トラック運転手は、社会の基盤を支える輸送を担う仕事です。コロナ禍におけるECサイトの需要増などを受け、運送業界は深刻な人手不足に悩まされています。
運送業界への転職には、最適な時期といえるかもしれません。トラック運転手になるには、仕事の内容や特徴を理解し、必要な資格を知っておくことが大切です。
そこで、今回はトラック運転手への転職を検討している方向けに、トラック運転手になるための基礎知識をふんだんに紹介します。
目次
トラック運転手になるために必要な資格はある?
トラック運転手になって仕事をするためには、必要な資格があります。持っていると有利な資格や、スキルアップにつながる資格もありますので、一つひとつ紹介していきましょう。
運転免許は必須
トラック運転手になるためには、運転免許が必須です。注意したいのは平成29年3月に道路交通法が改正され、以前とは運転できるトラックの種類が変わったことです。
普通自動車運転免許
条件 | 満18歳以上片眼で0.3以上・両眼で0.7以上赤・青・黄色の3色が識別できること一般的な日本語の読み書き・内容の理解ができること自動車の運転に支障を及ぼす身体障害がないこと10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること |
取得方法 | 公安委員会指定の自動車教習所へ入校 卒業後、試験場で適性検査・学科試験を受験 |
運転できる車両 | ①平成19年6月~平成29年3月11日までに免許を取得した方 車両総重量:5t未満最大積載量:3t未満 ②平成29年3月12日以降に免許を取得した方 車両総重量:3.5t未満最大積載量:2t未満 |
準中型自動車運転免許
条件 | 18歳以上 |
取得方法 | 公安委員会指定の自動車教習所へ入校 (技能教習41時限・学科教習27時限) 卒業後、試験場で適性検査・学科試験を受験 |
運転できる車両 | 車両総重量3.5t以上7.5t未満最大積載量2t以上4.5t未満 |
中型自動車運転免許
条件 | 20歳以上普通免許等保有2年以上 |
取得方法 | 指定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格する運転免許試験場で技能試験を直接受験する |
運転できる車両 | 車両総重量7.5t以上11t未満最大積載量4.5t以上6.5t未満 |
トラック運転手を目指すのであれば、準中型免許までは取得しておいた方が良いでしょう。
普通免許だけでも転職できる職種はありますが、より選択肢の幅を広げるために、どんなトラックにも乗れる状況を作っておくべきです。
20歳以上で普通免許を取得して2年以上経っているのであれば、中型免許を取得することをおすすめします。
持っていると有利な資格
運送業界で持っていると有利な資格というものもあります。
大型自動車運転免許
条件 | 21歳以上普通免許等保有3年以上 |
取得方法 | 指定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格する運転免許試験場で技能試験を直接受験する |
運転できる車両 | 車両総重量11t以上最大積載量6.5t以上 |
けん引車免許
条件 | 満21歳以上普通運転免許の経験3年以上片眼で0.5以上、両眼で0.8以上の視力があること(眼鏡・コンタクト可)深視力検査3回の平均誤差が20mm以内であること |
取得方法 | 自動車教習所へ入校⇒卒業 運転免許センターで適性検査(学科・実技免除) |
運転できる車両 | トレーラー |
大型免許やけん引免許は、異業種の方が運送業界へ転職する際に持っていることは少ない資格ですが、運送業界で長く働くためには、取得しておくと良いでしょう。また、フォークリフト免許や玉掛け作業者の資格も、持っていると有利な資格といえます。
好条件の転職にはスキルアップをしよう
トラック運転手には多くの職種があり、持っている資格や免許で給与が異なります。運送業界で活かせる有利な資格を持っている場合は、基本給が高く、資格手当が出るなど、好条件の求人も多いことが特徴です。
未経験で転職を検討している人は、資格(免許)取得を支援する制度のある会社を選ぶと良いでしょう。最初は普通免許だけでも、スキルアップをすることで、さらなる好条件の転職に挑戦することも可能になるからです。運送業界で活かせる資格を積極的に取得することをおすすめします。
トラック運転手になるために知っておきたい基礎知識
トラック運転手になるには、知っておきたい知識があります。何も知らずに運送業界に飛び込んでしまうと、「思っていたのと違う……」ということになりかねません。
ここでは、トラック運転手への転職を考えたときに知っておきたい基礎知識を4項目を紹介します。
トラック運転手には職種がたくさんある
トラック運転手にはさまざまな職種があり、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 宅配
- ルート配送
- センター間輸送
- 引っ越し
- 店舗配送
トラック運転手は、職種の大分類では、サービス・販売系に属し、小分類では、運輸・配送・倉庫関連に分類されます。
しかし、運輸や配送・倉庫関連の仕事を行っているのは、運送業だけではありません。製造業・農林水産業・商業など、業界・業種・所属する企業によって、さまざまな職種に分かれます。
同じトラックドライバーでも、運ぶ荷物が異なると、運転するトラックの種類も異なります。
- ダンプ・平ボディー:土砂や建材などを運ぶタイプ
- 保冷車・冷蔵冷凍車:食品などの温度管理が必要な荷物を中心に運ぶタイプ
- バンボディ・ウイングボディ:雨風を防ぐことが必要な荷物を運ぶタイプ
- トレーラー:コンテナをけん引するタイプ
自分のイメージしているトラック運転手はどの業界のどの職種なのかを、しっかりと見極めることが大切です。
トラック運転手の年収
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、平成28年におけるトラックドライバーの年間所得額は次のように報告されています。
- 大型トラック運転手:447万円
- 中・小型トラック運転手:399万円
全産業の年間所得額は490万円と報告されているので、大型トラックで約1割、中・小型トラックでは2割ほど低い結果になっています。これはあくまでも平均の数値なので目安にしておく程度で構いませんが、大体の数字を把握しておくことが大切です。
トラック運転手の仕事内容
トラック運転手にはたくさんの職種があり、乗るトラックや運ぶ荷物によって仕事内容が左右されます。
トラックの大きさ | 小型(積載量2t以下)中型(積載量4tクラス)大型(積載量10tクラス) |
トラックの種類 | 平ボディバンボディ保冷車冷凍冷蔵車ウイングボディダンプ車トレーラー など |
トラックを使用した業務 | 荷物の輸送・配送宅配引っ越し など |
所属する企業 | 運送会社メーカー宅配会社引っ越し会社 など |
担当する業務内容 | 長距離輸送エリア配送集荷荷積み・荷下ろし など |
運ぶ荷物によってはフォークリフトを使用したり、ゲート付きのトラックを利用することもあります。引っ越しなどの場合は、手積み手降ろしが原則ですし、建築資材などの場合は、ユニックタイプのトラックでクレーンを使用することも少なくありません。
転職の際には、同じトラック運転手でもどんな業界の会社なのか、どんな荷物を運ぶのかを必ずチェックしましょう。
トラック運転手に向いている人
トラック運転手に向いている人は、次のような特徴を持った人です。
- 運転が好きな人
- 孤独に耐えられる人
- 体力に自信がある人
- 注意力・集中力を保てる人
- 自己管理ができる人
- プロの職業ドライバーとしての意識を持てる人
基本的にトラックの運転手は、運転が好きな人でなければ務まりません。運転に自信がない、長時間の運転が苦痛に感じるという人にはおすすめできる仕事ではないため、避けた方が無難です。
また、体力に自信があることも、向いている条件の一つに挙げられます。「稼げそうだから」「一人で気楽そうだから」という安易な認識では、長く働くことは難しいでしょう。
そして、プロの職業ドライバーとしての意識を常に持ち、安全に運行することも大切です。注意力・集中力が保て、マナーのある運転をできる人は、トラック運転手に向いています。
トラック運転手への転職を成功させる3つのポイント
トラック運転手への転職を成功させるには、3つのポイントがあります。ポイントを確認せずに転職を進めてしまうと、思い描いていた転職とは程遠い結果になってしまうかもしれません。
これから紹介する3つのポイントは、トラック運転手になるためのファーストステップです。一つひとつ確認しながら、転職活動を行うようにしてください。
会社を見極める
トラック運転手を募集している会社の状況をきちんと見極めましょう。
残念ながら、運送業界にはブラック企業と呼ばれる会社が存在します。情報収集を徹底的に行い、安心して働ける会社かどうかを判断してください。
- インターネットのホームページ・口コミ
- 職業安定所での担当者への質問
- 面接で訪問した際のイメージや状況
- 福利厚生制度や就業規則の確認
求人票に書いてある情報を鵜呑みにしてしまうことは危険です。自分の目でしっかりと確かめ、募集要項と相違がないか1つずつチェックしましょう。
業務内容を確認する
この会社に入社したらどんな仕事をするのか、業務内容は必ず確認することです。
たまに見かけるのが曖昧な募集要項です。『配送業務』とだけ書かれているのでは、何を運ぶのか、どのくらいの距離を運ぶのかがまったくわかりません。
特に下請けの運送会社の場合は、募集されていた内容と異なる仕事に就かなくてはならなくなることもあります。仕事の内容、必要な資格は早い段階で確認することが大切です。
自己分析を行う
特に異業種からトラック運転手への転職を検討されている方は、自己分析を行うようにしてください。
トラック運転手の仕事は、決して楽な仕事ではありません。確かに人間関係の煩わしさがなく、運転好きな人にはやりがいのある仕事ですが、向き・不向きのハッキリとした仕事です。
学歴・年齢不問、未経験者歓迎など、ハードルが低い転職先のように思えますが、安易に飛びついても転職は成功しません。自分にできること・苦手なこと、体力面、精神面、仕事に対する考え方などをきちんと棚卸しして、自己分析をしてみましょう。
今さら聞けない?トラック運転手に関するQ&A
トラック運転手になるための基礎知識を紹介してきましたが、転職活動を既に行っている方の中には、疑問点を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?トラック運転手に関する疑問点をQ&A方式で解決していきます。
年齢不問・学歴不問って本当?
本当です。トラック運転手には、年齢や学歴は関係ありません。
ただし、年齢に関しては体力的な面を考えると、健康年齢で考えた方が良いでしょう。運送業界に長く勤めさまざまな資格を持っている方なら年齢に関係なく大歓迎ですし、運転免許を取得していれば学歴も関係ありません。
運送業界では、深刻な人手不足の状態が続いています。運転免許を持っていて、やる気のある方なら大歓迎です。
女性や未経験者でも挑戦できる?
できます。
筆者は女性ですが、15年近くトラックの運転手をしていました。入社当時は女性が少なかったですが、近年では女性の進出も多くなっています。
ただし、家庭を持っている方の場合、職種によっては家に帰れない日があるので、勤務条件を確認しておけば安心です。未経験の方でも、育成の制度や免許取得の支援制度が設けられている会社なら、十分勤務することができます。
未経験の方の場合は、同乗と言って先輩ドライバーと一緒にトラックに乗り、仕事を一から教えてもらえます。トラックに乗ったことがなくても、練習も可能です。
応募条件に「未経験OK」と記載されている場合は、ほとんど問題ありませんが、念のため未経験であることを面接時に伝えておくと良いでしょう。
トラック運転手の仕事はキツイ?
決して楽な仕事ではありません。職種によっては体力勝負の仕事もあるからです。
長距離の場合は車中泊などもあるため、体力に自信のある方のほうがおすすめできます。
ただし、比較的体力的に無理のない職種もあるので、仕事内容を選べば問題ありません。
自分の年齢や体力を踏まえた上であれば、転職できないということはないでしょう。
まとめ
トラック運転手になるには、まず運転免許が絶対に必要です。運送業界で活かせる資格を持っていると、転職の選択肢も広がります。
トラック運転手にはさまざまな職種があるため、自分がどんな運転手をしたいのか、情報収集を行い、転職活動を進めていくことが大切です。
トラック運転手は年齢や性別、学歴に関係なく活躍できる仕事です。より良い転職につなげるために、ぜひ当サイトにご相談ください。きっと自分に合ったトラック運転手の仕事が見つかるはずです。
【参考】