【体験談】運送業で「女性」は活躍できる?元トラガールがメリットや働き方を徹底解説

運送業界=トラック運転手は男性の仕事というのは、イメージだけではありません。実際に運送業界は女性の進出が遅れ、女性比率は約2.4%にとどまっています。

しかし、トラック運転手は女性でも十分活躍できる仕事です。筆者はトラック運転手経験者の女性ですが、約15年毎日楽しく仕事をすることができました。

今回は、女性がトラック運転手として働くメリットや、女性ならではの働き方などについて、筆者の体験談を基にくわしく解説します。

筆者プロフィール

筆者は、トラック運転手として約15年勤務しました(ちなみに女性です)。長距離輸送・センター間輸送・ルート配送・宅配・引っ越しなど、さまざまな職種の経験があります。

筆者がトラック運転手になりたかった理由は、「稼ぎたかったから」です。当時は今よりも女性が少ない社会だったため、男尊女卑の権化のようなオジサマたちに嫌がらせを受けましたが、トラック運転手の仕事自体は大好きでした。

重たい荷物を運ぶ仕事もあったし、果てしなく遠い長距離の仕事もあったし、今思うと大変なこともたくさんありました。ただ、不思議なくらい「仕事に行きたくない」とか「辞めたい」と思うことはありませんでした。

家族の介護の関係で退職するときは、本当に落ち込んだほどです。筆者にとってトラック運転手は、天職だったと思っています。

トラック運転手は「柄が悪い」とか「底辺の仕事」とか、「3K」だとか言われることもあります。中には、本当に怖いお兄さんたちがいたり、ブラック企業もあったりしますが、そんなのは会社や仕事内容を見極めれば、大丈夫なんです。

トラック運転手は社会を支える大切な仕事。女性もぜひ転職の選択肢に加えて欲しいと思っています。

女性は運送業で活躍できるのか?

運送業で女性が活躍できるのかどうか……答えは「YES」です。運送業は女性の進出率が非常に低い職種ですが、それは運送業の3Kのイメージが強いからでしょう。

  • キツイ:重い荷物を延々と運ぶ・とにかく力仕事・力のない女性にはできない
  • 危険:交通事故に遭う可能性が高い・ケガをしやすい・腰痛などで身体を壊す
  • 帰れない:長距離で家に帰れない・家事ができない・育児ができない

全部が否定できるわけではありません。確かに交通事故の確率はプライベートだけで運転をしている人よりは高いはずです。

ただし、「キツイ」と「帰れない」の2Kについては、以前より格段に労働環境が改善されています。

運送業界は深刻な人手不足に悩まされており、国や団体がさまざまな施策を行うことで人材の確保に躍起になっているのが現状です。運送業の3Kを改善すべく、労働基準法の改正なども行われているため、女性が自分の条件に合った仕事を選ぶことも可能になっています。

運送業で働く女性の現状

女性がこれから運送業への転職を検討するのであれば、運送業で働く女性の現状を知っておくことはとても重要です。現在、運送業の女性たちはどんな状況で働いているのでしょうか?

トラック運転手は超男社会!女性比率は2.4%

総務省統計局の調査では、運送業(トラック運転手)における女性比率は2.4%、労働人口はわずか20,000人にとどまっていることが報告されています。反面、大型免許を保有する女性は134,000人以上いることがわかっており、就業条件などを見直すことでトラック運転手として働ける女性は潜在的に多いという見解も持たれているのです。

100人中2~3人しか女性がいない職場……これはもう、超男社会といえますね。

トラガール促進プロジェクト

トラガール促進プロジェクトとは、2014年から国土交通省が主導で行う取り組みのことです。女性ドライバーを増やすだけではなく、経営者等に新しい視点を提供し、業界のイメージ改革を図るための施策です。

女性が少ないため、トラック運転手の仕事は女性の立場に立って物事を考える習慣がありません。たとえばトイレの問題や、家庭との両立が可能になる働き方などです。

中には、女性というだけで排除しようとする変な風習もあるため、経営者を含む事業者全体に意識の改革を求める目的で、このプロジェクトが始動したという経緯があります。

運送業に女性が少ない理由

運送業に女性が少ない理由は、ずばり「働きにくいから」です。女性は家庭や子育てとの両立や、男性との体力的な違いがあるため、男性とまったく同じように働くことは難しいでしょう。

一般の企業であれば女性の割合がもっと多いため、女性目線の職場環境や労働条件が整備されています。長く働きたくても、ライフスタイルの変化についていけない運送業界の風習が女性を働きにくくし、結果的に女性が少ない職種になってしまっているのです。

女性が運送業で働くために必要なモノ

女性が運送業で働くためには、必要なモノが3つあります。筆者の経験を基に、何が必要なのかについて解説します。

運転免許

運送業でトラック運転手として働くためには、運転免許は絶対に必要です。普通免許だけでも勤務できる仕事はありますが、より企業選びの選択肢を増やすのであれば、普通免許だけでは心もとないかもしれません。

準中型自動車免許・18歳以上
・車両総重量3.5t以上7.5t未満
・最大積載量2t以上4.5t未満
中型自動車免許・20歳以上・普通免許等保有2年以上
・車両総重量7.5t以上11t未満
・最大積載量4.5t以上6.5t未満
大型自動車免許・21歳以上・普通免許等保有3年以上
・車両総重量11t以上
・最大積載量6.5t以上

※2017年3月12日以降に普通免許を取得した方が運転できる車両は、車両総重量3.5t未満及び最大積載量2t未満の自動車に限られます。

準中型免許は、18歳以上であれば運転歴を問わず取得できる免許です。運送業へ転職するのであれば、準中型免許以上の免許を取得することがおすすめです。

企業によっては、働きながら免許を取らせてくれる取得支援制度を設けているところもありますよ。

家族の理解

運送業界の働き方改革は、発展途上です。これから改善されていく期待は持たれていますが、まだまだ一般の仕事に比べると、ハードな面が残されています。

独身の方も既婚の方も、女性が運送業で働くためには家族の理解が必要です。どんな仕事をしているのか、仕事で大変なことは何か、なぜ運送業界で働きたいのか、仕事に関するさまざまな話を家族にしてください。

運送業を理解してもらうことは、長く働くための秘訣ともいえます。特に、運送業にマイナスイメージを持っている方に対しては誤解を解き、できる限り理解してもらえるように働きかけましょう。

健康な身体

運送業に限った話ではないかもしれませんが、健康な身体は働くためにもっとも必要なモノといっても過言ではありません。特に身体を使うことの多い運送業では、健康管理も仕事のうちといわれています。

最近ニュースで取り上げられることの多い重大事故では、運転手が病気のために意識を失ったことが原因となるケースが増えてきています。不規則になりがちな仕事だからこそ、日頃の健康管理が重要になるのです。

女性が運送業で働くメリット

女性が運送業で働くメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?筆者が実際にメリットと感じたことを3つピックアップして紹介します。

人間関係がラク

トラック運転手は、とにかく人間関係が楽です。基本的に一人の仕事なので、ウマが合わない人や嫌なヤツと一緒にいる時間は最低限で済みます。女性の多い職場にありがちな、派閥だの嫌がらせだのもほとんどありません。

筆者の同僚には、人間関係の構築が苦手な人や、職場の人間関係で嫌な思いをした人などがいました。彼女たちが口をそろえて言っていたことは、「運転手はラク」ということでした。

職場の人間関係は、自分が思っているよりも影響を受けてしまいます。その点、トラック運転手は面倒な人間関係を作る必要がないので、最低限の挨拶で済む場合もあります。

実力で評価される

トラック運転手の世界は、実力で評価されます。そうはいっても、仕事の早さではなかなか男性にはかないません。女性ならではの強みを活かした実力をつけていくことがポイントです。

丁寧な仕事は、荷主さんや取引先にとても喜ばれます。「男性じゃこうはいかない」という面から攻めていけば、それも実力として評価されます。

安全運転でも時間厳守でもOKです。自分にできることを精いっぱいやっていれば、自ずと評価がついてきます。評価されるということは、給料アップや役職への昇進なども期待できるので、女性でもたくさんのチャンスがありますよ。

稼げる

筆者がトラック運転手になった最大の理由です。バブル期は少々異常な給料でしたが、バブル崩壊後も家族を養えるくらいの稼ぎはありました。

同僚から嫌味で言われていたのは「もう少し見てくれがかわいらしかったら、運転手なんてやらなくても水商売で稼げたのにな」確かに、水商売のほうが華やかで、稼げるのかもしれませんが、筆者の場合はなぜか、運転手で稼いでいました。

コロナ禍において、ECサイト(ネットショップ)の需要増などにより運送業は深刻な人手不足です。仕事がないということはありませんし、同僚の運転手からは、猫の手も借りたいほどの忙しさという話をよく聞きます。

仕事がなくて稼げないということがなく、安定して稼げる仕事は女性にとっても大きなメリットといえるでしょう。

【パターン別】運送業での女性の働き方

運送業で女性が働きにくいというのは一昔前の話で、今ではさまざまな働き方が増えてきています。女性ならではの条件ってありますよね。そんなさまざまな条件に合うトラック運転手の仕事は、どんな職種なるの紹介しましょう。

子育て・家事と両立したい場合

子育てや家事と両立したい女性が一番気になるのは時間ではないでしょうか?保育園のお迎え、学校の行事、家事…女性は仕事以外にもやらなければいけないことがたくさんあります。

子育てや家事と両立したいという場合は、ルート配送の仕事がおすすめです。

筆者が担当していたルート配送は、毎日同じ企業を回って、荷物の引き取りや配達を行う仕事でした。車庫を出るのが9:00、配送先を回って帰社するのが16:00。力仕事は少なく、急に休まなければいけない状況になっても、同僚が代わりに回ってくれたので、迷惑をかけずに済みました(子どもがいたので、入社時に急に休まなければいけなくなることがあると伝え、会社側が筆者以外にも担当できる人間を作ってくれました)。

長距離のように家に帰れないこともないですし、多少の渋滞で時間がかかっても時間に余裕をもってルートを組めるので、問題なく働くことができました。

力仕事に自信がない場合

男性運転手のように、重い荷物の積み降ろしはできないという場合は、いっそのこと大型免許を取って、ダンプの運転手になることをおすすめします。

ダンプの運転手は、基本的に荷物の積み降ろしがありません。建築現場などへ行くことが多いので、さらなる男性社会が待ち受けていますが、仕事の内容としては女性でも十分にこなせるものです。

宅配などは一見楽そうに見えますが、米や水、果物など、意外と一つひとつの荷物が重いことがあり、エレベーターのない団地などの階段を上がり降りするのは非常に重労働です。ダンプの運転手になるには、大型免許を取得する必要がありますが、給料も良く、身体的にも負担が少ないのでおすすめです。

とにかく稼ぎたい場合

とにかく稼ぎたい場合は、大型・長距離の仕事を選びましょう。運転に自信があればけん引免許、国家資格の危険物取扱者など、運送業に活かせる資格を取得することもおすすめです。

筆者が約15年の運転手生活の中でもっとも稼いでいたのは、長距離の仕事をしていたときでした。配送先によっては車中泊をしなければいけないこともあるため、家に帰ることが条件の人には厳しいかもしれませんが、独身の方や子どもをみてくれる人がいる場合は、頑張って稼ぐことができます。資格を取ることで、資格手当がもらえる企業を選ぶこともポイントですよ。

人付き合いが苦手な場合

人付き合いが苦手で、あまりコミュニケーションをとらずに仕事をしたい人は、夜間の店舗配送などがおすすめです。夜間の配送は、とにかく人と接する機会が少なく、逆に孤独を感じるほどです。

筆者の同僚で結婚していた人は、21:00~5:00の仕事をしていました。「夜は旦那がいるから」と子どもを見ててもらって、子どもが起きる時間までには帰宅するという生活をしていました。

各家庭によって事情は異なりますが、可能であれば良い方法の一つといえるでしょう。

地元で働きたい場合

トラック運転手は長距離配送だけではありません。地場(じば)配送といわれる短距離や中距離の仕事もあります。

また、宅配などは決められた地域のみを担当するので、自分で時間を配分することもできるためおすすめです。

宅配は、場所によって当たりはずれがあります。一軒家の多い住宅街や駅前などの繁華街は当たり、古い団地が多い地域は外れなどと言われます。

理由はどれだけ階段を登らずに済むか…宅配の荷物も結構重たいものがあるので、階段を登るのは重労働なのです。それでも土地勘のある地元で働けること、自宅から近い距離で働けることは大きなメリットです。

まとめ

運送業は未だに男性社会で、女性は働きにくいと思われていますが、女性に合った働き方も徐々に増えてきています。トラガール促進プロジェクトや労働基準法の改正によって、これからはもっと女性が活躍できる仕事になっていくでしょう。

トラック運転手の仕事はやりがいもあり、メリットの多い魅力的な仕事です。「女性だから……」と臆することなく、自分の条件に合った運送業の仕事にぜひ挑戦してみてください。

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