目次
物流(倉庫)業界の基本知識
物流(倉庫)業界を目指すには、物流(倉庫)業界のことをきちんと理解しておく必要があります。物流(倉庫)業界とはどのような業界なのか、3つのポイントから読み解いていきましょう。
仕事内容
物流(倉庫)業界には主に次の業務があります。
- 倉庫内にある荷物を検品する
- 荷物を梱包する
- 運ばれてきた荷物を降ろす
- 荷物を指定の場所に運んで整理する
- ピッキングする(出荷する荷物を集める)
- 梱包した荷物にラベルを貼る
- トラックへ積み込みを行う
もちろん、倉庫内の作業だけではなく、事務処理や管理業務を行う倉庫事務などの仕事もあります。物流(倉庫)業界は多くの仕事が流れ作業で行われることが特徴です。
自分のセクション(持ち場)の仕事を他のセクションの人と協力して行うことが必要になります。
物流(倉庫)業界はさまざまな製品・商品を扱っています。宅配の荷物やスーパーの取扱製品、ホームセンター、電化製品・電子部品など、扱う製品や商品によって仕事内容も異なりますので、どんな業種の倉庫なのかを最初に理解しておきましょう。
必要なスキル
物流(倉庫)業界で働くには、必要なスキルがあります。
- 自動車運転免許:配送を担当する場合は必須
- フォークリフトの運転技能:倉庫作業で使用するフォークリフトの資格は有利
また、海外からの荷物を扱う場合は、英語のスキルや貿易の知識があると非常に有利です。基本的に物流(倉庫)業界でこれがなければ働けないという資格はありませんが、持っていると有利な資格があるため、できるだけ挑戦すると良いでしょう。
物流(倉庫)業界の現状
物流(倉庫)業界の現状は、深刻な人手不足が課題となっています。若い世代の労働力が確保できないことで、働く世代の高齢化も顕著です。
平成21年に国土交通省が調査した『物流施設における労働力調査 』では、以下のような結果が報告されています。
- 生産年齢層である15~64歳の人口は、2005年から2055年までの50年で8,400万人から4,600万人と半数近くまで減少する見込みである。
- 2001年の時点では、20代以下の若年層の割合は産業全体が27%、倉庫業が28%であるが、2030年には産業全体が20%、倉庫業が15%まで減少する見込みである。
- 倉庫業労働者の2007年の平均年齢は41.6歳で、2001年と比較すると2.1歳上昇している。
- 2004年以降、倉庫業は産業全体の平均年齢を上回っている。
参照元:物流施設における労働力調査 |国土交通省政策統括官付参事官(物流施設)室
少子高齢化はどの産業にも多大な影響を及ぼしています。人材不足は物流(倉庫)業界だけではありませんが、コロナ禍で業務が増加したことを考えると、より一層人材の不足に業界全体が危機感を募らせているのが現状です。
物流(倉庫)業界で働くメリット
物流(倉庫)業界で働くことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?物流(倉庫)業界の主なメリットを4つ紹介します。
安定した雇用が見込める
物流(倉庫)業界で働く最大のメリットは、安定した雇用が見込めることです。
前項で解説したように、物流(倉庫)業界は現在深刻な人手不足に陥っています。物流(倉庫)業界は社会のインフラを支える仕事です。仕事がなくなるということは考えられません。
アルバイトやパートなどで仕事に慣れてから正社員への道を目指すことも可能です。
業務内容が平準化されている
物流(倉庫)業界の業務内容は平準化されていることが多く、未経験の人でも働きやすい環境にあります。物流(倉庫)業界で働くために取得しなければならない資格・学歴などは問わないケースがほとんどです。
仕事自体も覚えるのに何か月もかかるような複雑なものではなく、短期間で一人前になれることの多い傾向があります。未経験でも挑戦しやすい業界といえるでしょう。
勤務時間の調整がしやすい
物流(倉庫)業界は勤務時間の調整がしやすいこともメリットの一つです。多くの倉庫ではシフト勤務となっており、希望の時間帯に働くことができます。
短時間・夜間・平日のみなど、ライフスタイルに合わせた働き方ができるため、さまざまな条件の人を受け入れることが可能です。シフトの移動なども調整がしやすく、申請や届け出を行うことで柔軟に対応してくれるケースが多いことも特徴です。
給与待遇が良い傾向にある
物流(倉庫)業界は給与待遇が良い傾向にあります。正社員としてはもちろん、非正規雇用の場合も時給制・日給制の設定が高いため、安定した収入を得ることが可能です。
物流(倉庫)業界は現状人手不足ということもあり、企業が給与待遇の見直しや労働環境の改善などを積極的に行っています。人材確保のための施策が行われていることで、好条件の求人も増加している傾向です。
物流(倉庫)業界で求められる人物像
物流(倉庫)業界では、どのような人物が求められているのでしょうか?実際に物流(倉庫)業界の人事担当をされていた方にインタビューし、物流(倉庫)業界の採用担当者が条件として挙げている人物像を聞いてみました。
※採用担当者Yさん:ホームセンターの倉庫業に長年携わり、採用担当者として多くの求職者との面接経験あり。現在は配送センターのセンター長として人材の育成にも関わっている。
ルーティンワークが苦にならない人
Yさん「倉庫業は特に難しい仕事ではありません。創意工夫して行う仕事というよりは、一つひとつの仕事を確実にこなしていくことが求められます。
うちの倉庫の場合は、扱う商品ごとに担当者がいて、配送する店舗ごとに仕分けを行います。もちろん流れ作業なので、一人ですべてを行うわけではありません。
仕事内容が単調になりやすいので、ルーティンワークが苦にならない人が良いと思っています。変化に富んだ仕事ではないので、そのことを理解して欲しいですね。
中には、せっかく入社しても、ルーティンワークに耐えられずに辞めてしまう人もいます。こればっかりは向き不向きがあるので、自己診断になりますが、面接ではルーティンワークになりやすいことを伝えるようにしています。
単調な仕事が苦手な人やルーティンワークで飽きてしまう人は向いてないですね。」
丁寧な作業ができる人
Yさん「倉庫業って雑なイメージを持たれている人もいるんですが、丁寧な作業をしないと周囲に迷惑がかかります。なので、丁寧な作業ができる人が良いですね。
「このくらい良いだろう」とか「誰かが直してくれるだろう」というようなタイプの人は、いりません。流れ作業でやっている以上、自分に与えられた仕事は完ぺきにこなして欲しいです。そうしないと周囲の人に迷惑も負担もかかります。
以前荷物の積み込みをしていた運転手から、「荷造りの仕方が悪くて荷物が崩れた」とクレームを受けたことがあります。写真を見せてもらったのですが、確かに何も基本的なことができていませんでした。
商品を破損したらそれは損害になります。荷物を丁寧に扱えること、自分のミッションを確実にこなせることが最低条件なのです。
器用・不器用ではなく、仕事に対する姿勢は外見や話し方に出るので、雑な印象を受ける人は採用しませんね。」
体力に自信がある人
Yさん「倉庫業はある程度体力がある人でないと長続きしません。重たい荷物を仕分けするだけでなくて、長時間立ちっぱなしで行う仕事ですから。長時間立ちっぱなしというのは意外と疲れるんです。一日でヘトヘトになるアルバイトの人もいますからね。
うちのセンターで一番きついのは、トラックから荷物を降ろす作業かもしれません。コンテナの中に入って荷物を出したりしますので、夏場はかなりきついです。
シフトの配置は責任者が考えているので、できるだけ体力に自信のある人にお願いしていますが、いつもいつも同じ人というわけにはいきませんよね。できればいろいろなセクションの仕事ができるオールラウンダーがいて欲しいと思うので、あまり体力に自信のない人は事務仕事をお願いしています。
荷降ろしはトラックの運転手さんたちも手伝ってはくれますが、基本的にはこちらの仕事なので、できる限りうちの人間でまかないたいんです。体力に自信があるという人は、別に学歴や前職に関係なく、挑戦して欲しいなと素直に思いますよ。」
協力する姿勢を持てる人
Yさん「別にコミュニケーション能力とまではいわないですが、周囲と協力する姿勢を持てる人が良いですね。自分のことだけ考えて、自分中心になってしまうとこの仕事はできません。常に周囲の状況も考えて動ける人が望ましいです。
最近多いのが、アルバイトの若い子たちは自分の仕事しかしないんですよ。誰かが近くで忙しそうにしていても、声すらかけない。昨日今日入った新人ならともかく、もう何年も顔を合わせているのに、「手伝いましょうか」の一言が言えないんです。
ちょっと協力すれば全体がスピードアップするのに、自分の仕事が終わっていればそれで良し。合理的といえばそうかもしれないけど、うちの社風には合わないなと思います。社員登用はしないですね。
ルーティンワークだからこそ、周囲の状況を判断できる目を持って欲しいんです。自分ができないなら上司に報告すれば良いし、誰か別の人にSOSを出したって良い。全体の進捗を見れないんでしょうかね。残念だけどそういう人が増えてきています。」
物流(倉庫)業界の志望動機を書くときのルール
物流(倉庫)業界へ転職を希望する理由は人それぞれです。ただし、履歴書の志望動機には書き方のルールがあります。どんなことに注意して志望動機を書くべきなのか、3つのポイントをお伝えしましょう。
業界の研究をしっかりと行う
志望動機を書くときには、業界の研究をしっかりと行いましょう。業界のことを知らなければ、上っ面だけの曖昧な内容になってしまうからです。
採用担当者が求める志望動機は、いかに具体的かということ。自分の持っているイメージではなく、物流(倉庫)業界のことをしっかりとリサーチした上で書かなければいけません。
物流(倉庫)業界・応募企業を選んだ理由を明確にする
物流(倉庫)業界を選んだ理由、この企業を選んだ理由は、明確に書きましょう。物流(倉庫)業界のメリットや現状などを理解し、自分にとって魅力的だと感じた部分を具体的に書いてください。
注意したいのは、理由の中で待遇ばかりを前面に押し出すことです。確かに、転職の際に注目するのは待遇かもしれません。ただし、待遇が転職の軸になっていると見なされると「好条件の仕事があればすぐに転職してしまう」というレッテルを貼られてしまいます。
物流(倉庫)業界は他の業種よりも好条件のケースが多いです。条件ではなく、仕事の内容や業界の将来性などに着目していくと良いでしょう。
自分にできることは何か棚卸しする
志望動機を書く前に、まず自分のスキルや経験を棚卸ししてください。その上で、物流(倉庫)業界で活かせることは何か、これから自分が取り組むべきことは何かを把握しましょう。
特に業界未経験の方の場合は、自分にできることはないと勘違いしてしまいがちです。異業種からの転職でも、物流(倉庫)業界で活かせる経験はたくさんあります。
自分に何ができるのかがしっかりと把握できると、志望動機もより具体的で明確な内容にすることができるのです。
【例文】物流(倉庫)業界の志望動機はこう書こう!
実際に物流(倉庫)業界へ転職する際の志望動機はどのように書くべきなのでしょうか?シチュエーションによってポイントが異なりますので、3つの種類に分けてポイントを解説します。
未経験者の場合
前職は、自動車部品の工場でライン作業を行っておりました。 丁寧に商品を扱うことの重要性や、一つの作業を地道にやり遂げる責任感を学んだと思っています。 前職で得た経験を倉庫業でも活かせると思い、転職を決意いたしました。 倉庫業ではピッキングや梱包作業などで体を動かすことも多いと知りました。 学生時代はサッカー部に所属し、毎日トレーニングをしていたため、体力には自信があります。 これまでの経験や自分の資質が活かせるのではと考え、応募いたしました。 |
未経験の場合は、自分の職歴などから物流(倉庫)業界で活かせるスキルをアピールする必要があります。この例文は、未経験であるにもかかわらず、物流(倉庫)業界をしっかりと理解していることが伝わり、何が物流(倉庫)業界で必要とされているのかも把握していることがわかります。
- 丁寧に商品を扱うことの重要性
- 体力に自信がある
というアピールポイントがしっかりと押さえられた例文です。
経験者の場合
前職は運送会社のドライバーとして勤務していました。 繁忙期には社内の倉庫の仕分け作業のサポートも行った経験があります。 フォークリフトの操作経験があり、倉庫作業全体の流れも理解できています。 今回は前職のスキルを生かして倉庫管理に挑戦したいと考え、転職を決意いたしました。 貴社の目標としているDX化にも非常に興味があり、最先端の物流倉庫で働けることは非常に魅力を感じています。 同業での経験で各セクションの仕事内容なども理解しております。 倉庫業にかかわるさまざまな立場のスタッフが働きやすいように動くことを心がけたいと思っています。 |
経験者の場合、前職で何を学んだのか、その経験をどう活かせるのかという視点で書くことがポイントです。
経験者の志望動機で注意したいことは、前職の批判などネガティブな内容は書かないことです。たとえネガティブな理由で転職をしたとしても、ポジティブな内容に書き換えが必要です。
新卒・第二新卒の場合
私は学生時代、陸上部で3年間活動していました。 インターハイへの出場経験もあり、身体づくりの習慣があります。 以前アルバイトで倉庫業の業務に携わったことがありますが、体力に自信のある私に合った仕事だと感じました。 説明会で伺ったスタッフのワークライフバランスを整える取り組みに対して、大きな魅力を感じています。 いち早く貴社に貢献できるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 |
社会人経験のない新卒・第二新卒の場合は、どんなことで自分が貢献できるのかという視点と、どれだけ業界や企業に関する研究を行ったのかということがポイントになります。
アルバイトで業界を経験していることは大きな強みですし、説明会にもきちんと参加していること、何を得ることができたのかがしっかり書けている例文です。
まとめ
物流(倉庫)業界は安定性があり、未経験の人でも挑戦しやすい業界です。明確で具体的な志望動機を書くには、業界研究・企業研究が必須になります。
「なかなか情報収集が思うように進まない」「志望動機のアピールポイントがわからない」という方は、転職エージェントを活用がおすすめです。
当サイト「ドライバーコネクト」では、業界に精通した専任のスタッフが、手厚いサポートで転職をフォローし、条件や希望に合った仕事探しをお手伝いいたします。物流(倉庫)業界に少しでも興味のある人は、ぜひ当サイトへお気軽にご相談ください。