【体験談】運送業の求人に未経験でも応募可能?転職前の5つのチェックポイント

運送業は「未経験OK」という求人が多く、チャレンジしやすい職種の一つです。ただし、初めての業界だからこそ注意しなければいけないこともあります。

未経験の人が運送業への転職を検討するときには、必ずチェックしたいポイントがあり、失敗しないための準備が必要です。どんなことに注意をして求人を精査するべきなのか、元トラックドライバーの筆者が体験に基づいたポイントを解説します。

未経験でも運送業に転職することはできる?

そもそも、未経験で運送業へ転職することは可能なのでしょうか?答えは「YES」です。

運送業にはさまざまな職種があります。大型トラックやけん引など、運転経験の必要な職種もありますが、未経験OKと募集要項に書かれていれば、トラックに乗ったことのない人でも転職は可能です。

未経験OKとしている企業は、未経験者に対してしっかりとした研修を行います。中には、免許取得の支援制度を設け、普通免許から準中型・中型・大型と、入社後にスキルアップをさせてくれるケースもあります。

  • 謙虚で意欲が高い
  • 応募数が増える
  • 柔軟性・素直さがある

という、未経験者採用のメリットがあるからこそ、企業は未経験でもOKとしているのです。

未経験で運送業の求人に応募する際の確認項目①:免許

未経験で運送業界への転職を検討するとき、もっとも注意したいポイントは免許です。免許のどんなことに注意をすれば良いのか、くわしく解説しましょう。

保有している免許

運送業界への転職を検討するのであれば、まずは自分の保有している免許を確認します。普通自動車免許を持っていないという人は、すぐに取得しなければいけません。

普通自動車免許以外にも、運送業界では次の運転免許が必要になります。

準中型自動車免許・18歳以上
・車両総重量3.5t以上7.5t未満
・最大積載量2t以上4.5t未満
中型自動車免許・20歳以上・普通免許等保有2年以上
・車両総重量7.5t以上11t未満
・最大積載量4.5t以上6.5t未満
大型自動車免許・21歳以上・普通免許等保有3年以上
・車両総重量11t以上
・最大積載量6.5t以上

運送業界では、乗るトラックの大きさや形状によって、必要な免許の条件が異なります。これら3点を必ず確認してください。

  1. 自分が乗ることができるトラック(保有している免許)
  2. 自分の応募する会社が条件としている免許
  3. 自分の乗りたいトラックに必要な免許

ちなみに、準中型免許は運転歴に関係なく、18歳以上で取得できる免許です。運送業界へ転職を検討するのであれば、準中型免許を取得しておくと選択肢が広がるでしょう。

事故歴・違反歴

運送業で採用担当者が気にするのは、保有免許の種類と事故歴・違反歴です。採用したは良いものの、累積点数がかさんでいて、ちょっとした違反ですぐに免許停止になってしまうと会社としては大打撃だからです。

企業によっては、面接時に事故歴・違反歴を確認するところもあります。運転経歴に関する証明書は、次の4種類があります。

  1. 無事故・無違反証明書:無事故・無違反の期間の証明
  2. 運転記録証明書:過去5年・3年・1年の交通違反・交通事故・運転免許の行政処分の記録
  3. 累積点数等証明書:交通違反や交通事故の点数の累積
  4. 運転免許経歴証明書:過去に失効した免許・取り消された免許・現在受けている免許の種類・取得年月日など

申請に必要な申込用紙は、警察署・交番・各自動車安全運転センター事務所に備え付けてあります。交付料が必要になりますが、自分自身の状況を把握するために利用することを検討してください。

応募する職種

トラック運転手には多くの職種があり、企業の属する業界・荷主(運ぶ荷物)・走行距離などによって仕事内容が変わります。

所属する企業担当する仕事内容職種
運送会社荷物の輸送(配送)長距離・中距離ドライバーなど
メーカー・商社・荷物の輸送
・店舗配送
ルート配送・店舗間配送など
宅配会社・個人宅への宅配
・センター間輸送集荷
宅配ドライバー
引越業者・荷物の梱包
・荷物の運び出し
・荷物の搬入
引越しスタッフ(運転含む)

一般の方がイメージするトラック運転手とは、長距離のドライバーでしょう。運送業界未経験という人が、よくわからずに「〇〇運送」などという社名だけで応募を決めるのは早計です。

  • 何を運んでいるのか
  • どんな取引先があるか
  • トラックはどんな形態・大きさを使用しているか
  • 走行距離はどのくらいか

などについて、事前に情報収集をするか、面接時に確認するようにしましょう。

未経験で運送業の求人に応募する際の確認項目①:会社

運送業への転職を左右するといっても過言ではないのが、応募をする会社です。運送業界には、残念ながらブラック企業と呼ばれる会社が未だに存在します。

ブラック企業に入ってしまうと、2019年に改正された労働基準法など関係なく、3K(キツイ・危険・帰れない)の仕事をしなければいけなくなります。未経験だからこそ注意したいポイントを3つ紹介しましょう。

職種・取引先

どんな職種で、どんな取引先があるのかを必ず確認してください。業種と取引先がわかれば、おおよその仕事内容がわかります。

職種取引先仕事内容
長距離輸送・港湾関係
・物流会社
・運送会社 など
荷主から請け負った荷物を所定の配送先まで届ける (長距離)
地場配送・建材関係
・物流会社
・運送会社 など
荷主から請け負った荷物を所定の配送先まで届ける (短~中距離)
ルート配送・コンビニエンスストア
・クリーニング
・病院
・薬局
・ホームセンター など
特定の荷主から特定の配送先へ荷物を届ける
宅配便・宅配会社個人宅や会社・店舗などへ請け負った荷物を届ける
引越し・引越し業者荷物の運び出し・搬入・設置・梱包・輸送を行う

自分の希望している職種を見極め、募集をしている会社がどんな仕事をしている会社なのかを理解できるようになると、現実と理想のギャップは生まれにくくなります。わかりにくい場合は、応募先に確認すると良いでしょう。

トラックの保有台数

トラックの保有台数は、会社の規模や経営状態がわかる重要な要素です。

  • トラックの保有台数が多い:会社規模が大きい
  • トラックの保有台数が少ない:会社規模が小さい
  • いろいろな種類のトラックがある:取引先や運ぶ荷物の種類が多い
  • 1つの種類のトラックに絞られている:取引先が固定している
  • トラックが新しくきれい:経営が安定している
  • トラックが古くてボロボロ:経営難に陥っている可能性がある

できれば面接前に実際に応募する会社を観察できることがBESTですが、無理な場合は面接時に確認をしましょう。採用担当者との話にギャップはないか、違和感を覚えることはないかも注意してください。

雇用形態

トラック運転手の雇用形態には、主に3つの種類があります。どの雇用形態で募集をしているのかを確認しないと給与などの条件がまったく異なりますので、チェックする必要があります。

正社員・雇用期間の定めのない雇用契約
・36協定の範囲で残業を義務付けられている
・解雇することが厳しく制限されている
契約社員・労働契約にあらかじめ雇用期間が定められている
・準社員・嘱託・非常勤などと呼ばれることもある
・契約期間の満了によって労働期間は自動的に終了
アルバイト パート・雇用されている正社員と比べて労働時間が短い
・臨時の仕事などで雇われるケースもある
・正社員への雇用形態の変更も可能
【番外編】 業務委託・雇用契約を結ばない
・労働者としての保護を受けることができない
・宅配会社で軽貨物の個人事業主と結ばれることの多い契約形態

運送業界で多いのは、アルバイト・パートから正社員に雇用形態が変更されるケースです。募集時はアルバイトだとしても、条件によっては正社員になれることもあるため、正社員の募集じゃないからといって諦めることはありません。

ただし、企業ごとに社内規定が異なるため、確認の必要はあります。どの雇用形態での募集なのか、勤務する上での条件を理解して応募することがポイントです。

未経験で運送業の求人に応募する際の確認項目③:給与

転職時にもっとも気になるのは、給与だという人も多いことでしょう。確認したい3つの項目をピックアップしますので、情報収集を行って確認してください。

手当の有無

トラック運転手として働くには、手当が充実している会社を選ぶべきです。

  • 資格手当
  • 残業手当
  • 休日手当
  • 住宅手当
  • 家族手当

などが主な手当の種類です。長距離運転手の場合は、残業手当や休日手当が充実していることが大切ですし、危険物取扱者や運行管理者など、将来的に運送業界で活かせる資格を取得したときの資格手当も重要です。

運送業界では、手当が充実している会社は非常に人気があります。他にも、交通費の支給があるかなども確認したいポイントです。

賞与の実績

賞与の有無は、年収に大きく関わるので、転職前に確認したい重要な項目です。運送業界でありがちなのは、「賞与あり(業績による)」というケースです。

業績によるというのは、業績が悪ければ賞与は支給しないということになります。中には、「賞与なし」と記載すると、応募人数が減ってしまうため、元々支給するつもりがないのに「賞与あり(業績による)」と記載するブラックな企業もあるのです。

賞与の規定は賃金規定に明記されていることがほとんどで、賞与支給の基準などもハッキリしていることが大前提です。賞与の実績は必ず確認しましょう。

昇給

昇給とは、勤続年数や職務上の昇格に応じた賃金の増額のことです。定期的に行われる定期昇給制度と、職務の変更に伴って行われる不定期昇給制度があります。

運送業界に長く勤めるのであれば、昇給はあるに越したことはありません。運送業界では、昇給制度の整った企業は大手運送会社などが多く、規模の小さい企業ではなかなか実現されていないのが現実です。

正社員以外の雇用形態でも昇給は行われるべきものなので、昇給の有無・タイミング・方法を確認しておくことも忘れないようにしてください。

未経験で運送業の求人に応募する際の確認項目④:提出書類

転職時には欠かせない書類提出。中には書類選考が先にあり、書類選考に通過しないと面接までたどり着けないこともあります。

運送会社に提出する書類は、どんなことに注意すれば良いのでしょうか?

履歴書

履歴書は通常の履歴書と同じく、マナーを守って書けばOKです。

  • 最終学歴は中学校卒業から記入
  • 学校名は正式名称で
  • 転職回数が多くても基本的には全部記入
  • 無職の期間がある場合も正直に記入
  • 写真は3ヶ月以内に撮影したものを使用

転職回数が多く書ききれない場合は、職務経歴書に詳しく記載しましょう。

多くの履歴書を書く場合にありがちなのが、雑に書いてしまうことです。書いている方は多くの量を書いていても、採用担当者が目にする履歴書は1枚です。

「字が汚くて読む気がしない」と思われないよう、丁寧に書いてください。

職務経歴書

職務経歴書は、転職者にとって非常に重要な書類です。書き方のポイントを押さえて、しっかりとアピールできるようにしましょう。

職務経歴書を見やすくまとめるポイントは、箇条書きです。

  • 在籍していた企業名
  • 担当した職務内容
  • 実績や評価

を書く前にピックアップしておくと、まとめやすくなります。だらだらと文章で書いたり、誤字脱字が多かったりするのはNGです。

書き慣れない人も多いかもしれませんが、WEBでは自動作成してくれるツールなどもありますので、利用してみるのもおすすめです。

志望動機

未経験の場合の志望動機のポイントは、なぜ運送業界で働きたいのかということです。経験者であれば、経験・資格をアピールすることができますが、未経験者の場合は採用担当者も「何で運送業に応募してきたんだろう?」と思っています。

また、運転が好きなこと・体力に自信があることなども盛り込むことで、印象の良い志望動機になるので、スペースの半分以上は埋めることができるように考えてください。

未経験で運送業の求人に応募する際の確認項目⑤:適性

運送業=トラック運転手は、向き不向きのハッキリとした仕事です。トラック運転手に向いていない人が転職してしまった場合、ストレスがフルになり、長く勤めることは難しくなるでしょう。

転職前に、自分がトラック運転手に向いているのかどうか、適性を見極めることもポイントです。

運転が好きか

トラック運転手になるには、運転が好きなことが第一条件です。

トラック運転手はどの職種でも、トラックを運転するのがメインの仕事です。長い時間ハンドルを握り、長距離を走ることもあります。

運転が嫌い・運転に自信がないという人は、転職を再検討した方が良いでしょう。

体力に自信はあるか

トラック運転手は、体力に自信のある人が向いています。荷物の積み降ろしはもちろん、長い時間運転をすることは思っているよりも体力を使います。

車中泊など、ゆっくりと寝られないことなどもあるため、体力に自信のない人にとっては、非常にキツイ仕事になってしまう可能性があります。また、腰痛などの持病がある場合は、悪化してしまう恐れがありますので、転職前に主治医に相談する方が良いでしょう。

一人の時間が好きか

トラック運転手は、基本的に一人の時間が長い仕事です。一人で仕事をすることが好き・一人でいる時間が苦にならないという人が向いています。

常に誰かと接していたい人や、仲間との共同作業でやりがいを覚えるタイプの人は、トラック運転手には向いていません。同僚とのコミュニケーションが取れないわけではありませんが、他の仕事に比べると圧倒的に短時間なのが特徴です。

人間関係の煩わしさがなく、最低限のコミュニケーションですむことがトラック運転手のメリットでもあります。「一人で運転する時間が苦にならない……」トラック運転手に向いているのは、そんな人です。

まとめ

運送業界は、未経験でも勤務できます。ただし、未経験ならではの注意点もあるので、事前に情報収集を行い、勘違いやギャップが生まれないように努めることが大切です。

ECサイトの需要増加などにより、運送業界は深刻な人手不足に悩まされています。少しでも運送業界に興味がある人は、ぜひ挑戦してみてください。やりがいのある、素敵な仕事ですよ!

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