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長距離ドライバーのメリット
突然ですが……長距離ドライバーは楽しい仕事です。
筆者は運転手生活の中で5年ほど長距離ドライバーとして働いていました。性格的に向いていたこと・稼ぎが良かったこと・運転が好きだったこともあり『大変なこともあったけど楽しかった』というのが正直な気持ちです。
では、長距離ドライバーにはどのようなメリットがあるのか、実体験も交えて紹介しましょう。
日本全国いろいろなところへ行ける
運ぶ荷物にもよりますが、長距離ドライバーは日本全国いろいろなところへ行けます。筆者は北海道と沖縄以外は仕事で行くことができたので、非常に楽しかったです。
タイトなスケジュールのときは、あまりゆっくりはできませんが、その土地の名産品や絶景などに触れることができるのは、長距離ドライバー最大のメリットといえるでしょう。
寒い時期に雪の多い地方へ行くことと、台風の時期に西日本方面へ行くことは避けたいですが、それでも自分の住んでいる地域と全く異なる土地へ行けるのは長距離ドライバーの醍醐味。高速代・燃料代を気にせずに旅行ができるようなものです。
一人の時間を満喫できる
長距離ドライバーは、当然運転の時間が長くなります。基本的に運転している間は一人の時間なので、一人の時間を満喫できることもメリットです。
筆者にとって、一人になる時間というのはとても貴重だったため、長い運行も苦にはなりませんでした。筆者の同僚には
- 歌が大好きでカラオケの練習をしている(ずっと歌っている)
- 落語を聞いている
など、趣味を楽しんでいる猛者もいました。運転には気を使いますし集中力も必要になりますが、一人で過ごせる時間を確保できるのは長距離ドライバーのメリットといえます。
給料が高い
トラックドライバーには複数の職種がありますが、中でも長距離ドライバーの給料はトップクラスです。大型やトレーラーなどに乗っている場合は、かなり高い給料がもらえるでしょう。
『一度にたくさんの荷物を遠くまで運ぶ』のが長距離ドライバーの仕事です。同じ会社でもルート配送や地場配送と長距離ドライバーは、給料が雲泥の差になります。
筆者は長距離ドライバーの後に地場配送を担当しましたが、給料をもらったときに『こんなに違うんだ!』とびっくりした経験がありました。仕事内容も大変ですが、頑張った分だけ給料に反映されるのは、長距離ドライバーのやりがいにつながっています。
好きな運転をたくさんできる
運転が好きな人にとって、長距離ドライバーはこれ以上ない仕事といえます。好きなことを仕事にするのは非常に難しいことですが、運転好きを活かすのに最適なのが長距離ドライバーの仕事です。
運転が好きな人は、長時間の運転が苦になりません。好きな運転をしてお金を稼げる……運転好きにはこれ以上幸せなことはないでしょう。
人間関係に悩まされない
トラックドライバーのメリットに、人間関係の煩わしさに悩まされないということが挙げられます。長い時間一緒の空間で過ごす上司や同僚がいないのはとても気が楽ですし、無駄なストレスを抱えることが少なくなります。
特に、長距離ドライバーは、一人の時間が長い仕事です。荷主・配送先などとのコミュニケーションは必要ですが、最低限でOK。人間関係が不得手・煩わしさを感じやすいという人には長距離ドライバーはメリットの多い仕事です。
長距離ドライバーのデメリット
長距離ドライバーはやりがいのある楽しい仕事ですが、メリットばかりではありません。デメリットが存在することをきちんと理解しておかないと、『こんなはずではなかった!』と後悔することになってしまいます。
では、長距離ドライバーになる上で生じる可能性のあるデメリットを5つ紹介しましょう。
あまり家に帰れない
長距離ドライバーは数日かけて荷物を運ぶことが多いため、あまり家に帰れなくなります。一般的な会社員のような生活はできないことを理解しておきましょう。
ただし、2019年には労働基準法が改正され、トラック運転手(特に長距離ドライバー)の拘束時間についての是正が行われています。『一度運行に出たら何週間も帰れない』といったことはありませんので、毎日は家に帰れないという程度の理解で問題はありません。
具合が悪いときはかなりツラい
トラックドライバーも人間です。急に体調を崩したりすることは誰にでもあることです。
長距離で仕事に出ているときに具合が悪くなるのは、正直ツライもの。筆者の周囲ではこんな声がありました。
- 何がつらいって腹痛(下痢)はどうしようもない
- 熱が出たら危ないのでとりあえず休憩する
- 膀胱炎になったときが一番つらかった
体調不良は急に起こることが多いので、自己管理の大切さが身に染みるという声が多く聞かれました。
腰痛・痔になりやすい
トラックドライバーの職業病ともいえる腰痛や痔。長距離ドライバーは他の職種よりも座っている時間が長いので、腰痛や痔になりやすい傾向があります。
重い荷物を持ち運ぶことでも腰痛は発症しますが、同じ姿勢を継続することでも同程度の腰痛になります。腰痛ベルトを装着したり、痛み止めの薬を常備したり……自分の仕事に支障が出ないようにさまざまな方法で腰痛対策をしているドライバーは非常に多いです。
不測の事態に巻き込まれやすい
事故・渋滞・通行止めなど、長距離ドライバーは不測の事態に巻き込まれやすいというデメリットもあります。地場配送であれば迂回路などを知っている可能性もありますが、初めての土地ではしらないことばかりです。
特に、事故による高速道路の通行止めは一大事。筆者も経験したことがありますが、初めての山道を恐る恐る走りました。状況によっては延着(荷物の到着が遅れること)を了承してくれるケースもありますが、多くの場合はドライバーの努力に託されます。
いきなり起きる不測の事態は、長距離ドライバーにとっての大きなデメリットです。
ハードなスケジュールになることもある
人員不足や特別な事情で、運行スケジュールがハードになる可能性もあります。到着時間までのスケジュールがギリギリになると、ドライバーは多少の無理をしてでも延着しないように努めます。
帰社時間を早めるように言われることなどもあるので、『ハードなスケジュールになることもある』という認識はしておいた方が良いでしょう。
長距離ドライバーの仕事を楽しいと思える人の特徴
長距離ドライバーは向き・不向きが非常にハッキリしている仕事です。向いている人にとってはこれ以上ない仕事ですが、向いていない人にとってはストレスフルな仕事に感じてしまいます。
どんな特徴を持った人が長距離ドライバーを楽しいと感じることができるのか、3つの条件を紹介しましょう。
運転が好き
運転が好きであるということは、長距離ドライバーの絶対条件です。他のどんな仕事よりも、ハンドルを握っている時間は長くなります。
運転が好きであれば長時間の運行も苦になりませんし、長距離ドライバーの仕事自体にやりがいを感じることができるでしょう。
一人の時間が好き
長距離ドライバーは一人の時間が長いため、一人の時間が好きという人が向いています。誰かといつも一緒にいたい人、チームで仕事をすることが好きな人は向いていません。
一人でも苦にならずに仕事ができることが、長距離ドライバーの条件です。
緊張感を楽しめる
長時間ハンドルを握ることは、非常に緊張感を伴います。その緊張感を楽しめる人であれば、長距離ドライバーに向いているでしょう。
職業運転手として、無事故・無違反で運行することは責務です。どんなに慣れていても、常に緊張感をもってハンドルを握ることができるのが、長距離ドライバーの条件になります。
【インタビュー】現役長距離ドライバーに聞いてみた素朴な疑問
実際に長距離ドライバーとして働いている人に、長距離ドライバーに関する素朴な疑問を投げかけてみました。現役ドライバーはどのように感じているのか、生の声を紹介しましょう。
Q1:長距離ドライバーの仕事って楽しい?
【長距離ドライバー歴20年・Aさん(50代・男性)】
「楽しいですね。運転が好きなので、仕事が嫌だと思ったことはあまりありません。自分は高校中退しているので、学歴がないんです。でもトラック運転手は学歴なんて関係ないし、頑張ればその分評価してもらえる業界だと思います。
3回転職して今の仕事をしていますが、何でトラック運転手が悪く言われるんだろうと不思議に思うくらい、自分にとっては楽しい仕事です。」
【長距離ドライバー歴12年・Bさん(40代・男性)】
「楽しいか楽しくないかと言われたら楽しいね。そりゃ大変なことだってあるから、楽な仕事だとは言えないよ。安易な気持ちでできる仕事じゃないと思うからね。
俺の場合、人付き合いが苦手であんまり他人と接触しない仕事がしたかったんだよ。だからって家に引きこもってるわけにもいかないから、知り合いで運転手やってる人がいて、話しを聞いたら俺に向いてるかもって思った。
家族には最初ちょっと反対されたけど、実際に働いたら何にも言わないよ。頑張ってることはわかってくれてるし、かみさんは「亭主元気で留守がいい」なんて言ってるしね。」
Q2:長距離ドライバーって家に帰れない?
【長距離ドライバー歴16年・Cさん(40代・男性)】
「普通のサラリーマンと比べたら『帰れない』だよ。だって、東京から九州なんていったら何日もかけて行くわけだし。家に帰れないっていうレベルが毎日なのかって聞かれたら、帰れないって答えるね。
でも、休みがないわけじゃないし、メチャクチャなシフトが組まれてるわけでもないから、そんなに大変だと思ったことはない。家族も理解してくれてるし、この仕事のおかげで人並み以上の生活ができてるんだからね。子どもの学校行事とかに行けなかったことはあるけど、その分休みのときに家族サービスしてるよ。」
【長距離ドライバー歴3年・Dさん(30代・女性)】
「帰れないことの方が多いっていう感じです。行く場所や荷物によって違うので、全部が全部同じじゃありませんから。でも出発前にある程度予定はわかるし、よほどのことがない限り、突発的にっていうこともないから、プライベートのスケジュールを立てることはできます。
うちはまだ子どもがいないんですが、旦那さんも運転手なので、運転中は電話で話したりしてます。家に帰れないのは仕事があるっていう証拠ですから。子どもが産まれたら厳しい時期もあると思うけど、今のところはまったく問題なしですね。」
Q3:長距離ドライバーって稼げる?
【長距離ドライバー歴10年・Eさん(40代・女性)
「他の仕事に比べたら稼げますよ。特に私はシングルマザーなんで、この仕事してなかったら子ども達を学校に行かせることも難しかったかもしれませんね。
今まで子ども達のためにいろんな仕事をしてきたけど、長距離ドライバーになってからは掛け持ちで働かなくても良くなりました。子どもが小さいうちは長距離が難しかったから地元配送で働いてたけど、今は大きくなってきたので私が数日家に帰れなくても自分たちで頑張ってます。」
【長距離ドライバー歴21年・Fさん(50代・男性)】
「バブル期は本当に異常だったけど、今でも普通に稼げる仕事だと思うよ。おかげさまでコロナでみんな大変なときも、仕事がないっていうことはなかったし、かえって忙しくなって大変だったくらい。普通のサラリーマンだって今じゃ急に会社がダメになったりすることもあるでしょ。社会生活は俺たちがいなければ成り立たない!って言い聞かせながら仕事しているよ(笑)
長距離ドライバーはそこそこ稼げるっていうのが正しいかもね。今のご時世、いろんな稼ぎ方があって、自分に合った稼ぎ方が選べる時代になったでしょ。そんな中でも堅実に稼げる仕事だって思ってる。
でも、うちは何とか子ども2人大学卒業させて、小さいけど家も買えた。ちょっとは貯金もある。そのくらいの稼ぎは十分あるっていうことを伝えたいね。」
まとめ
トラックドライバーの花形ともいうべき長距離ドライバー。長距離ドライバーにはメリット・デメリットが双方存在し、向き・不向きもハッキリとした仕事です。学歴や年齢に関係なく働けること・頑張った分評価がされること・安定した仕事の供給があることで、実際に長距離ドライバーをしている人たちはやりがいを見出しています。
運送業界は深刻な人手不足に悩まされていますが、間違ったイメージやネガティブな印象が先行していることは否定できません。正しい情報収集を行い、自分に合ったドライバーの仕事を見極められる目を持ちましょう。
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やりがいを感じることができる長距離ドライバーの仕事がたくさんありますので、転職の選択肢に加えてみてはいかがでしょうか?