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筆者プロフィール
筆者は20代前半から約15年間、トラック運転手として勤務しました。大好きな仕事で「一生続けたい」と思っていましたが、家族の介護や転居の関係で泣く泣く退職した経験があります。「長距離」「引越し」「宅配」「ルート配送」などさまざまな職種を体験し、大手企業から家族経営の会社まで、さまざまな運送会社に勤務しました。
当時は女性の運転手がとても少なかったため、男性社会ではかなりイジメられました。それでも続けることができたのは、トラック運転手の仕事が好きで、誇りを持って働けたからだと思います。
トラック運転手は、「柄が悪い」や「3K」などといわれることもあります。実際に、何度か本当に怖いお兄さんたちと出くわしたり、ブラック企業の面接に行ってしまったりしたこともありましたが、そんなのは見極める力を持てば被害に遭うことはほとんどありません。
間違った思い込みや正確ではない情報を鵜呑みにして、トラック運転手へのマイナスイメージが膨らんでしまうのはとても悲しいことです。どれほど素敵な仕事なのか、できるだけ多くの人に伝えたいと思っています。
トラック運転手のやりがいはどんなこと?
「トラック運転手の仕事はやりがいがある」といわれても、どんなことなのかがわからなければ、想像することもできません。実際に働いてみて、どんなときにやりがいを感じることができたのか、5つの項目をピックアップして紹介しましょう。
生活基盤を支えている
トラック運転手の仕事は、社会のインフラ、つまり生活基盤を支える大事な仕事です。
買い物に行って、スーパーやコンビニに商品が並んでいるのは、トラック運転手が荷物を運んでいるからです。建物を建築するときは建築資材を、ダムを造るときは土砂の運び出しを、これらはすべてトラック運転手が担っている仕事です。
国民の生活基盤を支える重要な仕事、それがトラック運転手の仕事だというのは、実際に働いていてもやりがいを感じることができます。ユーザーの方から直接感謝されることは多くありませんが、自分自身で誇りを持って働ける仕事です。
好きなことで稼げて家族を養える
「運転が好き」「運転手の仕事が好き」という人は、自分の好きなことで稼ぐことができ、家族を養うことができます。
好きなことを仕事にできる人は、そう多くありません。それだけでとても幸せなことだといえるでしょう。加えて、トラック運転手の仕事は家族を養えるくらいの稼ぎがあります。低賃金といわれることも多いですが、職種や働き方にもよるため、一概にトラック運転手が低賃金だとはいえません。
筆者は両親と妹を扶養に入れて働き、妹を大学卒業させるだけの経済力をトラック運転手で得ることができました。好きなことで稼げるということは、何にも替え難いやりがいにつながるといえます。
資格取得などのスキルアップができる
免許や資格を取得することで運送業界でのスキルアップができることも、トラック運転手のやりがいです。
入社前、筆者は普通免許しか持っていませんでしたが、入社後に免許取得支援制度で大型免許を取得しました。仕事で必要だったため、フォークリフトの資格も取得させてもらいました。
大型免許を持っていると、運送業界での転職の選択肢が広がります。「玉掛け作業者」や「危険物取扱者」などは取得しませんでしたが、資格を取ることで資格手当が支給されたり、基本給のベースアップができたりします。
お客様から指名されたり感謝されたりする
お客様=荷主や取引先から直接指名されたり感謝されたりすることは、やりがいにつながります。
筆者は女性なので、どうしても力仕事では男性に敵わず、仕事のスピードでは劣ってしまいました。そこで考えたのは、丁寧な仕事をしようということです。
荷物の取り扱いだけではなく、挨拶や運転など、すべてのことを丁寧に行ってみたのです。その結果、直接「〇〇さん(筆者)にお願いしたい」と仕事をもらえたり、「いつも丁寧にありがとう」と感謝されたりすることが多くなりました。
先輩の男性社員はとても力があり、どんな荷物でも運ぶのが天才的に上手でした。取引先には「彼じゃないとダメ」というところもあり、とてもやりがいを持って仕事をしていたのを覚えています。自分の仕事が認められて感謝されるのは、モチベーションアップにつながる重要な要素です。
頑張りしだいで高収入が得られる
トラック運転手は、頑張り次第で高収入を得ることができます。
バブル期の頃は、本当に走ったら走っただけ稼ぐことができましたが、今は働き方改革や労働基準法の改正などにより、無茶な運行はできなくなっています。
それでも、けん引や長距離の運転手などは、日本の平均年収よりも上の金額を稼ぐことができますし、アルバイトの日給なども他の職種と比べると高い水準です。資格取得の手当なども支給される会社であれば、頑張ることで給料アップが可能になります。
学歴や年齢を問わず働けることがトラック運転手のメリットの一つ。運送業界で長く働くために頑張れば、高収入を得ることもできます。
トラック運転手仕事の楽しさとは?
トラック運転手の仕事の楽しさは、どんなところにあるのでしょうか?ただ「楽しい楽しい」といっていても具体性がないので、トラック運転手の仕事が楽しいと思えるポイントを5つ紹介しましょう。
さまざまな場所へ行ける
トラック運転手は、長距離などの場合さまざまな場所に行ける楽しさがあります。日本全国津々浦々…筆者もいろいろな配送先へ行きました。ケチなことを言えば、ガソリン代も高速代もかからずに、日本国内を旅行しているようなものです。のんびり温泉につかったり、おいしい食事をする時間はありませんでしたが、景色を楽しんだり、その土地の名産品などを食べたりすることはできました。SAやPAで他のドライバーと友達になったことも。移動することを苦に感じない人は、楽しみながら仕事をすることができます。
人間関係が楽
人間関係の構築が苦手な人は、トラック運転手の仕事を楽に感じることが多いでしょう。筆者は前職で派閥だのイジメだのが横行している職場に勤務していたので、トラック運転手になったときに、驚きを隠せませんでした。男性社会だったということもありますが、基本は一人で仕事をするため、余計な人間関係に煩わされることが激減したのです。職場や配送先での挨拶など、社会人としてのマナーは守らなければいけませんが、会社の人間と四六時中顔を突き合わせているわけではないので、気の合わない人や嫌な上司がいても、最低限の接触ですむ気楽さがあります。仲の良い同僚はいましたが、極端なことを言えばその人たちとだけ関われば良かったので、非常に楽でした。人間関係の楽さは、この仕事を楽しいと思える重要なポイントといえます。
一人の時間を大切にできる
トラック運転手の仕事は、一人の時間を大切にできます。基本的に運転している時間は一人ですし、会社の人間と一緒に仕事をする時間は限られているからです。群れたい人や寂しがりで誰かといつも繋がっていたい人は、反対にストレスが溜まるのかもしれませんが、一人でいることが好きな人には、これ以上の仕事はないかもしれません。運転中は好きな音楽を聴いたり、気の合う仲間とグループ通話をしたり。一人でいたいときに誰かと無理に一緒にいる必要はありません。
いろいろな働き方を選べる
トラック運転手は、正社員以外にもいろいろな働き方を選ぶことができます。近年では少なくなりましたが、トラックの持ち込みをしている人もいましたし、業務委託で働いている人もいました。パートやアルバイトで働くことも可能です。子育てや家事と両立している女性の先輩や、今でいうWワークで頑張っている先輩もいました。会社にもよりますが、いろいろな働き方が選べるので、トラック運転手として長く働くことが可能です。
転職の選択肢が多い
トラック運転手は転職の選択肢が多いです。これにはいくつかの理由があります。
- 運送業界が超売り手市場であること
- 運転手仲間のネットワークで運送会社の良し悪しがわかること
- 資格や免許を取得することでより好条件の会社に勤務できること
現在はコロナ禍におけるECサイトの需要増加によって、深刻な人手不足が続いています。運送業界の経験がない人でも転職しやすい状況にありますし、運送業界内での転職も引く手あまたの状態です。筆者も何度か転職をしましたが、転職のたびに条件が良くなりました。事前に情報収集を行って、会社や条件を見極める力を持てば、転職の選択肢が広がり、ステップアップが可能になる仕事です。
トラック運転手でやりがいを感じることができるのはこんな人
トラック運転手の仕事はとてもやりがいのある仕事ですが、向き不向きがハッキリとしていることが特徴です。向いている人にとってはこれ以上ない楽しい仕事ですが、向いていない人にとっては苦痛以外の何物でもない仕事です。
では、どのような人が向いているのか、転職前のチェック項目として活用してみてください。
運転が好きな人
運転が好きなことは、トラック運転手の仕事を楽しめるかどうかの重要な要素です。
トラック運転手の仕事には荷物の積み降ろしも含まれますが、メインは運転です。長距離の場合はもちろん、1日に何時間も運転するので、運転が好きでなければ務まりません。
筆者は運転が大好きで、仕事でトラックを運転できるのが楽しくて仕方ありませんでした。好きなことをしているのでストレスも溜まらず、天職と思えるほど自分に向いていた仕事だと感じています。
運転が苦手な人や嫌いな人は、絶対にトラック運転手に向いていません。トラック運転手には、長時間運転することが苦にならない人が向いています。
体力に自信がある人
トラック運転手は、体力に自信がある人の方が向いているでしょう。職種にもよりますが、体力的にキツい仕事も多いからです。
荷物の積み下ろしだけではなく、長い時間の運転も意外と体力を使います。長距離の場合、車中泊をしなければならないこともあるため、体力に自信がない人は避けた方が無難です。
余談ですが、トラック運転手は腰痛や痔を発症することがあります。元々腰痛持ちや痔持ちの人は、主治医に相談し、仕事をしても差し支えないかどうか確認をした方が良いでしょう。
トラック運転手の仕事内容には、体力的にキツい仕事があるということを念頭に置いて、自分自身の健康状態を見極めることが大切です。
移動することが苦にならない人
トラック運転手は、移動してなんぼの仕事です。移動が苦にならない人の方が、確実に向いています。
筆者の同僚に、「車は好きだけど長時間の移動はとても苦手」という人がいました。彼は車の整備の仕事から転職してきましたが、どうも長距離は向いていないとルート配送に転向しました。それでも移動距離の長さがネックとなり、3年ほどで退職してしまったのです。
苦にならない人にとっては取るに足らない距離でも、苦手な人にとっては転職の理由になるほど。普段自分が移動をどんなふうに捉えているか意識することはないかもしれませんが、
- 知らない土地へ行くこと(苦手な人が多いです)
- 知らない道を走ること(意外と疲れます)
- 長時間ハンドルを握ること(旅行ではないので時間に制限があります)
などを基準に、考えてみる必要があります。
責任感のある人
トラック運転手は、責任感のある人が向いています。
トラック運転手は一人の時間が多い仕事ですが、会社の看板を背負って荷主から配送先へ安全・確実に荷物を運ぶことが使命です。自身の健康管理はもちろん、安全運転で事故を起こさず、時間を守って荷物を届けなければなりません。
責任感がなければ、仕事を遂行すること自体が難しいでしょう。責任感のない人は、会社にも周囲にも迷惑をかけてしまいます。
責任を持って仕事に取り組める人ならば、長く運送業界に勤務し、運転手の仕事にやりがいを感じることができるはずです。
短気ではない人
短気な人は、トラック運転手には絶対に向いていません。気の長い人の方が向いていますし、周りに迷惑をかけることもないでしょう。
近年ニュースで取り上げられるあおり運転などが良い例です。ちょっと何かがあったくらいで激高し法律違反を犯してしまうような人は、短気な人が多いです。
トラック運転手は、渋滞に巻き込まれたり、荷待ちで長時間待機したり、下手なドライバーから被害を受けたりすることもあります。そのたびにイライラして、八つ当たりをするような性格では本人も疲れますし、周りも迷惑です。
職業がドライバーなのですから、あおり運転なんてもってのほか。イライラして取引先で怒鳴り散らしている運転手を見たことがありますが、「この人は何で運転手をやってるんだろう?」と不思議に思いました。
待たされるのは当たり前、渋滞や事故だって巻き込まれる確率はゼロではありません。仕事内容を理解しないで勤務したことも良くないですが、自分が短気だと思うのであれば、トラック運転手の仕事は避けた方が良いでしょう。
トラック運転手はキツい?未経験者が抱く素朴な質問
運送業界が未経験の方にとって、トラック運転手の仕事内容はわからないことが多いけれど、面接などでは聞きにくいという質問もあるのではないでしょうか?そこで、業界未経験の方が抱くことの多い素朴な疑問をピックアップして回答しましょう。
女性や未経験者でもトラック運転手になれる?
女性や未経験者でもトラック運転手にはなれます。
トラック運転手は、男性の仕事というイメージが強いかもしれませんが、女性も問題なく勤務できます。また、未経験の人も「未経験者OK」という条件の求人であれば、応募は可能です。
運送業界の女性の進出率は非常に低いですが、働けないということではありません。女性ならではの条件をのんでくれる会社が少ないのが現状です。
それでも、この人手不足を解消するために、国が主導の施策が行われています。経営者の意識改革なども含まれているため、これからは女性がより働きやすい環境整備が行われていくといわれています。
未経験の方は、普通免許だけではなく準中型免許を取得しておくことがおすすめです。普通免許だけでも勤務できる会社はありますが、選択肢が少なくなるためです。18歳以上であれば取得できる免許ですので、準中型免許を取得し情報収集を徹底的に行いましょう。
体力的に一番キツい仕事内容は何?
人によるかもしれませんが、筆者は荷物の積み降ろしだと思っています。特に、手積み手降ろしといわれる「すべて自分で運んで積み降ろしをする」作業は、ちょっとどころか、かなりキツいものでした。
引越しや宅配などもそうですが、中には大型トラックにすべて自分で荷物の積み降ろしをする仕事もありました。これはキツいです。
筆者の同僚には、早起きがキツいという人もいました。人それぞれの体力やトラックの大きさ、扱う荷物や運行スケジュールにもよりますが、一番体力を使うのは、荷物の積み降ろしだと筆者は断言します。
本当に稼げる仕事?
給与は、職種や働き方によります。
正社員として運送会社に勤務するのであれば、平均以上の年収は稼げますし、業務委託などで働けば、さらに高収入を期待できます。
トラック運転手として高収入を目指すのであれば、資格や免許を取得することが一番の近道です。そのためには、資格や免許の取得支援制度のある会社や、手当をしっかりと出してくれる会社を選ぶことがポイントです。
以前のように、走れば走っただけ稼げるという超歩合給的な給料体系は減少しているため、驚くほど稼げるというわけではありません。トラック運転手にはさまざまな職種があり、平均年収も異なります。
自分の希望する職種でどのくらい稼げるのか、平均値を知り、その上で給料アップの工夫をすることが大事だといえるでしょう。
なお、トラック運転手の給与を知りたい方は、こちらを参照してみてください。
まとめ
トラック運転手の仕事は、非常にやりがいのある楽しい仕事です。ただし、向き不向きがハッキリしているので、向いていない人が働くには厳しい仕事だといえるでしょう。
以前のような無茶苦茶な稼ぎ方はできませんが、労働環境が整備され、働きやすくなっていることは事実です。マイナスイメージが強い運送業界ですが、少しでも興味のある方は、自分なりに情報収集を行い、取捨選択をする必要があります。
未経験の方で不安の方が大きいという場合は、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。業界に精通した専任のスタッフが手厚いサポートで転職をフォローします。
やりがいを感じることができるトラック運転手の仕事がたくさんありますので、転職の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?