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長距離ドライバーの休みの実態
国土交通省の調査によって、運送業全体の実態が報告されました。
- トラックドライバーは、全産業と比較して低賃金・長時間労働
- トラックドライバーの年間労働時間は、全産業平均と比較して、大型トラック運転者で約1.22倍、中小型トラック運転者で約1.16倍
この報告からもわかるように、特に荷待ちのあるドライバーについては、労働時間が平均よりも長いことがわかっています。これは、休みの少なさにも直結してしまう現状ではありますが、国も労働環境の改善に取り組んでいます。
次の項でも紹介しますが、取引環境の改善及び長時間労働の抑制に取り組むため、厚生労働省・国土交通省・荷主・事業者などにより「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」を全都道府県に設置しました。
働き方改革による改正労働基準法も2017年に施行され、少しずつではありますが長距離トラックドライバーの環境改善も進んでいる状況といえるでしょう。
長距離ドライバーの休みに関する法律のルール
長距離のトラックドライバーは、過酷な状況で働いているように思われがちですが、拘束時間・休息時間・休日がきちんと法律で定められています。道路状況や天候などによってイレギュラーなケースはありますが、ドライバーを雇用する会社や荷主は守らなければならない法律があるのです。
法律で定められたルールとはどのようなものなのか、3つの観点から解説します。
拘束時間
トラックドライバーの拘束時間は、運転時間に休息時間を足したものです。
- 拘束時間:1日13時間まで・15時間以上の拘束は週2日まで
- 1ヶ月の拘束時間:293時間まで
- 休憩時間:4時間ごとに30分以上
- 運転時間:2日間平均が9時間
法律(=労働基準法)では以上のように定められていますが、中には守っていない企業も少なくないため、業界全体に浸透しているというわけではないようです。
休息時間
休息時間とは、拘束時間が終了したときから、次の運行までの時間を指します。法律では、この休息時間を8時間以上と定めており、睡眠をしっかりとる・プライベートの時間を確保するなどのための時間です。
特に、長距離のトラックドライバーは、13時間運行などがあるため、次の運行までにきちんと休息時間を取る必要があります。
休日
トラックドライバーの休日は、通常の会社員とは少々異なります。
- 休日:休息時間+連続して24時間
- 休日出勤:2週間に1回まで
と定められており、この他に会社ごとに制定された休暇がプラスされるでしょう。休日の規定は30時間を下回ってはいけないことになっているので、規定通りに休日を確保できれば、しっかりと身体を休めることができるようになっています。
参考:
長距離ドライバーでも休みの取りやすい会社の特徴
いくら法律で制定されていても、中には法律が遵守できない環境で働かなくてはならないドライバーも存在します。長距離のドライバーでも休みが取りやすく、法律を守ろうとする会社の特徴とはどのようなものなのか、チェックポイントを紹介します。
福利厚生が充実している
福利厚生が充実している会社は、休みの取りやすい会社といえます。理由は、従業員の立場に立った経営を行っているからです。
福利厚生とは、雇用側が従業員に提供する、給料以外のサービスのことで、会社側が福利厚生を導入する目的は、従業員とその家族を含めた生活の安定と向上になります。そのため、ブラック企業のような働かせ方はしない方針を持っているということです。
コンプライアンスに注力している
コンプライアンスとは、法令順守ということです。コンプライアンスに違反しないよう、注力している会社は休みを取ることも難しくありません。
先に述べた改正労働基準法に則った勤務体制が取られるため、休息時間や休日をきちんと確保してくれます。コンプライアンス違反があった場合には、会社側が社会的制裁を受けることになるため、リスクを避けるために勤務体制の見直しなどは積極的に行う傾向にあるのです。
労働組合がある
労働組合のある会社は、過酷になりがちなトラックドライバーの休日をきちんと確保してくれることが多いです。労働組合には団体交渉が認められているので、一人で解決できない問題などが起きた場合には非常に心強い組織です。
会社側も労働組合との団体交渉を拒否することはできないですし、万が一不当な扱いを受けた場合でも、効力を抑制することが可能になります。労働組合のある会社となると、規模的には大きな会社になりますが、安定した職業環境を得るためには、大手の運送会社を目標にするのも一つの方法といえるでしょう。
休みが安定しているトラックドライバーの種類
トラックドライバーには、さまざまな職種があります。「休みが取りやすい」「安定して取得できる」のは会社側の要素だけではなく、職種も関係してきます。
どのような職種のドライバーなのか、代表的な例を挙げて解説しましょう。
ルート配送
ルート配送のドライバーは、休みが取りやすい職種の一つです。ルート配送は、決まった荷物を決まった荷主から受け、決まった配送先に届ける仕事なので、複数のドライバーでローテーションが組まれることが多いからです。
通常のルート配送は短距離~中距離がほとんどですが、中には長距離ドライバーの場合でも、ルート配送に近い業務内容のケースもあります。イレギュラーばかりな業務内容ではないからこそ、複数人で対応することが可能な職種といえます。
大手宅配
大手宅配業者の場合は、休みを確保しやすい傾向にあります。大手宅配業者は、以前長時間労働が問題になり、改正労働基準法に則った見直しが徹底的に行われました。
これは、宅配ドライバーだけではなく、宅配センター間の輸送を行う大型ドライバーも含まれます。
特に、大手の場合はコンプライアンス違反に敏感ですので、休息時間や休日などをデジタコで管理していることもあります。陸運局の監査などもあることから、無謀なスケジュールは組まないことがほとんどです。
引越業者
引越業者の長距離ドライバーも、休みは取りやすい職種といえるでしょう。
引越業者のメリットは、1ヶ月~の単位で、おおよそのスケジュールが管理できることです。引越の場合、作業員は繁忙期になると1日に何回も作業を行うこともありますが、長距離のドライバーの場合は余裕を持った行程で輸送を行うことが特徴です。
引越業者も大手の場合は日本中に支店があるため、連携をとって無謀な運行はしないようにしています。
センター輸送便
コンビニ・スーパーなどの配送センターに商品を輸送するセンター輸送便は、休みが取りやすい職種です。センター輸送便は一度に大量の商品を運ぶため、大型車数台で納品することが多く、複数人の担当ドライバーがいます。
仕事に関しても物量の差異はありますが、ルート配送に近い内容となるため、自分以外の誰かでも対応することができるのです。
長距離ドライバーが休みを取れない時はどうする?
万が一、自分の勤務状態が過酷で、法律に則った休みが取れない場合は、どうしたら良いのでしょうか?
通常、会社の勤務形態や雇用条件に関する相談は、労働基準監督署が監督しています。違法性が認められれば立ち入り監査などを行い、会社側に勧告を行い、従わない場合は逮捕までできる権限を持っています。
そのため、違法性が高いと思われる場合は、労働基準監督署に相談することをおすすめします。しかし、現実は労働基準監督署の人材不足のため、十分な調査を行ってもらえないことがあります。
労働基準監督署に相談しても、解決がされないケースも存在するのです。違法性が高く、会社に改善の意思もなく、労働基準監督署の相談でも解決しない場合は、労働条件のしっかりとした他の企業へ転職する方が良いでしょう。
まとめ
長距離ドライバーは、休みが取れないのではないかと不安に思われる方も多いですが、改正労働基準法により、労働環境の見直しが行われている最中です。同じ長距離ドライバーでも、複数人で対応する職種などの場合は、休みが取りやすいですし、コンプライアンスを重視している大手の運送会社の場合は、勤務体制がきちんと管理されています。
国全体として運送業界の勤務環境改善に着手しているので、少しずつですが長距離ドライバーでも休みが取りやすい環境になっていくでしょう。
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