【体験談】運送業の仕事内容を経験者がわかりやすく解説!職種により大きく異なる!

元トラックドライバーの女性が、経験や現役ドライバーの意見をもとに、運送業の仕事内容についてくわしくわかりやすく解説します。これから運送業への転職を検討している方は参考にしてみてください。

運送業にどのようなイメージをお持ちでしょうか?きつい・危険・稼げない……以前、「底辺の仕事ランキング」に入ったこともありましたね。

筆者は元トラックドライバーです。どんな仕事でも実際に働いてみなければわからないことがあります。

そこで今回は、筆者の経験や現役ドライバーの意見をもとに、運送業の仕事内容についてくわしく解説します。これから運送業への転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

運送業の仕事内容とは?

運送業には多くの職種があり、職種によって仕事内容が大きく異なります。

一般的に「トラックドライバー」のイメージは、大型トラックに乗った長距離運転手なのではないでしょうか?そもそも運送業にはどんな仕事があり、何が違うのか、運送業の仕事内容をくわしく紹介します。

長距離輸送

長距離輸送は、荷主から請け負った荷物を所定の配送先(かなり離れた場所)まで届けることが仕事です。運送業界の花形ですね。運転する距離が長いため、荷物の積み下ろし時間よりも、運転時間の方が長いことが特徴です。

運ぶ荷物はさまざまで、会社が属する業界や取引先によって異なります。長距離輸送は一度に多くの荷物を運んだ方が効率的なので、大型やトレーラー、中型のトラックに乗ることがほとんどです。大型トラックやトレーラーの運転には、専用の運転免許が必要になります。

トラックドライバーの中でも「長距離・大型」という条件は、一番稼げる職種でしょう。

ルート配送

ルート配送とは、特定の荷主から特定の配送先へ荷物を届ける仕事です。距離的には短距離〜中距離が多く、長距離を運転しなければいけないことはほとんどありません。

代表的なのがコンビニエンスストアやスーパーへの店舗配送です。中には、薬剤やクリーニングなどの配送も含まれます。

ルート配送は、他のトラックドライバーに比べると残業時間が少なく、決まった時間内で勤務できることが多いのが特徴です。運送業界未経験の方や、家事や育児と両立させたい方でも挑戦しやすい職種といえるでしょう。

宅配便

宅配便は、個人宅や会社・店舗などへ請け負った荷物を届ける仕事です。宅配業界には、センター間の荷物を輸送するセンター便もあり、トレーラーや大型トラックを使用して輸送を行います。

正社員だけではなく、パート・アルバイトとして働くこともできるので、地元で働きたい・長距離には不安があるという方に適した職種といえます。宅配便の特徴は、配達だけではなく集荷も行うことです。

近年では宅配物の配達方法も多様化しています。配達地域によって配達と集荷の割合が異なることも覚えておきましょう。

引越し

引越しは、荷物の運び出し・積み込み・搬入・設置・梱包・開梱・輸送などを行う仕事です。依頼主の引越し先によっては、長距離になるケースもありますが、ほとんどの場合が短~中距離の運転です。

個人宅だけではなく、法人の引越しを請け負うこともあり、業務は多岐にわたります。引越業者の特徴は、引越しの多い繁忙期と閑散期の差が激しいことです。

基本的に、荷物は手積み手下ろしになるので、非常に体力が必要な職種といえます。アルバイトの場合は非常に給料の高い仕事になるので、体力に自信のある人にはおすすめの職種です。

荷物の積み下ろし

荷物の積み下ろしは、どの職種にもあります。ただし、荷物の種類によって積み下ろしの方法や重労働の度合いが異なります。

基本的には手積み手下ろしになりますが、重量や大きさがあるものはフォークリフトやクレーンを使用したり、商品をカゴ車に載せてゲート車を使用したりして行うこともあります。

手積み手下ろしの場合は体力勝負です。同じ運送業でも、何を運ぶのか、どのような積み下ろし方法をするのかを知っておくと、自分にできるかどうかの判断材料になります。

集荷

集荷は、顧客からの依頼により、配達とは別に荷物を預かることです。納品時に使用したパレットやカゴ車、ケースなどをまとめて回収することも含まれます。

集荷を行う代表的な職種は、宅配便や店舗間配送です。長距離輸送の場合は荷下ろし先の近くで集荷し、車庫に戻ってくるというケースもあるので覚えておいてください。

運送業の仕事をするメリット

筆者は、とにかく車の運転が好きだったことと、一人の時間を多く持てるトラックドライバーの仕事が大好きでした。きつくなかったといえば嘘になりますが、世間の言うようなデメリットばかりの仕事だと思ったことはありません。

筆者には、現在もトラックドライバーとして頑張っている同僚が多くいます。彼らの意見も聞きつつ、実体験を活かした運送業のメリットについて解説しましょう。

好きな運転で稼げる

運転好きにはたまらないメリットです。好きなことをしてお金が稼げるのです。

トラックドライバーは、どんな職種でも一般の人よりは車に乗る時間が長くなります。運転が嫌いな人には絶対に務まらないでしょう。

運転が好きな人にとっては、多少のストレスも運転することで解消されます。運転好きな人には、好きなことをしているだけでお金が稼げるという大きなメリットがあります。

面倒臭い社内営業は不要

運送業は、面倒臭い社内営業は不要です。運行管理責任者・班長など、上司となる存在や同僚はたくさんいますが、一般的な企業のように学閥や派閥といったくだらないものがありません。

長い時間顔を突き合わせているわけではないので、トラブルが起こることも少ないですし、仮に合わない人間がいたとしても、ストレスになるほど一緒にいないので安心です。

多少は人間関係のドロドロがあるかもしれませんが、追い込まれてしまうような状況にはなりにくいメリットがあります。

自分のペースで仕事ができる

運送業は自分のペースで仕事ができることもメリットです。ダラダラと仕事をして良いということではなく、他者と競わされたりすることがないという意味と解釈してください。

長距離は、特にその傾向が強いといえます。ルート配送や宅配などは、一連のペースがつかめてしまえば、そのペースに則って仕事をすれば良いので、思っているほど大変ということもありません。

老若男女関係なく働ける

運送業は年齢・学歴不問、初心者歓迎という条件が多く、老若男女関係なく働けます。昔は運転免許とやる気さえあれば、仮に学歴がなくても稼げる仕事と認識されていました。

ただし、年齢は「健康年齢」ですね。体力がある人でないと、年齢を重ねるごとに仕事がきつくなります。

女性の進出はまだまだの運送業界ですが、問題なく活躍できる業界なので、多くの女性にチャレンジしてほしいです。

業界自体が無くなることはない

運送業は、社会のインフラを支える重要な役割を担っています。これから2024年問題やAI(人工知能)による自動化運転など、運送業界は脅かされるなどといわれていますが、業界自体が無くなることはないでしょう。

安定性は会社によって異なるかもしれませんが、「物を運ぶ仕事」は社会に必要なエッセンシャルワーカーです。自信と誇りを持って就ける職業でしょう。

運送業の仕事をするデメリット

メリットばかりをお伝えしてきましたが、その反面、デメリットがあることも事実です。運送業にはどんなデメリットが考えられるのか、3つのケースを紹介しましょう。

社会的なイメージが悪い

運送業は社会的なイメージが悪いです。

「公務員です」といえば、「すごいね~」「偉いね~」といわれるかもしれませんが、「トラックドライバーです」といっても「すごい」「偉い」とはあまりいわれません。

筆者の場合は女性だったため「何で運転手なんかやってるの?」と聞かれることが多く、運転が好きだから、稼げるからといってもなかなか理解してもらえませんでした。それなりの年収があっても、危険だとかキツそうだとか思われがちですね。

社会的なイメージが悪いのは、運送業のデメリットといえるでしょう。

事故に遭う確率が高くなる

一般の人よりも多くの時間を運転に費やすため、運送業は事故に遭う確率が高くなります。筆者や仲間内には、幸い死亡事故につながるような大事故はありませんでしたが、追突された・ぶつけられたという事故はたくさんありました。

自分が気をつけていても、事故は避けられないことが多いのです。万が一自分が事故を起こしてしまうと、傷がつくのは運転手本人の免許です。行政処分によって運転ができなくなるという最悪のケースも考えられます。

一般のドライバーと比較すると、事故を起こす危険度は高いためデメリットといえるでしょう。

不規則な生活になりやすい

運送業は職種によって不規則な生活になりやすいデメリットがあります。日中の運行であれば問題はありませんが、勤務帯が夜間や早朝だったり、休日が不定期だったりすることがあるため、人が寝ている時間に働くというケースも少なくないのが実態です。

そのため、家庭を持っている人、小さい子供がいる人は、家族がデメリットだと感じることが多いようです。

筆者の仲間内では、子どもの学校行事に参加できない・休日に一緒に出掛けることができないなど、家族を持ってから働く時間帯を見直したケースがありました。自分一人ではデメリットではなくとも、家族や周囲の人間にとってのデメリットになる可能性は否めません。

未経験者が運送業へ転職するときのポイント

運送業界は転職意向の高い人が多く、業界内で転職をする人が多くいます。また、未経験者を受け入れる土壌があるため、業界を知らないという人でも転職がしやすい傾向があります。

未経験者の人が運送業へ転職するときに、注意したいポイントを5つ紹介しましょう。

運転免許は必須

当然ですが、運送業へ転職をしたいのであれば運転免許は必須です。

準中型自動車免許・18歳以上
・車両総重量3.5t以上7.5t未満
・最大積載量2t以上4.5t未満
中型自動車免許・20歳以上・普通免許等保有2年以上
・車両総重量7.5t以上11t未満
・最大積載量4.5t以上6.5t未満
大型自動車免許・21歳以上・普通免許等保有3年以上
・車両総重量11t以上
・最大積載量6.5t以上

普通免許だけでも勤務できる仕事はありますが、かなり限定されてしまうため、準中型以上の免許は取得しておいた方が良いでしょう。

短気な人は向いていない

すぐにイライラする人、自分の感情を抑えられない激情型の人は、運送業には向いていません。転職は避けた方が賢明です。

短気な人は、カァっとなると、衝動的に行動する傾向があります。割り込まれて頭にきてあおったという、近年問題になっているあおり運転などは、その最たるものです。仕事中にこれをやられてしまっては、会社も取引先もたまったものではありません。

大声で怒鳴る・不要なクラクションを何度も鳴らすなど、運転マナーが悪いトラックドライバーがいますが、マナーに反した行動がトラックドライバー全体の社会的地位を下げてしまっているともいえます。自分が短気だなと思う人は、運送業以外の仕事を探した方が良いでしょう。

ブラック企業に注意する

残念ながら、運送業界にはブラック企業が存在します。否定はしません。トラックドライバーは横のつながりが結構あるので、業界内にいると評判の悪い会社などは自然と情報が入ってきます。

ただ、業界未経験の方は、なかなかそうはいきませんよね。

  • いつでも求人が出ている
  • 相場より高すぎる給与設定
  • 求人の文句が派手&大げさ
  • 対応が感じ悪い
  • トラックがボロボロ

主にこのような特徴がある会社は、避けなければならないブラック企業です。

業界未経験の方がブラック企業を見極めるポイントは、徹底した情報収集を行うことです。その過程で少しでも違和感があれば応募は見送ること、これに尽きます。

業界未経験の方は、福利厚生制度や勤務体系が整っているケースが多いため、誰もが知っている大手運送会社などを目指すことをおすすめします。

家族の理解を得る

業界未経験の方が運送業へ勤務するのであれば、家族の理解は必須です。両親・夫・妻・子どもなど、筆者の仲間内で、長期間運送業で活躍している人は、家族から仕事への理解を得ることができています。

反対に家族からの理解が得られず、転職を選択しなければならなかったり、中には離婚問題に発展してしまったりした人もいました。自分自身が仕事内容やメリット・デメリットをしっかりと理解し、納得してもらえるような状況にすることもポイントといえます。

仕事内容をきちんと確認する

運送業への転職時には、仕事内容をきちんと確認しましょう。求人票だけでわからないときは、問い合わせをしてでも確認してください。

  • 運転するトラックの大きさ
  • 1日の走行距離
  • 運ぶ荷物
  • 積み下ろしの形態
  • 取引先
  • 社会保険への加入の有無
  • 福利厚生制度の有無

前項で紹介したように、運送業のトラックドライバーには複数の職種があります。職種によって働く時間や休日の取り方、給料、身体への負担などがまったく異なるため、きちんと確認をしないことで、転職後のギャップにつながってしまうのです。

仕事内容は納得のいくまで確認し、違和感を残さないようにしましょう。

運送業に関するよくある素朴な疑問

最後に、運送業界未経験の方が抱く素朴な疑問をピックアップしてみました。

運送業は学歴・年齢不問って本当?

本当です。加えて、未経験の方も歓迎している企業が多いです。

ただ、運転免許は必須ですし、事故歴の多い人・持病のある人などは断られてしまう可能性があります。運送業は特に学歴や年齢を定めて募集することは少ないため、学歴や年齢が原因で転職がうまくいかないということはあまり聞きません。

運送業ってガラの悪い人が多いの?

運送業にはガラの悪い人がいます。ただ、ガラの悪い人間が多いわけではなく、ごく一部の人間が目立っているだけの話です。

トラックドライバーというと、昔の映画「トラック野郎」や、何となく反社会的な人が多いんじゃないかという都市伝説的なイメージが多いですよね。大半のトラックドライバーは真面目に仕事をし、運転マナーも徹底している人たちです。

運送業は稼げない?

結論からお伝えすると、以前よりは稼げなくなりました。

筆者が勤務していた頃は、ものすごく稼いで独立する人もいましたし、若いのに戸建ての住宅を買う人もいました。乗っているマイカーはみんな新車ばかりでしたし、トラックにもお金をかけている人が多くいました。

当時はおそらく年収1,000万を超えている人もいたはずですが、現在のトラックドライバーはどのくらい稼げているのでしょうか?2019年に全日本トラック協会が行った調査結果えをもとに、現在の平均年収を職種別に紹介しましょう。

職種(一般)2019年平均月給(円)
※1ヶ月平均の賞与含む
2019年・平均年収(円)
※平均月給×12ヶ月
男性運転者平均371,5004,458,000
男性・けん引運転者434,7005,216,400
男性・大型運転者394,1004,729,200
男性・中型運転者305,7003,668,400
男性・準中型運転者310,3003,723,600
男性・普通運転者313,1003,757,200
女性運転者平均299,1003,589,200
女性・けん引運転者384,1004,609,200
女性・大型運転者355,1004,261,200
女性・中型運転者264,3003,171,600
女性・準中型運転者312,5003,750,000
女性・普通運転者235,3002,923,600

参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会

労働基準法の改正によって、残業時間の削減など働き方が大きく変わりました。残業代が少なくなったことなどから、以前よりは稼げなくなっているのが事実です。

まとめ

運送業の仕事には、職種がたくさんあります。所属する企業・運搬する荷物・取引先などによって、仕事内容が大きく変わることを理解しておいてください。

運送業への転職は、情報収集がカギになります。希望する仕事内容はどのようなものなのかを自己分析し、齟齬のない転職ができるように徹底した情報収集を行いましょう。

運送業の仕事は、未経験でも挑戦できるケースが多くあります。運送業へのより良い転職を希望される方は、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。

業界に精通した専任のスタッフが、手厚いサポートで転職をフォローし、条件や希望に合った仕事探しをお手伝いいたします。