型・けん引免許の取得が近道といえるでしょう。

資格を取得する

トラック運転手の現場で活かせる資格を取得することで、資格手当などがプラスになります。トラック運転手に有利な資格を3つご紹介しますので、参考にしてください。

危険物取扱者

危険物取扱者は化学物質やガソリンなどの危険物を扱う際に必要な国家資格です。危険物取扱者の資格を取得することで、タンクローリーなどを運行することができます。

受験資格(甲種)乙種危険物取扱者免状を有する者大学などで化学に関する学科などを修めて卒業した者大学などで15単位以上化学に関する授業科目を修得して卒業した者化学に関する学科または課程の修士・博士の学位を有する者
取得方法危険物取扱者試験に合格する (甲種・乙種・丙種の3種類があり乙種4類が仕事に活かしやすい) 定められた期間ごとに危険物取扱者保安講習を受ける必要あり

玉掛け作業者

玉掛け作業者とは、クレーンに荷物をかけたり外したりの作業を行う人のことです。資格を保有していないとできない業務で、家具・ピアノ・大型家電などの搬送や、工事現場への資材搬入などで必要な資格になります。

条件満18歳以上
取得方法玉掛け技能講習または玉掛け特別教育の受講・修了

フォークリフト免許

荷物の積み降ろしで馴染みのあるフォークリフトは、運転免許では操縦することができません。講習を受講することで取得できる免許なので、比較的取得しやすいです。

条件18歳以上
取得方法フォークリフト運転特別教育の受講 (各事業所で実施) フォークリフト運転技能講習の受講 (各都道府県の労働局長に登録を受けた教習所で実施)

長距離の運行に従事する

トラック運転手にはいくつかの職種がありますが、高収入を望むのであれば、長距離の運行に従事することをおすすめします。長距離運転手は、仕事内容がキツイと思われがちですが、労働基準法の改正や36協定の締結などによって、以前と比べると状況は改善されてきています。

長距離で多くの荷物を運ぶこと、これが高収入の大前提です。長距離+大型、もしくは長距離+トレーラー(要けん引免許)を取得し、長距離の運行に従事することで、他の職種よりも稼げるトラック運転手になれます。

トラック運転手の手取り額はいくらくらい?

転職を検討されている方の中には、「トラック運転手って実際どれくらい稼げるのだろう?」という疑問を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?厚生労働省の『令和2年 賃金構造基本統計調査』2019年に全日本トラック協会が行った調査結果をもとに、各トラック運転手の平均手取り額について紹介します。

普通車トラック運転手

普通車のトラック運転手の平均手取り額は、約22万円です。支給額の約80%が手取り額となるため、控除される金額の差異によっては若干増減があるでしょう。

普通トラック運転手のメリットは、普通免許のみで勤務できることです。トラックも普通乗用車とあまり変わらない大きさなので、業界未経験の人や運転歴が浅い人でも挑戦することができます。

準中型トラック運転手

準中型トラック運転手の平均手取り額は、約23万円です。準中型免許は18歳からも取得できるので、運送業界に転職を検討するのであれば、持っていると有利な資格です。

準中型トラックになると、中距離の運行も増え、普通トラック運転手よりも仕事の選択肢が広がります。

中型トラック運転手

中型トラック運転手の平均手取り額は、約25万円です。中型免許は20歳以上・普通免許等保有2年以上の条件があるため、最短でも20歳以上の人が対象となります。

中型トラックになると、普通車を運転するのとはかなり感覚が異なるため、慣れるまでには多少の時間が必要です。

大型トラック運転手

大型トラック運転手の平均手取り額は、約30万円になります。準中型・中型トラックと比べて、大きくUPしているのは、変動給の多さが要因です。

大型免許所有のトラック運転手は、運送業界でも引っ張りだこで、さまざまな業界を選択することができます。長距離運行が多い特徴もあり、体力に自信のある人に向いている仕事です。

トレーラー運転手

トレーラー運転手の平均手取り額は、約32万円です。大型免許とけん引免許の取得が条件となります。

けん引免許は、次の免許のいずれかを有している人が条件で、普通免許取得3年以上の経験も必要です。

  • 普通自動車免許
  • 大型自動車免許
  • 大型特殊免許

最短で21歳で取得が可能ということになりますが、運送業界で長く働きたいと考えている人には、おすすめの仕事です。

トラック運転手で手取り40万円稼げる運送会社の探し方

トラック運転手で手取り40万円を実現させるためには、勤務する運送会社を見極めることが重要なポイントです。運送業界にはさまざまな職種があり、扱っている荷物によって走行距離や運行時間帯などが異なります。

どんな運送会社を選べば良いのか、3つポイントを紹介しましょう。

長距離をメインに行っている会社を探す

手取り40万円を目指すのであれば、長距離の運行をメインに行っている会社を探しましょう。トラック運転手の職種には、ルート配送や店舗配送など、近場で仕事ができる仕事もあります。

ただし、残業は少なめで、基本給も他の職種に比べると低い設定になっていることが特徴です。給料は固定給のケースが多いので、なかなか手取り40万円を実現させることは難しくなります。

長距離をメインに行っている会社の場合は、拘束時間や走行距離が長い分、給料を高めに設定し、イレギュラーな状況(天候・事故・渋滞など)で発生した残業代なども支給されることがほとんどです。

当然他の職種よりも手取り額は増え、仕事内容によってはさらなるアップを目指すことが可能になります。

資格手当・歩合給の高い会社を探す

資格手当・歩合給の高い会社を探しましょう。トラック運転手が持っていると有利な資格などに対する資格手当、走行距離等に対する歩合給は、各運送会社によって大きく異なります。

筆者の友人は、大型免許を取得して近距離の店舗配送を担当していましたが、所属する会社が資格手当・歩合給のないところだったので、中型免許で長距離を担当していた筆者よりも手取り額は低かったのです。

大型免許を持っていればいいということではなく、資格手当や仕事に対する歩合給をきちんと設定している会社を選ぶことがポイントになります。

転職エージェントを利用する

転職活動には情報収集が不可欠ですが、業界未経験の方の場合は情報収集をすること自体が難しいこともあります。運送業界には残念ながらブラック企業といわれる会社も存在しますので、何も知らずに飛び込んでしまうと、大変なことになりかねません。

そんなときは、運送業界に特化した転職エージェントを活用しましょう。自分の働き方や希望の給料に合わせた仕事を紹介してくれますし、長年の経験から得た情報量はとても個人が太刀打ちできるものではないです。

交渉を任せることができるエージェントもありますので、業界未経験の方や初めての転職という方は、ぜひ転職エージェントを利用してみましょう。

【実録】トラック運転手で手取り40万円稼いでいる人

筆者は元トラック運転手です。バブル期のものすごい時代から、バブル崩壊後の氷河期まで、さまざまな職種を経験してきました。

そんな中で、実際に手取り40万以上を稼いでいる仲間も多く存在したことも事実です。どんな人がどんな仕事で手取り40万以上を稼いでいるのか、実態を聞いてみましたので、ぜひご紹介させてください。

長距離運転手Kさんの例

【Kさんのプロフィール】

  • 40代後半・男性
  • 大型免許・フォーク免許・けん引免許保有
  • 官公庁関係が荷主(企業秘密なのでくわしくは言えないそうです)

Kさんは20代からずっとトラック運転手をしている大ベテランです。宅配・店舗配送・引越しなどを経て、現在は長距離運行専門の仕事をしています。

Kさんの会社はボーナスが1.5ヶ月分しか出ないそうですが、その分月の手取り額は平均して45万円とのこと。年収ベースでは700万円を優に超えています。

Kさん唯一の不満は、平日休みが多いため、学校へ通うようになった子どもたちとの時間が少ないこと。土日祝日休みがあまりないため、Kさんが休みのときは子どもたちが学校でいないのがつまらないそうです。

奥様も元運転手。そのため仕事には理解があり、家庭が上手くいかないということはないので、仕事を精いっぱい頑張っています。

トレーラー運転手Mさんの例

【Mさんのプロフィール】

  • 50代前半・男性
  • 大型免許・フォーク免許・けん引免許・危険物取扱者(乙種4類)保有
  • 石油系のタンクローリーを担当

Mさんは大型の長距離ドライバーへ未経験の業界から転職し、運送業界でスキルアップをしたケースです。現在は石油系を運ぶタンクローリーに乗っていて、歩合給を含めた手取りの平均額は約48万円です。

Mさんの会社は歩合給の率が高く、やればやった分だけ給料が上がるシステムになっているので、給料の額面は多少変動があるそうです。平均手取り額が48万円というのはすごいですが、やはり資格手当も大きいとのこと。

大型の運転手のときより、年収ベースでは100万近くアップしたのは、資格手当と歩合給の制度がしっかりしていたから。運送業界内でしっかりと情報収集をしながら、現在の会社にたどり着いたそうです。

軽貨物ドライバーOさんの例

【Oさんのプロフィール】

  • 40代前半・男性
  • 個人事業主
  • 軽貨物にて宅配の下請けを受注

Oさんは、長距離ドライバーを経て、宅配の下請けとして軽貨物ドライバーをしています。

ECサイトの需要が増加する中、宅配業界は深刻な人手不足に悩んでおり、業務委託として軽貨物のドライバーに仕事を委託するケースが増えてきているのです。Oさんは個人事業主として委託契約を結んでおり、最初は1台だった契約を3台にまで伸ばしています。

月の収益は企業秘密とのことでしたが、経費を差し引いて手元に残る金額は約50万円。宅配業界はお中元・お歳暮などの繁忙期があり、その時期はさらに稼いでいるそうです。

以前は企業のスポット便なども行っていたそうですが、近年はほとんど発注をされることがなくなってきたので、宅配にシフトチェンジ。置き配OKも増えてきて、再配達の手間もだいぶなくなってきたとのことでした。

まとめ

トラック運転手になれば誰もが手取り40万を稼げるというわけではありません。資格を取得したり、自分に合った働き方を探したり、さまざまな努力をした人が結果的に勝ち組となっているのです。

稼げなくてキツイ仕事…トラック運転手にはマイナスのイメージも少なくありませんが、決してデメリットばかりの仕事ではないということを、ぜひ知って欲しいと思います。

トラックドライバーの仕事には、さまざまな職種があり、選択肢がたくさんあります。 より良い転職につなげるために、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。きっと自分に合ったトラックドライバーの仕事が見つかるはずです。