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トラック運転手の仕事内容は条件で異なる
トラック運転手の仕事内容は、条件によって異なります。条件とは、トラックの大きさ・トラックの種類・所属する企業の3つです。
各条件によってどのように仕事内容が異なるのか、一つひとつ確認してみましょう。
トラックの大きさ
トラック運転手の運転するトラックの大きさは、主に3種類あります。
- 小型(積載量2t以下)
- 中型(積載量4tクラス)
- 大型(積載量10tクラス)
トラックの大きさに応じて、運べる荷物の種類や量が異なるため、一般的には多くの荷物を運べる大型トラックの方が高待遇です。それぞれのトラックを運転するには、運転免許が必要になります。
準中型自動車免許 | ・18歳以上 ・車両総重量3.5t以上7.5t未満 ・最大積載量2t以上4.5t未満 |
中型自動車免許 | ・20歳以上・普通免許等保有2年以上 ・車両総重量7.5t以上11t未満 ・最大積載量4.5t以上6.5t未満 |
大型自動車免許 | ・21歳以上・普通免許等保有3年以上 ・車両総重量11t以上 ・最大積載量6.5t以上 |
つまり、小型のトラックであれば普通免許で運転することができますが、準中型免許や中型免許を持っていないと、4tクラスのトラックは運転ができません。準中型免許であれば、運転経験に関係なく18歳以上であれば取得できるので、未経験の方でも取得しておくことをおすすめします。
運送業の会社は、運ぶ荷物・量・配送先の状況(工場・市街地・ルート・距離)などに応じて、トラックの種類を決めます。自分がどのトラックを運転できるのか、応募したい企業はどんな荷物を運んでいるのかを確認することが重要なポイントです。
トラックの種類
運送業で使用するトラックは、運ぶ荷物の形状や性質によって、さまざまな種類があります。
平ボディ | 荷台がフラットになっているタイプ・箱などはついていない |
バンボディ | 荷台がアルミ製の箱型のトラック・風雨から荷物を保護することができる・運送業でもっとも利用されている形状 |
保冷車 | 荷台に断熱加工がされているトラック・低温で輸送することができる |
冷凍冷蔵車 | 冷凍・冷蔵装置が付いているトラック・荷台が冷凍庫や冷蔵庫のようになるため生鮮食品や冷凍品の配送が可能 |
ウイングボディ | バンボディの両側が開くトラック・荷物の積み下ろしがしやすい特徴がある |
ダンプ | 荷台の前の部分が持ち上がるトラック・土や砂利などを簡単にすべり降ろすことができる |
トレーラー | 通常のトラックでは運べない大きな荷物やよりたくさんの荷物を運ぶことができるトラック(セミトレーラー・フルトレーラー・特殊トレーラー) |
各種類にはさらに小型・中型・大型があるので、種類がいかに多いのかわかります。どんな荷物を運ぶのかによってトラックの種類が決まり、荷物の量に応じてトラックの大きさが決まるのです。
所属する企業
トラック運転手が所属するのは、運送会社だけではありません。所属する企業によっても仕事内容は異なります。
所属する企業 | 担当する仕事内容 | 職種 |
---|---|---|
運送会社 | 荷物の輸送(配送) | 長距離・中距離ドライバーなど |
メーカー・商社 | 荷物の輸送店舗配送 | ルート配送・店舗間配送など |
宅配会社 | 個人宅への宅配センター間輸送集荷 | 宅配ドライバー |
引越業者 | 荷物の梱包荷物の運び出し荷物の搬入 | 引越しスタッフ(運転含む) |
同じトラック運転手でも、運送会社以外の企業では、営業の要素が含まれたり、運転以外の作業が多かったりすることもあります。一般的なトラック運転手というのは、運送会社に所属するドライバーです。
トラック運転手の仕事内容の違い【職種別】
トラック運転手の仕事内容の違いは、職種も関係します。詳しい仕事内容を、職種別に紹介しましょう。
職種 | 仕事内容 |
---|---|
長距離輸送 | 荷主から請け負った荷物を所定の配送先まで届ける |
ルート配送 | 特定の荷主から特定の配送先へ荷物を届ける |
宅配便 | 個人宅や会社・店舗などへ請け負った荷物を届ける |
引越し | 荷物の運び出し・搬入・設置・梱包・輸送を行う |
長距離輸送
長距離輸送は、荷主から請け負った荷物を所定の配送先まで届けることが仕事です。運転する距離が長いため、荷物の積み下ろし時間よりも、運転時間の方が長いのが特徴です。運ぶ荷物はさまざまで、所属する業界や企業によって異なります。
長距離輸送の場合は、大型や中型のトラックがメインで、軽貨物や小型トラックを使用するのは稀です。一度に多くの荷物を運んだ方が効率的ですし、チャーター便を使う方が費用的に高くなります。
トラック運転手の中でも、長距離・大型という条件は、一番稼げる職種だといわれています。
ルート配送
ルート配送とは、特定の荷主から特定の配送先へ荷物を届ける仕事です。距離的には短距離〜中距離が多く、長距離になることはほとんどありません。薬剤・クリーニングなどの配送も含まれます。
他のトラック運転手に比べると残業時間が少なく、決まった時間内で勤務できることが特徴です。未経験の方や女性の方でも挑戦しやすい職種といえるでしょう。
宅配便
宅配便は、個人宅や会社・店舗などへ請け負った荷物を届けるのがメインの仕事です。宅配便には他にセンター間の荷物を輸送するセンター便があり、トレーラーや大型トラックを使用して輸送を行います。
宅配業界は、コロナ禍におけるECサイトの需要急増を受けて、深刻な人手不足に悩まされているのが現状です。正社員だけではなく、パート・アルバイトとして働くこともできるので、地元で働きたい・長距離には不安があるという方に適した職種といえます。
宅配便の特徴は、配達だけではなく集荷も行うことです。配達地域によって、配達と集荷の割合が異なることも覚えておきましょう。
引越し
引越しは、荷物の運び出し・搬入・設置・梱包・輸送を行う仕事です。依頼主の引越し先によっては、長距離になるケースもありますが、ほとんどの場合が短~中距離になります。
引越業者の場合、引越しの多い繁忙期と閑散期の差が激しいことが特徴です。基本的に荷物は手積み手下ろしになるので、非常に体力が必要な職種といえます。
冷蔵庫・タンス・洗濯機など、大きく重い荷物を扱うこともあるので、体力に自信のある人におすすめの職種です。
集荷
集荷は顧客からの依頼により、配達とは別に荷物を預かることです。集荷を行う代表的な職種は、宅配便になります。
店舗間配送では荷物の店間移動などもあり、長距離の場合も荷下ろし先の近くで集荷し、車庫に戻ってくるというケースもあるので覚えておいてください。
荷物の積み下ろし
荷物の積み下ろしはどの職種にもありますが、積み下ろしの方法が異なります。手積み手下ろしのできない重量があるものはフォークリフトやクレーンを使用したり、商品をカゴ車に載せてゲート車を使用したりして行うこともあります。
扱う荷物によっては手積み手下ろしになることがありますが、これは体力勝負の仕事です。何を運ぶのか、どのような積み下ろしをするのかを知っておくと、自分にできるかどうかの判断材料になります。
トラック運転手の仕事内容のメリット
筆者は元トラガールです。トラック運転手として15年ほど勤務しましたが、とてもやりがいのある楽しい仕事でした。
そんな筆者がトラック運転手のメリットだといえるものを紹介しましょう。
未経験でも挑戦しやすい
トラック運転手は、未経験でも挑戦しやすいというメリットがあります。人票などの応募要項に、未経験OK・未経験者歓迎と書かれているものも多いです。
未経験といっても運転免許がなければ働けませんが、いきなり中型・大型免許を持っていなくても問題ありません。会社によっては支援制度があり、入社後に免許の取得をさせてくれるケースもあるため、車の運転が嫌いでなければ、未経験OKです。
筆者も実際に未経験で入社しましたし、後輩でも未経験の人はたくさんいました。先輩には未経験で中途入社して、大型・けん引・玉掛けの資格を取得してバリバリ働いている人もいました。
運送業界は人手不足に悩んでいる状況ですので、やる気と責任感がある人ならウェルカムです。
人間関係に煩わされない
人間関係に煩わされないのも、トラック運転手のメリットです。特に長距離の場合、仕事中はほとんど運転しているため、一人の時間がたっぷりあります。
オフィスワークのように一つのフロアに大勢のスタッフが集まり、他人に気を遣いながら行う仕事ではないため、人間関係の構築が苦手な人でも十分働くことができます。反対に、常に他人とつながっていないと寂しいという方は、転職しないほうが無難です。
職種にもよりますが、孤独が気にならない方や、一人の時間を満喫できる方にはおすすめの仕事だといえるでしょう。
学歴不問!やる気と免許があればOK
トラック運転手は、学歴不問というメリットもあります。トラック運転手は、資格や免許が重視される仕事だからです。
安全・確実に荷物を輸送できる能力が求められているため、諸事情で中退した方や、進学しなかった方でも、十分に活躍できます。
トラック運転手は、仲間内でも学歴とは違うもので評価します。それは、無事故・無違反の期間です。
社会人としての常識があり、やる気と免許があれば活躍できる職種――トラック運転手にはそんなメリットもあります。
トラック運転手の仕事内容のデメリット
やりがいのあるトラック運転手の仕事ですが、運転手ならではのデメリットがあることも事実です。どのようなデメリットがあるのか、2つピックアップして紹介します。
時間が不規則になりやすい
トラック運転手は、時間が不規則になりやすいデメリットがあります。職種によりますが、夜間配送や長距離配送の場合は、昼夜逆転の生活になることも珍しくありません。
長距離配送の場合は、車中泊になって何日もトラックで寝泊まりすることもあるため、自然と不規則な生活になってしまいます。身体が慣れてくるとキツく感じることも少ないですが、転職して身体が慣れるまでは不規則な生活に負担を感じてしまうかもしれません。
職業病に悩まされる
トラック運転手ならではの職業病に悩まされることもデメリットの一つでしょう。トラック運転手にもっとも多い職業病は、腰痛です。
- 重い荷物を持つ
- 長時間座った姿勢をする
という腰に負担になることを日常的に続けなくてはいけないため、椎間板ヘルニアなどに悩むトラック運転手は少なくありません。
筆者の周囲には、生活習慣病や歯のトラブル、睡眠障害などに悩んでいる仲間もいました。生活が不規則になる・外食が多いなどが理由とされています。
仕事をすればするほど、職業病へのリスクが高まってしまうことは、デメリットだといえるでしょう。
事故のリスクがある
長時間車を運転するトラック運転手には、事故のリスクがつきまとうこともデメリットとして挙げることができます。自分では注意していても、マナーの悪い車にぶつけられたり、思わぬ事故に巻き込まれたりしてしまうこともあるのです。
一度事故を起こしてしまうと、傷がつくのは運転手本人の免許です。行政処分によって仕事ができないという最悪のケースも考えられます。
被害を受ける事故のリスクももちろんですが、職業ドライバーとしての自覚を強く持ち、自分が加害者となる事故を起こさないように心がけることが大切です。
まとめ
トラック運転手の仕事には、職種がたくさんあります。所属する企業や業界、運搬する荷物、トラックの種類などによって、仕事内容が大きく変わることを理解しておきましょう。
その上で、自分が挑戦したい仕事内容はどのようなものなのかを自己分析し、希望に沿った転職ができるように情報収集を行ってください。
トラック運転手の仕事は、未経験でも挑戦できるケースが多くあります。より良い転職につなげるために、ぜひ当サイトにご相談ください。きっと自分に適したトラック運転手の仕事が見つかるはずです。
【参考】