【2022】運送業の転職に有利な免許は?資格を一挙解説!

運送業は、免許や資格を取得することで、非常に転職が有利になります。

業界自体が転職意向が強く、異業種からの未経験者でも比較的挑戦のしやすい業界です。資格や免許を取得することで仕事の幅が広がり、転職の選択肢も増えるため、運送業界で長く働きたいという人は免許や資格の取得を積極的に行うべきだといえるでしょう。

今回は、元トラック運転手の筆者が運送業界で本当に活かせる免許・資格について解説します。異業種からの転職希望者だけではなく、運送業界内での転職希望者にも役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてください。

運送業の免許・資格には2種類ある

運送業で活かせる免許や資格には2種類あり、入社した企業や配属された部署によって必要なものが変わってきます。現場系と管理系の2種類に分けて内容を紹介しましょう。

現場系

現場系の免許・資格とは、運送業界の要となる運転手に必要な免許・資格といえます。

  • 自動車運転免許
  • フォークリフト運転技能者
  • 玉掛け作業者

などが該当し、トラックの運転だけではなく荷物の積み降ろしに必要な免許・資格です。

運送業の場合、自動車運転免許は普通運転免許証だけだと仕事の範囲が限定されてしまいます。求人がまったくないわけではありませんが、準中型以上の免許が必要とされる仕事が多いので、年齢や運転経験に応じてできる限りの取得がおすすめです。

管理系

管理系の免許・資格とは、現場をスムーズに動かすために必要なものを指します。

  • 運行管理者
  • 運行管理補助者
  • 整備管理者

などが該当し、運送業を行う上では欠かせない免許・資格ともいえるものです。

免許・資格を取得する条件が定められているものが多く、実務経験を求められるケースもあります。運送業界で働きながら、現場だけではなく管理に関する資格を取得するというキャリアプランが一般的といえるでしょう。

さらに資格には3つの種類がある

資格には国家資格・公的資格・民間資格の3つの種類があります。

国家資格・国が認めている資格
・資格取得の難易度が高いため社会的信用性は非常に高い
公的資格・官庁や大臣が認めた資格や検定
・公的に認められた資格のため転職時に有利になる
民間資格・民間団体・企業・学校などが定めた基準で認定する資格
・法律的な規制はない

3つの資格はそれぞれ難易度・実施される時期・回数・受験の条件が異なります。自分の取得したい資格がどの資格に該当するのかを理解して、スケジューリングを行うことがポイントです。

また、所属する会社によって資格手当や支援制度なども変わってくるため、仕事をしながら取得する場合は会社への相談も欠かせません。自分のキャリアプランを明確にして取得していくことが求められます。

現場系の運送業で取得したい免許・資格6選

運送業の最前線で働く運転手。転職で有利になる現場系で取得をおすすめしたい免許・資格を紹介しましょう。

中型自動車運転免許

中型免許は、20歳以上で普通免許の保有が2年以上あれば取得できる免許です。道路交通法の改正で以前は普通免許だけで運転できたトラックが、運転できなくなっているので注意しましょう。

条件・20歳以上
・普通免許等保有2年以上
取得方法・指定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格する
・運転免許試験場で技能試験を直接受験する
運転できる車両・車両総重量7.5t以上11t未満
・最大積載量4.5t以上6.5t未満

中型免許は、20歳以上・保有歴2年以上という方は持っていると良い免許です。特に、異業種からの転職を希望されている方は、転職先の選択肢が多くなるため、取得をおすすめします。

業界内で転職を検討している方も、中型免許を取得することで、給与アップの可能性が高くなるはずです。

令和4年(2022年)5月に道路交通法が改正されました。「自動車の積載の制限及び大型・中型免許取得の受験資格」が変更となり、特別な教習を修了した者・19歳以上かつ普通免許等保有1年以上で中型自動車免許の取得が可能になりました。

大型自動車運転免許

運送業界で長く働きたいというキャリアプランを持つ方は、大型免許は取得するべき免許です。大型免許があれば転職の幅はさらに広がり、給与もかなり上がることが考えられます。

条件・21歳以上
・普通免許等保有3年以上
取得方法・指定自動車教習所へ通って技能卒業検定に合格する
・運転免許試験場で技能試験を直接受験する
運転できる車両・車両総重量11t以上
・最大積載量6.5t以上

条件には

  • 21歳以上
  • 普通免許保有3年以上

があるため、普通免許を18歳で免許を取ったとしても、最速で21歳での取得となります。

大型免許は運送業界でもっとも需要があるといっても過言ではありません。さまざまな業種で活躍することができますので、将来的に取得することを視野に入れておくと良いでしょう。

令和4年(2022年)5月に道路交通法が改正されました。「自動車の積載の制限及び大型・中型免許取得の受験資格」が変更となり、特別な教習を修了した者・19歳以上かつ普通免許等保有1年以上で中型自動車免許の取得が可能になりました。

けん引車免許

けん引免許は、トレーラーやキャリアカーなどの特殊車両を運転するのに必要な免許です。

トレーラーは運送業界でも専門性が高いため、給料も高い傾向があります。

条件・満21歳以上
・普通運転免許の経験3年以上
・片眼で0.5以上、両眼で0.8以上の視力があること(眼鏡・コンタクト可)
・深視力検査3回の平均誤差が20mm以内であること
取得方法1. 自動車教習所へ入校⇒卒業
2. 運転免許センターで適性検査(学科・実技免除)
運転できる車両トレーラー

けん引免許は付随的な免許であるため、普通・準中型・中型・大型など、運転する車両に応じた運転免許を取得していることが必須になります。運送業界では大型免許とセットで考えられることが多く、中型以上の車両との組み合わせが一般的です。

高度な運転技術を必要とする免許のため、他の免許よりも取得条件が細かく設定されているのが特徴といえるでしょう。

危険物取扱者

危険物取扱者とは、化学物質・ガソリン・灯油などの危険物を一定数量以上取り扱う際に必要となる資格です。運送業界でも、化学物質・ガソリン・灯油などを輸送するには、運転免許にプラスして危険物取扱者の資格が必要になります。

受験資格 (甲種)・乙種危険物取扱者免状を有する者
・大学などで化学に関する学科などを修めて卒業した者
・大学などで15単位以上化学に関する授業科目を修得して卒業した者
・化学に関する学科または課程の修士・博士の学位を有する者
取得方法・危険物取扱者試験に合格する
・定められた期間ごとに危険物取扱者保安講習を受ける必要あり

危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種の3種類があります。運送業界で運転手としてタンクローリーなどを運転するには、乙種4類の取得が適していますが、運搬する物によって必要な種類が変わるので、取得前の確認が必要です。

フォークリフト運転技能者

フォークリフトは、荷物の積み降ろしで利用するものです。工場や店舗内などで使用することが多いですが、通常の運転免許だけでは操縦することができません。重量のある荷物や大きさのある荷物などを運ぶ仕事では、必須の資格です。

条件・18歳以上
取得方法・フォークリフト運転特別教育の受講(各事業所で実施)
・フォークリフト運転技能講習の受講(各都道府県の労働局長に登録を受けた教習所で実施)

フォークリフトを操縦する資格には、2つの取得方法があります。

  • 最大積載荷重1t超:都道府県登録教習機関での「フォークリフト運転技能講習」
  • 最大積載荷重1t未満:都道府県登録教習機関での「フォークリフト運転特別教育」

どちらも講習を受講し修了する必要があり、難易度が低めのため取得しやすい資格です。

荷主によっては、資格を持っていない運転手には荷降ろしをさせないというところもあるので、重量や大きさのある荷物を扱う場合には取得しておくと良いでしょう。

玉掛け作業者

玉掛け作業者とは、クレーンに荷物をかけたり外したりする作業を行う人のことです。この作業は、玉掛け作業者の資格を保有していないとできません。

条件・満18歳以上
取得方法・玉掛け技能講習または玉掛け特別教育の受講・修了

玉掛け作業者の資格を持っていると、運送業界では非常に重宝されます。特に家具・ピアノ・大型家電などの搬送を行う運送会社や引越業者、工事現場への資材搬入などを扱う会社では、必須に近い資格です。

管理系の運送業で取得したい免許・資格3選

運送業界には現場だけではなく、現場が安全かつスムーズに運行を行えるよう、管理を行う人間も必要です。そんな業務を担う人に必要な、管理系の免許・資格を3つご紹介しましょう。

運行管理者

運行管理者とは、トラックなどの営業用自動車が安全に運行するのに必要な運行管理を行うための資格です。運行管理者は国家資格として取得ができます。

運行管理者の資格を取得するには2つの方法があり、どちらかを選択することが可能です。

1. 国家試験に合格する・1年以上の実務経験を積んでいること
・実務経験と同等の講習を修了していること
・「貨物」と「旅客」の2種類の試験がある
2. 一定の条件を満たす・5年以上の実務経験があること
・基礎講習や一般講習を5回以上受けていること
・5回以上の講習のうち少なくとも1回は基礎講習を受講していること

運行管理者の資格は難易度が高く、取得が難しいといわれています。しかし、資格を取得すれば、現場のドライバーとしてだけではなく、管理者として勤務することができます。役職手当などが付くことも多く、条件の良い求人が多いことが特徴です。

運行管理補助者

運行管理補助者とは、運行管理者の業務をサポートするのがメインの仕事です。

条件・運行管理者・基礎講習の修了者
取得方法・「運行管理者基礎講習(貨物)」受講する

運行管理者は車両の所有台数に合わせた選任が必要ですが、業務内容が非常に多く、時間的にも厳しい状況におかれることが多いです。そこで運行管理補助者は、点呼・運行指示書の作成や運転手への伝達を運行管理者の代わりに行うことができます。

また、運行管理補助者は選任された営業所に支障がない限り、同じ会社であれば他の営業所の運行管理補助者を兼務することができるのが特徴です。運行管理補助者から運行管理者へのステップアップをするケースが多く見受けられます。

整備管理者

整備管理者とは、その名の通り運送会社の保有するトラックなどの整備や管理を行う仕事です。整備管理者としての試験はありませんが、他の資格の取得や研修の受講が必要になります。

条件・一級・二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者
・国土交通大臣が告示で定める基準以上の技能を有する者
・自動車の点検もしくは整備・整備の管理に関して2年以上実務の経験を有し地方運輸局長が行う研修を修了した者
配置・5両以上の使用の本拠ごとに設置(※トラック・乗車定員10人以下の場合)

整備管理者はトラックなどの保有台数に関わらず、1つの営業所に1人配置されることが定められています。自動車の運行の可否を決定したり、点検整備記録簿などの記録簿を管理するのが主な仕事です。

また、所属する運転手に対し、車両の日常点検について実施の方法を定めて実施させることも重要な職務といえます。

運送業で免許や資格の取得が重視される理由

運送業では、免許・資格の取得が非常に重要視されます。なぜ免許・資格が重要視されるのか、3つの理由を解説しましょう。

専門性が高いから

運送業で免許・資格が重要視されるのは、専門性の高い仕事であるからです。運転技術は一朝一夕で身につくものではないので、免許・資格を持っていれば良いということではありませんが、少なくとも専門的な知識やスキルを持っているということになります。

運送業の免許・資格の特徴は、国家資格が多いこと。国家資格は資格取得の難易度が高いため、社会的信用性が非常に高いです。特に、運転免許は運転技術の実技と法令などを学ぶ学科の試験に合格する必要があります。

プロの運転手として仕事を遂行する上では、免許・資格は欠かせないものであり、運転手としての基礎的な部分といえるかもしれません。

スキルやキャリアが可視化できるから

運送業で免許・資格を取得するメリットは、スキルやキャリアが可視化できることです。業界共通の免許・資格であれば、履歴書を見るだけでどのくらいのスキルやキャリアがあるのかは一目瞭然といえるでしょう。

運送業で自分に有利な転職を行うには、スキルやキャリアを可視化するために資格を取得することが必須です。異業種から未経験で物流業界へ挑戦する人も、運送業界で働くための準備として免許・資格の取得をすることで、熱意やキャリアプランをアピールすることができます。

スキルやキャリアの可視化は、転職を有利に運ぶための条件ともいえます。

転職に有利になるから

運送業界は転職意識が高い人が多く、業界自体も転職に対するハードルは低めです。業界内で知識や経験を積み、キャリアアップをするための転職をするケースが多いのです。

筆者も実際に運送業に携わっていた時は、資格取得制度を利用して免許や資格を取得し、給料のアップや条件の良い転職などを経験しています。同じ業界であっても、キャリアアップを目指す人にとっては資格取得が一つの手段になります。

転職の際に免許・資格を持っていることで、自分にとって有利な条件で転職活動をすすめられることも事実です。

まとめ

運送業に活かせる免許・資格には多くの種類があります。比較的簡単に取得できるものから、条件が厳しく難易度の高いものまでさまざまです。

今回紹介した免許・資格は、運送業界におけるより良い転職や給与アップにつながる要素といえます。運送業界で長く働こうと考えているのであればぜひ免許・資格の取得に挑戦してみてください。仕事や転職の幅が広がり、さらなるやりがいを見出すことができるはずです。

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