トラック運転手がすぐに辞める理由
トラック運転手は転職率の高い仕事ですが、なぜ転職をしようと思うのでしょうか?その理由をピックアップしてみます。
給料が安いから
仕事に見合う給料ではないと判断した場合、トラック運転手は転職を決意します。トラック運転手は、意外と他社の条件をよく見ており、取引先などで出会う他社のドライバーと情報交換などを積極的にしているのです。
同じような仕事内容なのに、給料が安いのは納得がいきませんし、少しでも給料の良い会社で働きたいと思うのは当たり前のことでしょう。納得のいく条件の会社がないか、常にアンテナを張っている運転手も少なくありません。
仕事がキツいから
思っていたよりも仕事がキツいから辞めたいという人もいます。仕事がキツいと感じるには2つの理由が考えられます。
- 自分の体力がついていかない
- 会社の体制に問題がある
会社の体制(シフト)に問題がある場合は、会社を変えれば運転手として十分活躍できる可能性があります。
ただし、自分の体力がついていかないという場合は、職種を考え直す必要があるでしょう。「考えていたのと違う」「思っていたよりもキツい」というのは、よくあることです。
トラック運転手の仕事は決して楽な仕事ではありませんので、キツいと感じて辞める人もいます。
労働時間が長いから
長距離のトラック運転手などは、労働時間が長くなりがちです。また、荷待ちや渋滞などで、近場の配送を担当している運転手でも残業時間が発生します。
普通の会社員のように決められた時間だけ働けば良いという仕事ではないため、労働時間は必然的に長くなるのです。体力的にキツいだけではなく、精神的にキツいと感じる人も多く、自分で限界を感じて辞めてしまう人を筆者も知っています。
人間関係が悪いから
トラック運転手は比較的一人の時間の多い仕事ですが、中には会社の人間関係に疲弊して辞める人もいます。運送会社にありがちなのが上司からのパワハラです。
- キツい仕事を押し付けられる
- 雑用を自分だけが頼まれる
- シフトの希望が通らない
これは実際に筆者が在籍した会社で行われていた事例で、対象になった運転手はしばらく我慢していたものの、最終的には転職しました。会社の規模によっては、同僚・先輩・後輩などとの人間関係が上手くいかないということもありますが、多くの場合は上司との折り合いの悪さが考えられます。
自分に合わないから
トラック運転手という仕事自体が合わないという理由で辞める人もいます。
- 家に帰れないのはキツい
- 一人の時間が長すぎてストレスが溜まる
- 簡単に愚痴を言い合えるような人間関係がない
仕事が合わないというよりも、精神的な負担が増えて辞めてしまう人が少なくありません。
確かに、トラック運転手は一般的な会社員とは異なり、常に誰かが近くにいるという環境がないので、何かあったときに話を聞いてくれる存在がいないのです。
「一人の時間が好きだと思っていたけれど、こんなに寂しいとは思わなかった」と言っていた後輩がいましたが、彼はすぐに辞めてしまいました。自分の性格にトラック運転手の仕事が合わないと、長く続けるのは難しくなるでしょう。
トラック運転手をすぐに辞めた元ドライバーたちの本音
筆者は、トラック運転手時代にいくつかの会社に在籍しました。その中で何度か転職をしたいという相談を受けたことがあります。彼らはどんな気持ちですぐにトラック運転手の仕事を辞めてしまったのか、その本音を紹介しましょう。
募集要項と実際の仕事内容が違ったから
募集要項と実際の仕事がまったく異なっていたという事例があります。
後輩のJ君は、ルート配送を希望して入社してきました。しかし、ルート配送の業務内容が変わり、人員の補充が不要になってしまったのです。
J君は希望していたルート配送の仕事には就けず、夜間の配送部門に配属されました。J君は昼間の配送を希望していたにもかかわらず、夜間の配送というまったく異なる条件の仕事に就くことになってしまい、しばらくの間は勤務していました。しかし、異動希望も叶わなかったため、退職という決断をしました。
仕事がなくて焦っていたから
筆者と同期入社したO君は、私より5歳年上の未経験者でした。前職でリストラに遭い、なかなか仕事が決まらず焦っていたそうです。
家族もいることから、一刻も早く就職先を決めたいという理由で転職してきたのですが、正直なところトラック運転手の仕事を理解している状況ではありませんでした。
実際に仕事が始まると、「キツい」「大変」「こんなはずじゃなかった」というネガティブワードを連発するようになり、どんどん疲れた様子になっていきました。後日話を聞くと、ろくに業界のことも知らずに、すぐに働けるから面接を受けたとのこと。
O君は元々体力には自信がなかったなかったにもかかわらず、業務内容を理解しないままトラック運転手になってしまったのです。家族を養わなければならないという状況は差し引いても、まったく適性のない業界に飛び込んでしまったため、長続きさせることはできませんでした。
事故を起こして運転が怖くなったから
筆者の先輩だったSさんは、ちょっとした居眠りから追突事故を起こしてしまいました。幸い相手の方のケガは軽く、示談も成立したのですが、その後の運転に支障が出るようになってしまったのです。
相手の車のテールランプが近づいてくると、事故を起こしたときのフラッシュバックが起こるようになりました。長距離から地場配送に部署異動したものの、事故の後遺症は大きく、運転自体が難しいという理由でトラック運転手を辞めました。
トラック運転手は事故の可能性が高いことがデメリットです。一度の事故で運転が怖くなってしまうというトラック運転手も少なくありません。
単純に仕事がキツ過ぎたから
筆者の後輩だったFさんは、筆者よりも一回り以上年上で、長くトラック運転手をやっていた人でした。前職では食品の配送を担当していましたが、給料が低く、もっと稼ぎたいという理由で転職をしてきました。
しかし、実際に勤務が始まると、とにかく仕事の内容がキツいと言い出しました。Fさんは同じトラック運転手でも、荷主が異なれば仕事内容が変わるという点を軽視していたと言っていました。
運ぶ物が違えば積み込みや荷降ろしも負担が違います。「同じ運転手だから」と安易に考えていたことがFさんの退職理由でした。
ブラック企業だったから
筆者の友人K君はブラック企業に勤めてしまい、すぐに退職をしました。彼は長距離の運転手でしたが、あまりにも運行スケジュールが過密で、残業代もきちんと支払われないような会社に入社してしまったのです。
入社前に見抜くチャンスはいくらでもあったのですが、「高収入」「即日勤務可能」という条件につられて、あまり情報収集をしなかったことが原因でした。
K君は仕事に見合う給料をくれる会社を求めていましたが、実態は超ブラック企業。自分の浅はかさを後悔しながらも、退職したのです。
運が良かったのは、ブラック企業であったにもかかわらず、すぐに退職できたことです。半年ほどの勤務でしたが、最終的には前職よりも低い手取りになってしまったそうです。
こんな運送会社はすぐに辞めるべき
前述のK君の事例のように、残念ながら運送業界にはブラック企業と呼ばれる悪質な会社が存在します。転職時に注意しなければならないポイントを紹介しますので、くれぐれも選択することのないよう注意してください!
正社員なのに日給月給
「日給月給」という給与形態は、限りなくブラック企業に近い条件です。正社員であるならば、休日を含めた月給制が一般的でしょう。
日給月給の場合、休んだら休んだ分の給料は支払われません。病欠・忌引・連休・年末年始などで休んでしまえば、給料が安くなるということです。
むしろ、日給月給は正社員ではなく、日雇いと同じこと。こんな給与形態の会社は絶対にNGです。
事故の費用は自己負担
運送会社の中には、保険に加入していなかったり、保険の利用をさせなかったりという恐ろしい会社も存在します。理由は保険料を支払ったり、保険料が上がったりすることを避けたいからです。
一般の人よりも運転する距離や時間の長いトラック運転手は、どうしても事故の比率が高くなります。その上で、会社の業務中であるにもかかわらず、事故を起こした場合の修理費用などを社員の負担にすることがあるのです。
トラック運転手が事故を起こした場合、状況によっては行政処分を受けます。通常の運送会社は保険にしっかりと加入しているので、事故車両の修理代の負担などはさせません。
免許の行政処分もよほどの過失がない限りは、それが原因で辞めさせられるということもないのです。修理代自己負担というのは、運送会社としてあり得ないことだと理解しておきましょう。
トラックの点検・修理をしない
トラックの点検や整備、修理をしない運送会社は、言語道断です。
長い距離を走るトラックは、自家用車よりも頻繁なメンテナンスが必要になります。運行前点検や運行中に異常を感じたら、即対応するのが当たり前なのです。
たまに、運送会社の名前すら読めないボロボロのトラックを見かけませんか?ボロボロでもしっかりとメンテナンスを行っていれば問題ありませんが、そういったトラックは大体タイヤがつるつるだったり、異音を響かせて走っていたりします。
商売道具でもあるトラックを大切に扱わない会社には、命を預けて働くことはできません。
残業代を支払わない
残業代を支払わない会社に勤務している場合は、一刻も早い転職をおすすめします。
トラック運転手は、固定給よりも変動給が多いという特徴があり、残業代がつきものです。残業代が支払われないということは、経営状態が危ないか、会社側が当然のように搾取しているかのどちらかが考えられます。
荷主からは運賃が支払われているのに残業代が支払われないのであれば、その会社は間違いなくブラック企業です。労働力を搾取される前に、見切りをつけて転職しなければ痛手が増えるだけになります。
社会保険に加入しない
会社組織なのに、社会保険に加入していないのは言語道断です。
筆者の友人のK君が勤務していた会社は、会社組織であったにもかかわらず、国民健康保険・国民年金に加入するように言われていました。
- 事業主を含む従業員1人以上の会社、国や地方公共団体などの法人
- 常時使用の従業員が5人以上いる、一部の業種を除く個人事業所
は社会保険に加入する義務があり、社会保険料は、企業と従業員が約半分ずつ支払っていくものです。
該当する企業が社会保険に加入しなければ、処罰の対象になります。それでも加入していないということは、従業員のことを何も考えていない会社という結果ですので、万が一このようなケースがあった場合は、転職を考えた方が良いでしょう。
トラック運転手をすぐに辞めないための対処法
トラック運転手は転職率が高い職業です。前向きな理由で転職するのであれば何も問題はありません。
ただし、ネガティブな理由で辞めることはできる限り避ける必要があります。トラック運転手をすぐに辞めないための対処法を5つ紹介しましょう。
企業研究を徹底的に行う
転職を検討する会社の企業研究を徹底的に行うことがポイントです。
近年、ハローワーク以外でも、インターネットなどで情報収集が可能ですので、積極的に活用しましょう。サイトの中には口コミサイトなどもあり、実際に勤務している・過去に勤務していた社員の生の声がわかるものもあります。
- 仕事内容:運んでいるモノ・荷主など
- トラックの種類:中型・大型・トレーラーなど
- 従業員数
などは知っておきたい項目です。
危ない会社を見極める目を持つ
残念ながら、運送業界にはブラック企業が存在します。自分の希望している会社がブラック企業かどうかを見極める目を持ちましょう。
- 常に求人が行われている
- 担当者・受付などの感じが悪い
- トラックが汚い&古い
- 従業員の自家用車が汚い&古い
など、注意深く観察するだけでわかることもあります。また、面接時には次のように判断する基準があるため、しっかりと見極めることができるよう理解しておきましょう。
- 就業規則・雇用契約書がない
- 「すぐに働いてほしい」といわれる
- 必要な手続きが行われない
自分の性格や適性を知る
自分の性格や適性を知ることも、転職時には必要です。特に、トラック運転手は向き不向きがハッキリとした仕事ですので、少しでも向いていないと感じたら、他の仕事を探した方が良いでしょう。
「運転があまり好きではない」「体力に自信がない」「一人でいる時間が苦手」という人は、トラック運転手には向いていません。トラック運転手にはどんな人が向いているのかなども情報として収集し、自分が該当するかどうかを確認することも重要です。
入社前に業務内容を確認する
入社前には必ず自分が従事する業務内容を確認しましょう。
中には、諸事情で募集要項とは異なる仕事に就かなければいけないこともあります。希望した職種と同じ内容かを面接時に確認することがポイントです。
そこで少しでも違和感があれば、転職することは避けましょう。思ってもみなかった仕事をさせられてしまう可能性もあるため注意が必要です。
転職エージェントを利用する
運送業界が未経験だったり、転職経験が少なかったりする人は、転職エージェントを活用しましょう。運送業界に特化したエージェントならさらに安心です。
業界の内部事情や、通常では知り得ない企業の情報などを理解してくれているので、自分の希望に合った最適な応募先をアドバイスしてくれます。自分の情報収集だけでは不安という方は、運送業界に特化した転職エージェントを利用してみてください。
まとめ
トラック運転手は確かに転職率の高い仕事ですが、決してデメリットが原因というわけではありません。転職時の情報収集や、危ない企業を見極める力も自助努力として必要です。
嫌になって辞めるという負のスパイラルに陥らないよう、転職時にはしっかりとした準備を行ってください。
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