筆者プロフィール
筆者は、約20年トラックの運転手をしていました。
- 運転手歴:約20年
- 経験した職種:長距離・ルート配送・宅配・引っ越し
元々は一般企業で事務員をしていましたが、自営業の父親が病気になり、背負っていた借金を返すためというのが、主な転職理由です。当時はバブルだったこともあり、トラック運転手は非常に稼げる仕事でした。
長距離・ルート配送・宅配・引越し……さまざまな運転手の仕事を経験しました。元々車の運転が好きだったことと、人間関係の煩わしさに面倒を感じていたので、トラック運転手の仕事は、筆者にとって天職でした。
会社や仲間にも恵まれ、「一生この仕事をしていく!」と張り切っていましたが、病気の父親とがんを患った母親の介護をしなくてはいけなくなり、泣く泣く退職しました。今でもトラック運転手の仕事は、人生で一番楽しかった仕事です(去年免許を取得した息子も、運転が大好きで、「お母さんみたいにトラック運転手の仕事もしてみたい」と言っています)。
大変なことも多くありましたが、自信を持って良い仕事だと言うことができます。仕事の内容は変わっても、トラック運転手の魅力を発信したいと思っています。
トラック運転手あるある:ドライバー編
トラック運転手あるある、最初はドライバー編です。いくつ当てはまるあるあるがあるでしょうか?
高学歴の人には変なあだ名がつく
トラック運転手の仲間で、高学歴な人には変なあだ名がつきます。
- 先生
- 博士
- 教授
- エリート
筆者の仲間内には、大卒の人が何人かいましたが、ほとんどの人が「〇〇先生」と呼ばれていました。高学歴の人があまりいないんですよね!
たいていのトラック運転手は負けず嫌い
たいていのトラック運転手は、負けず嫌いです。
- 信号で止まったら隣の車より早く発進する
- 夜間の高速道路では同じ大きさのトラックと無意識に張り合う
- ISUZUやFUSOのトラックに乗っていると『HINOには敵わない』と言う
乗車時以外にも、同じプラットフォームで積み降ろしをしていると、知らないドライバーに何となく張り合われている気がすることがありました。
筆者の場合、「女のくせに」という昭和のハラスメントで、先輩のおじいちゃんドライバーに張り合われていました。負けず嫌いが原因だったのか不明ですが、何をするにも私より先じゃないと気が済まなかったようでした。歩合給の金額を「教えろ」と詰め寄られたこともあったので、よほど負けたくなかったんだろうと思っています。
チェーンを巻けない
トラック運転手には、意外とタイヤのチェーンを巻けない人がいます。スタッドレスタイヤが普及したことが理由の一つかもしれません。
筆者は北関東や東北方面に行くことが多かったため、SAやPAで「チェーン巻けますか?」と話しかけられたことが何回もあります。スタッドレスタイヤだけでは心もとない量の雪が降っていれば、チェーンを巻かないと危険です。
特に、若い運転手に多かった記憶があります。ちなみに、筆者はチェーンを巻くことはできます!
無愛想だけど道の話には群がる
トラック運転手は、基本的に無愛想な人が多いですが、事務所などで話していると、道の話には妙に群がります。
- 〇〇へ行くには△号線のほうが早い
- ◇◇の交差点は☆日から工事
- 大型でも行ける抜け道がある
筆者は首都圏の運送会社に勤務していたため、渋滞には常に悩まされていました。仲間内の道路情報は確実だったので、それを知っている人はみんな話に群がります。
道の話以外では、うまいラーメン屋とか、車の停められるコンビニなんかも情報共有していました。
事故らない独自のジンクスを持っている
アスリートのルーティンのように、トラック運転手も事故らないための独自のジンクスを持っています。
- ハンドルカバーはいつも同じブランド
- トラックに乗るときはいつも同じ足から
- 運行後は丁寧に洗車する
- 毎年同じ神社のお守りを付ける
事故は、トラック運転手にとって命取りです。特に、新車に乗って事故なく運行を終えた日に行ったことを、続ける傾向があります。
筆者の先輩は、新車に乗るたびにトラックに名前を付けていました。往年のアイドルや昔の彼女……毎日トラックに乗るときに「〇〇、今日もよろしく!」と言っていたものです。あれも先輩なりの事故らないルーティンだったのかもしれません。
変なところの筋肉が発達する
荷物の積み降ろしがハードな仕事の場合、変なところの筋肉が発達します。
- 腕:特に上腕部分はかなり発達する。半袖がパンパンという人も少なくない。
- ふくらはぎ:台車などで重いものを納品する人は、子持ちシシャモのようになる。
- 肩:建材を担ぐような仕事の人は、神輿だこみたいに盛り上がることがある。
ちなみに、筋肉が発達しているのに、運動が得意という人はあまりいません。社内の運動会があった会社では、筋肉痛になる人が続出。鍛えているわけではなく、仕事に必要な筋肉だけが発達するのです。
トラック運転手あるある:仕事編
トラック運転手の仕事内容は、職種によりさまざまですが、共通しているあるあるを紹介します。
走行中の荷台の音には超怯える
荷物を積んで走行しているとき、急に荷台から大きな音がすると、本当に怯えます。
- ラッシングベルトが外れた
- 荷物が崩れた
- 荷物が破損した
すぐに停まれた場合でも、観音(後ろのドア)を開けるときは注意しないと、上から荷物が落っこちてくるなんていう災難もあります。荷物の破損はドライバーの自己負担というすごい会社もあるので、何かと荷物には神経過敏になって、変な音・大きな音には超怯える習性があります。
一度赤信号に引っかかるとずっと赤信号
一度赤信号に引っかかると、なぜかその後もずっと赤信号に引っかかります。赤信号に引っかかっただけで、「今日は運が悪い」「ついてない」と必要以上に落ち込むのは不思議です。
でも、本当に急いでいるときには「何なんだよ!」と叫んでしまうことも珍しくありません。
エレベーターのない建物は萎える
引っ越しや宅配の場合、エレベーターのない建物は本当にキツイです。
- 団地の5階に20Lの水を10ケース
- エレベーターがあるのに定期点検で使えないときの引っ越し
- 定期的にくる米の配達⇒団地の3階・階段なし・ドアの前に置き配
確かに、重たい荷物を自分で持ち帰るのが大変だから、配送を頼むんですよね……わかってはいますが、萎えるんです。宅配で置き配OKでない場合は、先に手ぶらダッシュで在宅を確認し、留守宅に無駄に荷物を運ばなくても良いよう、少しでも体力を温存します。
トイレを我慢することが多い
トラック運転手にとって、トイレはとても重要です。特に、女性ドライバーが大変なのは想像できると思います。
高速道路のように、SAやPAがあれば良いのですが……
- 荷待ちや降ろし待ち時間で近くにトイレがない
- 大型に乗っていると停められるコンビニが少ない
- たまに「トイレはありません」という不思議な店舗がある(貸してくれないだけ?)
本当に死活問題です。トイレを探すたびに、「男性に生まれれば良かった」と何度も思ったものです。
どこでも寝られるようになる
長距離などで車中泊を余儀なくされる生活が続くと、そのうちどこでも寝られるようになります。シートを目いっぱい倒してハンドルの上に脚をのせるのが、かなり楽に寝られる方法です。
キャビンにベッドスペースがないトラックでも、身体がうまく順応するようになります。ハンドルの上に突っ伏して寝るのは、肩が凝るのでおすすめできません。
シートを倒してハンドルの上に足を乗せて寝る場合は、カーテンの締め忘れに注意しなければいけませんね。
楽でおいしい仕事は続かない
たま~に回ってくる‟楽でおいしい仕事”は、だいたい短期間で終わります。誰か他のドライバーが担当するわけではなく、発注自体がなくなるのです。
仕事が楽な割に料金が高すぎることに、取引先が気づくのでしょうか?スポット便でもないのに……未だに不思議なあるあるです。
便利な道具はドラテクを鈍らせる
バックモニターやナビが付いているトラックに乗ってしまうと、ドラテクが鈍ります。
確かに便利な道具ではありますが、筆者は昭和の人間なので、地図を膝の上に広げて走っていた世代です。バックモニターもないので、自分自身の感覚と目視だけが頼りでした。
最近のトラックは非常にハイテクですよね。うらやましいですが、現役ドライバーの先輩に言わせると「最近の運転手は運転が下手」だそうです。
眠気を覚ます方法なんてない
本当に眠い時は、眠気を覚ます方法なんてないのです。
- メンタムを目の下と鼻に塗る
- バリバリした食感の固いおせんべいを食べる
- 眠気を覚ますガムを食べる
- 眠くならないという栄養ドリンクを飲む
- 煙草を吸う
- 歌を唄う
- 太ももをたたく
仲間内ではいろいろな方法が試されていましたが、効果的なものはあっても、完全に眠気を覚ます方法はありませんでした。本当に眠いときは、10~15分でも仮眠を取るに限るのです。
筆者はあまりにも眠くて瞼がくっつきそうになり、危険を感じて高速の路側帯に停めて寝たことがありました。巡回中のお巡りさんに注意されましたが「本当に眠くて危なかった」と必死に訴えると、「気をつけて」と言われてお咎めなしになった経験があります。
確かに、居眠り運転で事故を起こすより、駐停車違反のほうがマシかもしれません。でも、駐車場所には注意が必要です。
トラック運転手あるある:プライベート編
忙しいトラック運転手にも、プライベートはあります。でも、職業病というか何というか……トラック運転手ならではの悲しいあるあるを聞いてください!
荷物の梱包にやたらうるさくなる
引っ越しや宅配をやっていると、荷物の梱包にはやたらうるさくなります。
- 配送料を抑えるために荷物をコンパクトにしたがる
- 扱いが雑なのを知っているから妙に‟プチプチ”を巻く
- 引っ越しには必ず立ち会う
確かに、筆者も自分の引っ越しのときには、すべて立ち会い、作業員をランク付けしていたという忌まわしい過去があります。本当に大事な荷物や大型家電は、「あなたが運んでください」と手際が良く力のある作業員を指定しました。
運転を任されることが多い
プライベートで出かけるときに、運転を任されることは本当に多いです。
- 運転好きなんでしょ?
- 道知ってるよね?
- トラックの運転手なんだから運転うまいでしょ?
という勝手な思い込みを持っている人は少なくありません。
トラックの運転手には2つのパターンがあり、本当に運転が好きでプライベートもガンガン運転するという人と、トラックを降りたらできるだけハンドルを握りたくないという人がいます。
どちらに該当するのかによって、ストレスの度合いが変わってきます。筆者はプライベートでも運転が好きですが、助手席で寝られると非常に腹が立つタイプです。
休日に走っているトラックに同情する
自分が休みの日、道行くトラックを見ると「ご苦労様」と心から思うことが多いです。
- 観光地に納品に来ているトラック
- ホリデードライバーが起こした事故渋滞に巻き込まれているトラック
- 大型連休の高速渋滞に巻き込まれているトラック
この苦痛は、経験した人でないとわかりません。苦痛を知っているからこそ、同情するのです。決して「自分は休み♪」という優越感ではありません。
居眠り=悪いことというイメージが拭えない
完全な職業病です。居眠り=悪いことというイメージ。
- のんびりしてウトウトしただけなのに、居眠り運転している夢を見て飛び起きる
- 「寝てたでしょう」と言われると「寝てない!」と頑なに言い張る
- 瞼が重くなることに罪悪感を覚える
ちゃんと寝ても良い環境にあるのに、潜在意識で睡眠が脅かされることもあります。
洋服に構わなくなる
基本的に仕事中は制服や作業着の多いトラック運転手。休みの日は家でのんびりしていることが多いので、プライベートで着る洋服があまり要らなくなります。
筆者も、20代・30代とおしゃれには無縁の生活を送っていました。興味があるのはあたたかい下着や靴下、デオドラント効果のあるTシャツなど、仕事に関連する物ばかり。
忙しかったせいか、トラック運転手をしていた期間、ハイヒールには無縁でした。男性の場合は、休みの日は1日中スウェットという人も少なくありません。
お土産に魅力を感じない
長距離運転手の場合、日本全国津々浦々、さまざまな場所へ配送に行きます。筆者も北海道と沖縄以外は、東北から九州まで、ほとんどの地域へ行くことができました。
時間があれば、SAやPAで買い物をすることもあったので、「〇〇へ行ってきました!」みたいなお土産には、あまり魅力を感じません。
仲間内へのお土産で喜ばれたのは、ご当地グルメです。キーホルダーや置物よりも、食べ物のほうが絶対に喜ばれます。
まとめ
トラック運転手のあるある、きっと現役運転手の方は「そうそう!」と思うことが多かったのではないでしょうか?トラック運転手ならではの悲しい性もありますが、一生懸命やっているからこその結果だと思います。
トラック運転手の仕事は楽ではありませんが、‟ならではの楽しみ方”ができる仕事です。自分に合ったトラック運転手の仕事を探すには、情報が不可欠ですので、少しでもトラック運転手に興味を持っている方は、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください!