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「底辺」といわれる仕事とは?
そもそも仕事に底辺も頂点もありませんが、どんな仕事が底辺だといわれやすいのか、考えられる特徴をピックアップしてみましょう。
誰でもできる仕事
学歴や年齢に関係なく、誰でもできる仕事は底辺職といわれがちです。俗にいう「良い大学を出て勤める良い企業」ではなく、入社のハードルが低い職種の場合は、底辺職というカテゴリーに入ってしまうと考えられます。
ただ、どんな仕事にも、業務を行う上で必要なスキルは存在します。仮に誰でもできる仕事でも、社会生活においてなくてはならない仕事でもあるのです。
トラック運転手は、確かに学歴や年齢に関係なく応募することができます。だからといって楽で誰もができる仕事というわけではありません。
底辺という言い方自体がおかしいのですが、学歴や年齢に関係なく、転職のハードルの低い仕事は、底辺職とカテゴライズされることが多いようです。
人がやりたがらない仕事
人がやりたがらない仕事も底辺職といわれがちです。
- 業界自体のイメージが悪い
- ルーティンワークになりやすい
- 労働環境が悪い
- 天候に左右されやすい
などが考えられます。
また、仕事内容と給料のバランスが悪いイメージのある仕事も、やりたがらない人が多くなりがちです。楽して稼げる仕事なんてありませんし、どんな仕事でも誰かがやらなければいけないもの。
トラック運転手は長時間労働と安月給のイメージを持たれている傾向があるため、底辺の仕事だと思われてしまうことがあると考えられます。
3Kといわれる仕事
「キツい」「汚い」「危険」、いわゆる「3K」といわれる仕事は、底辺職にカテゴライズされてしまう傾向があります。トラック運転手は、「キツい」「危険な」仕事であることは確かです(ちなみにトラック運転手の3Kは、「キツい」「危険」「帰れない」)。
キツくても、汚くても、危険でも、必要であれば誰かがやらなければ社会生活を維持することはできません。ブラック企業であることが原因で起こる3Kは別ですが、仕事自体が3Kであってもそれがイコール底辺職ということではないのです。
ただ、一般企業や官庁に勤務しているホワイトカラーの人から見れば、3Kといわれるような仕事は底辺と位置付けたいのかもしれません。
トラック運転手が底辺だといわれる理由
トラック運転手の仕事は本当に底辺職なのでしょうか?なぜ底辺職といわれてしまうのか、元トラック運転手の筆者が経験を交えて考察します。
マナーの悪い運転手がいるから
トラック運転手の中には、運転マナーの悪い人が一定数存在し、常識外れなマナーの悪さから底辺職といわれてしまうことがあります。
- 強引な割り込み
- 悪質なあおり運転
- ゴミのポイ捨て
- 無謀なスピード違反
筆者もプライベートで運転をしているとき、トラック運転手のマナーの悪さを見たことがありますので、否定はしません。マナーを守って仕事をしている人の方が大多数なのですが、マナーの悪い運転は非常に目立つものですので「トラック運転手は……」という括りにされてしまいがちなのです。
仕事内容と給料が見合わないから
仕事はキツいのに給料が安い、仕事内容と給料が見合っていない場合は、底辺職というカテゴライズが行われてしまいます。
トラック運転手の給与は、固定給よりも変動給の割合が多いことが特徴です。固定給だけで見ると、確かに額面は高くありません。
しかし、変動給が同程度の割合があることを知らずに、「トラック運転手は給料が安い」というイメージを持たれてしまっている可能性があります。
採用条件が緩いから
運送業界の採用条件が緩いことも、底辺職としてみなされる要因の一つです。学歴不問、年齢不問、免許さえ持っていれば誰でも就職できる……そんな業界全体のイメージが、イコールで採用条件が緩いと思われている可能性があります。
確かに、トラック運転手は学歴や年齢は関係ありません。しかし、道路交通法の改正により、普通免許だけでは運転できないトラックが増えました。
準中型免許も新設され、以前のように「免許を持っていれば誰でも」という状況ではなくなっています。採用条件が緩いと考えるのではなく、誰でも活躍できる可能性のある仕事と考えれば、決して底辺職ではないはずです。
労働時間が長いから
トラック運転手の労働時間が長いことは周知の事実です。実際に長時間労働が問題になったこともありますし、長時間労働が原因の労災事故が起きたこともあります。
しかし、トラック運転手の労働時間が長いのは、職種上仕方のないことといえるでしょう。
- 長い距離の輸送
- 渋滞や事故などの交通事情
- 荷待ちなど取引先の事情
などは、改善が難しい場合もあります。労働時間が長い=底辺職というのはあまりにも早計ですが、時間から時間までの仕事に就いている方にとっては、「大変な仕事」というイメージを持たれやすいのかもしれません。
業界全体にガラの悪いイメージがあるから
運送業という業界全体にガラの悪いイメージがあるのも、底辺職といわれてしまう原因の一つです。
映画などでは「トラック野郎」などと呼ばれ、今でいう反社会的なイメージが強かったこともあるのではないでしょうか?実際に従事しているトラック運転手は、別に反社会的でもありませんし、それこそ女性だって活躍しています。
- 窓から怒声をあびせる
- オラオラ系の運転をする
などという傾向は未だにありますが、全員がそうだというわけではありません。ごく少数の勘違いをしている人たちのせいで、業界全体にガラの悪いイメージを持たれてしまうのです。
トラック運転手は底辺ではない!現役ドライバーの声
前述した「【底辺職とは?】底辺の仕事ランキング一覧」という記事は、筆者のような元トラック運転手もさることながら、現役のトラック運転手たちに大きな衝撃を与えました。
この記事を受けて、現役のトラック運転手は具体的にどんなことを感じたのか、実際にインタビューをしてみました。現役トラック運転手3人の生の声をお届けします。
何で底辺なの?俺たちがいなければ生活できないのに
【Tさんのプロフィール】
- 40代・男性・既婚
- 乳製品の配送を担当
- IT企業から転職
「底辺って……すごい上から目線だよね。どんな立場の人が言ってるのか不思議でしょうがない。俺は乳製品の配送をやってるけど、これって社会の生活を支えることじゃないのかな?俺たちが運ばなければ、スーパーに行ったって物は買えないのにね。
俺は昔IT系の会社に勤めてた転職組なんだけど、前の会社はとにかく人間関係がひどかった。足の引っ張り合いや上司のパワハラは当たり前だったし、会社の雰囲気が最悪だった。
そういう会社の方が底辺なんじゃないのかな?人としてどうかと思うことが多すぎるんだよ。
今の仕事を底辺だなんて言われちゃ、そりゃ少しはショックだったよ。だって、子ども達は『底辺の仕事で働いているお父さん』って周りから思われちゃうじゃない。でも、うちはかみさんが『パパが頑張って働いてくれてるおかげで生活ができている』って子どもに言ってくれてるから、余計な大人がガヤガヤ言わなきゃいいなと思ってるよ。3Kだとか底辺だとか……言いたい奴は言ってればいいよって感じかな(笑)」
学歴社会・格差社会の偏見以外の何物でもない
【Gさんのプロフィール】
- 40代・女性・シングルマザー
- 大手宅配会社の地場配送を担当
- 一般事務職から転職
「あれは頭に来ましたね。何様だよコイツって(笑)確かに、私も未経験で転職できたし、学歴は高卒だけど何にも言われなかった。学歴や年齢が関係ないことがイコール底辺ってことじゃないですよね。
でもね、最近コロナで騒ぎ出してから、すっごい仕事忙しいんですよ。いつもの1.5倍くらい仕事がある。だからアルバイトなんかで新しい人がバンバン入ってくるんだけど、それでも足りなくて、結構大変なんです。
これって、この仕事がみんなの生活に必要ってことでしょう?スマホでピピッて買い物したって、私たちがいなかったら手元に荷物は届かない。当たり前のように食べてるご飯だって、配送する人がいなければ買えないのにね。
学歴社会・格差社会とかっていわれるけど、その偏見以外の何物でもない。働いている人たちに対して失礼だし、どういう神経であんな記事を書くのか知りたいです。」
底辺でも構わない・この仕事が好きだからやっている
【Nさんのプロフィール】
- 40代・男性・既婚
- 長距離配送を担当
- 軽貨物運転手から転職
「あれはすごい記事でしたね。自分も普段はあんまり記事に気分を左右されることってないんだけど、ちょっとショックを受けたことは事実です。
でもね、考えてみたら自分はこの仕事が好きでやってるからいいんです(笑)〇〇さん(筆者)もそうだったでしょ?好きな仕事で飯食えるのって、一番幸せじゃないですか。
うちは娘がいるんだけど、別に俺の仕事をどうこういうこともないし、かみさんだって別に何も言わない。自分や家族が何ともなければ、底辺って言われたって構わないんだよね。
どんな人が書いたのか知らないけど、トラック運転手以外にも介護士とか保育士とか、いなきゃ困る仕事の人も入ってた。じゃあ自分が歳とって認知症になったらどうすんの?毎日の買い物でスーパーに食べ物がなかったらどうすんの?子どもや孫が保育園に入れなかったらどうすんの?って思いました。
社会生活を支えているとか大層なことは言えないけど、でもいなきゃ困る仕事だってことは自覚してます。だからやりがいを感じることもできるし、自分はトラック運転手で良かったって思える。あんな記事を書くのって好きな仕事ができてない人のやっかみなのかね(笑)」
トラック運転手が底辺ではないといえる理由
底辺といわれる仕事の概念は定かではありませんが、トラック運転手は底辺の仕事ではありません。これは経験者である筆者が声を大にして伝えたいことです。
では、なぜトラック運転手が底辺ではないのか、その理由をきっちりと説明します。
エッセンシャルワーカーとしての役割
エッセンシャルワーカーとは、人々の生活にとって必要不可欠な労働者のことです。トラック運転手は、エッセンシャルワーカーとしての重要な役割を担っています。人々の生活に必要な物資を運搬する物流に携わっているからです。
万が一物流が止まってしまうようなことがあったら、商品の供給バランスが崩れて社会全体は大混乱に陥るでしょう。
コロナ禍においてECサイトの利用が急増したことで宅配の需要と供給のバランスは既に崩れつつあります。そのバランスを保つために、トラック運転手は必死で仕事をしています。
高度な技術を持つプロのドライバー
トラック運転手は誰でもできる簡単な仕事ではありません。高度な技術を持つプロのドライバーなのです。
マイカーを運転しているときに、トレーラーや大型の運転手を見て「運転が上手い!」「あんな大きな車を運転できてすごい!」と思ったことはないですか?普通車を運転するのとはまったく異なるスキルが必要になります。
さらに、安全で確実な運行をするためには、集中力や注意力を常に保っていなければなりません。大変なことばかりではありませんが、経験したことのない人が思うほど簡単な仕事ではないのです。
ストレスフルな状況に耐える精神力
トラック運転手はストレスフルな状況に陥ることが多いです。でも、その状況に耐えうる精神力を持っています。そうでなければトラック運転手を長年続けることは無理ですし、安心・安全な運行を行うことはできないからです。
トラック運転手の仕事は一人の時間が長いという特徴があります。一般的な仕事のように、仲間と愚痴を言い合う時間や、居酒屋でストレスを発散する時間もあまりありません。
そんな状況でも必死に仕事をしているトラック運転手は、決して底辺職ではないといえるでしょう。
まとめ
トラック運転手は仕事内容・給料・事故の危険性などから底辺職といわれてしまうことがありますが、それは内情を知らない人の暴言に過ぎません。
確かに、ごく少数の運転手にありがちなマナーの悪さや、業界全体のネガティブなイメージは否めません。しかし、エッセンシャルワーカーとしての役割を担い社会生活を支える、なくてはならないポジションであることも理解して欲しいと思います。
筆者はトラック運転手として約20年勤務しました。大変なこと・キツいこともありましたが、やりがいのある素敵な仕事です。 トラック運転手へのより良い転職につなげるために、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。業界に精通した専任のスタッフが、手厚いサポートで転職をフォローし、条件や希望に合った最適な仕事探しをお手伝いいたします。