【2022】中卒でもトラック運転手になれる?元ドライバーが運送業界をすすめる理由

筆者は元トラック運転手として、多くの同僚と仕事をしてきました。転職も何度か経験し長く働いていたため、後輩として入社してきた人を何人も見ています。中には高校を中退したり、進学しなかったりしたことで、学歴が中卒の人もたくさんいました。

しかしトラック運転手として活躍する彼らを見て、学歴は本当に関係ないのだと思わされた経験があります。この記事では中卒者でもトラック運転手になれるのか、なぜ筆者が中卒者にトラック運転手をおすすめしたいのかについて、くわしく解説します。

中卒でもトラック運転手になれる4つの理由

結果から言うと、トラック運転手は中卒者でも十分なることができます。その理由を4つご紹介しましょう。

学歴・年齢不問の業界

運送業界は、もともと学歴や年齢を問わずに働ける業界です。

理由は免許が必要という専門性の高い仕事だから。

どんなに高い学歴があろうと、必要な免許や運転技術を持っていない人は働くことができません。

中卒者でも免許を取得し、運転ができれば学歴など関係ないのです。

また『若いからアルバイトで』という概念も運送業界にはないので、筆者の後輩でも10代からバリバリ正社員として働いていた人も多くいます。

運送業界は学歴や年齢に関係なく、必要な免許を取得すれば中卒者でも十分活躍できる業界です。

深刻な人手不足と高齢化

運送業界は現在深刻な人手不足と高齢化に悩まされています。

若い世代が入職しない⇒既存の運転手がどんどん歳を取る⇒業界全体が高齢化するという負のループが生まれているのです。

以前は一定の若い世代が入職していました。

車が好きな人・運転が好きな人…筆者が現役時代は『トラック運転手は稼げる仕事』だったので、若くても稼ぎたいという人が多くいました。

しかし近年では、『トラック運転手はキツいけど稼げない仕事』というマイナスのイメージが先行して、運送業界全体がネガティブに見られがちです。

また若者の車離れも深刻で、『一生懸命アルバイトをして車を買った』『稼いでいるお金の大半を車につぎ込んでいる』という若者の絶対数が減ってきています。

若い世代の人材は、業界全体が欲しているため、中卒者でもやる気があればウェルカムな状態なのです。

採用基準は免許重視

運送業界の採用基準は、取得している免許です。

運行するトラックに必要な免許を持っていれば、採用基準としてはOKになります。

軽貨物のドライバーなど募集している職種によっては、普通免許だけでOKのケースも。

道路交通法の改正で準中型免許が新設され、さらに令和4年5月には以下のように条件も緩和されました。

令和4年5月13日から、大型免許、中型免許、二種免許の受験資格が緩和され、「受験資格特例教習」を修了することにより、19歳以上で、かつ、普通免許等を受けていた期間が1年以上あればこれらの免許を受験することができます。

引用:令和4年5月13日施行改正道路交通法について|警視庁

運送業界で活躍する条件は免許であるため、中卒者でも全く問題はありません。

欲しい人物像と一致していることが多い

中卒者は運送業界が欲しいと考える人物像と一致していることが多いのも理由の一つです。

筆者の後輩で中卒の人は多く、特徴的なのはみんな長年運送業界に従事していること。

指導を担当したことも何度もありましたが、みんな一生懸命で素直な子ばかりでした。

その中の一人が言っていたのは「他の会社じゃ中卒っていうだけで面接も受けさせてもらえなかった。学歴関係なく、きちんと仕事をすれば認めてもらえるんなら、この会社で頑張ろうと思う。』ということです。

中卒者は学歴に関することで嫌な思いをしたり、自分のやる気や熱意を見てもらえなかったりすることも少なくありません。

『一生懸命働けば認めてもらえる』と真面目に働く姿は、運送業界の欲しい人物像に一致します。

そのため中卒者でもトラック運転手として働くことは十分可能です。

中卒者がトラック運転手になるために必要なモノ

中卒者が運送業界でトラック運転手として働くためには、必要なモノがあります。

どんなモノが必要なのか、どんなことが求められるのかについて、3つのポイントをご紹介しましょう。

取得可能な免許の取得

中卒者がトラック運転手として働くために絶対に必要なモノは、運転免許です。

普通免許だけでは選択肢が限られてしまうため、準中型以上の免許取得をおすすめします。

免許の種類条件・運転できる車両2022年5月の改正点
準中型自動車免許・18歳以上
・車両総重量3.5t以上7.5t未満
・最大積載量2t以上4.5t未満
なし
中型自動車免許・20歳以上
・普通免許等保有2年以上
・車両総重量7.5t以上11t未満
・最大積載量4.5t以上6.5t未満
・19歳以上
・普通免許の保有歴1年以上
※運転技能などを学ぶ教習を36時限以上(座学7時限以上、技能29時限以上)受講することが条件
大型自動車免許・21歳以上
・普通免許等保有3年以上
・車両総重量11t以上
・最大積載量6.5t以上
・19歳以上
・普通免許の保有歴1年以上
※運転技能などを学ぶ教習を36時限以上(座学7時限以上、技能29時限以上)受講することが条件
けん引免許・満21歳以上
・普通運転免許の経験3年以上
・片眼で0.5以上、両眼で0.8以上の視力があること(眼鏡・コンタクト可)
・深視力検査3回の平均誤差が20mm以内であること
なし

2022年5月に道路交通法の改正が行われました。今回の改正により、早ければ19歳で大型免許が取得できることになります。

また運送業界で働くのであれば、フォークリフトの免許も併せて取得すると良いでしょう。

資格の名称フォークリフト運転技能者
資格の種類国家資格
条件18歳以上
取得方法・各事業所で実施するフォークリフト運転特別教育の受講 ・各都道府県の労働局長に登録を受けた教習所で実施するフォークリフト運転技能講習の受講

準中型免許は18歳以上であれば運転経験がなくても取得できます。

普通免許が取れる年齢と同じなので、準中型免許はぜひ取得しておきたい免許です。

運送業で活かせる体力

運送業…トラック運転手は体力勝負の仕事です。

荷物の積み降ろし・運搬だけではなく、長時間の運転にも体力を使います。

筆者の後輩として入社した中卒者にはさまざまな経歴を持つ子がいました。

中でも運動部の経験のある子や、身体を動かすことが好きという子たちは、仕事のキツさをものともせず働いていたものです。

働く会社が扱う荷物によって体力の使い方は変わりますが、

  • 長距離運転手
  • 引越し
  • 手積み手降ろしの荷物を扱う運転手

などの仕事は非常に体力が求められます。体力に自信がないという人は、フォークリフトやカゴ車での積み降ろしを行う仕事や、重機で積み込みをしてもらえるダンプの仕事などが良いでしょう。

真剣に仕事をしたいという姿勢

中卒者の人に求められるモノ…それは真剣に仕事をしたいという姿勢です。筆者の勤務していた運送会社は、本当に年齢・学歴不問で、未経験の人や中卒者が多く働いていました。

一度採用担当者の人に話を聞いたところ、こんなことを言っていました。

  • 学歴は全く関係ない
  • 不登校だった人間でもしっかりと働いてくれるならうちは大歓迎
  • 真剣に仕事をしたい、自分で稼ぎたいという気持ちを持っている人はすぐにわかる

確かに、中卒の子で『トラック運転手自体を辞める』というケースは少なく、転職をするときもみんなスキルアップをするためでした。真剣に仕事をする姿勢を持っていれば、運送業界では十分通用するのです。

元トラックドライバーが語る★中卒者にトラック運転手をすすめる理由

筆者は自分自身もトラック運転手で、いくつかの会社で中卒者と一緒に働いた経験があります。

そんな彼らを見ていて、ぜひ中卒者にトラック運転手をおすすめしたい理由を5つご紹介しましょう。

実力社会

トラック運転手は実力社会です。

  • 高学歴だけど運転が下手で事故ばかり起こす
  • 中卒者だけど運転がうまく無事故無違反

どちらが運転手として認められるのか…それは後者です。

運送業界が学歴不問なのは、免許という専門性が求められるから。

どんなに高学歴でも普通車しか乗れないという人と、中卒でも大型免許を持っているという人を比べたら、普通車しか乗れない高学歴の人は通用しないんです。

免許の取得に学歴は関係ありません。

運送業界に通用する免許と運転のスキルがあれば、たとえ中卒でも自分の力で稼ぐことができます。

中卒でも十分稼げる

運送会社の全てではありませんが、筆者が在籍していた中堅の運送会社は、給与体系が年功序列ではありませんでした。

行った仕事に対しての報酬だったので、ルート配送で定時に帰宅できる先輩よりも、長距離で頑張る新入社員の中卒者が稼いでいるという状況も多々ありました。

職種(一般)2019年・固定給(円)2019年・変動給(円)小計(円)
男性運転者平均178,600157,100335,700
男性・けん引運転者203,100180,400383,500
男性・大型運転者177,900178,100356,000
男性・中型運転者155,300127,500282,800
男性・準中型運転者178,000106,900284,900
男性・普通運転者196,00086,000282,000
女性運転者平均160,300114,100274,400
女性・けん引運転者203,500144,800348,300
女性・大型運転者163,800156,400320,200
女性・中型運転者137,800109,900247,700
女性・準中型運転者164,600126,600291,200
女性・普通運転者176,50039,700216,200

参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会

上記の表を見てもわかる通り、運送業界は運転するトラックの大きさや運行している時間によって給料が変わります。

学歴や年齢は関係ないので、中卒者でも十分稼ぐことが可能です。

人間関係の気楽さ

トラック運転手は基本的に一人の時間が長い仕事です。嫌なヤツと四六時中顔を合わせる必要もなければ、派閥だの学閥だのに悩まされることもありません。最低限のコミュニケーションは必要ですが、人間関係の気楽さは大きなメリットになります。

筆者の後輩で入社した中卒の子は、前職で清掃会社に勤務していました。そこで中卒であることをバカにされたり、中卒=ダメな人間というレッテルを貼られたりしたそうです。

しかし筆者の勤務している会社に入社してきた彼は、とにかく頑張り屋で一生懸命仕事を教えて欲しいという姿勢が感じられる子で、社会人として十分通用する常識も持ち合わせていました。グループで活動する清掃業は、人間関係がとても難しかったそうです。

トラック運転手の仕事は基本的に一人の時間が多く、他人に干渉している時間もありません。人間関係が気楽なこと、他人から必要以上に干渉されない環境はとても働きやすいですよ。

長く働ける

トラック運転手は、身体さえ壊さなければ長く働ける業界です。筆者の同僚たちは未だに現役運転手として頑張っていますが、皆20年以上運送業界に身を置いている人達です。

運送業界は転職志向が高いので、転職して会社を変わることは多いですが、トラック運転手自体を続けたいと思えば、非常に長く勤務できるメリットがあります。年齢を重ねていく中で、仕事がきつくなり職種を変更する…というケースはありますが、免許さえ取得してあれば、どこの運送会社へ行っても働けます。

スキルアップができる

トラック運転手は運転手としてだけではなく、スキルアップをすることも可能です。特におすすめなのが、運行管理責任者の資格取得。

運行管理者とはトラックなどの営業用自動車が安全に運行するための運行管理を行うための資格で、国家資格として取得できます。

資格の名称運行管理責任者
資格の種類国家資格
条件・取得方法【国家試験に合格する】
・1年以上の実務経験を積んでいること
・実務経験と同等の講習を修了していること
・「貨物」と「旅客」の2種類の試験がある
【一定の条件を満たす】
・5年以上の実務経験があること
・基礎講習や一般講習を5回以上受けていること
・5回以上の講習のうち少なくとも1回は基礎講習を受講していること

資格の中には高卒以上と受験条件が定められているものもありますが、運行管理責任者は学歴が関係ありません。

運行管理者の資格を取得すれば、現場のトラック運転手としてではなく管理者として勤務することもできます。

中卒者がトラック運転手として勤務するための心構え

中卒者がトラック運転手として勤務するためには、どのような心がけが必要なのか…筆者の実体験と同僚たちの意見を踏まえて3つのポイントをご紹介します。

素直かつ一生懸命であること

中卒者だけに限りませんが、素直かつ一生懸命であることを忘れてはいけません。

筆者の経験では、プライドが高く自分だけ楽をしようとする人間は長続きしませんでした。

中卒者の後輩たちは、とにかく一生懸命に働いていました。

  • 他では使ってもらえない
  • 前職で嫌な思いをした
  • ここを辞めたら次がない

など理由はそれぞれ異なりましたが、変なプライドを持たず真剣に仕事に向き合う姿勢はとても尊敬できました。

教えてもらうときの素直さや真剣に一生懸命取り組む気持ちは、非常に重要です。

卑屈にならないこと

『中卒だから…』と卑屈になる必要は全くありません。運送業界では学歴は関係ないため、自分を卑下したり落ち込んだりすることもNGです。

中卒者にはさまざまな背景があり、中にはどうしようもない事情を抱えている子もいます。

それでも自分で仕事をして働こうという気持ちを持っているのは素晴らしいこと。誰に何を言われる筋合いもありません。学歴を気にせず働ける環境が運送業界にはありますので、自信を持ってチャレンジしましょう。

常に挑戦する意欲を持つこと

トラック運転手に必要なのは、常に挑戦をする意欲を持つことです。免許や資格の取得、運転技術の向上などに努めることが必要になります。

運送業界は転職も積極的に行われる業界です。スキルアップのためや待遇改善を求めて、転職することも時には挑戦してください。

何度も言うようですが、トラック運転手に学歴は関係ありません。トラック運転手への転職であれば、中卒者でも問題なくクリアできるので、自分の可能性を広げるためにも、常に挑戦する意欲を失わないようにしましょう。

まとめ

トラック運転手は年齢や性別、学歴に関係なく活躍できる仕事です。中卒者でも免許を取得すれば、運送会社にとって非常に欲しい人材となります。

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