【体験談】物流の職種別の転職ポイントは?元トラック運転手が解説!

物流は、人々の生活基盤を支える重要な仕事です。コロナ禍においてもエッセンシャルワーカーとしての役割を担い、社会に貢献しています。

物流業界は深刻な人手不足に悩まされており、解決の糸口を模索している状態です。物流へ転職を検討している方は、求人数の多さに驚くことはないでしょうか?職種も複数あり、自分にどんな職種があっているのか悩んでしまうこともあるでしょう。

そこで今回は、物流の仕事内容をはじめ、職種別の転職ポイントや注意点をくわしく解説します。

物流とはどんな仕事?

物流には複数の職種があり、仕事内容は職種により異なります。そもそも物流にはどのような仕事があるのか、現状と課題も併せて紹介しましょう。

物流の職種

生産者から消費者まで、商品やサービスを届けるのが物流の仕事です。海外からの購入や、国内で購入した商品が早ければ翌日に届くのは物流業界に携わる多くの人たちがいるからだといえるでしょう。

物流業界を支える職種は、下記の5つに分けられます。

  • 保管
  • 荷役(にやく)
  • 流通加工
  • 運搬・輸送・輸入
  • 情報管理

物流というと運送業を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、運送業が担う運搬・輸送・搬入は物流の職種の一つです。社会の生活基盤を支える物流には、これだけの職種が存在します。

物流の仕事内容

物流の仕事内容は、職種によって大きく異なります。必要なスキルや資格も違うため、自分の目指したい職種はどれになるのか、違いをしっかりと理解してから転職活動をすることが重要です。

職種仕事内容
保管・生産者から受け取った荷物を保管しておく業務
・輸入のタイミングなどの調整も含まれる
荷役(にやく)・荷物の積み下ろし・倉庫内の持ち運びなどを行う業務
・港湾作業員・倉庫作業員などがある
流通加工・物を運びやすいように加工する業務
・包装・梱包・箱詰めなどがある
運搬・輸送・輸入・トラック・鉄道・船などで物資を運ぶ業務
・トラック運転手・宅配便なども含まれる
情報管理・倉庫・運行などをシステム管理する業務
・宅配便の荷物追跡サービスなどが代表的

上記以外にも、各企業ごとに必要とされる人事・総務・事務や営業部門などもあります。また、職種ごとに担当業務が分担して行われているため、物流の職種は多岐にわたることが特徴です。

物流の事業領域

物流の事業領域は陸運・海運・空運・鉄道・倉庫の5つに分類されます。

事業領域概要
陸運・主にトラックを用いた陸上輸送のこと
・BtoC・BtoBなど柔軟なニーズ対応が特徴
海運・主に船舶を用いた海上輸送のこと
・輸送に時間はかかるが大量の商品や重量級の荷物の運搬ができる
空運・主に飛行機を用いた航空輸送のこと
・長距離であるにもかかわらず短時間で輸送できるのが特徴
鉄道・主に貨物列車を用いた貨物輸送のこと
・交通事情に左右されにくく環境問題もクリアできる
倉庫・荷物を管理する商品管理業務
・管理する商品は多岐にわたる

倉庫・鉄道は陸運に含まれる部分もあり、運送業などは陸運に含まれます。同じ物流でもニーズが異なるため、職種も業務内容が異なることが多いことが業界の大きな特徴です。

物流の現状と課題

物流業界の現状は、コロナ禍におけるECサイトの需要急増が引き金となり、深刻な人手不足に陥っています。また、業界内の長時間労働への対策は、解決しなければならない喫緊の課題です。

物流業界の中でも深刻な人手不足に悩まされているのは運送業です。令和2年(2020年)に国土交通省が行った調査では、次のような内容が報告されています。

  • 道路貨物運送事業における人手が不足していると感じている企業の割合は、平均で70%にも及ぶ。
  • 少子高齢化が急速に進行しており、2065年には総人口の約40%が65歳以上になる見通しであり、生産年齢人口は2020年比約2,600万人減となる見通し。
  • トラックドライバーは全産業平均以上のペースで高齢化が進んでおり、高齢層の退職等を契機として今後更に労働力不足が深刻化する恐れがある。

参照元:物流を取り巻く動向について|国土交通省

同じく、国土交通省が発表した別の調査では次のように報告されています。

  • 平成30年10月の貨物自動車運転手の有効求人倍率は2.79
  • 全職業の有効求人倍率は1.49

参照元:トラック運送業の現状等について|国土交通省

有効求人倍率は全職業の2倍近くにもなり、これだけで判断することは性急ですが、運送業の人手不足がどれだけ深刻かということがわかる結果となっています。物流業界は運送業だけではなく、他の職種でも人手不足は懸念されている課題の一つです。

物流業界の転職事情

新型コロナウイルスのパンデミックは、物流業界の転職事情に大きな影響をもたらしました。

AIチャットボット「チャットプラス」を運営するチャットプラス株式会社は「コロナ禍での転職」に関する調査を実施し、多くの業界で転職希望者が減少する中、物流業界は転職先として異業種からの転職希望が多いという結果を報告しました。コロナ禍における外出制限などでECサイトの需要が急増し、物流業界は人手不足の状態が続いています。

異業種転職で人気があるのは、「IT・メディア業界(12.6%)」「物流・運送業界(9.2%)」でした。つまり、「金融業界」「製造業界」や「建設・不動産業界」から異業種から「IT・メディア業界」「物流・運送業界」への転職を希望している方が多くいることがわかりました。 コロナ禍でのEC需要の高まりが、物流・運送とIT・メディア業界への転職を考えるきっかけとなったのかもしれません。

参照元:【コロナ禍の転職事情が明らかに!】転職するなら異業種へ。大丈夫?求職者と経営者との意識の違い。|チャットプラス株式会社のプレスリリース

物流業界は社会生活になくてはならない業種であるため、仕事がなくなるということがありません。物流のメリットでもある不変性が転職事情に反映したと考えられます。

物流へ転職するときの注意事項

物流業界へ転職を希望する場合、異業種から転職される方は業界の特徴を知っておく必要があります。ここでは、どんなことに注意しなければならないのか、5つのポイントを紹介しましょう。

物流の転職における特徴

物流の転職における最大の特徴は、職種が複数あることです。

前項でも紹介したように、物流には5つの事業領域があり、それぞれに職種が分かれています。職種によって業務内容が異なることはもちろん、事業領域にも左右されるのが特徴です。

物流業界への転職を検討する際には、明確なキャリアプランが必要になります。自分の希望する雇用形態や業務内容に沿った求人を見つけるためには、情報収集が重要です。

ただ、「物流の仕事がしたい」という曖昧な考え方では、どんな企業の募集に応募すれば良いのかもわかりません。自分の希望やキャリアプランを明確にした上で、転職活動を行いましょう。

物流は求人数が多い

物流は深刻な人手不足も影響し、非常に求人数が多いという特徴もあります。一つの企業で複数の職種を募集していたり、同じような社名でも事業領域が異なっていたりすることがあるため、注意が必要です。

物流の転職では時間をかけてじっくりと内容を見極めることがポイントです。求人数が多い分、自分の希望しない仕事が含まれている可能性も高くなるため、不明点や違和感を残さないようにしましょう。

雇用形態をしっかりと確認

物流の雇用形態は多岐にわたります。正社員・アルバイト・パートなどの直接雇用だけではなく、派遣などの間接雇用も多いことが特徴です。

求人を見極めるには、雇用形態をしっかりと確認することです。雇用主がどこの企業なのか、給与形態はどうなっているのか、雇用期間に期限がないかなどをきちんと確認しないと「こんなはずではなかった」と転職後のギャップに悩まされることになります。

職種による賃金の差

物流業界には複数の職種がありますが、職種による賃金の差も大きいことが特徴です。自分のなりたい職種が決まったら、給料の相場を確認してみてください。

事業領域・職種・企業の規模・資格の必要性などによって賃金には差が生じます。自分の努力やキャリアを積むことで年収アップができるのであれば良いですが、元々の設定が低い場合は、転職前の生活レベルが変わってしまうおそれもあります。

職種が多い分、選択する際の見極めと情報収集が肝心です。

ブラック企業には要注意

物流業界には残念ながら悪質なブラック企業が存在します。

特に多く見受けられるのは倉庫業や運送業です。過酷な労働を強いられたり、驚くような低賃金が設定されていたり、長時間労働が常習化していたり、例を挙げるときりがないほど、多くの事例があります。

政府は働き方改革関連法などによって、長時間労働の是正に積極的な姿勢を見せていますが、末端まで届いているかといわれたら答えはNOです。

未経験で転職する際には、できるだけ大手の物流会社に応募することをおすすめします。規模の大きな会社は同じ人材不足でもネームバリューなどによって人が集まりやすい傾向があります。ブラック企業は仕事だけではなく、心身や生活にも大きな影響を及ぼすので、転職してしまわないように情報収集を行いましょう。

物流の職種別転職チェックポイント

物流には複数の職種があることについて解説しました。各職種によって仕事内容が大きく変わるので、転職の際には自分の希望や適性を見極めることが必要です。

それぞれの職種において、どんなことがポイントになるのかを解説します。

保管

保管は、預かった荷物を適切に管理する仕事です。働く場所としては物流倉庫や物流センターなどが挙げられ、倉庫業などに分類されます。保管の仕事で転職を希望する人は、次のチェックポイントに該当するかを確認してください。

  • ルーティンワークが苦にならないか
  • 体力に自信があるか
  • 手際良く作業をすることが得意か

保管は倉庫などで仕事を行うことが多く、暑い・寒いなど季節によっては過酷な環境になることも少なくありません。規模の大きな倉庫などの場合は、体力勝負になることもあります。

荷役(にやく)

荷役(にやく)とは、物流業界における取扱作業の総称です。物流倉庫や物流センターで荷物を出し入れしたり、移動・運搬したりする仕事を指します。

積み下ろし・運搬・積み付け・入庫・格納・仕分け・ピッキング・荷揃え・出庫など、荷役の仕事は多岐にわたるため、どの部署に配属されるかによって仕事内容は異なることが特徴です。

  • 雇用形態が直接雇用になっているか
  • 必要な資格が定められていないか
  • 勤務時間の設定に無理はないか

荷役は物流業界の中でも過酷な仕事に入ります。勤務条件をしっかりと確認し、必要な資格などがあれば事前に取得しておくと転職に有利です。

流通加工

流通加工は、物を運びやすいように加工をする仕事です。衣服の検針作業やハンガー掛け、商品の値札やラベル貼りなど、消費者のニーズに合わせた加工を行います。

  • 自分の希望する雇用形態の募集があるか
  • 無理なシフト制になっていないか
  • 勤務する場所は過酷な環境ではないか

流通加工は物流倉庫や物流センターなどで行われることが多くなりますが、中には暑い・寒い・長時間の立ち仕事など、環境が良くないケースもあります。実際にどんな場所で働くのかをきちんと確認する必要があるでしょう。

情報管理

情報管理は、システムを活用して、物流工程の管理を行う仕事です。倉庫管理・配送管理・運行管理など、物流業界には多くの管理業務があります。

また会社によっては、環境管理・安全管理・設備管理などの管理業務が発生することもあります。

  • 自分のスキルや経験が合っているか
  • 人員不足の状況が深刻ではないか
  • スキルアップができる環境が整っているか

情報管理はこれからの物流業界を牽引していく部署になります。さまざまな状況に対応できる柔軟性が求められる職種といえるでしょう。

運搬・輸送

品物を運ぶ仕事の総称が、運搬と輸送です。産地・メーカー・販売元から倉庫へ、そして購入者・消費者の元へ安全に荷物を輸送することがミッションです。

  • 体力に自信があるか
  • 必要な資格・免許を有しているか
  • 変則的な勤務時間にも対応ができるか

近年ではECサイトやフリマサイトの需要が急増し、人手不足が深刻となっている職種です。もともと不規則な勤務になりがちな職種ですが、長時間労働が強要されていないかなどもチェックするポイントになるでしょう。

まとめ

物流業界にはさまざまな職種があり、それぞれ担当する業務が異なります。物流業界は人手不足という大きな課題を抱えつつも、エッセンシャルワーカーとしての重要な役割を担うやりがいのある業界ともいえるでしょう。

物流業界は異業種からの転職希望者が多い傾向にありますが、転職を検討する際には業界全体の動向や応募する企業に関する情報収集を徹底し、自分のキャリアプランを明確にすることがポイントです。

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