目次
トラックドライバーに多い退職理由
トラックドライバーに多い退職理由とは、どのようなことがあるのでしょうか?筆者の体験をもとに、6つの理由をピックアップします。
条件の良い会社へ転職するから
トラックドライバーは、免許や経験があると、条件の良い会社へ転職することがあります。確かに、同じような仕事内容で給料が良かったり、福利厚生が充実したりする会社があれば、転職をしたいと考えるのは当たり前のことといえるでしょう。
筆者が現役時代には、同僚はほとんど転職してきた人ばかりでした。筆者の在籍していた会社には免許の取得を支援する制度があり、免許取得後2年間勤務すれば、費用はすべて会社持ち。大型やけん引の免許を取得して、2年以上勤務した人が、条件の良い会社へ転職する姿もたくさん見てきました。
運送業界は、未経験でも勤務はできますが、免許や経験のあるドライバーは引く手あまたです。条件が少しでも良い会社があれば、他の業種に比べると、転職をしやすい傾向があるといえます。
拘束時間が長い・残業が多いから
トラックドライバーに転職したものの、実際の勤務内容がキツいと感じるということも、退職理由の一つとして考えられます。特に長距離のトラックドライバーは、道路事情や荷主の都合で、拘束時間が長くなりがちです。
労働基準法の改正で以前よりは残業時間の軽減などが行われていますが、事故や渋滞など、不測の事態に遭遇した場合は、どうしようもありません。
ホワイトカラーのように、9:00~17:00できっちり終わるという仕事ではないので、身体的・精神的に長い時間勤務することが負担に感じてしまうと、退職するという選択肢になってしまいます。
給料が安いから
給料が安いというのは、かなりの部分を占める退職理由でしょう。
- 仕事の内容と給料が見合わない
- そもそも給料の額面が低い
昔はトラックドライバーが驚くほど稼げる時代がありました。稼ぎたい人は、走れば走った分だけ給料がアップし、年収で800万以上を超えることも珍しくありませんでした。しかし、働き方改革によるドライバーの負担軽減は、給料が下がる結果につながってしまったのです。
結婚・子どもの誕生など、ライフステージの変化を迎えて、今までの給料では安くて生活できないと退職する若い世代も見受けられます。
仕事に慣れてつまらないから
若い世代に多いのが、仕事に慣れてしまって、つまらないと感じるために退職するというケースです。
これはトラックドライバーに限ったことではありません。どんな仕事でも、慣れてくると刺激や緊張感がなくなり、つまらないと感じてしまうことはよくあることです。
特にトラックドライバーは、一人の時間が長い仕事なので、話す相手もいないということが、さらに仕事をつまらなくさせてしまう可能性があります。
交通事故に遭ったから
交通事故に遭って、退職をするというケースもトラックドライバーあるあるです。
- 交通事故で運転に支障の出てしまう後遺症が残った
- 行政処分で免停や免許取り消しになりトラックに乗れなくなった
中には、交通事故の際の会社の対応に嫌気がさして、退職したという人もいます。面倒見の良い会社は、免停中も積み降ろしの作業員として働かせてくれるところもありますが、なかなか難しいのが現状です。
また、自分の過失が大きい場合は、働きづらくなって退職するというケースもあります。
持病が悪化したから
トラックドライバーは、仕事の内容によって腰痛・痔などの病気を抱えてしまうことがあります。重い荷物を運んだり、同じ姿勢を長時間続けたりしていることが原因だといわれていますが、トラックドライバーとして働く以上仕方のない面が多いのです。
トラックドライバーの多くは、腰痛などを抱えながらうまく付き合って仕事を行っていますが、悪化してしまうと、仕事を辞めざるを得なくなってしまいます。
腰痛で病院を受診し、職業を話すと「その仕事を辞めない限り、腰痛は良くならない」といわれることがほとんどです。椎間板ヘルニアや腰椎すべり症など、腰痛が悪化してしまった場合は、退職するという選択肢しかないこともあります。
トラックドライバーが今すぐ退職すべき会社とその理由
トラックドライバーの退職理由は、ドライバー自身の理由だけではありません。運送業界には、未だにブラック企業と呼ばれる会社が存在するのも事実です。
特に、未経験でトラックドライバーに転職した場合や、運送会社の数が少ない地域で就職した場合は、知らないうちにブラック企業に勤務しているというケースもあります。
そこで、今すぐ退職し、転職をした方が良い会社の条件を紹介しましょう。1つでも当てはまる場合は、転職の準備をおすすめします。
給与水準が低すぎる
給与水準が低すぎる場合は、転職を検討すべきです。2019年に全日本トラック協会が行った調査では、トラックドライバーの平均賃金が発表されています。
職種(一般) | 2019年平均賃金(円) | 2018年平均賃金(円) |
---|---|---|
男性運転者平均 | 335,700 | 338,500 |
男性・けん引運転者 | 383,500 | 391,500 |
男性・大型運転者 | 356,000 | 355,100 |
男性・中型運転者 | 282,800 | 297,100 |
男性・準中型運転者 | 284,900 | 294,400 |
男性・普通運転者 | 282,000 | 294,400 |
女性運転者平均 | 274,400 | 294,700 |
女性・けん引運転者 | 348,300 | 344,500 |
女性・大型運転者 | 320,200 | 316,200 |
女性・中型運転者 | 247,700 | 279,000 |
女性・準中型運転者 | 291,200 | 281,500 |
女性・普通運転者 | 216,200 | 263,100 |
参考:「2019年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について | 全日本トラック協会
職種ごとに2年分の平均賃金が一目でわかります。この水準よりも明らかに低い場合は、給与体系がおかしいといえるでしょう。また、日給月給のように、正社員であるにもかかわらず、アルバイトのような給与体系の場合も、退職・転職を考えるべきです。
トラックの点検・整備を行わない
トラックの点検・整備をきちんと行わない会社は、すぐに退職すべきです。なぜならば、命に関わるからです。
商売道具でもあるトラックの整備は、ドライバーの命だけではなく、取引先への信用にも関わります。万が一整備不良で事故を起こすようなことがあれば、一般の人に被害を与えてしまう可能性もあるのです。
筆者の知り合いの会社は、トラックの整備はすべてドライバー任せでした。整備管理者は名ばかりで、会社が関与するのは車検のときのみ。
ドライバーの一人が関越自動車道のトンネルで車両火災を起こし、ニュースでも報道されてしまう騒ぎがありました。ドライバーの命には関わらなかったものの、監査が入り、大騒ぎになったそうです。
名前だけの整備管理者だけではなく、実践的な整備を行える整備士を配置し、整備や点検をきちんと行わないような会社は、非常に危険といえます。
有給休暇のない会社
あまりにもブラックですが、有給休暇のない会社は、転職を真剣に検討しましょう。特に、日給月給の給与体系の会社に多く、ひどいケースでは雇用契約書を作成しないまま、社員を働かせているような会社もあります。
有給休暇は労働基準法で定められているもので、一定の要件を満たしている従業員(パート・アルバイトも含む)には与えなければならないものです。にもかかわらず、休んだら日給を引かれる・仕事のない休日(年末年始など)分の給料がないというような場合は、完全にブラック企業といえるでしょう。
会社としての義務を果たさない会社に勤務していても、自分が疲弊するだけです。
人の入れ替わりが激しすぎる
人の入れ替わりが激しいということは、定着率が低いということです。定着率が低い会社には、何かしら社員が辞めてしまう理由があります。
- 人間関係が悪い(パワハラなどが横行している)
- 仕事内容と給料のバランスが悪い(キツい仕事なのに給料が安い)
- 正当に評価されない(昇給がない)
などが主な特徴ですが、会社によってはさらにひどい状況にあることもあります。
理由もないのに、人がどんどん辞めてしまうということは考えられません。常に求人を募集している会社は、人の入れ替わりが激しいということです。
転職時には十分注意し、現在在籍してしまっている場合は、退職をした方が良いでしょう。
保険の利用を認めない
事故が起きた際に、会社で加入している保険の利用を認めないという、とんでもない会社もあります。そんな会社は、今すぐにでも辞めるべきです。
会社が保険を使うなというのは、次の年の保険料が上がるから。運送会社のように、一般の人よりも車を運転する時間も距離も長い場合は、保険の料率が高くなり、会社が負担する保険料もバカにならない金額です。
だからといって、過失が少ないのに従業員に自己負担させるのは、間違っています。本来は、入社前の面接で確認すべきことですが、知らずに働いている人も少なくありません。
何か起きてからでは遅い問題なので、しっかりと確認する必要があります。
残業代や給与の未払いがある
残業代や給与の未払いが続くようであれば、その会社は経営難に陥っているといえます。給与の未払いは労働基準法違反にあたり、罰則も定められています。
未払いの給与がある場合は、法的な手段を取らなくてはなりません。いつまでもズルズルと働いていては、被害が大きくなるだけなので、退職を前提に弁護士へ相談しましょう。
トラックドライバーが退職理由について考えるべきこと
トラックドライバーは、比較的転職のハードルが低いところがありますが、あまりにも転職回数が多いのは、転職に不利になることが考えられます。退職をしようと思う理由は人それぞれですが、今一度立ち止まって、本当に退職をして大丈夫なのかと自問自答することは非常に重要です。
退職理由について、考えるべきポイントを3つご紹介しましょう。
入社・転職してからの年数
退職をしようとしている会社への入社年数を確認してください。入社してあまりにも日が浅い場合は、次の転職で不利になる可能性が高いです。特に、1年未満の場合は、再度退職理由について考えてみましょう。
トラックドライバーは、他の仕事よりも人間関係が希薄になりがちです。そのため、同僚と悩みを共有したり、相談したりする時間が少ない傾向があります。自分が退職しようとまで悩んでいることを相談してみるのも一つの方法です。
退職しても、次の職場が決まらなくては、生活に困窮してしまいます。自分の退職理由が正当なものかどうか、見極める時間を持ってみてください。
次の転職先・職種
既に次の転職先や職種を検討しているのであれば、それが自分に合っているのかどうかを確認する必要があります。トラックドライバーの仕事や生活に嫌気がさして辞めるのであれば、同じ運送業に就けば同じことを繰り返してしまう可能性があるからです。
職場環境を変えても、トラックドライバーに向いていなかったのであれば、短期間で退職することになりかねません。トラックドライバーに転職するのが適切かどうか、しっかりと考えましょう。
今までの転職歴と自分の性格
今までの転職歴や自分の性格を見直すことで、退職の傾向がつかめます。トラックドライバーの仕事に関係ない退職理由の場合は、自分の性格が起因しているかもしれません。
- ネガティブ思考
- 見切りをつけるのが早い
- 飽きやすい
- 我慢がきかない
- プライドが高い
- 新しいものが好き
チャレンジ精神が旺盛で順応性が高いというポジティブな面もありますが、性格による退職・転職は、複数回繰り返す可能性が高くなります。本当に今の仕事を辞めても良いのか、やりがいや目標を見出すことはできないのかなど、感情的にならずに判断することも大切です。
まとめ
トラックドライバーは、年齢や性別に関係なく、未経験でも挑戦できる仕事です。その反面、転職のハードルが低いと感じ、簡単に退職してしまう傾向も見られます。
運送業に存在するブラック企業に勤務してしまった場合は、すぐにでも転職を検討する必要があります。勤務年数や自分の性格などを見直し、自分にとって退職がポジティブなものになるのかを考えることが大切です。
トラックドライバーは、一人で行うことが多い仕事なので、人間関係が希薄になりやすい特徴があります。同僚や上司に相談できる環境ではない場合は、転職エージェントを活用しましょう。
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