目次
物流業界とは
「物流」という名称は知っていても、業界の詳しい仕事内容を知っている方は多くありません。まずは、物流業界とはどのような業界なのか、仕事内容や物流業界の抱える課題などについて解説します。
物流業界の職種
物流業界とは、物の流れを担う業界のことです。生産者から商品の運搬を行い、消費者まで届けることが主な仕事です。
物流業界は大きく分けると、陸運・空運・海運の3種類に分類でき、職種には次のようなものがあります。
- 保管
- 荷役(にやく)
- 流通加工
- 運搬・輸送・輸入
- 情報管理
扱う製品・商品によって多少の差異はありますが、物流業界には多くの職種があることがわかります。
物流業界の仕事内容
物流業界の主な仕事は、生産者から消費者へ必要な物を運ぶことです。ただし、職種によって仕事内容が異なりますので、前項で紹介した職種ごとに仕事内容を解説しましょう。
職種 | 仕事内容 |
---|---|
保管 | ・生産者から受け取った荷物を保管しておく業務 ・輸入のタイミングなどの調整も含まれる |
荷役 | ・荷物の積み下ろし・倉庫内の持ち運びなどを行う業務 ・港湾作業員・倉庫作業員などがある |
流通加工 | ・物を運びやすいように加工する業務 ・包装・梱包・箱詰めなどがある |
運搬・輸送・輸入 | ・トラック・鉄道・船などで物資を運ぶ業務 ・トラック運転手・宅配便なども含まれる |
情報管理 | ・倉庫・運行などをシステム管理する業務 ・宅配便の荷物追跡サービスなどが代表的 |
他には、企業ごとの事務作業を行う事務職や営業職などもあります。
物流業界の抱える課題
物流業界は現在深刻な人手不足と、長時間労働への対策が解決しなければならない課題となっています。物流業界でとりわけ深刻な人手不足に悩まされているのは、運送業です。
令和2年(2020年)に国土交通省が行った調査では、次のような内容が報告されています。
- 道路貨物運送事業における人手が不足していると感じている企業の割合は、平均で70%にも及ぶ。
- 少子高齢化が急速に進行しており、2065年には総人口の約40%が65歳以上になる見通しであり、生産年齢人口は2020年比約2,600万人減となる見通し。
- トラックドライバーは全産業平均以上のペースで高齢化が進んでおり、高齢層の退職等を契機として今後更に労働力不足が深刻化する恐れがある。
同じく、国土交通省が発表した調査では次のように報告されています。
- 平成30年10月の貨物自動車運転手の有効求人倍率は2.79
- 全職業の有効求人倍率は1.49
有効求人倍率だけで判断することは難しいですが、他の業界や職種と比較して、運送業界の人手不足がどれだけ深刻かということがわかる結果です。
また、運送業における長時間労働は、以前から解決すべき課題として取り上げられていました。国土交通省が平成27年に実施した調査では、次のように報告されています。
- ドライバーの1運行の拘束時間は、全体では13時間以内が63.4%であるが、16時間超が13.0%となっている。車種別にみると16時間超の割合は、大型が16.6%と最も高く、中型で7.5%、普通で3.1%となっている。
- 連続運転時間4時間超の運行は、長距離で32.7%、短・中距離で5.7%となっている。
- 走行距離帯別にみたドライバーの1運行の拘束時間は、16時間超は長距離で43.1%、短・ 中距離で5.3%となっている。
参照元:トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)|国土交通省
特に、大型・長距離のドライバーは、拘束時間・連続運転時間が長く、休息時間が短いことがわかります。こういった調査結果を受けて、現在国を挙げて労働環境の見直しが行われています。
物流業界は未経験でも転職できる?
未経験で物流業界へ転職することは可能なのでしょうか?答えは「YES」です。
物流業界にはさまざまな職種があります。英語のスキルや貿易の知識など、専門的なスキルや知識が必要な職種もありますが、「未経験OK」と募集要項に書かれていれば転職は可能です。
未経験OKとしている企業は、未経験者に対してしっかりとした研修を行います。
- 謙虚で意欲が高い
- 応募数が増える
- 柔軟性・素直さがある
など、未経験者採用には多くのメリットがあるからこそ、企業は未経験でもOKとし、人材確保を行うのです。
倉庫業・運送業などは、学歴や年齢を問わず、未経験者でもOKとしている企業が多くあります。物流業界にもさまざまな職種がありますが、多くは未経験でもチャレンジできることが多いといえるでしょう。
物流業界が求める人物像とは
物流業界が求める人物像とは、どのような資質を持った人なのでしょうか?物流業界に適している人の特徴を3つ紹介します。
スキルアップの意欲が強い人
物流業界は、スキルアップの意欲が強い人を求めています。物流業界の仕事はルーティンワークになる傾向があるため、スキルアップをしたいと思わなければ、同じ仕事をいつまでも続けているだけという状況に陥りがちです。
意欲を持っていれば、有利な資格などを積極的に取得したり、会社の資格取得制度を利用したりすることで、自分自身がスキルアップできます。また、現場だけではなく管理職になるための勉強などもあるため、現状に満足しないハングリーさが求められるでしょう。
コミュニケーション能力のある人
物流業界ではコミュニケーション能力のある人が求められます。物流業界は多くの職種の人が物の流れを支えているため、周囲の人とコミュニケーションを取る能力は必要です。
余分なことを話すというわけではなく、必要なことをきちんと伝えられるということです。自分のことだけではなく、周囲の人の状況を判断したり、声を掛け合ったりすることが自然にできればOKです。
自分で考えて行動できる人
物流業界で求められるのは、自分で考えて行動ができる人です。物流業界は比較的ルーティンワークになりやすい傾向がありますが、ただ言われたことだけをやっていても何も成長につながりません。
効率的な方法を模索する・周囲との連携方法を見直すなど、実際に働いている現場の視点で物事を考えることができれば、企業に貢献することができるからです。
自分で考えて行動するということは、意外と難しいものです。常に前向きな姿勢で仕事に取り組める強さも必要といえるでしょう。
物流業界への転職で有利になる資格
物流業界へ転職する際に、持っていると有利になる資格があります。どういった資格なのか、主な資格を4つ紹介しましょう。
各種運転免許
物流業界、特に運送業界を目指す人にとっては、運転免許の取得は必須です。
平成29年(2017年)3月に施行された改正道路交通法により、普通免許で運転できるトラックの大きさが変更になりました。
準中型自動車免許 | ・18歳以上 ・車両総重量3.5t以上7.5t未満 ・最大積載量2t以上4.5t未満 |
中型自動車免許 | ・20歳以上・普通免許等保有2年以上 ・車両総重量7.5t以上11t未満 ・最大積載量4.5t以上6.5t未満 |
大型自動車免許 | ・21歳以上・普通免許等保有3年以上 ・車両総重量11t以上 ・最大積載量6.5t以上 |
小型のトラックであれば普通免許で運転することができますが、準中型免許や中型免許を持っていないと、積載量4tクラス中型トラックは運転ができません。
準中型免許は、免許保有歴に関係なく18歳以上で取得できる免許です。運送業へ転職したいと検討している方は、各種運転免許の取得をおすすめします。
フォークリフト運転技能者
倉庫内の荷物管理や、トラックへの荷物の積み降ろしなどで必要なフォークリフトは、運転免許では操縦することができません。
条件 | 18歳以上 |
取得方法 | ・フォークリフト運転特別教育の受講(各事業所で実施) ・フォークリフト運転技能講習の受講(各都道府県の労働局長に登録を受けた教習所で実施) |
フォークリフトを操縦するには、
- 最大積載荷重が1tを超える場合:都道府県登録教習機関での「フォークリフト運転技能講習」
- 最大積載荷重が1t未満の場合:都道府県登録教習機関での「フォークリフト運転特別教育」
を受講・修了する必要があります。物流業界では、フォークリフト運転技能者の資格を持っていると非常に有利です。
運行管理者
運行管理者とは、トラックなどの営業用自動車が安全に運行するための運行管理を行う資格で、国家資格として取得するものです。運行管理者の資格を取得するには2つの方法があり、どちらかを選択することができます。
1. 国家試験に合格する | ・1年以上の実務経験を積んでいること ・実務経験と同等の講習を修了していること ・「貨物」と「旅客」の2種類の試験がある |
2. 一定の条件を満たす | ・5年以上の実務経験があること ・基礎講習や一般講習を5回以上受けていること ・5回以上の講習のうち少なくとも1回は基礎講習を受講していること |
運行管理者の資格を取得すれば、現場のドライバーとしてではなく管理者として勤務することができるので、スキルアップには最適な資格といえるでしょう。
危険物取扱者
危険物取扱者は、化学物質やガソリンなどの危険物を扱う際に必要な国家資格です。
受験資格(甲種) | ・乙種危険物取扱者免状を有する者 ・大学などで化学に関する学科などを修めて卒業した者 ・大学などで15単位以上化学に関する授業科目を修得して卒業した者 ・化学に関する学科または課程の修士・博士の学位を有する者 |
取得方法 | ・危険物取扱者試験に合格する(甲種・乙種・丙種の3種類があり乙種4類が仕事に活かしやすい) ・定められた期間ごとに危険物取扱者保安講習を受ける必要あり |
物流業界では危険物を扱う職種もあります。取得していると、転職の幅が広がるでしょう。
物流業界への転職をおすすめしたいのはこんな人
物流業界を目指す人の中には、自分が物流業界に向いているのかどうか不安に感じる方も少なくないでしょう。物流業界に向いている人の特徴を6つピックアップしてお伝えするので、自分が該当しているかどうかチェックしてみてください。
丁寧で几帳面な人
物流業界は丁寧な作業が求められます。お客様の荷物を扱っているという意識がなければなりません。
雑な扱いをすることでクレームが発生する可能性が高いため、倉庫業などでは丁寧な作業以外にも几帳面さを持ち合わせている人がおすすめです。
責任感の強い人
物流業界に向いている人は、責任感の強い人です。責任をもって自分に与えられた仕事をできなければ、周囲の人やお客様に多大な迷惑をかけることになります。
なあなあで仕事をすることでミスが発生してしまうこともあるため、最後まできちんと仕事を成し遂げられる人が向いているでしょう。
ストレス耐性のある人
物流業界は変則的な勤務などもあるため、ストレス耐性がある人が向いています。特に運送業界では、一人で仕事をする時間が長く、周囲の人とコミュニケーションが取れないことが特徴です。
多少のストレスがあっても上手く気分転換ができたり、ポジティブに物事を考えることができたりする人でないと、長く勤務することは難しくなります。
ルーティンワークが苦にならない人
物流業界はルーティンワークになりがちです。その特徴を理解した上で、ルーティンワークが苦にならず、常に改善する高い意識を持てる人が向いています。
単調な作業にすぐ飽きてしまう人や、常に変化を求めるタイプの人は物流業界に転職することは再検討が必要でしょう。
ロジカルシンキングができる人
ロジカルシンキングとは、論理的思考のことです。ロジカルシンキングは、問題解決を行うときに、原因の特定や解決策の立案に効果的といわれる思考プロセスです。
ルーティンワークになりがちな物流業界ですが、常にロジカルシンキングができる人は将来的に企業にとって必要な人材となり得えます。そのため、企業としても求める人物像だといえます。
体力に自信のある人
物流の仕事は体力を使う仕事です。倉庫内作業やトラックドライバーなどは最たるもので、体力に自信のある人が向いています。
筆者は元トラックドライバーですが、長く勤務している同僚たちは皆体力のある人ばかりで「学生時代に運動部だった」「日頃から身体を鍛えている」という人が多くいました。
管理の仕事は該当しませんが、現場で働く人は体力のある人が適しているでしょう。
まとめ
物流業界は、職種によって未経験でも挑戦しやすいという特徴があります。しかし、誰でも転職ができるというわけではなく、企業は人手不足の状況だからこそ、長く働ける優秀な人材を欲しいと考えています。
未経験者の転職は、情報収集が一番重要です。自分一人での情報収集では足りないという場合は、転職エージェントの活用をおすすめします。
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