目次
トラックドライバーの現状
トラックドライバーに転職する際、特に異業種からの転職の場合は、トラックドライバーの現状を知っておくことが大切です。トラックドライバーの現状はどのようになっているのか、国土交通省が調査した4つのカテゴリーから紹介します。
有効求人倍率
国土交通省が発表した『トラック運送業の現状等について』によると、貨物自動車運転手の平成30年10月の有効求人倍率は2.79でした。全職業の有効求人倍率は1.49……人手不足が深刻な運送業界ですが、トラックドライバーの人材不足が顕著に表れている数字です。
労働条件
国土交通省の調査では、トラックドライバーが長時間労働になっていることが懸念されています。
最大の原因は、荷主庭先での長時間の荷待ち時間・荷役時間です。平均拘束時間が13.27時間という現状を解決するべく、荷主企業と運送事業者が一体となって、荷待ち時間の削減・荷役作業の効率化等を行うよう、指導をしています。
年齢構成
トラックドライバーの年齢構成は
- 全体の45.2%は40歳~54歳
- 29歳以下の若年層は全体の10%以下
という結果が出ています。
また、全産業の女性進出割合が43.2%あるのに比べて、ドライバーの女性就業者数は2.5%にとどまっているのが現状です。若い世代や女性の割合が少なく、40歳~54歳の方がメインで働いている業界という位置付けになっています。
年収
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、平成28年におけるトラックドライバーの年間所得額は
- 大型トラック:447万円
- 中・小型トラック:399万円
となっています。この金額は、全産業の490万円と比較すると、大型トラックで1割、中・小型トラックで2割低い結果です。ただし、これはあくまでも平均の数値なので、目安にしておく程度で良いでしょう。
参考:
トラックドライバーに多い転職理由とは?
トラックドライバーとして働いていた人が、他の職業へ転職するケースもあります。実際に働いていた人が、どんな理由で転職をするのか、主な理由を3つ挙げて考えてみましょう。
体力的にキツいから
トラックドライバーの転職でもっとも多い理由は、体力的にキツいということです。
トラックドライバーの仕事は運転だけではありません。荷物の積み下ろしや荷待ちによる長時間の待機など、非常に体力を使う仕事です。
そのため、長距離から近距離、大型から中型、ウイング車からダンプなど、運送業界の中で転職をする人が多いことも特徴です。
年齢を重ねて体力的にキツいという話は、非常によく聞く話です。また、運転手の職業病ともいえる腰痛に悩まされて、症状が改善せずに転職をするケースもあります。
勤務時間が長い&不規則だから
トラックドライバーは、勤務時間が長いことと不規則なタイムテーブルが現実です。
- 必着時間に間に合うように休憩せずに運転した
- 工事や渋滞に巻き込まれて長時間足止めを食った
- 荷待ちで長時間待機させられて休みの日の昼間に帰ってきた
など、イレギュラーなことが起こりやすい仕事といえるでしょう。
この傾向は中距離・近距離よりも長距離のドライバーに多く見られます。1日2日なら何とかリカバリーできても、年単位で続くようなことがあると、転職につながる動機になります。
給料が低いから
「給料の額面と仕事の内容のバランスが悪い」と感じて転職をするドライバーもいます。「これだけの仕事をしているのに」「こんなに休みなく働いているのに」と、労働対価に納得のいかないケースがあることも事実です。
運転が好き・トラックドライバーの仕事が好きという理由だけで続けられないこともあるため、同じ運送業でも給料が高い会社に行くという話もよくあります。
トラックドライバーへの転職・失敗しない会社の選び方
トラックドライバーに転職をする場合、失敗をしないためのポイントがあります。給料が高いから……といって飛びついてしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
どのようなポイントに注意をして転職する会社を選ぶべきか、良い例と悪い例をそれぞれ挙げて解説します。
良い会社を選ぶためのチェックポイント5選
数多くある会社の中から、良い会社を選ぶためのチェックポイントは5つあります。
給与形態がしっかりしている
絶対にチェックしなければならないのは、給与形態です。「正社員であれば月給制」という思い込みは危険ですので、必ず確認しましょう。
運送会社の中には
- 日給月給
- 1運行ごと
という給与形態の会社も少なくありません。
その点安心なのは、大手の運送会社です。求人情報で確認し、面接で確認し、雇用契約書で確認をするくらいの心構えを持ってください。
また、昇給や賞与(ボーナス)の有無なども必ず確認することが大切です。給与形態がきちんと確立されている会社を選ぶようにしましょう。
勤務条件に無理がない
勤務条件に無理がないかもチェックする必要があります。
- 走行距離と休日:長距離運行の場合に休日がしっかりと確保されているか
- 出勤時間と退勤時間:平均的な残業時間はどのくらいか
実際に勤務してから「できません」というのは、社会人としてNGです。会社が提示している勤務条件が自分にこなせる内容かどうか、しっかりと吟味することがポイントです。
トラックのメンテナンスをしっかり行っている
トラックのメンテナンスをしっかりと行っているかもチェックしたいポイントです。タイヤのローテーションやスタッドレスタイヤの装着が、なかなか実施されていないというケースも稀に見受けられます。
車検などはきちんと受けていても、日頃のメンテナンスの費用を削減しようとする運送会社は実在しますので、運行前点検の実施状況や、トラブルがあった際の対応方法なども確認できるとベストです。
福利厚生制度が充実している
福利厚生制度がきちんとあるか、内容が充実しているかどうかもチェックしてください。運送会社も規模によってはきちんと福利厚生制度が確立しています。
寮や社宅が完備されていたり、保養所の利用ができたりと、社員が優遇される制度があるに越したことはありません。会社として、どのような福利厚生制度を実施しているのかを求人情報だけではなく、面接時に確認してみるのも良いでしょう。
従業員の車が新しいorきれい
これは、運送業界で昔から言われているセオリーです。面接に行ったときにトラックが出払った状態の車庫を見て、従業員の車が新しい・きれいな会社は、良い運送会社ということです。
トラックドライバーは車好きな人が多いこともあり、良い給料で休日等もしっかりと取れる環境であれば、車のメンテナンスは欠かさないだろうという理由からいわれていたことです。絶対というわけではありませんが、一つの指標にはなりますので、ぜひチェックしてみてください。
こんな会社はNG!避けたい会社のチェックポイント5選
同じ運送会社でも、「こんな会社は絶対に避けるべき」というポイントを5つ紹介しましょう。
いつも求人が募集されている
さまざまな求人媒体で、いつも求人が掲載されている会社は避けた方が無難です。
常に人材不足ということは、人の出入りが激しいということです。何らかの原因で従業員が長く働けない可能性が高いからです。
原因はわからなくても、常に求人が募集されている会社は注意が必要です。
保有しているトラックがボロボロ
保有しているトラックがボロボロの会社は、経営がうまくいっていない可能性があります。利益がきちんと出ていれば、会社の顔であるトラックのメンテナンスはしっかりと行うはずです。
トラックは走行距離もマイカーとの比にはならないため、利益の出ている会社は買い替えを頻繁に行います。トラックにお金をかけられないような会社で、良い給料や働きやすい環境など期待はできませんので、チェックしてみてください。
運転手のマナーが悪い
運転手のマナーが悪い会社に転職するのは避けましょう。
運転手はプロのドライバーです。マナーが悪いということは、運転手の性格的なものもありますが、仕事が原因でストレスフルの状態になっている可能性が高いといえます。
頻繁な進路変更やあおり運転、罵声や不要なクラクションなど、マナーが悪いトラックは少なくありませんが、トラックドライバーへの転職を考えているのであれば、そういったトラックの会社名を確認するのもリスクヘッジといえるでしょう。
雇用契約書がない
雇用契約書がきちんと提示されない会社は、勤務するべきではありません。
運送会社の中には、非常に安易に入社できるところがあった時期が存在します。しかし、入社後にトラブルが起きたり、長く勤められない事情があったりと、会社としてあるべき姿ではないケースが多かったのです。
近年ではあまりないかもしれませんが、雇用契約書があるのは当たり前のことです。面接時に確認することが大切です。
高額の給与が設定されている
求人広告にあまりにも高額の給与が設定されている会社は注意してください。高額の給与が本当にもらえるのか、高額の給与をもらうためにどんな仕事をしなければならないのかという2点を考えなくてはなりません。
トラックドライバーの給与の相場からかけ離れている場合は、仕事内容が過酷である可能性が高いです。転職先としては相応しくないので、避けた方が無難といえるでしょう。
トラックドライバーへの転職・成功する探し方5選
トラックドライバーにはさまざまな種類があり、給与や勤務形態、仕事内容に違いがあります。トラックドライバーへ転職するときには、次の5つのポイントに注意して、仕事選びを行ってください。
職種から選ぶ
トラックドライバーにはいくつかの職種があります。
【所属する企業】
- 運送会社
- メーカー
- 宅配会社
- 引越業者
【業務内容】
- 長距離輸送
- エリア配送
- 集荷
- 荷積み・荷下ろし
同じトラックドライバーでも、所属する企業や運転するトラックの大きさ、走行距離や地域などで、仕事の内容は異なります。自分の応募したい企業がどんな業務内容で募集をかけているのかきちんと把握しましょう。
宅配のドライバーなのか、長距離のドライバーなのか、免許の必要なけん引のドライバーなのか、給与や勤務形態も異なりますので、必ずチェックしてください。
給与・雇用条件から選ぶ
転職時にもっとも注目しているのは、給与や雇用条件でしょう。今の仕事よりも収入がUPするか、より働きやすい環境になるかという点は、転職に欠かせない条件といえます。
運送業界も働き方改革によって、以前よりは断然働きやすく、好条件の仕事も増えてきています。業界全体として優秀な人材を求めている傾向にあるので、自分の希望する条件をしっかりと確認して選ぶことをおすすめします。
福利厚生から選ぶ
福利厚生の充実している会社を選ぶことも転職を成功させるポイントです。福利厚生が充実している会社は、従業員の満足度が高いことが特徴です。
一生懸命働くことで受けられる制度ですから、充実しているに越したことはありません。どんな制度があるのかを事前に情報収集し、給与や勤務条件などと併せて選ぶことがポイントです。
エリアから選ぶ
トラックドライバーにとって、エリアは重要なポイントです。長距離・中距離・地場など、会社によって移動距離や勤務形態が異なるためです。
自分がどんなエリアで働きたいのか、自宅から勤務先までの距離なども考えたい条件といえます。仕事内容にかかわる大事な条件ですので、自分の希望に合致する転職先を見つけるために、必ず明確にしておきましょう。
会社の業態から選ぶ
トラックドライバーは、会社の業態によって業務内容が異なります。トラックを使用した業務には、
- 荷物の輸送・配送
- 宅配
- 引っ越し
などがあり、勤務する会社がどんな業務を行っているかがポイントになります。同じトラック運転手でも、長距離のドライバーと宅配便のドライバーでは、仕事内容もエリアも給与も異なり、まったく別の仕事と捉えてもおかしくありません。
応募する企業がどんなトラックドライバーを募集しているのかを必ず確認しましょう。
詳しく知りたい方はこちらをチェック:
まとめ
運送業界は人手不足が深刻な課題となっています。道路交通法の改正により、取得できる免許の種類にも変更がありましたが、勤務しながらスキルアップをしていくことも可能な職業です。
トラックドライバーの種類・業種などをきちんと理解し、自分の挑戦したいドライバーはどの職種なのか、どんな会社に応募すればやりたいドライバーの仕事ができるのかを見極めて、失敗しない転職に臨んでください。