トラック運転手への転職はどんなときに考えた?
トラック運転手の転職事情は、他の業界からの未経験者、運送業界内での転職など、さまざまです。未経験の人がどんなタイミングでトラック運転手になったのか、運送業界内で転職をするポイントは何なのか、彼らの経験談を紹介します。
仕事の内容が変わってきたとき(Mさん)
【Mさんのプロフィール】
- 50代・男性・既婚
- 大型トラックでセンター間配送を担当
- 長距離配送から転職
Mさんは20代から運送業界で頑張っているベテランドライバー。Mさんは長年長距離の配送を行っていました。
「とにかく、時間が不規則だった。30代で結婚した後も家に帰れないときが多かったし、子どもが生まれたあとも、懐かないくらい家にいなかった。会社がいい加減なところだったことが一番の原因だけど、長距離のスパンがだんだん短くなって、休日がしっかり取れなくなった。
あと、運ぶ荷物が変わって、フォークから手降ろしになってね。身体は悲鳴上げてたし、こんなんじゃダメだと思ってシフトが組みやすいセンター間の配送へ転職したんだ。今は自分の身体を労わりながら仕事ができてるし、昔みたいなバカな運行してたら会社もヤバいよね。」
給与面で納得がいかなかったとき(Sさん)
【Sさんのプロフィール】
- 40代・男性・既婚
- 夜間の店舗配送を担当
- 宅配業者から転職
Sさんは大手宅配業者のドライバーでしたが、給与に納得がいかず転職をしたケースです。
「今じゃ宅配の業界もいろいろ変わってきたけど、昔は悲惨だった。再配達・時間指定は当たり前だし、今みたいに置き配なんてできなかったから、1日に何枚も不在票書いたり……そのくせ集荷しないと給料は上がらない。担当した地域によって差がでかいしね。
だから宅配は辞めて、大手ホームセンターの店舗間配送に転職した。仕事は夜中だけど、道路は空いてるし、夜間の手当ても付くから給料が良い。昼間の配送みたいにいろんな人と話さなくちゃいけないこともないから、超気が楽。給料が仕事内容に見合わなければ、転職を考えるべきだと思うね。」
家庭環境が変わったとき(Kさん)
【Kさんのプロフィール】
- 40代・男性・独身
- 中堅の運送会社で地場配送を担当
- 長距離配送から転職
Kさんは実母の介護のために、転職をした先輩です。
「俺は独り者だし、親も元気だったから、長距離でバリバリ走ってた。家に帰れないのなんて別にどうでも良かったし、稼げた方が嬉しかったから。
でも、母親が骨折をしてから介護が必要になって、毎日家に帰らないといけなくなったから、長距離は無理だなって。だから毎日家に帰れるように、地元で働ける会社に転職したんだ。トラックの運転手しか考えてなかったけど、収入や時間のことを考えると、この勤務時間でこれだけ稼げる仕事はないと思うよ。
俺は高校中退してるから、学歴もないけど、そんなの関係ないし。転職してちゃんと家に帰れるようになったから、今はデイサービス利用しながら介護もやってるよ。」
ブラック企業に見切りをつけたとき(Eさん)
【Eさんのプロフィール】
- 40代・男性・既婚
- 大手運送会社で中距離輸送を担当
- ダンプの運転手から転職
Eさんは、会社の待遇に疑問を持って、転職をした人です。
「ダンプの運転手って、会社によって全然待遇が違う。前の会社は土建屋の社長が子会社的に作った運送会社で、とにかくひどい会社だった。金がなくて、早く仕事がしたい一心で入っちゃったんだけど、1年で辞めた。毎日現場との往復を何回もさせられてるのに、残業代はなし。誰かが休めば、その分誰かがこき使われる状態だった。給料も日給月給で有給もない。休んだら金がもらえないから、みんな必死で働いてたけど、ずっとおかしいと思ってた。何度か労基署に相談したんだけど、全然状況が変わらないから、見切りつけて辞めるしかないって転職したんだ。今は当たり前のことが当たり前にできる会社だから安心してる。法律が改正されたことなんかもきちんと説明してくれて、納得した上で働けるから、本当に転職して良かったと思ってる。」
運送業界で長く働こうと決めたとき(Yさん)
【Yさんのプロフィール】
- 40代・男性・独身
- 長距離配送を担当
- ルート配送から転職
Yさんは未経験でルート配送の会社に転職し、その後長距離ドライバーになったケースです。
「昔は飲食の仕事をしていました。バイトだったので、正社員で働きたいと思って、ルート配送に未経験で転職しました。運送業界は3Kだって聞いてたけど、意外と自分には向いていました。仕事が楽しかったし、もっと運送業界で頑張りたいって思ったんです。
免許の支援制度を利用して、大型の免許を取りました。条件が3年勤務だったので、その間に転職活動をして、今の会社に転職しました。今の会社は定年後も嘱託で働いている人もいるし、みんな勤続年数が長い。福利厚生とか手当とかもしっかりしているので、長く働ける会社だと思っています。
長距離の運転手も聞いていたほどキツくなくて、ちゃんと休みも取れるし、ヤバい運行はありません。ルート配送に比べていろいろなところに行けるので、毎日楽しいです。」
トラック運転手に転職して良かったことは?
どんなベテランドライバーでも、最初は未経験でトラック運転手の仕事に取り組みます。
何でトラック運転手になろうと思ったのか、どんなときにトラック運転手になって良かったと思ったのかを聞いてみました。
人間関係に悩まされなくなった(Tさん)
【Tさんのプロフィール】
- 40代・男性・既婚
- 乳製品の配送を担当
- IT企業から転職
Tさんはサラリーマンからトラック運転手に転職したケースです。
「以前の会社は、とにかく人間関係がひどかった。足の引っ張り合いや上司の嫌がらせは当たり前だったし、仕事自体は楽しかったけど、会社の雰囲気が最悪だった。
最初は同じ業界で転職を考えてたんだけど、たまたま幼馴染がトラックの運転手やってて、紹介っていう形で入社した。トラックの運転手が良いと思うのは、変な派閥争いとか、上司の圧力とか、人間関係に悩まなくていいところ。自分に与えられた仕事をみんなきっちりこなしてて、誰がどうとかそんなくだらない話をする暇はない。
基本的に仕事中は一人で運転してることがほとんどだから、気が楽。人間関係が仕事を左右することもあるから、トラックの運転手に転職して良かったと思う。」
高校中退(中卒)でも関係なく認めてもらえる(Aさん)
【Aさんのプロフィール】
- 30代・男性・既婚
- 大型トラックで地場配送を担当
- 居酒屋のアルバイトから転職
Aさんは学歴が原因で、正社員の仕事に就けなかったケースです。
「私は高校を中退しているので、学歴的には中卒なんです。普通の企業では中卒の採用ってなかなかしてもらえない。何社も応募したけど、面接までいけた会社はあまりなかった。
そんなとき、アルバイトをしていた居酒屋のお客さんで、運送会社の社長さんがいた。人がいなくて困ってる、体力に自信があるならバイトに来いって誘ってくれたんです。バイトで半年くらい働いた後に、正社員にしてくれた。中卒だって言ったら、そんなのは関係ない、一生懸命仕事してるんだから気にすんなって。
トラックの運転手は、学歴や年齢は関係ない。一生懸命、責任感を持って働けば、認めてもらえる業界だと思う。おかげで今は、主任っていう役職をもらって、安定した収入をもらえています。」
ひとり親でも十分稼げる!(Gさん)
【Gさんのプロフィール】
- 40代・女性・シングルマザー
- 大手宅配会社の地場配送を担当
- 一般事務職から転職
Gさんは子育てをしながら、現役でバリバリ働くシングルマザーです。
「トラックの運転手は、大好きな仕事です。うちは離婚してシングルマザーだから、子どもを責任もって育てなきゃいけないでしょ。でも子育てってすごいお金がかかる。
食費・教育費・光熱費…大きくなればなるほど、かかる金額がでっかくなる。元旦那は養育費も払ってくれないようなダメ男だったから、私が稼ぐしかなかった。
本当は長距離でバリバリ稼ぎたいんだけど、子どものお弁当とか学校行事とかが結構あって、家を長く空けるのは無理。転職するとき、最初に全部話したら、その条件でも十分働けるって言ってくれて、超嬉しかった。
ひとり親は働き方が制限されることが多いし、思うように周りの協力が得られないこともあるけど、運転手はそんなことない。ひとり親でも十分稼げるし、頑張って働こうと思ってる。」
キツい仕事ほどやりがいを感じる(Uさん)
【Uさんのプロフィール】
- 40代・女性・既婚
- スーパーのセンター間輸送を担当
- 専業主婦から入社
Uさんは、病気が原因で退職したご主人に代わって、大黒柱として働くお母さんです。
「うちは旦那がうつ病になっちゃって、会社を辞めてアルバイトとして働いてた。とてもじゃないけど旦那の稼ぎだけじゃやっていけないから、旦那には専業主夫になってもらって、私が稼ぐことにした。
旦那が家のことをやってくれるから、私は大黒柱。とにかく子どもたちもいるし、生活できるだけの稼ぎを持って帰らなきゃって思って、働いてる。
仕事はキツいけど、その分手当とかももらえるから、すごいやりがいがある。女でも認めてもらえる世界なのも嬉しい。
女のくせにみたいなことはたまに言われるけど、そんなの関係ない。だからキツい仕事も受けてやるし、女だからって言い訳もしない。キツい仕事だけど、その分やりがいも大きい。トラックの運転手って良い仕事だよ。」
現役運転手からトラック運転手になりたい人へのメッセージ
現役トラック運転手の転職事情はさまざまです。
これは運送業界だけではなく、どの業界にも共通することですが、運送業界にはネガティブなイメージがついて回っています。
そこで現役トラック運転手から、転職を検討している人に向けて、メッセージをもらいました。
トラック運転手は底辺じゃない!(Nさん)
【Nさんのプロフィール】
- 40代・男性・既婚
- 長距離配送を担当
- 軽貨物運転手から転職
「トラック運転手は底辺じゃありません。どんな仕事もきちんと真剣に向き合っていれば、底辺の仕事なんてないし、そういう見方をする奴らとは付き合わなければいい。胸を張って、頑張れる仕事です。経験してみないと、この良さはわからないんでしょうね。」
仕事もやりがいもある!ネットのデマに惑わされないで(Eさん)
「最近ネットでは、自動運転になったら運転手の仕事はなくなるとか、きつくて稼げない仕事だとか言われてるらしいけど、現場にとってはだから何?って感じ。忙しくて仕事は山積みだし、やりがいだってある。
危険はあるけれど、それはトラック運転手だけじゃない。現実を知らない人たちにああだこうだ言われたくないね。ネットのデマには惑わされず、自分の目で確かめて欲しいなと思うよ。」
トラック運転手は重要な役割を担う仕事(Aさん)
「コロナ禍で仕事がないっていうニュースをよく見るけど、トラック運転手は忙しいです。コロナで通販のサイトの荷物がめちゃくちゃ増えてるし、ネットスーパーの利用もすごい伸びてる。トラック運転手ってあんまりイメージ良くないかもしれないけど、みんなが便利で快適な生活を送るためには、絶対必要な仕事だって思ってます。」
女性大歓迎!子どもを育てながら働ける最高の仕事(Gさん)
「女性の貧困、子どもの貧困っていう言葉をよく聞くけど、確かにシングルで安定した生活を送るのは大変だと思う。特に子どもが小さいときはね。でも、子どもを育てるには、やっぱりお金がいるんだよね。
トラック運転手は、いろんな仕事があるから、毎日家に帰れる仕事や、残業のない仕事だってある。大きい会社になれば託児所付きのとこだってあるんだから、安心して仕事ができる。運送業界は人手不足だから、頑張って働いてくれるなら女性大歓迎!子どもを育てながら働ける最高の仕事だよ。」
まとめ
「トラック運転手には良いイメージがない」と今回の取材では皆が口をそろえて言いました。しかし、実際に働いている彼らは、やりがいを見つけ、自分の選択肢に自信を持っています。
それぞれの事情を抱えながらも、トラック運転手として誇りを持ち、「自分と同じような状況ならトラック運転手を目指してほしい」と話してくれたのが印象的でした。
トラックドライバーの仕事には、さまざまな職種があり、選択肢がたくさんあります。自分に合ったトラック運転手の仕事を見つけたい方は、ぜひドライバーコネクトにご相談ください。