【2022】トレーラー運転手になるには?転職方法・給料・仕事内容・必要資格

誰しも、大きなコンテナや車両をたくさん積んだトラックを一度は見たことがあるはずです。トレーラー運転手は、トラック運転手の中でも憧れの存在…特別な免許を必要とする仕事で、運転の上手さは群を抜いています。

トレーラーの運転手に興味があっても、仕事内容や給料などわからないことが多く具体的なイメージができないということはありませんか?そこで今回は、元トラック運転手の筆者がトレーラーの運転手に関するさまざまな情報を紹介します。トレーラー運転手への転職を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

トレーラー運転手とは?仕事内容を知ろう

トレーラー運転手とは、けん引貨物自動車を運転する人のことです。けん引貨物自動車は、運転席部分と貨物部分に分割されていて、厳密にいうと引っ張る側の運転席部分はトラクター、引っ張られる側の貨物部分をトレーラーといいます。

トレーラー運転手は一度に大量の荷物を運ぶことができるため、非常に重宝される職種です。トレーラー運転手とはどのような仕事をする職種なのか、労働時間はどのくらいなのかについて、くわしく紹介します。

トレーラー運転手の仕事内容

トレーラー運転手の仕事は、依頼のあった荷物を目的地まで運ぶことですが、通常のトラックと異なる点は、運ぶ荷物が大量だということです。

トレーラーには下記のような種類があり、扱う荷主や業界によって荷物が変わります。

  • コンテナ
  • タンクローリー
  • キャリアカー
  • ダンプトレーラー

トレーラー運転手は大量の荷物を運ぶことができるため、近距離ではなく、長距離の運行が多いのが特徴です。

トレーラー運転手の労働時間は?

トレーラー運転手の労働時間は長いというイメージがあるかもしれません。

確かに、以前は長距離運行を当たり前のように繰り返すことで、家に帰れない、寝る時間を削って走っているという実態がありました。しかし、ドライバーの長時間労働を問題視し、労働環境の改善を図る目的で、厚生労働省が『自動車運転者の労働時間等の改善の基準』を策定しました。

  • トラックドライバーの拘束時間は1日13時間が基本(上限16時間)
  • 15時間を超えての拘束は週2回まで
  • 休憩時間は4時間ごとに30分以上
  • 運転時間は2日間平均で9時間が限度
  • 休息期間は1日で8時間以上
  • 休日は休息時間+24時間

参考:自動車運転者の労働時間等の改善の基準 (厚生労働省)

この基準は法律ではないため、事業者(会社)に対する罰則はありませんが、違反した場合は監査が入り、処分を受けることになります。現在はドライバーの労働環境が積極的に見直されているため、以前のようながむしゃらな運行は少なくなっています。

トレーラー運転手の給料はどれくらい?

転職を検討するときにもっとも気になるのは、給料ではないでしょうか?

トレーラー運転手は、同じトラックドライバーの中でも給料が高い傾向があります。月収の平均賃金はどのくらいの金額になるのか、職種別・年齢別に分けて紹介しましょう。

職種別平均賃金

トラックドライバーは、職種によって収入が異なることが特徴です。2019年に全日本トラック協会が行った調査では、けん引運転手の平均賃金(月収)は次のように報告されています。

職種2019年・平均賃金(円/月)2018年平均賃金(円/月)
特積・けん引運転手(男性)366,300369,400
特積・けん引運転手(女性)278,300
一般・けん引運転手(男性)383,500391,500
一般・けん引運転手(女性)348,300344,500
参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会

ちなみに、一般・大型運転手(男性)の2019年平均賃金は356,000円、一般・大型運転手(女性)は320,200円となっており、トラックドライバーの中ではもっとも賃金の高い職種としての位置付けです。長距離運行が多いこと、大量の荷物を一度に運んでいることなどを考えると、高い水準の給料であることも納得できる結果となっています。

年齢別平均賃金

トラック運転手の全職種平均年齢は45.4歳です。トレーラー運転手は非常に幅広い年代のドライバーがいます。

年齢別の平均賃金を見てみましょう。

職種20~29歳30~39歳40~49歳50~59歳60~64歳65歳以上
特積・けん引運転手(男性)359,500401,400439,600466,200289,100180,900
特積・けん引運転手(女性)346,500345,100
一般・けん引運転手(男性)387,500426,500441,800452,300356,600308,100
一般・けん引運転手(女性)392,300292,400366,700452,700389,800
単位:円

参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会 

男性・女性ともに、トレーラー運転手は年齢が上がり、経験を積んでいく60歳までは給料がしっかりと上がっていくことがわかります。50~59歳が最大、次いで40~49歳と働き盛りの年代に稼げる職業であるといえるでしょう。

トレーラー運転手になるために必要な資格

トレーラー運転手になるために必要な資格や、持っていると有利な資格はどのようなものがあるのでしょうか?転職の際に知っておきたい資格に関する基本的な知識を紹介します。

必須資格

トレーラー運転手になるために絶対に必要な資格は2種類あります。

①大型免許

条件・21歳以上
・普通免許等保有3年以上
取得方法・指定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格する
・運転免許試験場で技能試験を直接受験する
運転できる車両・車両総重量11t以上
・最大積載量6.5t以上

②けん引免許

条件・満21歳以上
・普通運転免許の経験3年以上
・片眼で0.5以上・両眼で0.8以上の視力があること(眼鏡・コンタクト可)
・深視力検査3回の平均誤差が20mm以内であること
取得方法自動車教習所へ入校⇒卒業運転免許センターで適性検査(学科・実技免除)
運転できる車両トレーラー

タンクローリーなど、けん引する荷物が危険物の場合は、以上の2種類に加えて、危険物取扱者(乙種4類)の資格が必要になります。

持っていると有利な資格

トレーラー運転手にかかわらず、運送業界で働く上で持っていると有利な資格には、次のようなものがあります。

  • 危険物取扱者
  • 玉掛け作業者
  • フォークリフト免許
  • 整備管理者

中でもおすすめは、フォークリフトの資格です。フォークリフトは、運転免許では操縦することができません。大型やけん引などで大きく重たい荷物を運ぶことが多いドライバーは、フォークリフトの資格を持っておくと非常に便利です。

18歳以上であれば、5日ほど講習を受ければ修了証がもらえます。現場で荷物の積み降ろしを行う可能性もあるので、おすすめできる資格といえます。

トレーラー運転手のメリット

トレーラー運転手の仕事にはどんなメリットがあるのでしょうか?元トラック運転手の筆者が、トレーラー運転手の友人に聞いた生の声を紹介します。

面倒な人間関係がない

トレーラー運転手は、トラックドライバーの中でも運転時間が長い職種です。そのため、一人の時間が圧倒的に多く、一般的なオフィスワークにありがちな面倒な人間関係はありません。

ドライバー同士も顔を合わせることがほとんどないので、仮に気が合わない同僚がいてもトラブルにはなりにくいです。コミュニケーションが下手な人や、人付き合いが苦手な人でも、ストレスなく勤務することができます。

面倒な人間関係がないのは、非常に大きなメリットといえるでしょう。

給料が高めの設定になっている

同じトラックドライバーでも、トレーラー運転手は給料が高めに設定されています。

  • 大型免許+けん引免許が必要
  • 長距離を運転する確率が高い
  • 一度に大量の荷物を運べる

といった仕事内容を考えると、給料が高いことにも納得がいきます。

トレーラー運転手は経験を積むことで、給料がしっかりと上がる職種です。

長く勤めることで給料が上がるというやりがいを感じることができるのは、仕事をする上でメリットになります。

他のドライバーから尊敬される

筆者は運転手時代、トレーラー運転手の同僚をとても尊敬していました。理由は、とにかく運転が上手いからです。

後ろにコンテナをけん引しながら、ハンドルを反対に切って車庫入れをする様子は、本当にすごいと感心していました。これは、筆者だけではなく、他のドライバーも同じように尊敬していました。

運転の上手さ・勘の良さはとても真似できるものではなく、経験を積んでいる先輩のテクニックは惚れ惚れするものがあったのを覚えています。同じトラックドライバーに尊敬されるのは、トレーラー運転手ならではのメリットです。

トレーラー運転手のデメリット

メリットの多いトレーラー運転手ですが、デメリットも存在します。どういったデメリットがあるのか紹介しましょう。

拘束時間が長い

トレーラー運転手は、他のトラックドライバーに比べて、拘束時間が長く、長時間労働になりがちです。その理由は、近~中距離ではなく、長距離の輸送が多いからです。

拘束時間が長いということは、デメリットとして挙げられるでしょう。労働基準法の改正などで労働環境の見直しは行われていますが、長距離のドライバーの拘束時間が長くなりがちなのは仕方のないことです。

ただし、筆者の同僚たちは運転が好きな人ばかりだったので、長時間の運転をデメリットだと感じている人はいませんでした。家庭がある人は「家族の理解が必要だ」といっていましたが、本人がデメリットだと思っている様子がなかったことが印象として残っています。

長時間働くということはデメリットにつながりますが、実際従事しているトレーラー運転手がデメリットと感じているかどうかは、人によるのかもしれません。

道を間違えたときの対応が大変

トレーラー運転手にとってもっとも困るのは、道を間違えたときの対応です。普通車がUターンをしたり、空いた場所で切り返したりするような運転は、トレーラーではできません。

一般的なセミトレーラーのサイズは、連結全長が16.5m以内です。簡単にUターンや切り返しをすることはできないため、非常に困るという話を聞いたことがあります。

筆者の同僚は、事故で通行止めになってしまった道路にハマり、最終的には警察に誘導してもらいながらなんとか抜け出したそうです。確かに、あのトレーラーの大きさを考えると、道を間違えるのは怖いですし、対応も困難になることはデメリットといえるでしょう。

職業病になりやすい

トレーラー運転手は、長時間の運転が多いことから、運転手の職業病といわれる病気になりやすいデメリットがあります。運転手に多い職業病には以下のような病気があります。

  • 腰痛
  • 虫歯
  • 便秘
  • 生活習慣病

いずれも長時間運転することが原因となりやすい病気です。

便秘は女性に多い病気ですが、トレーラーの運転手は、便秘に悩む人が多くいます。運転している車両が大きく、高速道路を利用することが多いため、簡単にトイレに行くことができないからです。

便秘が原因で痔を誘発してしまうことも多いとか。長時間座った姿勢でいることは、健康面に害を及ぼしてしまうデメリットもあるのです。

トレーラー運転手に向いている人の特徴

トラック運転手は、向き不向きのハッキリとした仕事です。特に、長時間運転することの多いトレーラー運転手は、向いている特徴もハッキリとしています。

どのような人がトレーラー運転手に向いているのか、3つの特徴を紹介しましょう。

運転が好きな人

長時間運転することが多いトレーラー運転手には、運転が好きな人が向いています。他の職種に比べ、トレーラーは走行距離が長く荷物の積み降ろしの時間が少ないため、仕事中の大半はハンドルを握っていることになります。

まさに日本全国津々浦々、さまざまな配送先へ行くため、運転が好きなだけではなく移動を楽しめる人の方が良いかもしれません。

慎重な人

慎重な性格の人は、トレーラー運転手に向いています。

トラックドライバーは職業運転手として、安全・確実な運行をしなくてはなりません。トレーラーは特殊な運転技術を必要とし大きさも群を抜いているので、より慎重な運転が必要になるのです。

職業運転手として、事故を起こすことだけは避けることが大切。大きいトラックで事故を起こせば、その被害は甚大になります。

慣れているからといって雑な運転をしたり、マナーやモラルを守らない運転をしたりすることはご法度です。安全・確実に荷物を届けるため、慎重な運転を心がけることができる人が、トレーラー運転手に向いている人だといえます。

稼ぎたい人

運送業界で稼ぎたい人は、トレーラー運転手に向いています。

前述したように、トレーラー運転手はトラック運転手の中でもっとも稼げる職種です。確かに、仕事内容は楽ではありませんし、体力的・精神的にキツイこともあります。

ただ、頑張れば頑張っただけ稼げることはやりがいになり、稼ぎたいと思っている人にとって収入が良いということは長く続けるモチベーションにもなるのです。多少キツイことがあっても、稼ぎたいからこの仕事に就いたんだと割り切れる人は、トレーラー運転手に向いている人だといえるでしょう。

トレーラー運転手に向いていない人の特徴

トレーラー運転手は、高いスキルと経験が必要な仕事です。メリットの多い仕事ではありますが、向いていない特徴を持つ人にとっては、デメリットばかりを感じてしまうことになります。

どんな人が向いていないのか、3つの特徴をお伝えします。

マナー・モラルを大切にしない人

職業運転手としての自覚を持てずにマナーやモラルを大切にできない人は、トレーラー運転手には向いていません。近年、トラック運転手による痛ましい死亡事故やモラルを疑うようなあおり運転などがニュースになることがありますが、職業運転手としては言語道断の行為です。

筆者が運転手時代に先輩から教わったのは、「免許は生命線」ということです。事故や違反などで免許に傷がつけば、運転手ができなくなる、ハンドルが握れなくなるのだから、交通規則でがんがらじめになるくらいがちょうど良いという教育を受けました。

トレーラー運転手はトラック運転手の中でも、より高いスキルが必要な職種です。マナーやモラルを大切にできないような人は、トレーラー運転手になるべきではありません。

運転スキルに自信のない人

自分の運転スキルに自信のない人は、トレーラー運転手になることはやめた方が良いでしょう。トレーラー運転手になるには、運転が好きなことや運転スキルに自信があることが大切なポイントになります。

運転スキルに自信がない人は、事故を起こしたり、車をぶつけたりする確率が高いため、たいていの場合は運転することが苦手だと思っていることが多いです。

トレーラー運転手は、長時間の運行が多く、高速道路の利用や夜間の運行も当たり前のようにあります。運転スキルに自信がなければ長く続けることも難しくなるので、別の職種を選んだ方が賢明です。

体力に自信のない人

体力に自信のない人は、トレーラー運転手には向いていません。長時間の運転や荷物の積み降ろしは、想像以上に体力を使います。

トレーラー運転手は夜間運行などで昼夜逆転の生活になることもあるため、基本的な体力のある人に向いている仕事です。

  • 体調を崩しやすい
  • 既往症があり薬を常用している
  • 睡眠不足が身体に影響を及ぼしやすい

といったような人は、事故につながる恐れもあるためトレーラー運転手になることはおすすめできません。

まとめ

トレーラー運転手は、運送業界の花形的職業です。収入も良く、他のドライバーから尊敬されるようなテクニックを持つ仕事ともいえます。

長時間の運行が多いという特徴がありますが、運転が好きな人にはやりがいを感じることができる素敵な職種です。運送業界に転職したいと考えている方は、最終目標としてトレーラー運転手を視野に入れてみてください。

トラックドライバーの仕事には、さまざまな職種があり、選択肢がたくさんあります。より良い転職につなげるために、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。きっと自分に合ったトラックドライバーの仕事が見つかるはずです。