【体験談】コンビニのルート配送は本当に「きつい」のか?

私たちの生活になくてはならないコンビニエンスストア。いつ行っても品物が並び、好きな商品を買えるのは配送を担当している人がいるからです。

運送業にはさまざまな職種がありますが、コンビニエンスストアへの配送は「ルート配送」という職種に分類されます。ルート配送は長時間の荷待ちがない、休みがとりやすいなど、他のトラック運転手とは異なるメリットもあり、業界未経験者でも働きやすい職種の一つですが、きついといわれることも多く、人手不足に悩んでいる状態です。

そこで今回は、経験者の筆者がコンビニのルート配送は本当にきつい仕事なのか、女性や未経験者が挑戦することは難しいのかなどについてくわしく解説します。これから転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

コンビニのルート配送とは

コンビニのルート配送とはどのような仕事なのかを知っておくことが大切です。はじめに、仕事内容や給与相場などについて紹介しましょう。

仕事内容

コンビニのルート配送は、商品が保管されている物流センターから店舗ごとに必要な商品を配送する仕事です。筆者の勤務していた運送会社では、日中の配達と深夜・早朝帯の配達に分かれていましたが、一般的に2つの時間帯に分かれた勤務が多くなります。

一日の流れは次のような感じです。

  1. 所属する会社の事務所に出勤
  2. アルコールチェック・運行前点検の実施
  3. 積み込みを行う物流センターへ移動
  4. 当日配達分の伝票の受け取りと確認
  5. 積み込み
  6. 各店舗へ配送
  7. 配送完了の報告と伝票の提出
  8. 退勤

コンビニのルート配送は、走行距離はあまり多くありません。他のドライバー職と比べると残業時間も少なく、長い荷待ちに悩まされることなども少ないため、働きやすく続けやすい労働環境といえるでしょう。

配送の種類

コンビニのルート配送で扱う商品は会社によって異なり、同じ店舗に配送する場合でも納品の形態や時間帯、回数が異なることが特徴です。次のように分けられています。

  • 常温の食品・飲料
  • 日配品(冷蔵)
  • お弁当・総菜・チルド食品
  • アイスクリーム・冷凍食品

筆者は日配品の配送を担当していたため、乗車するトラックは保冷タイプの3t車でした。カゴ車に入れて配送する場合は、トラックの後ろにゲートが付いたトラックを使用します。

筆者が出入りしていたセンターは日配品をメインに扱っていたため、他の運送会社のトラックも同じタイプのものでした。パンなどをメインに配送する場合は、商品の入ったケースを重ね、タイヤの付いたキャリーに載せて納品していました。

配送する商品によって重さや納品方法、納品回数が変わります。同じコンビニのルート配送でも、どういった商品を扱っているのか事前に調べておくことが重要です。

給与相場

コンビニのルート配送の給与相場は、280,000円~320,000円ほどです。実際の求人では、次のような条件で募集されています。

地域条件月給配送品
千葉県日勤・2t261,000~330,000円
鹿児島県日勤・夜勤250,000円チルド・米飯商品
大阪府夜勤310,000円~弁当・食品・日用品
栃木県夜勤335,000円~冷凍商品
神奈川県夜勤288,000~388,000円弁当・チルド品・飲料
広島県日勤・夜勤310,000~400,000円常温品全般
愛知県夜勤300,000円

参照元:コンビニ ルート配送の求人・仕事・採用|スタンバイでお仕事探し

勤務の時間帯・配送する件数・物量などの条件で月給の金額が異なっています。

特徴としては、正社員の募集が多いこと・賞与実績があること・規模の大きな会社が多いことです。おおよその相場を把握し、仕事の内容や勤務時間帯によって適正な給料かどうかを判断しましょう。

コンビニルート配送が「きつい」と言われる理由

筆者が実際に勤務している頃から「コンビニのルート配送はきつい」といわれることが多く、他職種の運転手から「大変だね~」と声をかけられることがありました。

筆者はコンビニのルート配送だけではなく、長距離輸送・宅配・引越しなどさまざまなトラックドライバーを経験しましたが、ルート配送は特別きついと感じたことはありませんでした。ただ、どうして「ルート配送はきつい」といわれるのか、考えられる理由をピックアップしてみます。

何気に拘束時間が長いから

コンビニのルート配送だけではありませんが、運送業は何気に拘束時間が長いです。理由として考えられるのは、交通事情と店舗の状況です。

  • 道が渋滞していた
  • 事故が発生していた
  • 店舗の駐車場がいっぱいで入れなかった
  • 雪・大雨・暴風などの天候不良

自分ではどうしようもないのです。回避したくてもできないことばかりなので。

どの求人にも残業があることは明記されていますし、ホワイトカラーの仕事ではないため、時間通りにきっちりと帰れる日ばかりではありません。許容範囲の残業時間であることがほとんどですが、きつい理由としては考えられるでしょう。

時間厳守の呪いから

コンビニのルート配送は、時間に厳しいです。仲間内で「呪い」「呪縛」などといわれていたのですが、かなり厳しい状況であることは確かかもしれません。

配送する地域にもよります。筆者は郊外の店舗が担当だったため、あまり時間に追われることはありませんでした。しかし、交通量の多い繁華街や駅前、駐車スペースのない店舗を担当していた同僚は、常に時間を気にしなければならなかったため、相当なストレスを抱えていたようです。

また、性格的に「何とかなる」と思える人は平気でも、几帳面な人は「きつい」と感じる可能性が高くなります。コンビニのルート配送が「きつい」といわれてしまうのは、通常のトラックドライバーよりも時間に厳しいという特徴が関係しているでしょう。

ドライバーにも厳しい規則があるから

コンビニのルート配送は、配送するドライバーにも厳しい規則があります。ちなみに、筆者が所属していた会社では、「校則か?」と思うような次のような規則がありました。

  • 長髪禁止
  • ヒゲ禁止
  • ピアス禁止
  • 金髪などの髪染め禁止
  • 女性は香水や過度の化粧禁止
  • 制服は正しく着用(アイロンをかけていないと注意される)
  • もちろんタトゥーは厳禁

コンビニのルート配送も、お客様にとってはコンビニ経営側と見なされるからだという理由でしたので、従わないわけにはいきません。「学校を卒業してまでもこんなに規則があるのか」と感じる人にとっては、仕事内容云々よりも「きつい」と感じるはずです。

天候は一切関係ないから

コンビニのルート配送に、天候は一切関係ありません。

筆者は3年ほどコンビニのルート配送を担当していましたが、天候が理由で配送がストップになったことは一度もありませんでした。台風だろうが大雪だろうが、配慮した上で配送することを求められます。

一番きつかったのは、大雪のときです。

  • 雪道に慣れていない一般のドライバーが動けなくなって大渋滞
  • コンビニの駐車場の雪かきができていなくて荷物が運べない
  • 回収するケースやカゴにも雪が積もっていて異常に重い
  • 雪が店内に入ってしまうのを嫌がられる

「こんなに雪が降っているのだから、無理なのでは?」と思いましたが、物流センターの方はまったく意に介さず。「気を付けて運行するように」というお達しを受けました。

確かに、その日はいつもよりも時間厳守は騒がれず、「無事に納品をすること」が最大のミッションだったため、それだけは良かったという感じでした。

コンビニは開いていて当たり前、商品があって当たり前というのが根幹にあるため、天候不良の負担はドライバーが一手に背負うことになります。

件数が多いと積み降ろしでやられるから

コンビニのルート配送には、当たりはずれがあります。

  • 件数は少ないけれど一店舗ごとの納品数が多い
  • 納品数は少ないけれど配送する件数が多い

「はずれだな」と感じるのは、件数が多いルートの場合です。何がはずれかというと、荷物の積み降ろしの回数が多いと体力を異常に使うのです。

特に、最初の方の店舗で回収物が多かった場合には、狭いトラックの箱の中でパズルのように荷物を積み変えなくてはいけません。夏の暑い日などは地獄です。

物流センターのある場所や、配送先の店舗の規模などによって異なりますが、件数の多い積み降ろしは「きつい」といわれる原因といえるでしょう。

コンビニのルート配送のメリット

コンビニのルート配送は決して楽な仕事ではありませんが、デメリットばかりではありません。実際にコンビニのルート配送を経験して感じたメリットを紹介しましょう。

不景気は関係ない

相手はコンビニです。不景気はあまり関係ありません。仕事がないということは考えられないですし、逆に人手不足が問題になっているくらいです。

筆者の同僚は、現在もコンビニのルート配送を行っていますが、コロナ禍で仕事がないという報道を見て、「誰か手伝いに来て欲しいくらいだ」といっていました。

コンビニはいつでも開いていて、欲しい商品がすぐに買えるという大前提があります。そのため、コンビニのルート配送も必ず配送をしなければいけないというミッションが与えられているのです。

コンビニのルート配送は、景気に左右されないという大きな強みを持っています。

仕事を覚える期間が短くて済む

コンビニのルート配送は、仕事を覚える期間が短くて済むというメリットもあります。その理由は、毎日同じ店舗を回るからです。業務のフローさえわかってしまえば、新しい道を覚える必要がないからです。

運送業未経験の人にとって、最初に立ちはだかる壁は道を覚えることです。慣れてしまえばどうってことありませんが、トラックの運転にも慣れていない状態で、道も覚えなければならないというのはかなりの難儀です。

コンビニだけではありませんが、ルート配送の仕事は慣れるのが早いです。研修期間も他の職種よりは短い傾向にあり、早く独り立ちして稼げるようになります。

一人の時間が多い

コンビニのルート配送だけではありませんが、運送業の仕事は一人の時間が多いということが大きなメリットです。

  • 人付き合いが苦手な人
  • 社内の人間関係で嫌な思いをした人
  • 一人でいることが好きな人

にとっては、これ以上ない仕事といえるでしょう。

筆者の同僚には、群れたい人間がいませんでした。必要最低限のコミュニケーションは取りますし、仲の良い人ができれば一緒にご飯を食べに行ったりもしましたが、強制力がないため楽なのです。

年がら年中一つの空間で顔を突き合わせていると、合わない人がいたときやトラブルに巻き込まれたときに苦痛ではないでしょうか?コンビニのルート配送は、一人の時間が多いことで余計な気を使うことがありません。その分、職場の人間関係も楽だといえます。

物量によっては楽な日もある

物量によっては仕事が楽な日もあります。筆者の同僚の間では「ハッピーデー」といわれ、1~2ヶ月に1回は非常に楽な日がありました。

理由は定かではありませんが、棚卸しなどが関係していた可能性があります。いつもよりも早く会社に帰り、事務所でくだらない話をしたり、仲間内で食事に行ったりしたものです。

普段が忙しいため、楽な日はご褒美のように感じられます。

コンビニのルート配送に向いている人の特徴

コンビニのルート配送は、向き不向きがハッキリとした仕事です。向いていない人が勤めてしまうとストレスフルになり、長く勤務することは難しくなります。

コンビニのルート配送にはどんな人が向いているのか、主な特徴を紹介しましょう。

体力がある人

コンビニのルート配送は体力がある人が向いています。

運転だけではなく荷物の積み降ろしや商品の搬入も行わなくてはいけません。運ぶ商品によっては重量のあるものもあります。

そのため、体力に自信のある人の方が向いている仕事だといえるでしょう。

運転が好きな人

基本的に運転が好きでないと、コンビニのルート配送は務まりません。

運送業は、一般の人よりも長い時間車を運転します。距離はそれほど長くはありませんが、毎日毎日車を運転することがストレスに感じてしまうような人は、絶対に向いていないでしょう。

車での移動が好きな人、車自体が好きな人、運転が好きな人はあまりストレスを感じずに仕事ができます。

ストレスに強い人

ストレスに強い人は、コンビニのルート配送に向いています。

どんな仕事でも同じですが、ストレスのない仕事はありませんよね。コンビニのルート配送も同じです。

交通状況・天気・配送の件数・運ぶ商品……どれをとっても「やってられない!」と思うことは多々あります。そんな中でも上手く気分転換ができ、ストレスをため込まない人であれば、長く勤務することができるでしょう。

気が長い人

コンビニのルート配送は、気が長い人に向いています。気の短い人はハイリスクすぎて、やめた方が賢明です。

トラックを運転していると、さまざまな「?」に出会います。

  • 法定速度以下でノロノロと運転する車
  • 急に進路変更をする車
  • 妙にあおってくる車

こんな状況にいちいち腹を立てていたら、身体が持ちません。

会社の看板を背負って走っている以上、マナーを守らない運転はご法度です。自分の気持ちを上手くコントロールできることは、コンビニのルート配送に欠かせない資質といえます。

運送業界未経験者にはコンビニのルート配送がおすすめの理由

運送業界未経験の方にとって、トラックドライバー(のイメージ)とは、長距離の大型運転手であることが多いです。しかし、現実問題として、運転経験の浅い人がすぐにできる仕事ではありません。

業界未経験の方がトラックドライバーとして働くには、ルート配送は非常に適しています。その理由を4つお伝えしましょう。

トラックの運転に慣れることができるから

コンビニのルート配送は、2tや3tのトラックが主流です。普通車しか運転したことのない人にとっては、適度な大きさといえます。

近年、AT限定でも採用している運送会社もありますし、コンビニのルート配送のトラックはAT仕様が多いです。コンビニのルート配送は、トラックドライバーとしてのはじめの一歩としておすすめできます。

仕事が安定しているから

前述したように、コンビニのルート配送は非常に安定した仕事です。コンビニが閉店しない限り、配送の仕事は必ず発生します。物量の差は多少ありますが、仕事がなくなるというリスクは限りなく低いのです。

運転免許があれば、安定した仕事に就いて稼ぐことができる……運送業の中でも、コンビニのルート配送の安定性は抜群です。転職者にとっても大きなメリットなのではないでしょうか。

比較的しっかりした会社が多いから

大手のコンビニに参入している運送会社は、比較的規模の大きい会社が多く、福利厚生も整っている傾向があります。

筆者の勤務していた会社の担当者によれば、仕事を請け負うときにかなり厳しい審査があるそうです。法律を遵守し、従業員を大事にしているような会社でないと、自分たち(コンビニ)の店舗に悪影響があると考えるため、経営状況から従業員の離職率まで見られるといっていました。

運送業界には、残念ながらブラック企業が存在します。業界未経験であれば、業界のさまざまなことがわからず、いきなりブラック企業に勤めてしまうということも考えられます。

コンビニのルート配送であれば、未経験者でも安心して働くことができるでしょう。

転職がしやすいから

コンビニのルート配送の求人は、未経験者歓迎という条件が多いです。運転免許も準中型免許(18歳以上なら運転歴に関係なく取得できる)でOKなので、未経験の人でも転職しやすいという傾向があります。

コンビニのルート配送は、仕事を覚えるまで先輩がきっちりと同乗しますので、トラックの運転をいきなり一人でしなければいけないということもありません。また、運送業界は転職志向の高い業界なので、次のステップアップをするときも「経験者」として転職することができます。

まとめ

コンビニのルート配送は、業界未経験の人・トラックの運転経験がない人でも、しっかりと活躍することができる仕事です。配送地域・勤務時間帯・運ぶ商品の内容・配送件数によって月給や仕事の「きつい」には違いが出ますので、転職時には必ず情報収集を行いましょう。

安定性ではピカイチなコンビニのルート配送……仕事内容を十分理解した上で、ぜひ検討してみてください。

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