履歴書は、転職に欠かせないものです。
転職回数の少ない人にとっては、履歴書の作成だけで多くの時間を取られてしまうこともあります。志望動機は希望する業界によって内容を変える必要があり、業界ごとにアピールポイントも異なるものです。
そこで今回は、運送業の志望動機について、書き方や注意点を元トラックドライバーの筆者がくわしく解説します。例文も紹介しますので、ぜひ転職活動の参考にしてください!
目次
運送業界が欲しいと思う人材と求められる適性
志望動機を書くときには、業界の採用担当者がどんな人材を欲しがっているのか、どんな適性を求めているのかを知ることが重要です。まずは、運送業界で必要とされている人材の特徴や適性について紹介しましょう。
前向きな気持ちで長く働いてくれること
運送業界の採用担当者が重視している一番のポイントは、「前向きな気持ちで長く働いてくれるかどうか」ということです。
運送業界は転職しやすい傾向にあり、異業種からの転職・同業種からの転職どちらも転職率が高い業界といえます。採用してもすぐに辞めてしまう人ばかりだと、採用活動のコストもかかり、社員が定着しないという結果を招いてしまうことを懸念しているのです。
積極的に資格や免許を取得するなど、運送業界で長く働きたいという前向きな気持ちを持っている人を採用したいと思っています。
周囲との人間関係を保ってくれること
運送業は他の職業と比べて一人の時間が長い仕事です。だからといって、コミュニケーションをまったく取らなくても良いというわけではありません。
荷主・配送先・社員仲間など、仕事上で必要となる周囲の人たちとの人間関係は非常に重要です。
- 挨拶すらろくにできない
- 態度が大きい・悪い
- ルールに従えない
など、社会人として最低限のマナーも守れない人は運送業界では通用しないので、面接時の印象や話し方などを注意深く見ています。
運送業界では「会社の看板を背負ってトラックに乗り仕事をしている」という意識を持つことが重要です。会社の人間として、周囲の人とのコミュニケーションがきちんと取れるかどうかという点もチェックしている適性になります。
与えられた仕事を真面目に遂行してくれること
転職回数の有無にかかわらず、与えられた仕事を真面目に遂行してくれる人かということも、採用担当者が見ているポイントです。会社の看板を背負うこともありますが、運送業のドライバーにはイレギュラーなことが多く起こります。
- 思いがけない事故や渋滞
- 長い荷待ち時間
- 配送先の変更
- タイトなスケジュール
など、理不尽な状況でも臨機応変に対応しなければならないことがあるのです。
運送業界でもっとも敬遠されるのが短気な人です。イライラして荷物を乱暴に扱ったり、荒い運転をして事故を起こしたりするようなことがあっては、会社の管理者はたまったものではありません。
慣れるまでに時間がかかったとしても、真面目に対応してくれる人を運送業界の採用担当者は欲しいと思っています。
運送業の志望動機の書き方・ポイントとコツ
履歴書の志望動機は、書くときに守らなければならない暗黙のルールがあります。採用活動に精通した採用担当者が見ているポイントを押さえ、ルールに則った内容にしなければなりません。
では、志望動機はどのように書くのか、ポイントをわかりやすく3つに絞って紹介しましょう。
具体的に書く
志望動機は、具体的に書くことが最大のポイントです。特に、運送業界を志すことになったきっかけ・その企業に応募しようと思った理由は具体的に書きましょう。
「具体的に書くと、個人的な内容になるのでは?」捉えてしまうケースがありますが、志望動機については具体性のある方が良いです。「貴社の企業理念に共感して……」などというような曖昧な表現では、担当者に意欲が伝わらなくなってしまいます。
ネットの例文を引用したようなかっこつけた文章よりも、多少稚拙でも自分のことばで具体的に書いてある方がベターです。
ポジティブに書く
志望動機は、ポジティブな内容になるよう心がけましょう。前職を退職した理由がネガティブなものだったとしても、できる限りポジティブな印象を与えられるような工夫が必要です。
退職理由 | 与える印象 | ポジティブな言い換え例 |
---|---|---|
人間関係が悪かった | ・うちの会社でももめ事を起こすかもしれない ・周囲の人とうまくやれないのでは? | ・周囲と協力しながら仕事がしたいと思った |
上司が悪かった | ・上司に対してずいぶん生意気なことを言う ・自分にも非があったのでは? | ・自分の良いところを活かした仕事がしたいと思った |
実績を評価してもらえなかった | ・事実関係を確認できない ・本当にその実績を挙げたのか? | ・自分のポジティブな面を発揮したかった |
特に、転職回数の多い人は志望動機を重視される傾向があります。ちょっとした表現の工夫でポジティブな内容に書き換えることができるため、ネガティブな表現にならないように注意してください。
結論から書く
志望動機は、最初に結論を述べるようにしましょう。「1 + 1=2」という構成ではなく、「2=1 + 1」という結果ありきの構成にすると、採用担当者には明確な印象を与えます。
- 自分の一番アピールしたいことを書く
- なぜそのように感じたのか肉付けする
- 最後に結論をもう一度述べる
例を挙げると。「私は◎◎なので、貴社の求人に応募しました。なぜなら……」という形です。
逆に、「△△で、◇◇で、☆☆だから、◎◎です。」と理由を列挙してもまとまりがない文になってしまいます。一生懸命自分の伝えたいことを書いても、何が言いたいのかわからないという結果になってしまうので、結論から書くという暗黙のルールを忘れないことがポイントです。
運送業の志望動機に書きたいアピールポイント
運送業の志望動機には、アピールできるポイントがあります。自分に該当するものがあれば、ぜひ志望動機に盛り込んでみてください。
体力があること
体力があることは、運送業界にとって非常に有利なアピールポイントです。
- 前職で体力を使う仕事をしていた
- 学生時代に運動部で鍛えていた
- 日頃から運動を定期的に行う習慣がある
など、具体的な事例を挙げて体力があるということの裏付けをしましょう。
活かせる経験があること
未経験や異業種からの転職の方でも、運送業界で活かせる経験があれば、アピールポイントとして利用することができます。
- 前職で毎日車を運転していた
- 学生時代に引越業者のアルバイトをしていた
- 準中型免許を取得した
などです。自分の経験を棚卸しして、運送業で活かせるものがあればどんどんアピールしましょう。
資格を持っている・挑戦していること
運送業で活かせる資格を持っていることや、運送業で働くために必要な資格に挑戦していることなどは、最大のアピールポイントになります。
- フォークリフト運転技能者
- 危険物取扱者
- 自動車整備士
- 大型・けん引免許
- 玉掛け作業者
まだ資格を持っていなくても、現在挑戦しているというケースでもOKです。前向きに転職に取り組んでいる姿勢がアピールできます。
前向きな姿勢で勤務できること
勤務してからのビジョンなどを明確にし、前向きな姿勢で勤務できることをアピールすることも重要です。
- 資格取得制度を利用して資格や免許取得に挑戦したい
- 将来的には〇〇の部門で活躍できるようになりたい
- わからないことをどんどん吸収して一人前になりたい
将来のビジョンを明確にするためには、企業研究を徹底して行わなくてはなりません。企業がどのような事業を行っているのか、将来的にどんな方向性を目指しているのかなどを理解した上で、自分のできること・挑戦したいことをアピールしましょう。
運転が好きなこと
運送業に関わる人は、基本的に運転が好きなことが適性になります。毎日長時間の運転をする以上、運転が嫌い・苦手意識があるというのでは務まりません。
- 運転が好きなこと
- 長時間運転をしても苦にならないこと
- 無事故・無違反であること
などは良いアピールポイントになります。運送業未経験の場合は、プライベートなことでもOKです。
運送業の志望動機に書いてはならないNGポイント
志望動機には書いてはいけないNGポイントがあります。うっかり書いてしまったがために書類選考に通過できないこともあるので、しっかりとチェックしておいてください。
前の会社や上司の悪口
前の会社や上司の悪口など、前職の批判は書いてはなりません。「ブラック企業だった」「多くのハラスメントが横行していた」という職場だったとしても、それは退職した理由であって、応募する企業を選んだ理由にはならないからです。
悪口や批判の書かれた志望動機は、採用担当者にとって印象の良いものではありません。「自分勝手な人」「組織人として未熟な人」と思われてしまう可能性があります。
採用担当者が見ているのは、前向きな意欲です。前職での失敗や経験をどう活かして、これから仕事に取り組んでいくのかという姿勢を見せるようにしましょう。
待遇面を前面に押し出す
待遇や条件を前面に押し出した志望動機はNGです。待遇面だけにスポットを当てている人は、さらに好条件な仕事があれば、転職してしまう可能性があると思われてしまいます。
転職の理由として待遇面は確かに欠かせない条件ですが、待遇だけを考えて会社を選ぶ人というレッテルを貼られてしまうのは避けなくてはいけません。仮に応募先の企業を選んだ理由が待遇面だったとしても、他の理由と併せて書くようにしましょう。
ネット上の例文をコピペしたもの
ネット上には、多くの志望動機に関する例文があります。ただし、例文をそのままコピペして使うことは絶対に避けてください。なぜなら、同じサイトで同じ例文を見た人と文面がかぶってしまう恐れがあるからです。
採用担当者は、数多くの応募書類を扱っています。「この志望動機どこかで見たことがあるな」と思われたら、手を抜いて履歴書を作成したことがバレてしまうでしょう。「似たような経験をした人のアピール方法が知りたい」「どう書けば良いのかわからないので参考にしたい」という程度であれば問題ありません。
運送業の採用担当者に響く志望動機の例文
運送業の採用担当者が見ているポイントを押さえて、3つのパターンの例文を紹介します。自分に当てはまる部分を参考に、志望動機を作成してみてください。
未経験者の場合
前職は建築関係の仕事をしていましたが、昔からトラック運転手の仕事をするのが夢でした。いつか大きなトラックを運転したいと思っていたところ、貴社の求人を拝見してチャンスだと思い応募致しました。
挑戦するならできる限り頑張ってみようと思い、大型自動車免許を取得しました。運送業界は未経験ですが、大型トラックに乗って仕事がしたいという気持ちは変わっていません。
学生時代はサッカー部に所属していて、6年間毎日練習をしていたので、体力には自信があります。
運送業に興味があったこと、大型免許を取得したという積極性、体力に自信があるという具体的なアピールが良い例文です。未経験者ではあるけれど、前向きに取り組もうという姿勢が見て取れます。
同業種からの転職
私は定期便の配送業務に3年従事し、8トントラックで県内の配送を担当していました。トラック運転手になったきっかけは、運転が好きだったことです。
配送業務も楽しんで仕事をしていましたが、今回貴社の長距離ドライバーの募集を拝見し、自分の力をもっと試してみたいと思い応募致しました。前職では仕事の苦労もありましたが、苦痛に感じる事はなく、ハードな仕事でも乗り越えることができました。
前職では常に手積みと手降ろしを行っていたので、体力は誰にも負けない自信があります。
運送業界は転職の多い業界です。前職の配送の仕事で得た経験、乗り越えてきた自信が具体的に書かれている例文といえるでしょう。
運転が好きなこと、体力に自信のあることという運送業界に必要な適性がアピールできているのが好印象です。
異業種からの転職
現在はホームセンターの物流倉庫管理の仕事をしています。ドライバー業とは仕事上接する事が多く、業務内容などを見聞きしている中で自分も挑戦してみたいと思い応募しました。
倉庫内ではフォークリフトを用いた荷積み・荷降ろし・検品などを行っています。勤務時間が不規則なことがありましたが、勤務期間中は体調管理に努め、無欠勤でした。
荷物の受取側としての観点を踏まえ、自分の経験や知識を活かしたいと思っています。
異業種でも運送業と関わりのある業界にいたケースの例文です。異業種でありながら運送業界で活かせる資格や経験があることが述べられていることで、未経験だとしても即戦力につながる可能性を感じられます。取り組む意欲が前面に出されていることがポイントです。
まとめ
志望動機は文章で書かなくてはならないため、ハードルが高いと感じる方も多いでしょう。
ただし、志望動機は採用担当者の注目度も高く、自分のアピールをするには最適な項目です。基本的な書き方やアピールしたいポイントをチェックし、採用担当者にささる志望動機を作成しましょう。
運送業界の志望動機で注意しなければならないことは次の3点です。
- 具体性を持たせること
- ポジティブな内容であること
- 結論から述べること
なかなか志望動機が作成できない、志望動機のアピールポイントがわからないという人は、転職エージェントの活用を検討してみましょう。
当サイト『ドライバーコネクト』では、運送業界に精通した専任のスタッフが、手厚いサポートで転職の成功をフォローします。運送業界の転職に関するノウハウを知りたいという方は、ぜひ『ドライバーコネクト』にご相談ください!