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現場の採用担当者が回答!志望動機は非常に重要
採用担当者はなぜ志望動機を重視しているのか…今回お話を伺ったのは、中堅の運送会社で人事を担当しているKさんです。
Kさんは運送会社で30年近く採用活動に関わっています。
現場で長年採用活動に携わってきたKさんに、採用担当者の本音を聞いてみました。
-採用担当者として志望動機を重視する理由は何ですか?
「志望動機は面接でも聞きますが、書類選考が先にある場合は職務経歴の次に見ている部分です。職務経歴は経験者かどうか、うちの業界で活かせる経験を持っているかどうかを見るために参考にしますが、志望動機はその次に必ず見ています。志望動機は履歴書の中で、唯一文章で表す箇所ですので、ある程度その人の個性が出ると思っているんです。」
-その人の個性とは?
「例えば…文章は苦手だけど一生懸命自分で考えて書いたんだろうなという場合はとても真面目で実直な人、ネットから引用した文章をあたかも自分に当てはめているような場合は体裁を気にするプライドの高い人…といった感じです。」
-どんな志望動機が一番良いと思いますか?
「まず一番大事なのは前向きな気持ちが感じられるかどうかですね。前の職場で何があろうとこれからうちの会社で頑張りたいというひたむきさが感じられないと、ダメだと思います。採用を長年やっていると、何となく見えてくるものがあって、感覚的なものだから言葉ではうまく言い表せないんですけど…一生懸命書いた履歴書かどうかっていうのはわかるものなんです。複数社受けるのは当たり前のことですが、中には全部の会社に同じ内容を書いてるんだろうなっていうのもわかります。そんな志望動機だと本当にうちの会社に入社する意思があるんだろうかって疑問に思うのは当然ですよね。」
-書類選考でNGとなる具体例はありますか?
「雑に書かれたことがわかる履歴書やどこかの受け売りを書いているのが見え見えの履歴書です。最近はパソコンで作成した履歴書を指定する会社も増えてきていますが、うちはパソコンだと見えてこない部分があるので手書きでお願いしています。雑に書かれた履歴書は、どんなに優秀な人でもいい加減なイメージを受けてしまいますね。」
-今までに一番心に残っている志望動機はありますか?
「女性の応募者でしたが、うちの会社のことをきちんと調べて、将来的に計画していた事業に参加してみたいと書かれた志望動機がありました。面接で条件が合わず入社には至りませんでしたが、読んでいてとても嬉しくなったのを覚えています。字は上手ではなかったけれどとても丁寧に書かれていて、こんな風にうちの会社のことを思ってくれている人ならぜひ…と書類選考を通過させました。」
-これから配送業へ転職する方へ一言お願いします。
「現在配送業は猫の手も借りたいほどの人手不足です。ですが誰でも良いというわけではないし、会社の採用基準を下げてはいません。免許があれば誰でもOKという誤った解釈をされている方が多いんですが、それは違います。なぜ配送業で働きたいのか、根っこの部分が曖昧な人は働いても長続きしないんです。志望動機は履歴書の中で唯一自分の思いを伝えることができる部分です。文章が多少変でもいいんですよ。しっかりと自分の言葉で書いてほしいと思います。」
配送業の採用担当者が絶対に見ている志望動機のポイント
配送業の採用担当者が志望動機で見ているポイントはどんなところなのか、Kさんへのインタビューを元に3つの項目をピックアップします。
ドライバーとしての適性
配送業のメインの職種はドライバーです。
ドライバーとしての適性があるかどうか、志望動機の短い文章の中から採用担当者は見抜いているようです。
Kさん「志望動機は、履歴書の中で唯一自分の考えを述べなければならない箇所です。なぜ配送業のドライバーに転職したいのか、その理由から適性を見抜きたいと思って見ています。
トラックドライバーは向き・不向きがハッキリしている仕事ですからね。適性のない人が就職してしまったら、ストレスが溜まり、長く勤務することは難しくなるんです。採用活動には時間も経費もかかります。ダメもとで…とはできないので、短い文章の中に現れる個性を見抜きたいと思って採用活動を行っています。」
仕事内容の理解度
配送業とはどんな業界なのか、自分はどんな仕事がしたいのか、この会社はどんな業務をおこなっているのか…仕事内容をしっかり理解できているかどうかも、採用担当者は志望動機で見たいと思っているようです。
Kさん「これだけの情報社会ですから、しっかりとリサーチすればある程度のことはわかる時代です。未経験の転職希望者に必要なのはリサーチ力、経験者は変な思い込みがないかどうかを見させてもらってます。またうちの会社は募集の職種が複数あるため、応募要項をかなりくわしく書いています。同じドライバーでも担当部署によって仕事内容は変わるので。ただ『運転手になりたい!』ではなくて、どの部署のどんな仕事をしたいのか…仕事内容を理解していないような志望動機は、一番ダメですね。」
長く働こうとする意志
採用担当者にとっては、転職してきた人に長く働いてほしいというのが本音。
離職率が高くなれば、時間も経費もかかる採用活動を何度も行わなければいけないので、それだけは避けたい…志望動機から長く働こうとする意志も読み取っていくそうです。
Kさん「志望動機って意外と面白いのは、職務経歴書と合わせて見ることなんです。長く働こうとする意志は文章で何とでも書けるけど、職務経歴書を見ればどの程度本気なのかがわかるんですよ。短期間で転職を繰り返している人は、どんな志望動機でうちの会社に入りたいのかすごく注目するし、未経験で転職を希望している人は何が転職のトリガーになったのかを見ます。長く働こうということは、イコールうちの会社を理解しているということ。ビジョンのない社員は長く続きませんからね。この会社に入りたいだけではなくて、長く働きたいというのがポイントになります。」
転職前に確認!配送業の適性ってどんなこと?
Kさんのお話にもあったように、配送業は向き不向きのハッキリした業界です。自分に適性があるのかどうか、転職前にチェックしてみましょう。
体力があること
配送業を長く続けるには、体力があることが非常に重要です。配送業・ドライバーの仕事は、職種が複数あるものの決して楽な仕事ではありません。
重い荷物を運ぶ、不規則な勤務時間帯に対応するのはもちろん、長く運転をすることにも意外と体力を要します。
運動する習慣がある人や部活動などで身体を動かす経験をしている人、多少無理をしても一度寝れば回復する…というような人にはおすすめです。
反対に腰痛がある人・胃腸の弱い人などは注意が必要。仕事を続けていく上で支障になる可能性があります。
運転が好きなこと
配送業のドライバーになるには、運転が好きなことも重要な適性です。運転する車は問いません…車を運転することが苦にならないこと、長時間の運転を楽しむことができないと、仕事として続けていくことは難しいでしょう。
ドライバーは長時間社内で仕事をしなければいけません。
長距離ドライバーはもちろん、一般の人よりもはるかに長い時間ハンドルを握るわけですから、運転が嫌い・苦手という人は、配送業は避けるべきです。運転が上手いかどうかはその次の話…まずは運転が好きかどうかがネックになります。
ストレス耐性があること
配送業の仕事は意外とストレスが溜まります。その一番の原因は、一人の時間が長いこと。
一般の仕事のように、ちょっと愚痴れる同僚や話し相手になる人が身近にいないからです。
自分で受けたストレスを自分で解消する方法を見つけなければいけません。ストレスに対する耐性があること、上手なストレス解消法を知っていることが意外な適性といえます。
気が小さく焦りやすい人はストレス耐性が弱い傾向があるので、配送業に就いてしまうとストレスMAXになってしまう可能性があるでしょう。
短気ではないこと
短気じゃないことは、もっとも配送業に必要な適性といっても過言ではありません。短気なことが呼び込むトラブルは非常に多いものです。
無謀なあおり運転、配送先や荷主への暴言…筆者の元同僚にも短気なことが原因でトラブルを多く引き起こす人がいました。
短気な人は道が渋滞しているだけでイライラします。渋滞や事故など、ドライバーにとってイレギュラーな事態はいくらでも起こるんです。
そのたびにイライラしていたのでは周囲に迷惑がかかるだけではなく、自分自身も保たなくなるでしょう。
ルーティンワークが苦にならないこと
ルーティンワークが苦にならないことも重要な適性の一つです。配送業の仕事は、ルーティンワークになりやすく、職種によっては単純作業になる傾向があります。
ルート配送・センター間の輸送などは、特にルーティンワークが基本になるので、変化を求める人や飽きっぽい人には向いていません。単純作業をコツコツできる人、自分なりに仕事が楽しくなる工夫ができる人が適しているといえるでしょう。
配送業の志望動機・必ず書きたい3つのポイント
配送業の志望動機には、書かなければいけないポイントがあります。3つのポイントを盛り込んだ志望動機になるように心がけてください。
配送業を選んだ理由
なぜ配送業へ転職したいのか、その理由を具体的に書きましょう。
- 体力に自信があり配送業の適性があると思った
- 社会生活の基盤を支えるやりがいのある仕事だと思った
- 元々車の運転が好きで運転手になってみたいと考えた
など、採用担当者が想像できるような具体性が重要なポイントです。
会社を選んだ理由
何でその会社を選んだのか…理由を採用担当者は知りたいと思っています。
配送業の会社はたくさんあります。
その中でどんな理由から応募をしようと思ったのかを書くことがポイントです。
Kさんいわく、応募しようと思ったきっかけを、正直に書くとわかりやすいとか。
かっこつけてそれらしいことを書いても、百戦錬磨の担当者には通用しないので注意が必要です。
活かせる資格や経験
配送業で活かせる資格や経験を持っている場合は、ぜひ志望動機に盛り込んでみましょう。
配送業で活かせる資格には、次のようなものがあります。
国家資格 | ・自動車免許(大型・中型・大型特殊・けん引など) ・フォークリフト運転技能者 ・危険物取扱者運行管理者(貨物) |
公的資格 | ・ロジスティクス管理2級・3級 ・ロジスティクスオペレーション2級・3級 ・ロジスティクス経営士 |
民間資格 | ・倉庫管理主任者 ・物流技術管理士 ・グリーンロジスティクス管理士 |
普通車でも『営業車を毎日運転していた』などの経験も十分に活かせます。
また現在取得中・勉強中という人も、ぜひアピールをしてください。
意欲があるという姿勢の証明になります。
【例文】配送業の志望動機・担当者に刺さる書き方とは?
志望動機の書き方や採用担当者の着眼点などについてご紹介しましたが、「やっぱり何をどう書いたら良いのかわからない!」という方もいらっしゃることでしょう。
そこで、最後に2つのケース別に、志望動機の例文をご紹介します。
ご自身のケースにあてはめた上で参考にしてください。
未経験の場合
前職は建築関係の仕事をしていました。仕事でダンプを運転することがあり、自分が車の運転が好きで仕事にしたいと思っていることに気が付きました。体を動かす仕事をしていたので、体力には自信があります。将来的にはけん引免許を取得して、御社のトレーラー部門で活躍できるようになりたいです。
この例文には、アピールポイントが多く記載されています。
まず、体力に自信があるという適性の面。そして、将来的なビジョンが描けていること、会社へどのように貢献したいのかが具体的に書かれていることです。異業種からの転職でも、まったく引けを取らない志望動機だといえるでしょう。
私は前職で培った土地勘を活かし、セールスドライバーとして働きたいです。営業職で必要とされたコミュニケーション能力は、セールスドライバーでも不可欠なものであると考えています。また御社の〇〇という企業理念は、私の考えている地域貢献と同じ部分があり、△△の事業内容に関わりたいという気持ちがあります。
この例文は、未経験でも企業研究をきちんと行っているケースです。
前職で培ったトラックドライバーでも活かせるスキルをアピールすることで、未経験であることをカバーできています。
入社後にどんな仕事をしたいのかという点が具体的に書かれていることで、職業への理解度が高いこともわかります。
同業種で転職の場合
運転が大好きなので応募しました。以前〇〇で宅配の仕事をしていたのでドライバーの経験はあります。大型トラックのドライバーになりたくて、転職のため大型免許もすでに取得しました。安全運転を心がけて、プロとしての自覚をもった仕事を行っていきたいと思います。
この例文のポイントは、転職のために大型免許を取得したというところです。
ドライバーの経験はあっても、大型トラックは免許がなければ運転できません。
今回の募集が大型トラックドライバーであることをきちんと理解し、自分なりに努力をしている姿勢が評価できます。
まとめ
志望動機は文章で書かなくてはいけないため、ハードルが高いと感じる方も多いでしょう。しかし志望動機は採用担当者の注目度も高く、自分のアピールをするには最適な項目です。基本的な書き方やアピールしたいポイントをチェックし、採用担当者にささる志望動機を作成してください。
なかなか情報収集が思うように進まない、志望動機のアピールポイントがわからないという人は、転職エージェントを活用しましょう。当サイト『ドライバーコネクト』では、業界に精通した専任のスタッフが手厚いサポートで転職をフォローし、条件や希望に合った仕事探しをお手伝いいたします。
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