トラック整備士の年収はどのくらい?転職前に知っておきたい基礎知識

運送会社が安全にトラックの運行を行うためには、トラックを整備してくれる人の存在は欠かせません。

自動車整備士には、普通車などの整備を行う小型自動車整備士と、トラックなどの整備を行う大型自動車整備士があります。

トラック整備士は確かな整備技術や知識を必要とし、トラブル発生の際には適切な対処を行うのが仕事です。

トラック整備士の年収はどのくらいなのか、またトラック整備士に転職する際にはどんなことに注意すれば良いのかなど、トラック整備士に関する情報をくわしくご紹介します。

トラック整備士とは

トラック整備士とはどんな職業なのか、トラック整備士に関する基礎的な情報をご紹介します。

トラック整備士とは

トラック整備士とは、文字通りトラックを対象とした整備を行う自動車整備士のことです。

トラックの整備を行える一級自動車整備士は、普通車などの整備を行う小型自動車整備士と、トラックなどの整備を行う大型自動車整備士に分けられます。

トラック整備士は運送業界にとってなくてはならない存在で、安全な運行を守るために点検や整備などを行う職種です。

トラック整備士の仕事内容

トラック整備士の仕事内容は、トラックの日常点検・3ヶ月点検・12ヶ月点検などを行うことです。

トラックを安全に運行することは運送業界の大前提であり、エッセンシャルワーカーとしての役割を果たすトラック運転手にとっては、必要不可欠な存在といえます。

点検や整備以外にも、故障時の修理や部品の交換などを行うことも多く、ケースによってはトラブルの現場まで出張して修理を行うことも…。

トラックの整備や修理は、一般の車両よりも緊急性を求められることが多いため、トラック整備士は非常に多忙であることが特徴です。

トラック整備士になるために必要な資格

トラック整備士になるために必要な資格は、一級大型自動車整備士の国家資格です。

一級大型自動車整備士とは、総重量8t以上の大型自動車の整備を行う専門職になります。

受験資格二級整備士(二級シャシ整備士を除く)の資格取得後、3年以上の実務経験国土交通大臣が指定した自動車整備士養成施設(専門学校、高等学校、職業能力開発校など)の所定の課程を修了する
取得方法学科試験(筆記・口述試験)実技試験
申し込み方法  最寄りの運輸監理部又は運輸支局へ技能検定受験の申請を行う

一級大型自動車整備士の資格を受験するには、二級整備士の資格と実務経験が必要です。

一級大型自動車整備士の試験合格率は20%台となっていて、非常に難しい試験といわれています。

トラック整備士としての働き方

トラック整備士としての働き方は、主に3つあります。

大手ディーラー勤務・雇用者は大手ディーラー
・販売したトラックの点検や修理などを行う
自社整備工場勤務・雇用者は運送会社
・運送会社に所属し自社トラックの点検や整備を行う
一般整備工場勤務・雇用者は整備工場
・トラックだけではなく普通車の整備も多い

同じ整備士でも、雇用者が異なることによって勤務形態や給与が違ってきます。

整備士としてどんな働き方をしたいのかを明確にした上で、転職を検討することがポイントです。

トラック整備士の将来性は?

整備士の業界は、深刻な人手不足に悩まされているのが現状です。

有効求人倍率も平均の3倍近くになっていることがその現状を表しています。

トラック整備士と関わりのある運送業界は、これから迎える2024年問題に向けて、トラック運転手の確保に頭を悩めている状態…。

配送・運搬を行うトラック運転手の需要が伸びているということは、車両の整備も不可欠になるということです。

トラック運転手が増員すれば動かす車両の数も増えるため、トラック整備士はこれからもっと必要不可欠な職種として、人材の確保や育成が急務となります。

経験と知識を兼ね備えたトラック整備士は、非常に将来性のある仕事であることは間違いないといえるでしょう。

トラック整備士の年収や待遇は?

トラック整備士を目指している人にとって、もっとも気になるのは年収(稼ぎ)ではないでしょうか。

トラック整備士の平均年収や待遇についてご紹介します。

トラック整備士の平均年収

厚生労働省が実施した『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、自動車整備士の平均年収は454.1万円です。

ただしこの金額は整備士全体の平均値であるため、二級自動車整備士も含まれています。

二級自動車整備士は、自動車整備士になるための基本的な資格なので、一級自動車整備士よりも平均年収が低いのが一般的です。

トラック整備士=一級自動車整備士としての年収は454.1万円をベースとして考えると良いでしょう。

トラック整備士の待遇

トラック整備士の待遇は、働き方によって異なります。

もっとも待遇が良いとされているのは、大型車の大手ディーラーです。

休日がしっかりと確保されていて、一般整備工場や自社整備工場よりも年間休日が多い傾向があります。

きついと言われるのは自社整備工場ですが、残業が多い分、手取りの給料が高いのが特徴です。

トラック整備士の年収は高いのか?

令和3年賃金構造基本統計調査』によると、給与所得者の平均給与(月額)は307,700円となっています。

整備士の年収を月収に換算(ボーナスを5ヶ月分として)すると、約267,000円。

トラック整備士の年収は平均値よりも高い可能性があるものの、給与所得者の平均値同等、もしくは少々少ない傾向にあるといえます。

二級自動車整備士よりは一級自動車整備士の方が年収は高いこと、勤務する企業によって祭があることなどを考慮しても、決して高い年収とは言い切れない現実があるといえるでしょう。

トラック整備士の仕事★メリット・デメリットは?

トラック整備士の仕事にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

人によって感じ方は異なるかもしれませんが、一般的に考えられるメリット・デメリットをご紹介しましょう。

メリット

トラック整備士として働くメリットには以下のようなものがあります。

  • 就職・転職の選択肢が広がる
  • 給与の水準が上がる
  • スキルアップができる
  • 体力がつく

特に大きなメリットとして挙げられるのは、就職や転職の選択肢が広がることです。

厚生労働省が発表したハローワークの求人統計データでは、自動車整備士の有効求人倍率は4.78倍です。

令和3年度平均の有効求人倍率は1.16倍ですので、一級自動車整備士の資格を持っていれば、引く手あまたということになります。

人材確保に努めなければいけない企業側としては、待遇や労働環境などを見直すことが多いので、良い条件で就職・転職ができることが最大のメリットといえるでしょう。

デメリット

トラック整備士として働くデメリットには、下記のようなことが考えられます。

  • 危険が多い
  • 勤務時間が長い
  • 人間関係が面倒

トラックの部品は普通車よりも大きくて重くなるため、作業自体に体力を要します。

また大きくて重い部品を扱うことから、勤務中のケガなどの確率が高くなることも知っておくことがポイントです。

意外なデメリットとしては、人間関係が面倒であるケースが多いこと。

トラック整備士はチームで動くので、チーム内の人間関係がうまくいかないと、仕事自体をデメリットに感じてしまうこともあります。

トラック整備士へ転職するときのポイント

一級自動車整備士の資格を取得し、トラック整備士として働こうと転職を検討している方向けに、トラック整備士への転職で注意したいポイントをご紹介します。

転職前の情報収集として非常に重要な項目ですので、しっかりと確認するようにしましょう。

人員の構成を確認する

トラック整備士として働く際に注意したいのが、人員の構成です。

トラック整備士はチームで動くことが一般的で、1つの作業につきどのくらいの人員が配置されているのかによって、仕事内容が決まるといっても過言ではありません。

トラック整備士は現状人手不足の状態です。

あまりにも無理な勤務体制や人員の構成を行っている場合は、人材の確保ができていない可能性が高くなります。

自分が働くことになったらどんなシフトになるのか、1つの作業にどのくらいの人数で対応しているのかなどを確認することは非常に重要です。

具体的な条件を提示してもらう

転職先の候補がいくつかピックアップできたら、面接などで具体的な条件を提示してもらいましょう。

求人票だけではわからないことも多く、実際に働いてみたら『思っていたのと違う』というギャップが生まれてしまうことも少なくありません。

トラック整備士の場合は、多くがシフト制の勤務になりますが、勤務先によってシフトの構成は大きく異なります。

自分にとって無理のない条件となっているのか、あやふやなままでは転職を繰り返すことになりますので、聞きにくいことかもしれませんが、必ず確認してください。

残業時間・休日・有給休暇の取得状況を確認する

残業時間・休日・有給休暇の取得状況を確認することもポイントです。

求人票の応募要項に書かれていない『実態』を知ることが重要になります。

筆者は元トラック運転手で、自社に一級整備士の人たちがいました。

いろいろ話をしていく中で、やはり勤務先によってはかなりキツイ状況で働かなければいけなかった人も多く、転職することで何とか逃げることができたということも聞いたことがあったのです。

実際に働いてみないとわからないこともありますが、きちんとした会社であれば現在の状況を教えてくれるはず。

面接時にしっかりと確認し、状況だけではなく担当者の対応などもチェックするようにしましょう。

【インタビュー】トラック整備士に関するいろいろなことを教えて!

トラック整備士は、自動車整備士の中でもっともスキルを必要とする仕事です。

二級自動車整備士を取得後、3年間の実務経験がなければ受験できない資格であるため、整備のプロフェッショナルとして勤務することになります。

筆者は元トラック運転手だったこともあり、トラック整備士の人たちと知り合うこともたくさんありました。

そこで今回の記事を書くにあたり、現役の整備士にトラック整備士に関するさまざまなことをインタビューしてみました。

現場の生の声をご紹介します。

【Kさんのプロフィール】 50代・男性筆者の勤務していた運送会社の整備担当専門学校を卒業し整備士の資格を取得整備士として最初の勤務はカー用品専門店の整備工場その後大手ディーラー・中古車販売店などの整備を経て自社整備工場へ転職

年収はどう?

「驚くほど高いわけじゃないけど、ワーキングプアではないです(笑)。ただ、転職するたびに年収は上がりましたね。まあ経験を積んでいるっていうことが一番の理由だと思うんだけど、基本給が上がればボーナスも上がるので、今は整備士の平均年収よりももらってます。

ただ、働く会社によって給料は本当に違うから、注意しないといけませんね。整備士は特に人手不足だから、どの会社もかなり人材確保には力を入れてるけど、中にはビックリするようなブラック企業も存在します。自分は幸いそういうところで働いたことはないけど、転職してきた後輩の中には、整備士自体を辞めようかと思ってたなんていうこともあるんですよ。

長く勤務すれば役職とかもついて年収は上がるし、一級自動車整備士としての勤務経験があれば、転職で不利になることは少ないはずです。経験の少ない人は、大手のトラックディーラーが向いているかな。いろんなことを勉強できるし、やっぱり大手ならではの安定感もありますから。」(Kさん)

どんな人がトラック整備士に向いているの?

「几帳面なくらいしっかりと仕事に向き合える人かな。それは最低条件だと思っています。『まぁいっか』っていう考えができちゃう人は、向いていないと思うし、時間がかかっても諦めずに仕事に向き合える人が一番です。

あとはコミュニケーション能力が高いことや、勉強熱心なことも必要ですね。トラック整備士はチームで動くので、一人で仕事をしているわけじゃない。わからないことを教えてもらったり、自分ができることを手助けしたり…っていうシーンがいっぱいあるんですよ。別にべらべらしゃべれって言うんじゃなくて、お礼を言うとか、困っている人に声をかけるとか、すごい難しいことじゃなくて基本的な部分なんです。

そこをきちんとできない人は、なかなか技術も身につかないし、管理職にもなれない。体力があることも重要なんだけど、一緒に働きたいって周りが思えるような人がいいですね。』(Kさん)

メリットやデメリットを教えて!

「自分は車が好きで、整備の仕事も好きだからかもしれないけど、あんまりデメリットは感じないことが多いです。待遇とか勤務環境とかに不満があっても、自分に技術があれば転職することで解消できる問題が多いと思うんですよね。

ただ、若いうちはいいけど年齢を重ねると体はきつくなります(笑)。管理職への登用の話もあるので、そこは自分でキャリアをどうしたいのか見極める必要がありますね。給料は決して高くないですよ。今の世の中じゃ、もっと楽して稼げる仕事なんかもいっぱいあるんだろうけど、あとは自分の中でのやりがいとか好きな仕事かどうかっていう意識の部分になるんだと思います。

デメリットっていえば、ケガは多いかも。ケガに注意しててもちょっとしたケガはつきものです。部品も大きくて重たいし、工具もデカいですからね。ちょっとした気の緩みで、ケガをしてしまうことはあります。」(Kさん)

残業や休日出勤は多い?

「勤務している会社によると思いますね。自分の勤務してきた会社の中で、一番残業が多かったのは運送会社の自社工場です。

長距離のトラックにトラブルがあれば、出先まで出張することもあったし、運行時間が朝早かったり夜中だったりするので、かなり不規則な勤務時間で働いていました。今はどこの会社も少し見直されてきて、シフト制できっちり休みが取れるようになってきたけど、たまには残業や休日出勤になることもあります。

でもそれはどんな仕事でも同じだと思うので、整備士だけが異常に残業が多いっていうわけではないと思いますよ。」(Kさん)

本当に人手不足?

「足りないですね(笑)。でもそれが今いる整備士に負担になるっていうこととはちょっと違うかもしれません。整備士は資格がなければできない仕事なので、人が足りないから派遣やアルバイトを使うっていうこともできないから。

毎年専門学校を卒業した人達が入社してくるんだけど、中にはすぐに辞めちゃう人もいるんですよ。何が理由なのかわからないこともあるけど、先輩としてこの仕事の面白さみたいなものを伝えられなかったのかって反省するんです。

待遇もまだまだだと思う部分もあるので、現場もそうだけど雇用する企業や国が現状をしっかりと理解して、整備士に関する情報とかをきちんと発信してほしいと思います。今なんかSNSとかもあるわけだし、いくらでもマイナスイメージを覆す方法はあるんじゃないかなと。人手が足りないのは企業努力が足りないんじゃないかと思いますね。」(Kさん)

現役のトラック整備士としての生の声はいかがでしたか?

Kさんはとにかく整備士としての仕事が好きなため、デメリットはあまり感じないとのこと。

長年整備士として多くの職場を経験し、現在は後輩の育成にも努めています。

整備士はとてもやりがいのある仕事だと教えてくれました。

まとめ

トラック整備士の平均年収は454.1万円…給与所得者の平均給与は307,700円となっていますので、月収に換算すると、約267,000円ほどです。

トラック整備士の年収は平均値よりも高い可能性があるものの、給与所得者の平均値同等、もしくは少々少ない傾向にあるといえます。

トラック整備士の仕事は、高い専門性を求められる仕事です。

国家資格の取得には条件があり、資格の取得は合格率20%とかなり難しいのが現実。

トラック整備士への転職を検討するのであれば、資格取得条件に該当しているのかをしっかりと確認してから挑戦することがポイントです。

これからトラック整備士として働いてみたいと検討されている方は、ぜひ当サイト「ドライバーコネクト」にご相談ください。

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