【体験談】 運送業は「やめとけ」と言われる理由は?転職時に外せないチェックポイント

働き方改革が進められている中でも、運送業は人手不足や長時間労働が課題となっています。転職時に「運送業はやめとけ」といわれる理由はさまざまですが、業界全体のマイナスイメージが大きく影響しているはずです。

筆者は元トラックドライバーです。長いドライバー生活の中で、周囲から聞こえてくるブラック企業問題・自身がブラック企業に入社してしまったという経験があります。

そこで今回は、「運送業はやめとけ」といわれる原因となっているブラック企業の実態について紹介します。これから運送業への転職を検討されている方は、見極める目を持つためにもぜひ参考にしてください。

運送業はやめとけと言われる表向きの理由

運送業は3Kのイメージが強く、「運送業はブラック」「運送業は底辺の仕事」などといわれてしまうことがあります。社会生活を支える大事な役割を担う仕事であるはずなのに、なぜ「やめとけ」といわれるのでしょうか?

まずは、考えられる4つの理由を紹介します。

体力的にキツいから

運送業、特に長距離配送や引っ越しなどの職種は「体力的にキツいからやめとけ」といわれることがあります。

確かに、長時間の運転や重い荷物の積み下ろしなど、運送業のドライバーにはキツい仕事もあることは事実です。若い年代ならともかく、ある一定の年齢を超えた転職者に対しては、「キツいからやめとけ」といわれると考えられます。

労働時間が長いから

運送業のトラックドライバーは、労働時間=拘束時間が長いことがマイナスなイメージとして捉えられています。荷待ちや渋滞などによって、残業時間は当たり前のように発生しますので、一般的な‟決められた時間から決められた時間”までの仕事ではないことは確かです。

また、長距離配送の場合は、2~3日かけて配送することが通常勤務で、場所によっては1週間家に帰れないということもあります。一般的な仕事を基準に考えてしまうと、圧倒的に労働時間が長いのは事実といえるでしょう。

事故のリスクがあるから

運送業のドライバーには事故のリスクが常につきまといます。一般の人よりもハンドルを握る時間や距離が長いため、リスクは当然高くなるものです。

ニュースで重大事故の報道などが流れることも多く、「トラックドライバー=危険」というイメージはなかなか覆すことはできません。

筆者も、ドライバー時代には何度か事故に遭っています。一度はもらい事故で入院しなければいけないほどのケガを負ったことも事実です。家族や友人はいつも事故のリスクを心配していましたが、確かに100%生きて帰ってくる保障はない仕事といえるかもしれません。

ブラック企業が多いから

残念なことに、運送業界にはブラック企業と呼ばれる劣悪な企業が存在します。ネット上にはブラック企業に勤めてしまったドライバーの体験談が散見され、ドライバー仲間の話でもよく聞くことは事実です。

筆者は20代のときにブラック企業(当時は知らなかった)に勤務してしまったことがあります。今考えればあり得ない条件ばかりなのですが、知識がなかったために2年という時間を無駄にする羽目に陥ってしまいました。「運送業=ブラック企業が多い」というイメージは、まんざらウソではありません。

【体験談】運送業界に蔓延るブラック企業の実際の体験を聞いてみた

筆者も含めて、筆者のドライバー時代の仲間たちの中には、ブラック企業に勤務してしまった経験のある人が多くいます。実際にどんな経験をしたのか、実態をくわしくインタビューしたので紹介しましょう。

雇用契約書がない

「雇用契約書がない会社に勤務したことがあります。日給月給で勤務時間・給料・休暇とかは全て口約束だけでした。

運送業界とは別の仕事から転職したので、運送業はこんなもんなんだと思っていたけど、同僚が事故を起こしたときに会社はすべてその同僚に弁償をさせようとしたんです。

そのときにおかしいと思って周りに聞いてみたら、ひどいブラック企業だとわかった。中にいるとわからないけど、第三者の意見を聞くと冷静になれてすぐに辞めました。」

整備管理者・運行管理者がいない

「俺のいた会社は整備管理者と運行管理者が名前だけで、実際に存在しない会社だった。

20代前半でまだ社会人の経験も少ないころに転職しちゃったから、その会社のやり方が当たり前なんだと思ってたんだ。

トラックの整備や修理の依頼はドライバーの仕事で、仕事があろうが休みだろうが責任としてやらされてたんだよ……今考えるとこんなおかしな話はないよね。

同じ会社の先輩が高速のトンネル内で車両火災起こしたときに、監査が入って一発アウト。

俺はすぐに辞めたから良かったんだけど、最終的には会社も潰れたらしい。名前貸しする方もする方だけど、そんな状態でトラックを動かしてる会社も怖いよね。」

なぜか給料は手渡し

「うちの会社は未だに給料手渡しです。振り込みの手数料がかかるからっていう理由らしいんだけど、何だかおかしいですよね。

会社の内部のことはわからないけど、給料以外にも有給がない・日給月給・残業代は出ない……これってブラック企業以外の何物でもないですよね(笑)

早く辞めたいんだけど、人がいなくて会社じゃなく荷主さんが困ってる状態。でも年内には辞める予定にしてます。」

有給休暇がない+週休1日

「私が勤めてしまったブラック企業は、有給休暇がなく週休も日曜日1日でした。人間だから具合悪くなったり、慶弔関係で急な休みが必要になったりするのは当たり前なんですが、休ませてくれない会社だったんです。

親が急に倒れたときに「タイミングが悪い」って社長が言ったんですよ。頭にきてそのあとすぐに辞めましたけど、ちょっとおかしいどころか異常でした。

車もボロボロだったし、給料が遅れることもあって、1年経たずに辞めちゃいました。今どきあんなにひどい会社もあるんだって今では笑い話です。」

労災が使えない

「うちの会社はホームセンターの配送をやっていて、肥料やソファーなど重たい荷物も多いんです。だから、何人か運転手がギックリ腰や椎間板ヘルニアで仕事を休んでるんだけど、仕事中に起きたことなのに労災を使わせてもらえないんです。

労災って、使うと保険料が上がったり、行政処分を受けたりすることがあるらしく、会社のお偉いさんたちはみんな口をそろえて「大変だから」って言うんですよ。

「大変なのは従業員の方なんじゃないの?」って思うんですけど、とりあえず会社の方で治療費とかはみてくれてるから、誰も何も言わないんです。

うちの方は田舎だからあんまり仕事もないし、そこそこの給料もらえるからみんな何となく働いて、辞めないんです。こういうのがブラック企業がつぶれない原因なのかもしれませんね。」

違反行為を会社が指示

「自分が前にいた会社は、アナタコを使ってたんだけど、かなりヤバい違法行為がたくさんあったんです。改ざんです……思いっきり改ざんしてました。

チャート紙を途中で抜けとか出発時間調整しろとか……すごいでしょ(笑)それを会社が指示してるんだから、どんな会社だよって話です。

自分はたまたま他の運送屋に声かけてもらって転職できたんだけど、転職先で話したらありえないってみんなにドン引きされました。悪いことをする理由は知らないけど、人の命預かってるのに怖いなと思います。」

高速代は自腹

「自分のいた会社は、高速代が自腹でした。近場ならともかく、群馬から千葉(館山)・山梨・伊豆までの仕事があったんですが、すべて下道(※一般道のこと)で、倍以上の時間をかけて行くんです。

『早く帰ってきたいなら高速使っても良いけど自分で払うんだよ』って当たり前みたいに経理の人に言われました。普通給料から高速代が引かれることなんてないですよね?途中で取引先の人に教えてもらったんだけど、取引先には高速代がちゃんと請求されてるって言うんですよ。

その話聞いたらバカバカしくて、すぐ転職しましたね。自分は時間かかってもしょうがないと思って高速は使わなかったけど、高速使った人が天引きされてメチャメチャ給料低くなったなんて言ってるのは、異常ですよ。」

運送業に転職するときにやめた方が良い会社のチェックポイント

運送業は、比較的転職しやすい業界です。ただし、あまり業界を知らない未経験者の方の場合は、知らないうちにブラック企業へ勤めてしまう可能性もゼロではありません。

では、どんな会社に注意するべきなのか、応募をやめた方が良い会社の特徴をくわしく解説します。

いつも求人募集が出ている

求人サイトや求人誌など、どんな媒体でも常に募集が出ている会社は避けましょう。常に募集が出ているということは、従業員の入れ替わりが激しく人手不足になっているということです。

きちんとした会社であれば、よほどの事情がない限り求人募集を出し続けるということはありません。求人内容が魅力的に書かれていることが多いですが、ほとんどのケースはブラックに近い企業なので避けた方が賢明です。

社員数が極端に少ない

社員数が数名などという極端に少ない企業も避けるべきでしょう。あまりにも社員数が少ないという場合は、経営自体が不安定で事業を拡大できない可能性もあります。

福利厚生面などを考えると、一定の規模の運送会社の方が安心して働けることが多いものです。

同族企業

運送業は同族企業が多く、規則やルールが‟なあなあ”になっていることも少なくありません。中にはしっかりとした社外取締役などを設置しているところもありますが、特に地方の同族企業には注意が必要です。

都心部よりも企業数が少ない地方では、多少ブラックでも「他に仕事がないから」と社員が辞めないケースが見受けられます。面接などで同族企業だとわかった場合には、より慎重に会社としての質を見極める必要があるでしょう。

トラックが汚い・古い

会社のトラックが汚かったりあまりにもボロボロだったりする場合は、転職はしない方が良いです。

運送会社にとってトラックは会社の顔です。通常の運送会社であれば定期的にトラックを買い替え、洗車や整備などもしっかりと行います。

ボロボロの汚いトラックしかないというのは、経営が苦しいことを表しています。残業代や給与の未払いなどが起こることや、トラックの故障で事故を招くことなども考えられるため注意しましょう。

ドライバーの自家用車が汚い・古い

面接に行ったとき、車庫に停まっている従業員の車をチェックすることは重要なチェックポイントです。新しい車、手入れの行き届いているきれいな車が多ければOKですが、極端に汚れていたり古い車ばかりだったりするときは、その会社への転職は考え直してください。

トラックドライバーは、車好き・運転好きの人が多いです。その上で、汚くて古い車に乗っているということは、経済的な余裕がない=給料が安いということです。

筆者は何社か転職をしましたが、このチェック方法はかなりの確率で信用できます。面接時に会社へ行ったときは、ぜひチェックをしてみてください。

受付・採用担当の感じが悪い

採用担当者や受付などの感じが悪い会社は、絶対に応募すべきではありません。受付は会社の窓口ですし、採用担当者は人事のエキスパートであるはずです。

感じが悪いということは、社内教育が行き届いていない、職場環境に不満がある、経営に不安があることなどを意味しています。

反対に、妙に馴れ馴れしい採用担当者にも気を付けましょう。どちらも長く働ける職場にいてはいけないタイプの社員です。

「今日から働ける」

採用のプロセスをきちんとせずに「今日から働けますよ」というような会社は、お断りする必要があります。

  1. 採用計画
  2. 募集
  3. 選考
  4. 採用通知

採用通知だけでも労働条件通知書の作成などが必要ですので、手続きを考えると「今日から働ける」ということはあり得ないのです。「今日から働ける」ということは、必要なプロセスを踏まずに働くということ。万が一事故が起きた場合などを考えると、怖くて働けません。面接で「今日から」「すぐにでも」と言われたら注意しましょう。

雇用契約書・就業規則が確認できない

入社に必要な雇用契約書や、会社の規則ともいうべき就業規則が確認できないような会社には入ってはなりません。前項で紹介した雇用契約書のない会社に勤めていた人は、実際に事故が起きたときに会社として何もルールが決められていなかったことに愕然としたそうです。

雇用契約書や就業規則は、自分の身を守るためのものでもあります。会社としてきちんと機能していないようなところは、先々のことを考えると非常に危険ですので、絶対に避けてください。

まとめ

「運送業はやめとけ」と言われるのには、運送業に蔓延るブラック企業が原因の一端になっていることが考えられます。運送業に転職を検討される方は、応募する会社はきちんとした会社かどうかを十分に見極めるために、情報収集をしっかりと行ってください。

筆者はトラック運転手として約20年勤務しましたが、悪いことばかりではなくメリットも多い仕事です。運送業へのより良い転職につなげるために、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。業界に精通した専任のスタッフが、手厚いサポートで転職の成功をフォローします。