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運送業の面接で見られているポイント
運送業の面接担当者は、応募者のどんな点を重視し、チェックしているのでしょうか?多くの応募者と面接を行ってきたKさんのチェックポイントを紹介します。
長く働けるかどうか
Kさん「まず、長く働けるかどうかという点を見ますね。これは年齢ではなく、家族構成や本人の経歴が基本になります。
たとえば、あまりにも短期間で転職を繰り返しているようであれば、少し警戒してしまいますね。すぐに辞めてしまうのかな、と。経験があって資格を持っていても、最終選考で選ぶかどうかは難しいです。
あと、家族構成は非常に重要で、親の介護をしていたり、小さな子どもがいたりする人などは、職種を一緒に検討します。長距離ができないのであれば、ルート配送や地場配送にします。こちらからの提案をのんでくれるのであれば、採用する可能性が高まりますね。
今は一生同じ会社で働くなんていう風潮は廃れてきたけど、やっぱり採用担当者としては、落ち着いて長く働いて欲しい。だって、何度も採用活動をするのは正直なところ大変だし、あまりにも退職者が増えてしまえば、会社が回らなくなりますからね。履歴書や職務経歴書を見る段階で、長く働けるかどうかはチェックします。」
トラック運転手に向いているかどうか
Kさん「トラックの運転手に向いているかどうかを話しながらチェックします。トラック運転手って向き・不向きがハッキリしている仕事だから、向いていないと思う人は採用しません。
向いてない人が運転手になったら超キツイでしょ?特に、普段あまり運転をしていない人・事故歴や違反歴が多い人・ドラテクに自信がないっていう人は理由を聞きます。
何でトラックの運転手になろうと思ったのか、それを聞いて納得できる理由であれば良いけど、誤った情報を鵜呑みにしていたり、調べもしないで想像を語ったりするような場合は、ご縁がなかったな……という話になるよね。
今はインターネットでさまざまな情報が飛び交ってるから仕方がないのだけど、だいぶ昔とは変わってきたなと思います。中には、運転しないからゴールド免許!みたいな人もいますよ。向いてるのかな~とチェックしながら、いろいろ質問してみます。」
社会人としての基本的なマナーを身に付けているか
Kさん「運送業のことを誤解している人って一定数いるんですよ。ヤクザまがいのトラック野郎みたいな。だから、面接もすごいラフな感じで来る人もいて、たまに驚かされます。
運送業はサービス業だし、社内の人間関係は希薄かもしれないけど、最低限のビジネスマナーというか、社会人としてのマナーは必要だよね。挨拶ができない人、名刺のもらい方を知らない人、面接の最低限のマナーを知らない人がすごく多いです。
年齢や職歴に関係なく、社会人としてのマナーを身につけているかという点は、すごくチェックするポイントです。それこそ、インターネットで調べればいくらでも出てくるでしょ?面接のマナーとか。
できない・知らないのであれば、きちんとリサーチするべきです。その手間をかけずに面接に来るなら、うちの会社に本気で入りたいと思ってないんだろうと感じますね。」
運送業の面接で必ず聞かれること
どんな業界でも、面接時に必ず聞かれる質問があります。質問に対する回答例などもWeb上にはいくつも掲載されていますが、運送業ならではの質問事項はあるのでしょうか?
トラック運転手の経験の有無
Kさん「運送業では必ず、トラック運転手の経験の有無を聞きます。乗っていたトラックの種類や大きさ、運んでいた荷物などは必ずチェックします。
当社は経験がない方も採用していますが、基本的に車に関係した仕事、たとえば営業車に毎日乗っていたとか、車がないと不便な地域に住んでいて車に乗る回数が多いとか、運転が苦にならないのかどうかを見ます。
経験者は、ある程度業界のことを知っているから、どんな仕事をしていたのかを具体的に聞きますね。経験の有無はチェックするポイントだけれど、未経験の人を採用しないということではありません。」
免許の種類と取得年月日
Kさん「持っている免許の種類と取得した年月日は免許証で確認します。免許証の12桁の番号で免許を初めて交付された年や、都道府県などがわかるし、再発行の回数なんかもわかります。本人の言っている内容と齟齬がないか必ず確認します。
道路交通法が改正され、運転できるトラックの大きさが変わったから、中には免許を取らないと仕事ができない人もいます。免許取得の支援制度はあるけど、中型や大型は保有歴が条件になっているから、該当するかどうかを見極めないといけません。
免許取り消しで再取得したような人もいるから、どんな理由だったのかは聞くようにしています。」
性格
Kさん「自分の性格について、周りの人からどのように言われますかとか、自分の性格をどう思いますかという質問は必ずします。これは、トラック運転手に向いているかどうかの判断基準にもなります。
良いことばかり並べる必要はないけど、この質問でいろいろなことがわかるんです。取り繕おうとしている人は早口になったり目が泳いだりするし、饒舌になる。短い時間でも話していれば、その人の性格って何となくわかるものなんですよね。
こちらの質問に対してどれだけ正直に答えるかという見極めをするための質問だと思っています。」
事故・違反歴
Kさん「今現在運送業界では、運転経歴証明書の提出が必須になっています。理由は、事故惹起運転者(じこじゃっきうんてんしゃ)といって、死亡・重症事故などを起こした人に対しては、会社として特別な指導や適正診断を実施することが義務づけられたからです。
特に、経験者の転職の場合、中には前の会社で大きな事故を起こして辞めて、新たに別の運送会社に転職しようという人もいます。絶対に雇わないというわけではないけれど、新たに雇う運転手の事故歴や違反歴は面接時に確認することが会社のルールでもあります。証明書の提出と内容の確認は必ず行います。」
運送業界を選んだ理由
Kさん「これはどんな業界でも一緒かもしれないけど、特に未経験者の人の場合は、何で運送業界で働こうと思ったのかということを聞きます。経験者の人には、何でうちの会社を選んだのかっていうことを聞きます。
ことばは拙くてもいいから、きちんとした理由を聞きたいっていうのが本音です。マニュアルに書いてあるみたいな、形式ばった答えはいりませんよ。かえって不信感を持ちますね。
自分のことばで伝えているか、きちんと事前に運送業界のことやうちの会社のことを調べているのかという点を見ます。この理由を聞くと、その人の本質がわかると思っています。
理屈っぽい、真面目、正直、見栄っ張り、いい加減…たった一つの質問だけど、話し方や内容で何となくわかるものなのです。誤解がないかどうかも確認したいので、この質問は必ず聞きますよ。」
運送業の採用担当者が「こんな面接はあり得ない」と感じたエピソード
百戦錬磨のKさんですが、中には「これはないだろう」と感じたあり得ないエピソードがあるそうです。本当なのかと疑いたくなるようなものすごいエピソードを紹介します。
服装が短パン・Tシャツ・サングラス
確かに、運送業では作業着が制服です。夏の暑い時期は、半袖のTシャツで作業を行うことも少なくありませんが、面接に短パン・Tシャツはあり得ません。
【運送業の面接時の服装】
- 黒・紺など落ち着いた色のスーツ(無地もしくは薄いストライプなど)
- 白いワイシャツ
- 男性はネクタイ着用
- 女性のアクセサリーは不要
- 黒い革靴(女性のヒールはあまり高くないもの)
通常のリクルートスーツをイメージすると良いでしょう。
Kさん「夏の暑い日でしたが、ちょっとよれたTシャツに短パン、おまけにサングラスをつけて入室してきた応募者がいました。当然こちらはスーツを着ていましたので、途中で「スーツの方が良かったですか?」と聞かれましたが、なんてマナーを知らない人なんだろうと呆れましたね。
けん引の運転手を募集していて、経験的にはまったく問題がない採用候補だったけど、その面接で不採用決定でした。
運送業は作業着っていうイメージはあるけれど、内勤の人間はスーツやネクタイを着用してるし、そもそもTシャツに短パンで面接に行こうと思う人の常識がわかりません。」
質問があまりにも低レベル
Kさん「未経験者の人の場合、運送業界を知らなすぎる人はちょっと厳しいですね。知らないなりに自分でリサーチするぐらいじゃないと、お話にならないです。
以前、ものすごい応募者がいたんですが、とにかく質問があまりにも低レベルなんです。ボーナスって必ずもらえます?とか、定時に帰れる仕事はありますか?とか。運送業だけじゃなくて、会社っていう組織を知らないようなレベルの質問をされたんです。
若者ことばを借りれば、ドン引きですよ。未経験者なのに質問はありますか?って聞いて、ありませんっていう人も不思議。自分で調べた上で、わからないことはどんどん聞くべきなのにね。調べもしないで聞いてくる内容は、本当に低レベルですよ。」
何も知らない恐るべき未経験者
Kさん「未経験の人って、運送業界のことは知らなくて良いって思っている人がいるけど、それは違うよね。今なんか情報は溢れかえるくらいあるわけだし、私も見てるけど、運送業に関するサイトなんていくらでもあるでしょう。だから調べようと思えば、いくらでもできるんですよ。
それもしないで面接に来る人はある意味すごい。自分がどんな仕事をするのかもわからずに来てるってこと。私の免許で運転できるトラックはありますか?って聞かれたことがあるけど、そんなこと調べればすぐにわかるし、募集要項にも詳しく書いてあります。
1日30キロ以上運転しますか?って聞かれたときは、思わずえ?って聞き返しました。知らないことは恥ずかしいことじゃないけど、少しは自分で調べようよって思います。」
上から目線のベテラン運転手
Kさん「運送業界が長いベテランの運転手さんで、ものすごい上から目線の人がいましたね。あんた叩き上げ?(ドライバーから内勤になった人のこと)とか聞かれるし、運転のノウハウを得意気に話し出すし。
こちらの条件を話すと、運送業はこれだから人気がないんだとか、批判するようなことばかり言って。何でうちの会社の面接に来たんだろうって思いましたね。応募理由を聞いたら、だってある程度でかい会社だからって。すごい理由だなと、思わず失笑しました。
確かに長年運送業で働いていることには敬意を表しますが、だからといってそれをひけらかすことは無意味ですよね。もちろん不採用でした。」
運送業の面接に必要なことは?採用担当者の本音
長年運送業の面接を担当しているKさんには、担当者としてこれだけは守って欲しいと思うことがあるそうです。運送業の面接に必要なこととは、いったいどんなことなのでしょうか?
最低限のマナーは守って欲しい
Kさん「最低限のマナーは守って欲しいと思います。面接に行くとはどういうことか、ビジネスマナーとまでは言いませんが、社会人としての常識を再認識して欲しいです。
履歴書や職務経歴書の書き方、人と話をするときのマナーもできていない人が多いです。年齢を重ねていても、転職するときは社会人1年生のつもりで臨んで欲しいですね。」
情報収集を行ってきて欲しい
Kさん「運送業や応募した会社の情報収集は必ず行って欲しいです。あまりにも何も知らない状態だと、採用は難しいという結果を出さざるを得ないので、せっかくのチャンスを逃すことになると思うんです。
今はインターネットでいろいろ調べられるし、職安(公共職業安定所)で質問することだってできる。知ろうという意欲のない人は、正直に言うと怖いです。立派な受け答えをする必要はありません。ただ、こちらの話していることが理解できる程度の知識は持って欲しいと思います。」
安易な転職・間違った思い込みは避けて欲しい
Kさん「運送業のイメージがあまり良くないのは、担当者として肌で感じています。でも、面接で感じることは、間違った情報を確認もせずに信じている人が多いということです。
せっかく現場の担当者と話しているのだから、調べてわからなかったことや、不安に思っていることを確認して欲しいんです。トラック運転手は誰でもすぐになれるとか、未だに3Kだとか。
本当にそうなんですか?と聞いてくれれば、会社の現状を話せるのになと思います。思い込みの激しい人は、こちらが話していることを聞かないんですね。簡単に転職できる仕事ではないし、うちの会社はブラックじゃない。応募する人も見極める目を持たないとダメだなと思っています。」
まとめ
実際に採用を担当しているKさんのお話は、非常にタメになるお話ばかりでした。
Kさんのお話の中で何度も言われていたことは、意欲のない人はダメだということです。マニュアル通りのセリフではなく、自分で調べて、自分の言葉で、自分の思いを伝えることが、採用担当者の気持ちを動かすんだと感じました。 運送業界の面接は、他の業界の面接と変わりません。社会人としてのマナーや常識が必要になります。転職経験の少ない人や、ビジネスマナーに自信のない人は、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。業界に精通した専任のスタッフが、手厚いサポートで転職の成功をフォローします。
「運送業 面接 服装」というKWがあるので、ここで服装に関する解説をお願いできれば幸いです。