【体験談】トラック運転手の「いいところ」は?元運転手がメリット・デメリットを解説

トラック運転手は、社会生活を支える重要な役割を担っています。しかし、トラック運転手にはネガティブなイメージが多く、若い世代の業界離れや業界自体の高齢化が問題視されています。

筆者は、元トラックドライバーです。トラック運転手の仕事は大変でしたが、とてもやりがいがあり、天職と思えるほど大好きな仕事でした。

そこで今回は、筆者の経験をもとに、トラック運転手のいいところを紹介します。トラックドライバーのメリット・デメリットや仕事の選び方なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。

トラック運転手のいいところ・メリット5選

トラック運転手の仕事にはたくさんのメリットがありますが、中でも筆者が声を大にして紹介したい5つのメリットをピックアップしました。

煩わしい人間関係に悩まされない

トラック運転手は、煩わしい人間関係に悩まされないというメリットがあります。

トラック運転手の仕事は、基本的に一人の時間が多く、同僚や上司と一緒にいる時間は非常に少ないです。取引先やお客様など、最低限のコミュニケーションは必要ですが、常に同じ場所にいるわけではないので、人間関係で悩むことはあまりありません。

仕事上の人間関係は、大きな影響力を持ちます。大変な仕事でも人間関係が良好であれば頑張れる、人間関係が原因で仕事を辞めるということもあるでしょう。

トラック運転手は最低限の人間関係を保てば良いので、負担に感じることが少なくなります。

転職のハードルが低い

トラック運転手は、転職のハードルが低く、挑戦しやすい仕事であることもメリットの一つです。

トラック運転手は、年齢・学歴・性別不問で、未経験でもOKという会社がほとんどです。運転免許は必須ですが、絶対に持っていなくてはならない資格などもありません。

頑張れば頑張っただけ評価される仕事なので、やりがいもあります。スキルアップして、業界内で好条件の会社に転職することも可能です。

異業種から未経験で転職することも、業界内で条件を良くするために転職することもできるため、どんな人でも挑戦できるメリットがあります。

さまざまな職種が選べる

トラック運転手は、いろいろな職種が選べることもメリットといえるでしょう。

職種仕事内容
長距離輸送荷主から請け負った荷物を所定の配送先まで届ける
ルート配送特定の荷主から特定の配送先へ荷物を届ける
宅配便個人宅や会社・店舗などへ請け負った荷物を届ける
引越し荷物の運び出し・搬入・設置・梱包・輸送を行う

一般的なトラック運転手のイメージは長距離輸送かもしれませんが、トラック運転手には長距離輸送以外にも、いろいろな仕事があります。

また、所属する企業によっても職種があり、仕事内容が異なります。

所属する企業担当する仕事職種
運送会社荷物の輸送(配送)長距離・中距離ドライバーなど
メーカー・商社・荷物の輸送
・店舗配送
ルート配送・店舗間配送など
宅配会社・個人宅への宅配
・センター間輸送
・集荷
宅配ドライバー
引越業者・荷物の梱包
・荷物の運び出し
・荷物の搬入
引越しスタッフ(運転含む)

職種によって勤務時間や給与が違うので、自分に合った仕事を選べるというメリットがあります。

運転スキルが身につく

トラック運転手最大のメリットは、運転スキルが身につくことです。トラック運転手の乗るトラックの大きさは、主に3種類あります。

  • 小型(積載量2t以下)
  • 中型(積載量4tクラス)
  • 大型(積載量10tクラス)

それぞれ運転免許が必要になりますが、何より運転している時間や距離が多くなるため、自然と運転スキルが身につきます。

今ではカーナビが普及しているので昔ほどではありませんが、道を覚えられることもメリットといえるかもしれません。

高収入が期待できる

トラック運転手は、高収入が期待できるメリットもあります。

職種(一般)2019年平均賃金(円)2018年平均賃金(円)対前年比(%)
男性運転者平均335,700338,50099.2
男性・けん引運転者383,500391,50098.0
男性・大型運転者356,000355,100100.3
男性・中型運転者282,800297,10095.2
男性・準中型運転者284,900294,40096.8
男性・普通運転者282,000294,40095.8
女性運転者平均274,400294,70093.1
女性・けん引運転者348,300344,500101.1
女性・大型運転者320,200316,200101.3
女性・中型運転者247,700279,00088.8
女性・準中型運転者291,200281,500103.4
女性・普通運転者216,200263,10082.2

参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会

さらに運送業界で活かせる資格を取得することで、資格手当や役職手当などをもらえることもあるので、給料アップの可能性が高くなります。

トラック運転手の仕事にデメリットはある?

トラック運転手の仕事はメリットの多い仕事ですが、デメリットが存在することも事実です。メリットばかりを考えていると、転職後に「こんなはずじゃなかった!」とギャップを生んでしまうことになるので、デメリットもきちんと理解しておきましょう。

仕事が不規則になりがち

トラック運転手は、仕事・生活が不規則になりがちです。特に長距離の運転手には、不規則になりやすい傾向があります。

  • 荷下ろし・積み込みの順番待ち
  • 交通渋滞
  • 事故・天候による通行止めや渋滞
  • 車の不調

など、思いがけないトラブルによって、結果的に残業になる可能性があるからです。

仕事内容によっては、規則的な生活を送れる職種もあります。転職前に仕事内容や勤務時間、残業の有無などをきちんと調べることが重要です。

事故のリスクがある

トラック運転手には、常に事故のリスクがつきまといます。一般の人よりも長い時間ハンドルを握っている以上、事故のリスクが高くなることは頭に入れておきましょう。

自分では気を付けていても、相手から勝手に起こされる事故もあります。

また、疲労などから判断能力が欠けてしまって、自ら事故を起こしてしまう可能性もあるのです。運転手時代、筆者は2回事故に遭いました。

1回目は料金所で後ろから突っ込まれた追突事故、2回目は高速道路で追い越しをかけられた際の接触事故でした。どちらも過失は少なかったものの、家族や会社には大きな心配をかける結果になってしまいました。

近年ではスマートフォンの普及で「ながら運転」が増え、事故の発生率も高くなっています。トラック運転手になる以上は最大限の注意を払い、事故を起こさないようにすることを考えなくてはなりません。

ルーティンワークになりがち

トラック運転手の仕事は、ルーティンワークになりがちで、慣れてくると退屈に感じてしまうデメリットがあります。特に、ルート配送などは、毎日同じ荷主・ルート・配送先になるため、マンネリ化を感じやすいです。

どんな仕事でも同じかもしれませんが、毎日同じことの繰り返しになると、どうしても飽きや惰性が生まれます。トラック運転手の仕事は職種によって仕事内容が異なるので、飽きやすい性格の人は、中・長距離の配送などで配送先が異なる仕事を選ぶと良いでしょう。

長時間労働の可能性がある

トラック運転手最大のデメリットは、長時間労働の可能性があることです。

トラック運転手の長時間労働は、解決しなければならない問題として、国は2019年に労働基準法の改正を実施しました。

  • 1日の拘束時間は13時間以内が基本・延長する場合でも16時間が限度
  • 1日の休息期間は継続して8時間以上が必要
  • 1日の拘束時間を延長する回数は1週間につき2回が限度

トラック運転手の現状は、荷待ち・渋滞・工事・事故など、思いもよらない事情で、長時間労働を余儀なくされることがほとんどです。少しでも労働環境を改善しようとさまざまな施策が行われていますが、長時間労働になる可能性があるということは、頭に入れておく必要があります。

腰痛や痔などに悩まされることがある

腰痛や痔は、トラック運転手の職業病ともいわれ、悩まされている現役運転手はたくさんいます。特に重たい荷物を手で積み下ろしする仕事の場合は、腰痛(ギックリ腰)になる確率が高くなります。長距離で長い時間座った体制を続けていると、腰痛+痔に悩まされることも多いです。

筆者も現役時代は腰痛に悩まされました。通院もしていましたが、「運転手の仕事を辞めない限り良くなることはない」といわれ、矯正のベルトや湿布などで乗り切っていました。

仕事内容によっては、フォークリフトで積み下ろしができる場合もあります。腰痛や痔に不安のある方は、仕事内容をよく調べてから転職をすることが大切です。

トラック運転手のいいところを最大限活かす転職のポイント

トラック運転手への転職には、成功するポイントがあります。トラック運転手のいいところを最大限活かせる転職のポイントを3つ紹介しましょう。

会社を選ぶ

運送会社はたくさんあります。その中から自分に合った、きちんとした会社を選ばなくてはいけません。

  • 給与体系がしっかりとしていること
  • 勤務条件に無理がないこと
  • 車両のメンテナンスを行っていること
  • 福利厚生制度が充実していること

以上の4項目は、最低限のポイントです。運送業界には、残念ながらブラック企業と呼ばれる会社が存在します。転職前には、応募する会社の情報収集を徹底的に行いましょう。

職種を選ぶ

トラック運転手には、複数の職種があります。職種によって、勤務時間や走行距離、給料、運ぶ荷物・運転するトラックの大きさや形状が異なります。自分の希望や条件に合った職種を選択して、転職しなければなりません。

トラック運転手は基本的に年齢や性別は不問ですが、仕事内容によってはある程度対象者が絞られてくることもあります。

状況条件合う職種
子育て中・夜間は家にいたい
・学校行事に配慮して欲しい
・保育園の時間内で仕事を終わらせたい
ルート配送 宅配
大黒柱として稼ぎたい・30万円以上の月給
・社宅などの福利厚生
大手の長距離ドライバー
40代以上の転職・手積み手下ろしは避けたい
・一定の金額は稼ぎたい ・短~中距離
ダンプ 陸送

自分の状況と条件を明確にして、自分に合った職種を見つけることで、長く働くことが可能です。

適性を見極める

トラック運転手の仕事は、向き・不向きがハッキリとしています。自分はトラック運転手に合う適性を持っているのかどうか、見極めることも大切です。

  • 単純作業が苦にならない
  • 気が長い
  • 一人でいることが好き
  • 体力に自信がある
  • 自己管理ができる
  • ストレス耐性がある
  • 注意力・集中力を保てる

向いていない人がトラック運転手になってしまうと、ストレスフルの状態になり、長く勤務することは難しくなります。特に気の短い人や、ストレス耐性のない人は、トラック運転手になるのは避けた方が賢明です。自分の適性を見極めてから転職活動をすることも大事なポイントです。

トラック運転手のいいところを感じることができる人の特徴

筆者は現役時代、トラック運転手に向いているとよく言われました。向いていたからか、トラック運転手の仕事を苦痛に感じたことはありませんでしたし、いまだに自分にとっての天職だったといえるほど大好きな仕事でした。

トラック運転手の仕事を「いい仕事だ」といえる人には特徴があります。メリットを最大限に活かすことのできる人の特徴を紹介しましょう。

運転が好きな人

何といっても運転が好きでなければ、トラック運転手のいいところを感じることはできません。長距離の運転も、長時間の運転も苦にならない人は、トラック運転手の仕事は非常に楽しいと感じることができるでしょう。

運転が好きでなければ、トラック運転手の仕事は苦痛でしかありません。運転は下手だけど好きだという人は、徐々に運転はうまくなるので大丈夫です。

元々「運転が好きでない」「知らないところを走るのは苦手」というような人は、転職を避けた方が良いでしょう。

一人の時間が苦にならない人

トラック運転手は、一人の時間が長い仕事です。一人でいることが苦にならない人であれば、トラック運転手の仕事でストレスが溜まってしまうことも少なくなります。

煩わしい人間関係が少ないことはトラック運転手のメリットですが、まったくコミュニケーションがないわけではありません。

実際に、筆者は仲の良い運転手が数人いて、いまだにお付き合いが続いているほど良好な関係を築けました。仕事の愚痴を言い合ったり、人生相談をしたり、くだらない話で盛り上がったり……。基本的にみんな一人でいることが好きなので、相手を尊重した付き合いができています。

ただし、常に誰かとつながっていたい人や、チームで働くことが好きという人にとっては、トラック運転手の仕事は苦痛でしかないはずです。

キャリアアップに積極的な人

トラック運転手は、キャリアアップができる仕事です。免許や資格を取得することで、条件の良い会社へ転職できたり、給料がアップしたりするので、積極的に取り組むことができる人は、トラック運転手のメリットを十分に感じることができるでしょう。

運送会社の中には、免許や資格の取得を支援してくれる制度を設けている会社もあります。「準中型」「中型」「大型」「けん引」などの運転免許や、「運行管理者」「整備管理者」「危険物取扱者」などの国家資格取得を支援してくれるのです。運送業界で活かせる資格を取得すれば、仕事の選択肢はさらに広がります。

積極的にキャリアアップを望んで挑戦できる人は、トラック運転手にとどまらず、運送業界で活躍できる人材となれるでしょう。

まとめ

トラック運転手の仕事は、いいところがたくさんある楽しい仕事です。ただし、メリットだけではなくデメリットも存在しますので、きちんと理解した上で働くことが大切だといえるでしょう。

異業種からの転職で不安の方が大きいという場合は、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。業界に精通した専任のスタッフが手厚いサポートで転職をフォローします。 やりがいを感じることができるトラック運転手の仕事がたくさんありますので、転職の選択肢に加えてみてください。