【例文】物流事務の志望動機の書き方は?未経験・経験者に分けてわかりやすく解説

物流事務とは、運送会社・物流センター・倉庫業などで事務処理を行う仕事です。物流事務は他業種の事務職と比べると、業務内容が幅広いという特徴があります。

特別な資格が必要ではないため誰でも挑戦しやすい仕事ですが、その分人気もあり、面接では他の応募者との差別化を図らなくてはなりません。

そこで今回は、履歴書の中でも重要な志望動機の書き方について、物流業界ならではのポイントをくわしく解説します。これから物流事務に転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

物流事務とは

転職前に、物流事務とはどのような仕事なのか、業務内容をしっかりと理解しておく必要があります。まずは、物流事務に関する仕事内容や必要なスキルについて解説しましょう。

仕事内容

物流事務の仕事内容は、大きく次の4つに分類されます。

伝票発行・ドライバーが配送する荷物の伝票発行する
・伝票発行後に配送手配まで行うケースもある
データ入力・在庫管理に必要な入出庫データを入力する
・印刷帳票をファイリングする
ドライバーとの連絡・ドライバー・配送先・取引先との密に連絡を取る
・トラブル時の対応(遅延・破損・事故など)を行う
取引先・顧客の対応・メールや電話対応を行う
・クレーム対応を担当することもある

最も神経を使うのは、ドライバーとの連絡です。思わぬ事故や渋滞による遅延、荷物の破損など、配送にはトラブルがつきものです。

トラブルが発生した際にドライバーとの連絡や配送先・荷主への対応などは、冷静な判断力が重要になります。一般事務との違いは、単なる事務作業だけではないということでしょう。

必要なスキル

物流事務として勤務するのに必要な資格はありません。ただし、業務をスムーズに行うためには、次の3点があると有利です。

  • パソコンを支障なく使えるスキル
  • 社外的に通用するビジネスマナー
  • 運転免許証

物流事務は総務・経理などを兼任することも多く、銀行への入出金や年金事務所での手続きなどのために外出することもあります。運転免許証があり運転に慣れていれば、社有車を使って外出することが可能です。

データ入力はスピードが重視されるため、パソコンのスキルが高ければ申し分ありません。事務職が初めてという人よりも、他業種で一般事務を経験している人の方が慣れやすい傾向があります。

物流事務で働くメリット

物流事務は多くの業務を担当し、物流業界を支える重要な仕事です。物流事務で働くことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

時給が高い

物流事務の仕事は、一般事務の仕事よりも時給が高めに設定されています。なぜなら、一般事務よりも担当する業務が多いからです。

正社員として勤務する場合も、一般事務よりは給与の設定が高いことがほとんどです。物流業界は深刻な人手不足の状態で、物流事務もマルチタスクで仕事を進めなければなりません。やりがいや達成感はありますが、忙しいというのが実情です。

物流業界は物流事務がいなければ仕事が回らないので、時給や給与を高めに設定して優秀な人材を確保したいというのが採用担当者の本音でしょう。

求人が豊富

物流事務は求人が豊富で、雇用形態を問わず挑戦できるチャンスが多いことがメリットです。物流事務といっても、扱う荷物や会社の業種によって仕事内容は異なります。

コロナ禍におけるECサイトの需要急増により、物流業界は人手不足に悩まされているため、どこの物流倉庫でも物流事務の求人には力を入れているのが現状です。正社員や派遣社員、アルバイト、パートなど、一つの会社が複数の雇用形態で求人を募集していることもあります。

スキルアップができる

物流事務の仕事は業務内容が多岐にわたるため、勤務しながらスキルアップをすることができます。物流業界では資格取得支援制度を設けている企業も多く、働きながら資格取得を目指すことも可能です。

  • 大量のデータを打ち込んでいたらタイピングが早くなった
  • 経理を兼任することで簿記の知識が身についた

など、毎日の仕事の中で知らないうちにスキルが身につきます。また、物流業界ならではの資格として、次のような資格を取得することで、条件の良い企業への転職や物流事務としてのキャリアアップにもつながります。

  • ロジスティクス管理 2・3級
  • ロジスティクスオペレーション 2・3級
  • 物流技術管理士
  • 包装管理士

物流事務で働くデメリット

給与も高くやりがいもある物流事務はメリットの多い仕事ですが、デメリットが存在することも事実です。メリットばかりに目を向けるのではなく、物流事務を行うにあたってどんなデメリットがあるのかも理解しておきましょう。

担当業務が幅広い

物流事務は一般事務と比べると、担当業務が幅広いことがデメリットといえます。事務処理だけではなく、ドライバーとの連絡やトラブルへの対応など、物流業界ならではの仕事が多いことが特徴です。

また、会社によっては総務や経理と兼任するケースもあり、事務という仕事の範疇を大きく上回る可能性もあります。

トラブルへの対処が多い

物流業界は、意図しないトラブルに見舞われることが多いです。筆者は元トラックドライバーですが、物流センターや配送センターの事務担当者がトラブル対処を余儀なくされる現場をいくつも見てきました。

  • 思わぬ事故や車両の故障
  • 荷物の破損・汚損
  • 荷物の遅延
  • 台風・地震・強風などの自然災害による被害

配送を担当するドライバーは、何かトラブルが起きた場合はまず事務担当者に進捗を報告します。配送を依頼しているトラックは1台ではないため、多くのドライバーからトラブルの報告や対処法の指示を待つ連絡が入るのです。

一般事務では自分が矢面に立ってトラブル対処をする機会は非常に少ないですが、物流事務の場合は頻繁にトラブル対処をしなければならないというデメリットがあります。

物流事務の志望動機を書く前に知っておきたいこと

Logistics and transportation concept on supermarket background.

未経験の人が物流事務を志す場合は、応募前に物流業界に関する情報収集を行いましょう。現在物流業界がどのような状況にあるのか、物流事務には何が求められているのかなどを理解できると、志望動機にも活かすことができます。

物流業界の動向

2022年現在の物流業界の動向は、大きく2つのポイントがあります。

  • ネットショッピング市場拡大による個別配送の増加
  • 少子高齢化による人材不足の加速

新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活に大きな影響を与えました。その一つがECサイトの需要増加につながっています。

世間では働き方改革が声高に叫ばれていますが、物流業界では個別配送の増加による残業時間が問題になっている状況です。特に、運送業界では人手不足が深刻で、業界全体が高齢化の波に押されています。

物流業界の課題

物流業界が抱える課題は非常に多くあります。

  • IT化の推進が遅れていること
  • 個別配送が増加し再配達による業務効率の悪化を食い止めること
  • 業界自体の高齢化が進み若い世代の労働者が少ないこと
  • 配送スピードの向上による現場の対応
  • 長時間労働になりやすい職種のフォロー

特に問題とされているのは、人手不足の問題です。圧倒的に増加した物量に加え、スピードを求められ、なおかつ労働基準法の改正による長時間労働の是正が加わっている状態では、人手が足らないことには破綻してしまいます。

国は運送業界の人手不足解消のために施策を行っていますが、解決にはまだまだ時間がかかることが大きな課題として残っているのが現状です。

物流事務に求められているモノ

物流事務に求められているモノは2つあります。

  • 臨機応変に対応できること
  • スピーディーに仕事をこなせること

物流事務は業務の範囲が広いことが特徴で、マルチタスクで仕事を行うことが大切です。また、思わぬトラブルに遭った場合、臨機応変に対処できる冷静さも必要になります。

事務職としてもスキルはもちろん、工夫をして業務効率を上げる積極性や、変化に対応できる柔軟性も求められています。

物流事務の志望動機・担当者にささる書き方とは?

物流事務は人気の高い職種であるため、採用担当者は多くの求職者と面接をしたり、書類選考を行ったりしています。そんな百戦錬磨の採用担当者にささる志望動機の書き方のポイントをお伝えしましょう。

結論から述べる

志望動機はまず結論から述べるのが基本です。通常の文章が「1+1=2」という形式だとすると、志望動機は「2=1+1」のように、結論から述べると良いでしょう。

例:

  • 私が貴社を志望した理由は◎◎だからです。
  • 私が物流事務の仕事に就きたいと思ったのは△△だからです。

結論を最初に述べることで、内容が伝わりやすくなり、担当者にとって理解しやすくなるメリットがあります。ダラダラと理由を書き続けても、「この人は何が言いたいんだろう」とマイナスの印象を与えてしまうため注意が必要です。

自己アピールを具体的に述べる

自己アピールの部分を具体的に述べることで、自分という人間をわかってもらえるチャンスが生まれます。

  • 今までの経験・職歴
  • 得意なこと・自信を持っていること
  • 社会人経験として身に付けたもの

などをピックアップし、どの部分を一番アピールしたいのかを考えてください。ポイントは具体的に書くことです。通り一遍の内容では、採用担当者に刺さることはありません。

企業の求める人物像との共通点を探す

応募する企業がどんな人物像を求めているのかをリサーチし、自分との共通点を探すことも非常に重要です。

  • 変化に柔軟な対応ができる人
  • 協調性を持った人
  • 自ら考え動くことが出来る人
  • 責任感があり自分の能力を試したいと思う人

など、求める人物像は企業によって異なります。情報収集を徹底して行い、求める人物像と自分との共通点をアピールしてください。

物流事務の志望動機に盛り込みたい内容

志望動機はただ書けば良いというものではなく、ポイントを押さえた書き方をしなければなりません。では、志望動機に盛り込みたい・盛り込まなくてはならない内容にはどのようなものがあるのでしょうか?

物流業界を選んだ理由

なぜ物流業界を選んだのか、なぜ物流業界で働きたいと思ったのか、その理由は必ず盛り込んでください。物流事務をやりたいと思った動機・興味を持ったきっかけなどをわかりやすく書きましょう。

そのためには、物流事務とはどのような仕事をするのか、物流事務ならではの特徴はどんなことなのかを知っておく必要があります。

会社を選んだ理由

数多くある会社の中からなぜこの会社を選んだのか、志望動機には明確な理由を書いてください。会社のホームページなどをチェックして、社風・理念などをもとに書くと良いでしょう。給与や休日など、条件的なことは書かない方がベターです。

採用担当者は「どのくらいうちの会社を理解しているのか」という点を重視します。情報収集をしっかりと行い、なぜこの会社なのかという答えを盛り込んでください。

将来的な目標やビジョン

将来的な目標やビジョンも、採用担当者が知りたいと考えている項目の一つです。「会社にとって自分がどのように役立つことができるか」がポイントになります。

会社は、自社に貢献してくれる人、役に立ちたいと思ってくれる人を採用したいと考えています。物流事務の仕事でどんな目標を掲げるか、志望動機を書く前に自分を棚卸ししてください。

【例文】物流事務の志望動機はこう書く!

物流事務は、経験者でも未経験者でも挑戦できる仕事です。志望動機は、経験者と未経験者では骨子が異なります。

どのような志望動機を書けば良いのか、未経験者と経験者に分けて解説しましょう。

未経験者の場合

例文:

私は前職の事務で得たスキルを活かしたいと思い、物流事務の仕事を希望しました。

コロナ禍において私自身もECサイトを利用する機会が増え、物流業界で働く人との接点が増えています。

物流事務の経験はありませんが、製造業で一般事務を行っていた経験があり、そこで身につけた事務職のスキルを活かし、業務効率化を目指したいと考えています。

入社させていただいた際には周囲の方の意見を素直に聞き、より質の高いサービスを提供できるよう努力いたします。

未経験でもどのような姿勢で仕事に取り組みたいのかということがよくわかります。「周囲の方の意見を~」の部分では、中途採用に必要な素直さや向上心をアピールできている点がポイントです。

経験者の場合

例文:

私はかつて大手の宅配企業で、事務を担当していました。

業界経験者であるという強みを生かし、いかに業務効率化を実現できるかに挑戦したいと思い、貴社を選びました。

物流業界の人手不足を解消するには、人材の確保と業務の効率化が解決策だと考えています。

御社に入社した際は顧客満足度の高いサービスを提供するため、前職で培ったパソコンスキルを生かし正確でスピーディーな事務処理を実践したいと思います。

経験者ならではの具体性に富んだ志望動機です。自分に何ができるのかが明確に記載されていて、簡潔な文章の中にも自信が伺えます。

まとめ

物流事務は物流業界を支える縁の下の力持ちです。一般事務に比べると業務範囲が広く、さまざまな状況に対応できる柔軟性と冷静さが求められます。

志望動機を書く際の最大のポイントは、企業研究です。情報収集を徹底的に行い、応募する企業が求める人物像を知りましょう。

物流事務は未経験でも挑戦できる仕事です。未経験であることに不安を感じる場合は、転職エージェントの活用も視野に入れてみましょう。

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